2016年12月18日

よるのばけもの 住野よる

よるのばけもの 住野よる 双葉社

 大ヒット作品2作を継ぐ3作目です。前2作は、そのわりに世間の話題にはなっていないし、作者の素性も定かではありません。

 (火)夜→(水)昼→(水)夜→(木)昼→(木)夜→(金)昼→(金)夜→(月)昼というように時系列が流れていきます。(極力シンプルを目指した手法です。)
 全体で256ページのうち100ページまできたところで感想文を書き始めます。
 主人公は、「あっちーくん(安達)」です。彼の一人称で語りが続きますが、ひとつ不可解なことが続きます。
彼は、夜は「僕」です。昼間は「俺」という表記です。最初、二重人格を予想しましたが、読み続けるうちに、そうでもない。何か、作者の意図があります。(でもやっぱりそうかもしれない。)

 読みだす前に考えたことがあります。この物語は、「悪夢」にうなされる物語である。(今はまだ、真実が見えません)

 彼は、夜になると妖獣になる。バンパイア(狼男)みたいなものです。ただし、狼ではなく、馬っぽいものになる。その体を形成している粒は、「淋しさとか孤独」という粒子の固まりではないかと予測する。

素材は、女子中学生ひとりに対するいじめです。
3年2組で、矢野さつきがいじめられています。(この点で読み手には、中学生向けの小説の域でとどまっていいのかという疑問と不満が生まれます。)
矢野さつきの言葉の発音は独特です。Goodです。これまでにない活気的な表現手法です。
吃音(きつおん。どもり)をイメージさせますが、全面的にそれにあてはまるとは思えません。
 人間は他者をいじめることが好きな残酷な面をもつ生き物であるということを強調したい作品です。

 「なおして」というのは、九州弁です。「片付ける。整理する。きれいにする。」という意味があります。この点で、作者は、九州にゆかりのある人物です。

 「夜休み(夜中の1時間だけ)」、その言葉に重要な意味があるようです。

 妖獣といじめにあっている中3女子の出会いと会話には、逆転の発想がベースにあります。

 46ページ付近の歌曲はスマップだと思う。さみしさがしんみりと広がる文脈が続きます。

印象に残った言葉、「想像力で何でもできる」、「会話の糸口」

違和感として、夜の公立中学校に警備員はいないと思う。
それから、携帯(電話)より、スマホのほうがポピュラーだと思う。

(つづく)

 まず、中学3年2組の風習がある。特定のひとりを全員でいじめることによって、クラスの平穏な人間関係が保たれるという風習である。安達はそれを「仲間意識」という。
 次に、「矢野さつき」は、単純ないじめられっ子ではない。彼女は自らの意思で、いじめられる側の人間になろうと、努力している。そして、きっと耐えているに違いない。そこには、強い意志がある。なにか、重大な理由がある。

 「野球部の窓が(だれかに)割られていた」ことに、何かのヒントがある。
 「シャドー」にも、ヒントがあると思うが、それがあたりかはずれかはわからない。

 記述において、男女の性別がわかりにくい(下の名前が書かれていない)ので、途中、何度も、前に戻って読みなおしました。

 学校の中のいじめのことしか記述がない。実生活においては、学校の外での生活のことのほうが、範囲が広くなければならない。

 安達が化け物に変化する理由がまだわからない。

 なんだか、心理学の本を読んでいるようです。作者はもしかしたら、精神科のドクターかもしれない。

 野球部の元田(もとだ。男子)が矢野さつきに言った「〇〇〇」が何かを、考え続けよう。

 わかりにくい表現として、「自分より劣っているとみなした人を傷つけることを怖がらない人間」

(つづく)

 読み終えました。
 哲学書を読んだあとのような読後感があります。
 「(意識の)ずれ」として表現してありました。

 中学生のクラスにおける一女子(いちじょし)に対する「無視」という「いじめ」を素材として、他者の存在を認めることによって、自分の存在を確認するという作業について物語化されています。そうすることによって、中学生(思春期)を脱して、こどもはおとなへと心の成長を遂げていく様子が描かれていました。ラスト付近には、自信をつけた主人公中学3年生男子安達(あっしー)の気持ちに共感できる「爽快感(そうかいかん。さわやか)がありました。未熟さがもつ鋭敏さ・過敏さがばかばかしくなって、太い神経をもつおとなになっていく。

 途中経過は重苦しい。
 なぜ、それほどいじめられて、無視されても、矢野さつきは、登校拒否にならないのか。
彼女は、悟っている。自分に非はないと主張している。だから、いじめられても耐えて登校している。他の女子も自分のようにいじめにあわないよう、みんなが、自分をいじめやすいように振る舞って犠牲になっている。そして、おとなになれば、自由になれるという保健室保健師のアドバイスに寄りかかりながら、おとなになろうとしている。矢野さつきに比べて他の者たちは、自分より弱いと思うものを見つけると嬉々として攻撃しようとする。

 安達(あっしー)は、最初、矢野さつきを無視することで、異様な雰囲気をもつクラスの中で生き延びようとする。しかし、妖獣になったことで、矢野さつきの強さを知り、自らもおとなへの道を歩き始めた。それは、自らもいじめの対象になるということです。対象になってもいい。周囲と闘うという決意がみなぎっています。途中にあった「僕は心に戦闘態勢を作って…」にあたります。

 読書の力として書中にあるのが、「想像力でなんでもできる。夜の僕は、きっと無敵だ。」
 
 矢野さつきの言葉、「怖いと、無理に笑ってしまう(笑顔をつくる)」は、切なく、悲しい。
 
 印象に残ったフレーズとして、「積極的にいじめることと、消極的にいじめること(消極的にいじめている人間のほうが悪い人間という定義)」、「助けを求められたくなかった」、「やっと会えた」

「騙されているんだ:だまされているんだ。漢字を読めなかった人のために記しておきます。」


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