2017年01月08日

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え 岸見一郎 古賀史健 ダイヤモンド社

 さて、哲学の問答集です。
 アドラーという人は知りません。読みながら、整理して、理解していく作業になります。ソクラテスは書物を残さなかった。弟子のプラトンが残した。対話篇という書物ということを先日読んだ本で知りました。イメージとして、その対話篇の模倣がこの本だと一人合点しています。

 構成は、第一夜から始まって、第五夜で終わります。「青年」と「哲人」の問答が続きます。第一夜を読み終えたところで、感想を書き始めます。

 舞台は、ギリシアアテネを京都の都とし、ソクラテスを「哲人」、プラトンを「青年」としてあるようです。「青年」の言い分は理解できます。

今後考えていく素材として、
「人は個々が設定した主観的な世界にいるという趣旨」
「過去は関係ない。原因論を否定し、目的論を肯定する」
「(読んでいる自分が受け入れられないこととして)人間は感情に左右されない」
「生まれながらの不幸は存在しない。自らが不幸を選択した」
「性格や気質のことをライフスタイルという言葉にする。ライフスタイルには、思考や行動の傾向がある。人は、自らライフスタイルを選択する。(選択の時期は10歳ぐらいとありますが、わたしは14歳ぐらいだと体験的に思います)」関連して、「幸せになる(なろうとする)勇気が足りない」
「言い訳は自分を守るためにあるという趣旨」
「主観は自分で選択できる」
「自慢は劣等感の裏返し」
「不幸自慢」
ここまできて、ヒットラーを思い浮かべました。
「権威づけ:偉い人と知り合いだと自慢する。高学歴を自慢する。ブランド信仰。偽りの優越感。優越コンプレックス」
「他者との競争だと思うから、自分の負けを認めることになるので、他者の幸せを心から祝福できないという趣旨」
「復讐。子はリストカットして親に復讐する(親に心配をかけるという負担をかける)」
「人生の課題をタスクという。それは、目標である。目標は、行動面で、自立する。社会で生活する。心理面で、自分には能力があるという意識づけと人々は自分の仲間だという意識づけをすることである」このあたりは、ふつう、無意識にしていることが多いと自分は考えました。「タスクには、仕事、交友、愛の3種類の対人関係がある」、「課題に対する行動として、よいこととして援助、よくないこととして介入がある」
「善とは自分にとってためになること」
「課題の分離をすると精神的に楽になれる。自分の課題、自分以外の人の課題と分けて、自分以外の人の課題について、自分は考えない。課題の分離は最終目標ではなく入口でしかない」
「見返りを求める発想をしない。なにかをしてくれる人を求めない。他者に何をしてあげられるかを考える」
「個人心理学=アドラー。アドラーが共同体感覚(仲間意識をもち、そこが、自分の居場所と考える。共同体は広く宇宙的な広がりをさす。人間だけではなく動植物を含み、さらに過去・現在・未来の時制を含む。人は共同体の一部であって中心ではない)を説いたとき多くの人たちが彼のもとを去っていった」
「学校の外には、より大きな世界がある(視野を広くもてば救われる)」
「縦の関係(上下)、横の関係。ほめるは上から目線でだめ。感謝するは横の関係でOK」
「自分の存在に満足する。存在している自分は共同体にとって有益だと思えるようになる。だれかの役に立っている。貢献している」
「無責任な行為として、縦の関係において疑問や不備を指摘しない行為」
「与えられたものを使う」
「自己肯定は実力なし。嘘をついて100点と言う。自己受容は、正確に自分の力を把握している。60点であることを認めて100点を目指す」
「信用は担保が必要。信頼は裏切り覚悟で条件をつけないこと。信頼の反対が懐疑(かいぎ)で、懐疑を基礎に置くと深い対人関係は築けず人生は苦しい」
「行為のレベル、存在のレベル。行為ができなくなったとき(仕事人間が定年退職後に家に居場所がないとき)、存在のレベル(病気で寝たきりになっても家族から生きていてほしいと願ってもらえるとき)」
「普通であることの勇気。普通であることは無能ではない」
「人生は連続する点であって線ではない。点に目標はない。いまここが充実していればいい。いまここで死を迎えてもいい。線には目標がある。目標はかなわないことがある。計画的な人生は不可能である」
「他者に貢献するという意識をもって進めば間違いはない」

すぐに意味をとれなかった言葉などとして、「テーゼ:哲学で定立ていりつ。ドイツ語。ある観念を表現、主張する文章」、「アドラー:アルフレッド・アドラー。精神科医、心理学者。オーストリア人、1870-1937年、67歳没」、「トラウマ:過去の出来事による心の傷。不幸な思い出」、「ニヒリスト:虚無主義者。物事に意味や目的はないとする人」、「フロイト的な原因論:精神医学者」、「パラドクス:結論を導き出す経過の手法」、「詭弁:きべん。こじつけ。ごまかし」、「倒錯:とうさく。さかさま。世間と反対の言動」、「世間智:せけんち。表面上うまく人づきあいをしていく行動」、「面罵:めんば。面と向かってののしる」、「ゴルディオスの結び目:起源前マケドニアのアレクサンドロス大王が神殿に結びつけてあった戦車を腕力ではなくナイフで切った」、「ポピュリズム:情緒や感情によって態度を決める民衆を重視してその支持を集める政治手法」

難しい漢字として、「跪く:ひざまずく」

 内容は2名のやりとりですが、哲人1名の自問自答のようでもあります。
 理解できない部分もありますが、読んでいて、なにかしら、良さげです。今年読んで良かった本の第1号になるかもしれません。

 生きていくうえで重要な「お金」のことがまだ出てきません。精神論の世界なので、お金のことは、最後まで出てこないのかもしれません。(これ以降、129ページに出てきました。239ページにも登場します)

(つづく)

 第二夜の部分を読みました。テーマは、「短所」です。
 赤面症の人は会ったことも見たこともありません。
 ここまでの趣旨を考えると「気はもちよう」という言葉があてはまります。気持ちのもちかたで状況は変わるという教えです。
 理論で考えるということがページいっぱいに書いてありますが、実生活を日々送る者としては、もう理屈はいいと思うこともあります。
 
 アドラー対フロイト、目的対原因というような図式があります。

(つづく)

 読み終えました。
 ためになることがいっぱい書いてありました。
 全面的に賛成というわけにはまいりませんが、賛同する項目が多々ありました。今年読んで良かった本です。

 「嫌われる」という部分がいまいちピンとこない。嫌われ者の人たちをこれまでの人生でたくさん見てきました。そういう人になりたいと思ったことはありません。人目を気にしていたら自分の生き方を貫けないとありますが、嫌われる人は、自分勝手な人にしか見えません。
 それ以外にも、青年の主張のほうが哲人の話よりも一理(いちり:ひとつの正しい理屈)あると思うことがありました。書中にあったとおり、理解するには何十年もかかるのでしょう。哲人の言うとおりにしていると人間の行きつく先は「無」でしかありません。喜怒哀楽のない人生です。

 得たこととして、「ありがとう」のひとことが大事。感謝は幸せにつながる。

 重要部分が太字になっていたことが読みやすさにつながっていました。

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