2017年03月22日
星に願いを、そして手を。 青羽悠
星に願いを、そして手を。 青羽悠(あおば・ゆう) 集英社
第一章「宿題」までを読み終えたところです。
自分の読み方の雑さもあって、わけが分からなくなって、すでに読み終わったページへ何度も戻って読みかえしました。
混乱したのは、「人称」です。「私は」で始まる「私」がだれなのかわかりませんでした。最初は、神庭祐人(かんば・ゆうと。今は、町役場観光課勤務)だと思って読んでいて途中、意味をとれなくなりました。次は、「私は」を氏名の登場がない人間と思って読んで、これもまた挫折しました。そして、「私」は、薫(町の科学館勤務学芸員)かと思いながら読んで、また迷い、しかたなく、最初から、読みなおしました。
やっとわかりました。最初のページ最後の行に「理奈」とありました。神庭祐人(かんば・ゆうと)が中学時代に付き合っていた女子です。男性作者なので、「私」は、男性だという思い込みがありました。
そして、「僕」という表記が出てきます。「僕」は、神庭祐人です。ややこしい。これは、本作品にとって、ひとつの欠陥ではなかろうか。読み進めていくと、そのときそのときで「私」が変わるので読みにくい。「私」に対して、あなたはだれ?という疑問がわくばかりです。
さらに「俺」は、図書館長の孫である河村直哉なのですが、「俺」のときもあるし、話し相手が変わると「僕」になるときもあります。
加えて、「町役場」は、平成の市町村大合併を経た今の時代、「市役所」のほうが身近です。
複数の男女の遍歴を描いた作品としては、村上春樹作品に同類のものがあったと思います。舞台も愛知県です。ちょうど、騎士団長殺しを読み終えたところで、この作品を読みはじめたので、それが頭に浮かびました。
神庭祐人、倉木理奈、薫、真鍋春樹(電気屋の息子)がその4人です。苗字があとからでてくるのはどういう効果を狙ったのかわかりません。
舞台は、大きな市の科学館プラネタリウムというのは、名古屋市科学館でしょう。町のプラネタリウムは、半田市とか、三河のものしか知りません。そのへんが、創作のきっかけであり、ヒントでしょう。
最初は、セリフ表示で、ページ数をかせぐパターンかと思いましたが、そうでもありません。50ページ付近にある祐人と理奈、薫、直哉との会話は味わいがありました。
プラネタリウム(夜空とか宇宙)をまんなかにおいて、その4人がいる。そばに、図書館長夫妻(奥さんは乃乃さん。もうすぐ60歳)、その孫の直哉がいる。いまのところ、みな、善人です。宇宙話が続かなくなってから、祐人の分離が始まった。
中学時代から、ぽーんと飛んで、今は、大卒後まもなくの年齢のようです。
図書館長が死去した。プラネタリウムの閉鎖も決まった。
(つづく)
最年少文学新人賞受賞作品ですから、光るものを見つける読書です。多少のことには目をつぶります。そういいつつ書いてしまいます。
文系と理系の区別にこだわるのは意味がありません。社会では、関係ないことです。ものごとの考え方の筋道を学ぶときの技です。
「川祭り」というのは聞いたことがありません。調べてみました。西尾市の花火大会というのがありました。
館長の死がいまいちしっくりこない。実感が伝わってこない。
(つづく)
読み終えました。1日で読むことができる文章量です。
読後感が良い。清々しさ(すがすがしさ)と健全さがありました。三世代で、「宇宙」という夢を共有するのです。
推理仕立ても良かった。16歳でなかなかの力量です。これから、毎日書き続けてほしい。若さというエネルギーに満ちていました。
星の動きと若者の人生の選択を重ねたところも効果的な感情表現でした。
ポンポンと飛び交う会話表現がうまい。
最後半は、なかなか濃密でした。
ひとつ、タバコの記事はやめたほうがいいと思う。
タバコで場の雰囲気をつくることは、過去の手法です。体にも悪いし、周囲にも迷惑をかけるもので、もう、現代社会では受容されていません。
夢、かなわなかった年寄り(じいちゃん)の昔話に孫の気持ちが震えた体験でした。
調べた単語の意味です。「意趣がえし:しかえし」、「纏った:まとった。すぐに読めませんでした。服を着た」、「纏まった:まとまった。固まって整理ができた」、「ガス・グリソム:月に行く前に事故死したと書中にあり」、「地球とのスイングバイ:天体の万有引力を利用して宇宙機の方向を変更する」、「零す:こぼす。読めませんでした。つい口に出す」、「星景写真:せいけいしゃしん。星空と風景を同時に撮影。星の軌道が線になったりもする」、「カシオペアから北極星の見つけ方:文章ではわかりにくかったのですが、ネットの画像を見てすぐわかりました」、「アンニュイ:けだるい。退屈。ほめ言葉ではない」
いい言葉として、「世界の理(ことわり):道理」、「一つの計算ミスが、一生のミスになる」、「四人いれば最強、四人いればなつかしい」、「そもそも未来は存在しない。可能性でしかない」、「祐人は宇宙にあこがれてきた。私は、そんな祐人にあこがれてきた」、「館長が悩んで暴力的になったところ」、「思い出の中にだけ幸せな時間が存在する」、「(閉館した)プラネタリウムは夢の場所だった」
第一章「宿題」までを読み終えたところです。
自分の読み方の雑さもあって、わけが分からなくなって、すでに読み終わったページへ何度も戻って読みかえしました。
混乱したのは、「人称」です。「私は」で始まる「私」がだれなのかわかりませんでした。最初は、神庭祐人(かんば・ゆうと。今は、町役場観光課勤務)だと思って読んでいて途中、意味をとれなくなりました。次は、「私は」を氏名の登場がない人間と思って読んで、これもまた挫折しました。そして、「私」は、薫(町の科学館勤務学芸員)かと思いながら読んで、また迷い、しかたなく、最初から、読みなおしました。
やっとわかりました。最初のページ最後の行に「理奈」とありました。神庭祐人(かんば・ゆうと)が中学時代に付き合っていた女子です。男性作者なので、「私」は、男性だという思い込みがありました。
そして、「僕」という表記が出てきます。「僕」は、神庭祐人です。ややこしい。これは、本作品にとって、ひとつの欠陥ではなかろうか。読み進めていくと、そのときそのときで「私」が変わるので読みにくい。「私」に対して、あなたはだれ?という疑問がわくばかりです。
さらに「俺」は、図書館長の孫である河村直哉なのですが、「俺」のときもあるし、話し相手が変わると「僕」になるときもあります。
加えて、「町役場」は、平成の市町村大合併を経た今の時代、「市役所」のほうが身近です。
複数の男女の遍歴を描いた作品としては、村上春樹作品に同類のものがあったと思います。舞台も愛知県です。ちょうど、騎士団長殺しを読み終えたところで、この作品を読みはじめたので、それが頭に浮かびました。
神庭祐人、倉木理奈、薫、真鍋春樹(電気屋の息子)がその4人です。苗字があとからでてくるのはどういう効果を狙ったのかわかりません。
舞台は、大きな市の科学館プラネタリウムというのは、名古屋市科学館でしょう。町のプラネタリウムは、半田市とか、三河のものしか知りません。そのへんが、創作のきっかけであり、ヒントでしょう。
最初は、セリフ表示で、ページ数をかせぐパターンかと思いましたが、そうでもありません。50ページ付近にある祐人と理奈、薫、直哉との会話は味わいがありました。
プラネタリウム(夜空とか宇宙)をまんなかにおいて、その4人がいる。そばに、図書館長夫妻(奥さんは乃乃さん。もうすぐ60歳)、その孫の直哉がいる。いまのところ、みな、善人です。宇宙話が続かなくなってから、祐人の分離が始まった。
中学時代から、ぽーんと飛んで、今は、大卒後まもなくの年齢のようです。
図書館長が死去した。プラネタリウムの閉鎖も決まった。
(つづく)
最年少文学新人賞受賞作品ですから、光るものを見つける読書です。多少のことには目をつぶります。そういいつつ書いてしまいます。
文系と理系の区別にこだわるのは意味がありません。社会では、関係ないことです。ものごとの考え方の筋道を学ぶときの技です。
「川祭り」というのは聞いたことがありません。調べてみました。西尾市の花火大会というのがありました。
館長の死がいまいちしっくりこない。実感が伝わってこない。
(つづく)
読み終えました。1日で読むことができる文章量です。
読後感が良い。清々しさ(すがすがしさ)と健全さがありました。三世代で、「宇宙」という夢を共有するのです。
推理仕立ても良かった。16歳でなかなかの力量です。これから、毎日書き続けてほしい。若さというエネルギーに満ちていました。
星の動きと若者の人生の選択を重ねたところも効果的な感情表現でした。
ポンポンと飛び交う会話表現がうまい。
最後半は、なかなか濃密でした。
ひとつ、タバコの記事はやめたほうがいいと思う。
タバコで場の雰囲気をつくることは、過去の手法です。体にも悪いし、周囲にも迷惑をかけるもので、もう、現代社会では受容されていません。
夢、かなわなかった年寄り(じいちゃん)の昔話に孫の気持ちが震えた体験でした。
調べた単語の意味です。「意趣がえし:しかえし」、「纏った:まとった。すぐに読めませんでした。服を着た」、「纏まった:まとまった。固まって整理ができた」、「ガス・グリソム:月に行く前に事故死したと書中にあり」、「地球とのスイングバイ:天体の万有引力を利用して宇宙機の方向を変更する」、「零す:こぼす。読めませんでした。つい口に出す」、「星景写真:せいけいしゃしん。星空と風景を同時に撮影。星の軌道が線になったりもする」、「カシオペアから北極星の見つけ方:文章ではわかりにくかったのですが、ネットの画像を見てすぐわかりました」、「アンニュイ:けだるい。退屈。ほめ言葉ではない」
いい言葉として、「世界の理(ことわり):道理」、「一つの計算ミスが、一生のミスになる」、「四人いれば最強、四人いればなつかしい」、「そもそも未来は存在しない。可能性でしかない」、「祐人は宇宙にあこがれてきた。私は、そんな祐人にあこがれてきた」、「館長が悩んで暴力的になったところ」、「思い出の中にだけ幸せな時間が存在する」、「(閉館した)プラネタリウムは夢の場所だった」
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