2017年02月26日

サバイバルファミリー 矢口史靖

サバイバルファミリー 矢口史靖(やぐち・しのぶ) 集英社

 電気がないという設定は、テレビドラマ「北の国から」の最初付近を思い出します。北海道の老朽家屋には、電気をひけないのです。
この本を読みはじめましたが、舞台は東京、大規模停電というか、乾電池でさえ使用できない。
この世から「電気」が消えたのです。

 映画のシーン集のような書きぶりで、76ページ付近まできました。
 家族は、鈴木義之53歳経理部長、彼の妻光恵(鹿児島県出身)、大学生の息子賢司、女子高生結衣です。

 現代社会への警鐘があります。インターネット、スマートフォンなどに頼り切った暮らしや企業活動は、電気が使用できなくなったらパンクです。
 大震災発災後のシーンが想定のヒントなのかもしれません。
 その昔、便利なものはありませんでした。それほど昔でもなく、50年ぐらい前、人は手作業で暮らしていました。個々の能力は、進化しているのではなく、退化しています。本音がいっぱい書いてあるので、映画はきっとおもしろいでしょう。

 設定はおもしろく、出だしも快調です。このあと、どうもっていくかが、作者の力量です。

(つづく)

 読み終えました。時間旅行で、過去へ戻ったようでした。その昔、50年ぐらい前、自分が乳幼児から、小学校低学年ぐらいの日本人の暮らしぶりが書かれていました。なつかしい。なにやかやがなくても、人間は生きていた。自然も豊富だった。
 そして考えたことは、この50年間は何だったのだろう。当然メリットはありますが、デメリットもあります。デメリットは、雇用の場が失われました。昔は、すきま仕事があって、それほど仕事ができない人でも仕事に就けました。もうひとつは、メンタル病気の人が急増しました。昔の職場は、250人にひとりぐらいメンタルの人がいた覚えです。今は、20人にひとりぐらいいる感覚です。とても、幸せな世界になったとは思えません。

 電気がなくなったあとの「糞尿」の扱いは悲惨です。人格が崩れます。

 ロードムービーです。詳しくはここには書きません。

伏線として、「カツラ」

良かった言葉として、「最後は人力」、「(夫婦の共通の話題が)子どものことしかない。子どもが育ったら、なにもない」、「時間が止まったみたい」、「(電気が止まって車が動かない)物流が止まる」、「電気難民」、「骨太な業務用自転車」

単語として、「放屁:ほうひ。久しぶりにこの単語を見ました」、「憤懣:ふんまん。むずかしい漢字です」、「沽券にかかわる:やりたくない。差し支える。ていさいが悪い。こけんにかかわる。こけんとは、土地売買の証文。値打ちがあるのにないように思われる」、「環状八号線:東京住まいではないので、わかりません。小説やドラマではよく聞きます。羽田空港から北区まで。都道」、「砧公園:きぬたこうえん。同じく東京人ではないので読めません」、「オノマトペ:擬声語。ざあざあ、てきぱき、きらきら」、「マセラティ:イタリアのスポーツカー」、「下問した:自分より身分の低い者に質問した」、「畏敬の念:いけいのねん。おそれ敬う心情」

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