2017年02月21日

我ら荒野の七重奏(セプテット) 加納朋子

我ら荒野の七重奏(セプテット) 加納朋子 集英社

 作者の作品を読むのは久しぶりです。自身の病気を綴った「無菌病棟より愛をこめて」が印象に残っています。調べたら2012年に読んだので、もう5年前です。ご健在でなによりです。この本は、主婦の人たちが読むようなこどもの塾通いから始まっています。まだ、第一章を読んだところですが、おもしろい。ファンタジー作家さんの殻を人生経験の経過の中で破られたのかもしれません。

 どうしてこどもさん(山田陽介小学校5年生)が音楽の道を目指すのかが不可解(音楽ではメシが食えないから)ですが、あれよあれよという間に中学校へ進学してしまいました。

 山田陽介の母親山田陽子さんは、前向きで明るい文芸編集者です。記録をみたら、2012年に「七人の敵がいる」を読んでいました。そのときの主人公さんです。

 塾の記述が多いのですが、現実には、大学を出ても、社会では使えない人が多い。22歳ぐらいで人生が終わるわけではないのです。もっと遠いところに目標を置いて人生の進み方を考えた方がいい。

(つづく)

 読み終えました。力作です。主婦層向けなので、男性のわたしにはあわない面がありました。
 名付けの例として登場人物、東京子(あずま・きょうこ)というように、ネーミングにこだわりをもつ作家さんです。
 中学生を育てるやっかいさが記述されています。ファンタジー作家さんが、極端から極端に、趣向変化したようなご苦労を感じました。いつまでも、夢みる少女じゃいられないというフレーズが浮かびました。
 中学生たちを引率して音楽会の会場へ行く途中のどたばたが、ありそうなことばかりで読んでいておもしろおかしく楽しめました。そのへんの記述、すごいなーと感服しました。勢いとリズムがありました。
 組織内部の対立構図は、よくあることですが、あまり、気持ちのよいものではありません。できれば、共存の道を選びたい。闘争、片方の勝利というのは、その後、仕返し(書中では、いじめの対抗措置として紹介されていました)が発生します。

「懊悩:おうのう。悩みもだえること」、「滂沱と涙を流す:(ぼうだ)。とめどなく涙が流れる様子」、「テンペスト(嵐):シェークスピアの喜劇」

印象に残ったフレーズとして、「羊の中の平凡な一頭でいたい」

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