2016年09月19日

罪の声 塩田武士

罪の声 塩田武士 講談社

 31年前のグリコ・森永事件をヒントにした物語と広告を見て読み始めました。まだ、19ページ(全体で409ページ)ですが、感想を書き始めます。なお事件は、2000年2月に時効です。
 当時、テレビで、子どもの声で、脅迫めいたメッセージがなんども流されました。その声の主が冒頭で、自分のその声が録音されたカセットテープを父亡き実家で偶然見つけます。いまさら感がありますが、なかなか、スリリング(はらはらどきどき)な始まりです。現実にありえます。

登場人物です。
曽根俊也 30歳 スーツを売る店の店主。妻亜美、2歳詩織あり。京都在住
曽根光雄 俊也の父。すでに亡くなっている。33年前、「テーラー曽根」の店主だった。俊也の母は、胃潰瘍で入院している。

阿久津英士 全国紙大日新聞文化部記者

舞台は、京都、大阪、奈良、滋賀が中心で、あとイギリス国内と東京です。

気に入った表現です。「振り子のリズムで時を刻んだ」、「前時代的な自分に酔うタイプ」、「警察官は、組織内の水のなかでしか生きていけない」、「殺人は後戻りができない犯罪」、「七・八割で手を引いて、次の機会を窺う(うかがう)のが一番賢いやり方だが、一方、ヤクザは骨の髄までしゃぶりつくすのがやり方」、

漢字等の勉強です。「安堵:あんど。安心」、「厳めしい:いかめしい。近寄りにくい威厳」、「ソーホーのパブ:ロンドンにあるソーホーという場所、「ユニオンジャック:イギリスの国旗」、「シェフィールド:イギリス中部の工業都市」、「SUSPENDED:地下鉄が電気故障により一時的に動いていない」、「臍を噛むおもい:ほぞをかむ。残念でいらいらする。自分の口で自分のへそをかもうとするがかめない」、「パグのようなしわ:ぶさいくだけれどかわいいブルドック」、「敵わんな:かなわんな。勝てない」、「アングラ:アンダーグラウンド。地下。商業性無視の独自な世界」、「城南宮(京都伏見にある神社)」、「仕手筋、仕手本尊:してすじ。意図的に特定株を買いその株価をつり上げるグループ。短期間に大幅な利益を得る。してほんぞん、複数の仕手筋グループの中心となるグループ」、「敷鑑しきかん:犯罪隠語。住居と関係がある」、「件くだん:前に述べたこと、例の」、「ハブ:つなぎ役。連結の中心位置。企業と総会屋の仲介役」、「拝金主義者:金銭を無上(むじょう。最も優れている)のものとして崇拝する」、「喚きちらす:わめきちらす」

(つづく)

 185ページまできましたが、ここで、自分自身が理解するために整理をします。
 ネタバレになってしまいますので、読みたくない方は、これ以降は読まないでください。

 なにしろ昔のことで、今の時点に立って、当時を思い出しながら読むことに苦痛が伴います。いまさら感が強い。

 犯人は7人。7人だが、2グループの合体ではなかろうかというところまできました。
 犯行動機は、株価の操作を目的とした金儲け。そして、親族がらみの仇討とか警察組織への仕返しです。

 犯人の一部はイギリスへ逃亡した。
 犯人の一部は外国籍。本拠地は関西。滋賀県を含む。
1人目:曽根達夫。弟の息子が曽根俊也、彼がこどもの声が自分の声だと気づく。イギリスソーホーの中華街にいた中国人かも。父親が製菓会社の社員だったが、誤認による不名誉な事故死をして会社に捨てられた。製菓会社を怨んでいた。左翼の過激派に属していた。
2人目:生島秀樹。事件当時、中3の娘と小2の息子がいた。滋賀県警を退職させられた。滋賀県警に怨みあり。84年11月14日一家消息不明となる。当日は、現金奪取未遂の日だった。
3人目:?
4人目:金田哲司(在日、金光哲キムグァンチョル)すでに死去しているだろう。小柄で猫背、髪が薄い。大阪堺「し乃」のおかみさんとできていた。トラック運転手。兵庫県川西市。昭和15年6月9日生。無線知識あり。自動車盗
5人目:金田貴志(金貴成キムクイソン偽名の疑いあり)。キツネ目の男。金田哲司の仕事仲間
6人目:?
7人目:?

堀田信二 アンティーク店主(古美術・骨董品)、曽根光雄の親友

曽根俊也にキツネ目の肩幅の広い男をつけた記憶あり。彼は、小さな建物に入っていった。
キツネ目は35歳~45歳。身長175cm~178cm。目つき鋭く、がっちりとした体格で威圧感あり。

1983年11月(昭和58年) オランダアムステルダムで、ハイネケン経営者誘拐解放事件発生。身代金20億円の支払いあり。翌年犯人全員逮捕された。日本の事件の犯人はこれをまねた。

記述内容に、平成時代から見た昭和時代への回顧あり。(なつかしむ)

1984年3月18日(昭和59年)夜9時頃、製菓会社社長誘拐事件発生、現金10億、金塊100kgを要求。同月21日午後2時過、誘拐されていた社長が監禁場所を脱出し、国鉄大阪駅貨物ターミナル駅で発見された。
 85年8月12日犯人グループが終結宣言。脅迫された食品会社等は6社。店頭に毒入り食品を置くという強迫内容で金銭を要求

84年(昭和59年)11月4日 交信記録
 牛若丸<標準語>20代から30代の声 株関係
 テン丸<関西弁>金田哲司 40歳以上の声 自動車盗

同月14日 現金受け渡し日

85年(昭和60年)1月10日 キツネ目の男の似顔絵公開

(つづく)

 読み終えました。
 暗い内容の経過が続き、気持ちがふさぎました。
 以前の記事は、中途半端なまま残して置きますが、以降、だいぶ変化します。

 県警同士のうまくいかないコミュニケーションがあります。警察に限らず、法人組織にはありがちなことです。過去、現在も変わりありません。人が入れ替わるだけです。改善はされるでしょうが、完ぺきには至れません。
昭和の昔と違うのは、一匹狼サムライタイプの豪傑がいなくなりました。上の指令に従わないがとある一部分での実績はあげていくタイプです。
 
 卑劣な犯行でした。逮捕されなかったとしても、実行者に天罰はくだったでしょう。
 小説と現実は別物という前提で読みたい。
 犯人グループにツキがあった。捜査グループに協力関係・信頼関係がなかった。そういう印象を受けました。

 他の書評を読みました。大半の人は好感をもって迎えていましたが、少数派の人は否定していました。わたしも否定派です。風景描写がわずらわしかった。後半の種明かしは、ふたりの人物の連続した会話で進行でしたが単調でした。小説を多読してきた人にとっては物足りなかったのでしょう。「永遠の0(ゼロ)」とか「砂の器(うつわ)」パターンで展開していますが、熟成された成功度が不十分に感じました。


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