2016年08月13日

事件 邦画 DVD

事件 邦画 DVD

 力作です。原作大岡昇平、脚本新藤兼人、監督野村芳太郎、音楽芥川也寸志(クラッシック音楽にのせて、物語が進行していきます。)、大竹しのぶさんの演技がすばらしい! 女優になるべくして生まれてきた方だと再確認しました。

 19歳の大竹しのぶさんの姉で23歳の松坂慶子さんを未成年者の永島敏行さんが刺殺する。チンピラの渡瀬恒彦さんがからんで、みんながところどころ嘘をつく。
 法廷劇です。ほとんどは、裁判所法廷で論争が繰り広げるのですが、ところどころドキュメンタリーのように事件発生に至るまでの経過が映像として流れます。緊張感が続きます。

 なかなかそこまで気づける人はいないと思うが、ふたり娘の母親の心情を察すると苦しい。親の立場で子育てを経験した者でないとわかりにくい部分でもあります。

 大竹さんが演じる妹のヨシ子役は見事でした。男子をかばう演技が鋭く光っていました。どちらが先かわかりにくいのですが、姉の恋人を妹が奪う順番でしょう。姉と妹のすさまじい争いがあります。この映画ができた頃、昭和51年頃、今から40年ぐらい前、できちゃった婚はみっともなかった。×いち(ばついち。離婚)も同様で、なるべく世間話には出さない話題でした。時代は180度変わりました。わたしは順番を守りたいし、忍耐で幸福感を味わう世代ですが、現代風俗を否定する気もありません。

 神奈川県厚木市が舞台で、横浜とかも出てくるのですが、現在と比べるとその土地は田舎くさい。カラオケのBGM音源もまだこの世には一般流通していなかった。
 男のだめさ、ばかさ加減、情けなさ、家庭の暮らしの貧しさ、女性としての悲惨さ、緻密な筋立て、男と女の心情を深く追求する観察眼、もう理屈はいいとさえ叫びたい気持ちにさせられました。

 「生きるってどういうことなのだろう」という哲学的なことまで考えました。
 人間のタイプをこれはこうと決めつけすぎてはいないかとの疑問も少しありますが、これは小説であり、映画でありますと、自分を納得させました。
 あの程度の殺人行為では人は死なないとも思えるのですが、それも物語です。
 最後には、「共存」にいきつきます。悪も善も共存して、グレーな世界でもだえるのが人間です。
もうひとつ、やられたらやりかえす。愛憎劇の奥底にある復讐して気を休めることこそが人間のみがもつ本能です。


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