2017年02月05日

消滅世界 村田沙耶香

消滅世界 村田沙耶香 河出書房新社

 新鮮です。こういう世界があったのかとの初体験でした。
 ただ、まあ、風変りな文学です。

 冒頭にある時代が逆行する時間移動は最近のはやりかもしれません。
 第一章は、なんだか怖い出だしで異常です。
 性の話で始まり、ずーっと続いていきます。そこに人の生(せい)が重なります。
 時代は未来で、端的に言うと、「無菌室の世界」です。
 思想とか倫理は現代と逆転しています。夫婦の性行為は、近親相姦とされています。夫とやると夫に襲われたことになります。不可解ですが、そうなのです。
 種の保存は機械的に人工授精で行われます。あまり書くとネタバレになるのでこの関係の記述はここまでにしておきます。

 豪快な書き方。女性なのに思い切りがいい。殻(から)をやぶっています。コンビニ人間で、人ではないものを描いた作品と合い通じるものがあります。セックスは交尾ではなくて儀式という定義があります。

 読んでいると頭がおかしくなりそうになります。現実と非現実との境界線がなくなりそうになるので、気持ちや心理が現実にとどまるよう念力を使わなければなりません。

 未来社会では、セックスする人は少ない。人ではない、キャラクターに恋をする。
 人間が人間ではない生物(せいぶつ)に変化していく。現在(いま)で言う「浮気」は、未来では「デート(夫も推奨してくれる)」、「清潔」最優先の社会、世界。
 未来は、模型の中にある世界。ヒトはシステムに従って行動して歳をとっていく。
 みんなの子供という子供の扱いは物悲しい。
 孤独だから家族を欲しがる。
 未来人は、人間を失う。
 
 「正しい世界」って、どんな世界?
 未来人が思う「家族」は、本当の家族ではない。
 なんか、すごいなあ。読み手はどうしたらいいのだろう。
 物哀しく人の世界を破壊する小説でした。
 10刷されています。すごい。

わからなかった言葉として、「パラレルワールド:並行する世界」

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