2016年11月11日

(再読)ひとりぼっちを笑うな 蛭子能収(えびす・よしかず)

(再読)ひとりぼっちを笑うな 蛭子能収(えびす・よしかず) KADOKAWA

 後半、第三章あたりから話が固くなってきて、基礎は本人の意思なれど、書き手は別人ではなかろうかとう疑念が生じるのですが、読み続けていると、そもそも最初からそうなのではなかろうかとも思えてきます。本人から聴き取りをして書いてあるのかもしれません。

 極端な人ではあると思う。冒頭付近にある表現として、「自分勝手、自由気まま」です。ただし、それを真似たい人はたくさんいます。ふつうは、そうできないから悩むのです。人と人の絆を否定する。がんばろう 日本! を否定する。群れたくない。過激な本音がこの本が売れる理由です。されど憎めない個性です。人畜無害でもあります。

難しかった言葉などです。「ノンポリ:ポリシーがない。政治に関心がない人」、「お墨付き:許可、保証」、「鑑みて:かんがみて。照らし合わせてみて」、「平和島:ボートレース場。東京都大田区内」

いいなと思ったことです。「(日本にはギャンブルにしても性風俗にしても法律で認められた)大人の遊び場がいる(必要である)」、「(生まれたときから母子家庭状態でひとりだったので)孤独というものがわからない。(父は船乗りで1か月以上漁から帰ってこない。兄、姉は10歳以上年上で就職していて家にいなかった)」、「稼ぎが増えると不自由になる(自由な時間が減る)」、「2001年8月妻51歳肺の病気で死去、初めて孤独を知る。結婚後30年間の話し相手だった」、「孤独に耐えきれず公募して再婚。帰宅してからの話し相手がほしかった」、「前妻との自分のこどもとどう対応していいのかわからなかった」、「自分のこどもも、妻の連れ子もそのこどもも(血縁関係はないが孫)も可愛い」



(2014年12月13日記事)ひとりぼっちを笑うな 蛭子能収(えびすよしかず)  角川書店

 蛭子さんといえば、路線バスの旅番組を思い出します。几帳面で真面目な太川さんとは性格が合わないでしょうが、蛭子さんのいいかげんさに観ている人は心が安らぎます。彼のように自由気ままに振る舞いたい。
 その風貌やふるまいから考えると、この本の著者である蛭子さんは別人の雰囲気をもっています。67歳の大人としての考え方が書かれています。今年読んでよかった1冊になりました。癒されました。
 言いにくいことを素直に書いてあるところがいい。マスコミの言う「不謹慎」とか「空気を読め」を否定する内容です。「絆(きずな)」を遠くからながめておられます。だれかとつながるのは危険だと大半の人は考えているけれど口には出しません。
 協調性がないように見えますが、そうでもありません。気を使っておられますが、そのように見えないところが気の毒な部分でもあります。
 「友達」を否定されています。友達をつくるよりも「家族」をつくるこが優先で、基礎がしっかりしています。自立できている人です。
 反面、覇気(はき、積極的な意気込み)がありません。自己主張をしないスタンスをとっている。その成果として、就労でいえば長続きするとあります。そのへんは、賛否両論でしょう。
 食事のレポート番組が苦手という部分を読んで、やっぱり、全部が全部おいしくてすばらしいわけではないということが確認できました。
 マンガ家であることに強い責任感とプロ意識をもっておられることにびっくりしました。マンガに対する情熱は熱い。
 後半は案外理屈っぽい蛭子さんの顔が出てきてつまらなくなります。文句言いは、魅力が下がります。
 文章がきれいです。インタビューの聞き取り形式で文章化したもの、あるいは、優秀な編集者さんが、本人の文章を推敲(すいこう、見直し)してあるのではないかと思いました。それはそれでかまいません。
 最初の奥さん51歳を病気で亡くしたあたりのところから、再婚に至るまでの記述内容は精神的に深い。重松清作品を思い出しました。癌になったまだ若い奥さんが亡くなる前、旦那に、「(わたしを)忘れていいよ(意味として、再婚していいよ)」と告げるのです。
 以下は、印象深かった表現です。
・友人が4・5人集まると誰かが攻撃される対象になるという群れの意識
・人の思考は十人十色だから、腹を立てていたらきりがない。
・勝ち組も負け組もない。勝ち組はいつまでも勝ち組でいられるわけでもない。
・収入の範囲内でつましく暮らしていく。借金はしないし、お金は貸さない。
・若い頃から葬式が苦手。葬式で笑ってしまう。でも、前妻の葬式の時は、涙が止まらなかった。
・自分は、みんなで仲良くおとなしく生きていきましょうという雰囲気の老人ホームには入れない。
・「自由」が大切


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