2016年12月15日

ぼくのおじさん 北杜夫

ぼくのおじさん 北杜夫(きた・もりお) 新潮文庫

 北杜夫作品は高校生の時にお世話になりました。どくとるマンボウシリーズに始まって、精神病院の様子を記した「楡家の人々(にれけのひとびと)」など、なつかしい。いまなぜ、北杜夫さんなのかわかりませんが、映画化作品といううたい文句で、書店に文庫が並んでいましたので手に取りました。
 小学生向けの作品のようで、ほとんどが、ひらがな表記です。「おじさん」というのは、北杜夫氏のことでしょう。甥の視線でひとり語りが続きます。それは、北杜夫氏自身の自問自答でもあります。
 おじさんは、大学の学者さんのようですが、どうも精神病の気配があります。自分にとって都合の良い妄想ばかりしています。働きません。怠け者です。奇想天外な言動ばかりです。
 主題はわからず、ふわーっとした感じでお話が進んでいきます。56ページのハワイ行きあたりからおもしろくなります。海外旅行が庶民の夢だった頃の作品です。読み手は興味津々だったでしょう。
 読み終えて、「解説」を読みました。作家としての北杜夫氏にこういう作品を書いていた時代があったのかと、初めて知りました。この「ぼくのおじさん」は、芥川賞受賞後の作品と書いてあり、意外でした。昭和37年のことです。その頃、「楡家の人々」の連載がされています。自分にとっては、時代をさかのぼり、感慨にふけり、未来のことに思いをはせた一作でした。


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