2016年07月11日
Xの悲劇(カイの悲劇) 森博嗣
Xの悲劇(カイの悲劇) 森博嗣(もり・ひろし) 講談社
初めて読む作家さんです。売れているらしき推理小説本です。
「X」は、エックスではなく、「カイ」と読む。書中にそれはギリシャ文字とあります。なぜ、ギリシャ文字で読ませるのか。
作者は愛知県にゆかりがある人らしい。まだ、40ページ付近を読んでいますが、これまでに、事件の発想元素材として、中華航空機名古屋空港着陸時墜落事故(かなり以前のことです。1994年、平成6年4月26日)、場所として、妃真加島(日間賀島ひまがしま・三河湾に浮かぶ島・知多半島の先端から船で行く)、名護野市なごのし(名古屋市)の地名をこれまでにページで見かけました。香港のトラムに乗っていたふたりのうちのひとり水上みみは水谷ミミでラジオのパーソナリティーでした。もうひとり浅井慎吾はカメラマンの愛知県出身浅井慎平が由来かもしれません。
本の帯では、香港を走る密室トラム(自分は、路面電車を想像しています)の中で殺人事件が起きた。被害者の手の平に「X」という印があったとありますが、まだ読んでいるページが浅く、事件は、そこまで明瞭に出てきていません。
主人公として、島田文子(しまだ・あやこ)がいます。何者かまだよくわかりません。会社(ロボット関連製品の製造・販売らしい)の経営者で、今回、香港で、PRのための展示会に出展しています。彼女の前職、真賀田研究所研究員が、事件と関連があるようです。真賀田四季博士(まがた・しき)という人物が鍵を握っているようです。ただ、読んでいると同博士はロボットのようです。書中「人工知能」とか「W大学(早稲田大学を想像します)」の記事が出てきます。
(つづく)
80ページ付近まで読んで殺人事件が発生し、ここに詳しくは書けませんがおもしろくなってきました。
香港の「トラム」についてネットで調べました。路面電車(見た写真は2階建て)ですが、本作品の場合、時代がかなり未来にいっていて、現在のトラムとは異なるようです。高架形式、運転手はいない自動運転、セキュリティーがほどこされている。そういえば、先日、千葉市内を自動運転のバスが走る(ショッピングセンター内の公道以外の部分)とテレビで流れていました。2005年の愛知万博のときに会場で乗った覚えがありますが、あれからもう10年以上が経ちました。
密室殺人とされていましたが、48ページには、5cmほど開いた窓の存在があります。ここの空間が殺人行為に関連があるかもしれません。
49ページでは、一瞬だけ車内が暗くなっています。停電です。これも関連ありそう。
不思議な文章です。冒頭から、日本語と英語のカタカナ表記が続きました。珍しい文体です。中盤まで読んできて、文章を目で追っていると自然と頭の中で英訳をしてしまいます。それから、物語は、香港から東京へ移動するのですが距離感がありません。その非現実感がファンタスティックです。(すばらしい)
ハッカー行為(違法なシステム侵入)の記述はドラマチックです。コンピューター用語が多く、システムエンジニア職の人が読む専門的な小説だと思いながら読みました。ところどころ意味がとれませんが、緊張感とか迫力は伝わってきます。コンピューターシステムの解釈本を読む雰囲気があります。
システム化によって、だれが、どこで、なにをしているのかが瞬時にわかるようになるのが未来社会となっています。情報管理を手にした者が世界を支配する。
読書の途中、各ページ下に広い空間があるのは、指で押さえるためと理解しました。
航空機爆破のテロ想定です。2016年夏の今、世界中がテロの脅威に震えています。架空の世界も現実もISを中心としたテロリズムにゆれています。リオデジャネイロオリンピックも不安をかかえています。
後半は、前半とうってかわって静かでした。淡々と過去を振り返るがごとくの雰囲気でした。
殺人犯をつきとめる厳しさはピークを過ぎて、まるで、点の中の世界を描く独特さがありました。
島田が過去に属していた組織との関連が淡いまま終わってしまったように感ずるのですが、本作品はシリーズもののようで、理解するためには、本書の再読を含めて、Gシリーズというのを読まないといけないのでしょう。
以下は、意味がとれなかった単語などです。コンピューターの知識があればあるほど楽しめる作品です。「駑馬:どば。足ののろい馬」、「混沌のラビリンス」こんとんのラビリンス。ギリシャ神話にある迷宮」、「シャア:ガンダムに出てくる人物」、「シュー:制動(止める)をかける部品」、「オリエント急行殺人事件:アガサクリスティ作1934年作品」、「レッドマジック:本の中盤に出てきますが、読み終えてみないと意味はわからなそうです。」、「パーシャル・クラウド:雲ではない。コンピューターの世界の言葉。データを自分のパソコンではなくインターネット上に保存する。書き込みできない読みこみ専用の領域がパーシャル(不確かな自分の解釈です)」、「チキン・ナゲット:骨なしニワトリ肉の揚げもの」、「カフェラテ:温めた牛乳にコーヒーを入れたもの」、「ハニィソース:ハニーマスタードソース。よくわからないがハニーとは蜜だろうか。蜂蜜ソースということにしておこう」、「バーチャル・エリア:実体のない領域・空間」、「クロノグラフ:ストップウォッチが付いた腕時計」、「スクリプト:結果を導く脚本のようなコンピューター上のプログラム」、「プロトコル:コンピューター間で情報交換をするときの約束事」、「プロシジャ:プログラム言語で複数の処理をひとつにまとめたもの」、「イデォロギイ:思想・信念」
気に入った表現などです。「別に富士山を見たいとは思わなかった」、「複数のウィンドウでモニタリングを起動した」、「近しい家族はいない。仕事の関係だけの人間関係のみ。友もいない。ネットの中の仮想の関係だけ」
初めて読む作家さんです。売れているらしき推理小説本です。
「X」は、エックスではなく、「カイ」と読む。書中にそれはギリシャ文字とあります。なぜ、ギリシャ文字で読ませるのか。
作者は愛知県にゆかりがある人らしい。まだ、40ページ付近を読んでいますが、これまでに、事件の発想元素材として、中華航空機名古屋空港着陸時墜落事故(かなり以前のことです。1994年、平成6年4月26日)、場所として、妃真加島(日間賀島ひまがしま・三河湾に浮かぶ島・知多半島の先端から船で行く)、名護野市なごのし(名古屋市)の地名をこれまでにページで見かけました。香港のトラムに乗っていたふたりのうちのひとり水上みみは水谷ミミでラジオのパーソナリティーでした。もうひとり浅井慎吾はカメラマンの愛知県出身浅井慎平が由来かもしれません。
本の帯では、香港を走る密室トラム(自分は、路面電車を想像しています)の中で殺人事件が起きた。被害者の手の平に「X」という印があったとありますが、まだ読んでいるページが浅く、事件は、そこまで明瞭に出てきていません。
主人公として、島田文子(しまだ・あやこ)がいます。何者かまだよくわかりません。会社(ロボット関連製品の製造・販売らしい)の経営者で、今回、香港で、PRのための展示会に出展しています。彼女の前職、真賀田研究所研究員が、事件と関連があるようです。真賀田四季博士(まがた・しき)という人物が鍵を握っているようです。ただ、読んでいると同博士はロボットのようです。書中「人工知能」とか「W大学(早稲田大学を想像します)」の記事が出てきます。
(つづく)
80ページ付近まで読んで殺人事件が発生し、ここに詳しくは書けませんがおもしろくなってきました。
香港の「トラム」についてネットで調べました。路面電車(見た写真は2階建て)ですが、本作品の場合、時代がかなり未来にいっていて、現在のトラムとは異なるようです。高架形式、運転手はいない自動運転、セキュリティーがほどこされている。そういえば、先日、千葉市内を自動運転のバスが走る(ショッピングセンター内の公道以外の部分)とテレビで流れていました。2005年の愛知万博のときに会場で乗った覚えがありますが、あれからもう10年以上が経ちました。
密室殺人とされていましたが、48ページには、5cmほど開いた窓の存在があります。ここの空間が殺人行為に関連があるかもしれません。
49ページでは、一瞬だけ車内が暗くなっています。停電です。これも関連ありそう。
不思議な文章です。冒頭から、日本語と英語のカタカナ表記が続きました。珍しい文体です。中盤まで読んできて、文章を目で追っていると自然と頭の中で英訳をしてしまいます。それから、物語は、香港から東京へ移動するのですが距離感がありません。その非現実感がファンタスティックです。(すばらしい)
ハッカー行為(違法なシステム侵入)の記述はドラマチックです。コンピューター用語が多く、システムエンジニア職の人が読む専門的な小説だと思いながら読みました。ところどころ意味がとれませんが、緊張感とか迫力は伝わってきます。コンピューターシステムの解釈本を読む雰囲気があります。
システム化によって、だれが、どこで、なにをしているのかが瞬時にわかるようになるのが未来社会となっています。情報管理を手にした者が世界を支配する。
読書の途中、各ページ下に広い空間があるのは、指で押さえるためと理解しました。
航空機爆破のテロ想定です。2016年夏の今、世界中がテロの脅威に震えています。架空の世界も現実もISを中心としたテロリズムにゆれています。リオデジャネイロオリンピックも不安をかかえています。
後半は、前半とうってかわって静かでした。淡々と過去を振り返るがごとくの雰囲気でした。
殺人犯をつきとめる厳しさはピークを過ぎて、まるで、点の中の世界を描く独特さがありました。
島田が過去に属していた組織との関連が淡いまま終わってしまったように感ずるのですが、本作品はシリーズもののようで、理解するためには、本書の再読を含めて、Gシリーズというのを読まないといけないのでしょう。
以下は、意味がとれなかった単語などです。コンピューターの知識があればあるほど楽しめる作品です。「駑馬:どば。足ののろい馬」、「混沌のラビリンス」こんとんのラビリンス。ギリシャ神話にある迷宮」、「シャア:ガンダムに出てくる人物」、「シュー:制動(止める)をかける部品」、「オリエント急行殺人事件:アガサクリスティ作1934年作品」、「レッドマジック:本の中盤に出てきますが、読み終えてみないと意味はわからなそうです。」、「パーシャル・クラウド:雲ではない。コンピューターの世界の言葉。データを自分のパソコンではなくインターネット上に保存する。書き込みできない読みこみ専用の領域がパーシャル(不確かな自分の解釈です)」、「チキン・ナゲット:骨なしニワトリ肉の揚げもの」、「カフェラテ:温めた牛乳にコーヒーを入れたもの」、「ハニィソース:ハニーマスタードソース。よくわからないがハニーとは蜜だろうか。蜂蜜ソースということにしておこう」、「バーチャル・エリア:実体のない領域・空間」、「クロノグラフ:ストップウォッチが付いた腕時計」、「スクリプト:結果を導く脚本のようなコンピューター上のプログラム」、「プロトコル:コンピューター間で情報交換をするときの約束事」、「プロシジャ:プログラム言語で複数の処理をひとつにまとめたもの」、「イデォロギイ:思想・信念」
気に入った表現などです。「別に富士山を見たいとは思わなかった」、「複数のウィンドウでモニタリングを起動した」、「近しい家族はいない。仕事の関係だけの人間関係のみ。友もいない。ネットの中の仮想の関係だけ」
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