2017年02月18日

僕らのごはんは明日で待ってる 瀬尾まいこ

僕らのごはんは明日で待ってる 瀬尾まいこ(せお・まいこ) 幻冬舎文庫

 タイトルの意味はわからない。読み始めました。高校3年生の学校生活、体育祭から始まりました。
「米袋が明日を開く」
 読後感がなかなかいい。3年前に高2の兄貴を病気で亡くした今高校3年生の葉山と彼に恋心を寄せる上村という女子高性のやりとりの雰囲気が自然でいい。とくに上村の態度に無理がなくていい。生きるための力を得るために読むBookです。
 この部分、短編ですが、このあとどう展開するのか、続けて読むのが楽しみです。
 難があるとすれば、女性から見た兄弟像です。兄弟仲良しということは、歳をとってからならありますが、通常はライバルですから、弟から見た兄は競争相手です。(この点は次の短編で扱いが少し出ます)
良かった表現として、「残酷な事実をさんざん言う(そうでなければ親友にも夫婦にもなれない)」、「嫌われるのは慣れている」、「いつもひとりでいるから会話が下手」、「同情には優しさが含まれている」
わからなかった言葉として、「エキセントリック:ふつうじゃない。風変り」、「襷:たすき。読めませんでした」

「水をためれば何かがわかる」
 主人公の葉山は大学生になり、ひとりでタイへ旅をします。また、上村も大学生になります。彼女には両親がいない。祖父母に育てられたことが判明します。「死」を考える部分もあり、話の中身は暗いのですが、上村の明るい個性がそれを押さえていて、いい雰囲気の小説ができあがっています。ファストフードにまつわる話が、暗さを押さえています。映画化されるようですが、きっといい映画ができることでしょう。本は、今年読んで良かった1冊です。
良かった表現として、「道頓堀川になる」、「世の中知らなくてもいいこともある」、「語らんのも愛情のうち」、「(家族づくりの)2回目のチャンスにかける」
 仲のしっくりいかない新婚夫婦がなぜ名古屋で、セントレアだから大丈夫というのは、空港の名称はわかるのですが、その指す意味がとれませんでした。

「僕が破れるいくつかのこと」
 失恋です。別れのときがきました。恋愛というのは、こと、結婚に至っては、ふたりだけならいいのですが、周囲の親族がからんでくると破たんのきざしが生じてきます。いらぬおせっかいが飛んできます。まあ、別れは作者の策略でしょう。
 ここで初めて、葉山の下の名前が明らかになりました。「葉山亮太」です。

「僕らのごはんは明日で待ってる」
 神妙な終わり方になりました。上村さんの下の名前が明らかになります。「上村小春」です。途中、読者は死んでしまうのではないかと不安にかられます。この部分で、葉山亮太の亡くなった兄のことが刻銘に描かれます。生きていればだれしも身内の死を体験し、なにかを考え、なにかに悩み、やがて克服していきます。子どもができる夫婦、できない夫婦、つくらない夫婦、いろいろです。テスト問題ではないから正解はありません。

良かった表現として、「(今何をなすべきかという壁にぶつかったとして):命より優先するものはない」、「(けんかになってもいいから、仲良しになりたい相手には)思いついたことを何でも口に出してみる」、「食べろ、飲め、死はだれにでもくる」

 いい小説群でした。生きていて良かった。生きているって素晴らしいと思わせてくれました。
 最後の解説が良かった。


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