2016年08月27日

ジニのパズル 崔実(チェシル) 講談社

ジニのパズル 崔実(チェシル) 講談社

 新聞で寸評を見かけました。主人公は在日韓国人とあり、その生まれに悩むとありました。本のカバーに落とされた絵は独特です。居るのは世界、荒波、砂漠、熱帯、アフリカ、煙、いろいろと想像できます。

 物語は、学校の教室風景から始まりました。自閉症らしきジョンという男子が泣いている。だれもが、彼の存在を否定している。透明人間です。記述は詩的です。散文に至る前の感覚表現文節が続きました。時代としては、平成3年、1991年頃だろうか。イラン攻撃の湾岸戦争勃発の記事があります。今から25年ぐらい前のことです。それとも、「ジョン」は、この世に存在する物体ではないのかもしれない。

20ページまで読みました。アメリカ、サンフランシスコの北オレゴン州の田舎にある全校生徒200人の高校が舞台ですが、前書き部分にあるジョンの高校とは限りません。時代設定は、1995年頃と冒頭からは、時が進んだ感覚があります。

気に入った文節などです。「椅子に透明な影を落とした」、「朝鮮人学校ではだれも北朝鮮の話はしない」、「ジニは、考えすぎ」

調べた部分です。「レディオヘッドのセカンドアルバム『ザ・ベンズ』:95年発売。イギリスのロックバンド」、「スタッズのついた黒いブーツ:金属の鋲びょう」、「ビスタ・ハウス:コロンビア渓谷を臨む景色のいい場所に立つ建物」、「マルトノマ・フォールズ:さきほどの渓谷にある滝」、「金日成(キム・イルソン父親)、金正日(キム・ジョンイル息子)、金正恩(キム・ジョンウン孫)」、「呟いた:つぶやいた。読めませんでした」、「オンマ:こどもが言う「ママ」、おとながいうお母さんは「オモニ」」、「アッパ:パパ。アボジがお父さん」、「十条:東京北区」、「ゼウスの稲妻:ギリシャ神話に出てくる存在。神々の王。稲妻はちょっとわかりません」、「ハルラ山:済州島の世界遺産。韓国最高峰1950m」

(つづく)

登場人物として、
パク・ジニ:主人公女性。中学から朝鮮人学校に通うも日本人と同じ暮らしをして育ってきた。朝鮮語はできない。書中では、高校3年生まで。
マギー:ジニの唯一の友だち。互いに筆談をする。
ステファニー:ジニのホームステイ先のおばさん。絵本作家。絵本で受賞歴あり。
ミスター・ウォーカー:校長
ミセス・ミラー:陰の校長。おばあさんで事務をしている。白髪、短髪、カールの巻き髪

ジニは高校を退学にさせられそうになっている。理由はまだわからないが、ホームステイ先のステファニーおばさんとトラブルがあった模様。ジニは、これまでにもトラブル続きで、学校を東京→ハワイ→オレゴン州と転校している模様。卒業まであと半年ということなので、ジニの年齢は、17か18だろう。ジニは、自分を「透明人間」と言う。

(つづく)

 読み終えましたが、ラスト付近の記述内容は理解できませんでした。また、東京での中学1年生、朝鮮人学校での生活とやはりラスト、オレゴンでの生活のつながりが明瞭に見えませんでした。

 在日朝鮮人として生まれて、朝鮮語が話せないまま、おそらく親の意向で、中学から朝鮮人学校に入学して、とまどい、悩み、考えたことが書いてあると思います。そこには、人種差別とか、いじめとか、肖像画に対する純粋な疑問と反発があります。

 アメリカの自然風景は、その地を知らないと体感できないむずかしさがあります。読んでもわかりにくい。

 「空が落ちる」という文節が意味をもっているのですが、理解できませんでした。「親愛なる紙へ」も「神」の間違いではないはずです。肖像画を指して、紙は紙でしかないと理解します。

 重苦しい学校生活ですが、社会に出ると、学校で何があったかは、何の意味ももたない。

 「やりかえしちゃダメ」という文節があります。人間はやり返す生き物です。だから、人間が地球からいなくならない限り戦争はなくなりません。

 電車通学、電車通勤ほど、苦痛なものはない。

 全員が、チマ・チョゴリに敵意をもっているわけではない。すべて、二面性がある。否定する人もいれば、肯定する人もいる。そして、中間の人が一番多い。考えすぎない方がいい。

 同一民族の分断というのは、かなり厳しいものがある。


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