2017年01月24日

舞台 西加奈子

舞台 西加奈子 講談社文庫

 人から見られている。だから、人は生活のなかで演技をしている。そういうお話でした。

 休日の朝、午前5時10分から読み始めて、同6時38分に読み終えました。びゅんびゅん前進して読めました。

 舞台はアメリカニューヨークだったので、読み手の自分にとっては行ったことがない街で、身近ではありませんでした。

 朝食内容にこだわりすぎるほどこだわるシーンからスタートします。
 主人公は、29歳葉太、亡有名小説家の息子です。対立する父子関係と父母の悲しき夫婦関係があります。(夫の愛人複数あり)

 一人旅でニューヨークに来た初日にバック(パスポート、カード入り)を盗まれるというショッキングな体験です。

 よかった表現として、「(父親は)作品の前に出てくる作家だった」、「(息子は父親から)期待されていない存在だった」、「庭で本を読もう」、「父と母は家で会話をしなかった」

「生きるよすが:よりどころ」、「シープ・メドウ:セントラルパーク芝生広場」

 作品中、主人公が「舞台」という作品を読みだします。そこに仕掛けがあるのかと考えましたが、仕掛けの有無は自分には発見できませんでした。

 葉太はプライドが高いのか、生活能力が低いのか、そのへんの見極めはできませんでした。普通の人なら領事館へ飛び込みます。

 カフカの小説「変身」を思い出しました。

 太宰治作品「人間失格」への傾倒(深く心を惹かれる)があります。

 旅行ものの雰囲気があるのですが、途中に何度も登場する観光案内みたいな紹介コメントが必ず必要かというとそうでもないような気がしました。

 「公園は鬼門だ」には賛成します。住宅購入は、公園のそばはやめたほうがいい。

 家庭に愛がない。息子は孤独。盗まれて対応できなければ、今度は盗む側の人間になるのではないかと思いながら読み続けました。

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