2017年04月06日

か「」く「」し「」ご「」と「 住野よる

か「」く「」し「」ご「」と「 住野よる 新潮社

 鍵カッコが間に入るタイトルです。
 よく売れる作品を世に送り出す作家さんです。正体不明の部分があります。
 かくしごとは、「隠し事」と「書く仕事」の意味があるととりました。各仕事ではないし、隠し子と、でもないでしょう。

 5編の短編で、それぞれ関連があります。2編読み終えました。
か、く。し!ご?と
か/く\し=ご♡と
小説雑誌に掲載された作品の集合体です。
 登場人物を愛称に変えていることが秘密を抱えさえることにつながっていますが、わかりにくい。
 高校2年生男女のあるいは女子・女子同士の恋心もからめてあると把握しました。
 
 表記とか表音にこだわる小説であり、その点での挑戦です。
 冒頭付近の試行は、成功しています。
 1ページ目から話が動き出しました。短文のうちに、話がどんどん進んでいくことはGoodです。今の時代に合っています。昔は、嚙みしめるように読んで味わう叙情文章が受けました。

 本作者の主人公設定における個性設定は、気が弱い。(できるだけ目立ちたくない)、観察する。空気のような存在でいたい。<しかし、登場人物「京」は主役のようで、主役ではありませんでした。>

 三角関係があるようだと読んでいたら、第二編で、ひっくりかえしがあり、いい効果を上げています。

(つづく)

か1く2し3ご4と
 1234は、「わん、とぅ、すりぃ、ふぉ」と読み、それは、行進の音頭です。以前この作家さんの作品の中で見かけた記憶があります。ほかにも、以前の作品に出ていた項目らしきものがこのあとの短編でも登場します。
 最初は理屈っぽい内容ですが、じきに種明かしがあり、ほんわかとした気分にさせられます。修学旅行での鈴のやりとりが素材です。(鈴を渡した相手と一生関係が継続するという都市伝説)
 気持ちを、リズムを測定するというように表す部分が良かった。
 
(つづく)

か♠く◇し♣ご♡と
 各人は3年生に進級しました。
 表と裏、相反する心理があります。人間って、めんどうくさい。されど、愛すべき言動です。登場人物「エル」に関して、読み手はもっと文章量がほしいと思う。期待できるキャラクターです。

か↓く←し↑ご→と
 気持ちを記号化する作品群です。
 267ページ付近は、人生の教訓です。的確です。老成して初めてわかることです。作者が、20代の男性とは思えないのです。以下の表現も含めて。

「ビリアン:色のことのようでもあり、メーカー名のようでもあり」、「トレンド:時代の流れ、流行」、「びっくりマーク:感嘆符!」、「所為:しょい。振る舞い」、「褒めた:ほめた」、       「躊躇って:ためらって」、「手練れ:てだれ。腕利き」、「イカズチ:雷」、         「レフティ:左利きの人」、「吝か:やぶさか。(否定はしない。)」 、「蹲って:うずくまって」

良かった表現として、「悩んだような拍手」、「数瞬後」、「仲がいいことと恋愛は違う」

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