2016年06月26日

二日月(ふつかづき) 2016課題図書

二日月(ふつかづき) いとうみく・作 丸山ゆき・絵 そうえん社 2016課題図書

 障害者差別解消をめざした作品です。今回の課題図書においては、何冊かがその目的に該当します。小学校高学年向けとして「ワンダー」、中学生向けとして「白いイルカの浜辺」があります。

 主人公夏木杏(なつき・あん)小学校4年生に、障害児の妹が生まれます。両親、とくに母親が妹の芽生(めい)にかかりっきりになります。母親に相手にしてもらえなくなった杏は母親の愛情不足のストレスに陥ります。そこを、克服していかねばなりません。同級生の磯部真由が支えになってくれます。

 二日月というのは、つごもり(月隠:月の光がまったく見えなくなる頃)、新月(細い月)のあとに見える月で、作中では、最初、見えなかったものが、少しずつ見えてきて満ちてくるというたとえ話になっていますがわかりにくい。

 以下、読書の経過です。思っているよりもけっこう長い。

 障害の原因・理由が、病院・医師を責める内容になっていることに抵抗を感じました。理由を明確にしなくてもよかった。確率として、どうしても障害児は生まれてくるのです。だから、夫婦は祈るし、覚悟を決めるし、育てていこうと決断するのです。
身体・心身障害は遠いものではありません。明日は我が身です。事故や事件に巻き込まれて、家族どころか、自分自身が障害者になることもあるし、加齢で目が見えなくなったり、病気の後遺症で、半身まひになったりもします。
高齢者のほとんどは障害者です。また、人は人生に1回は入院を体験します。時期が早いか遅いかが違いなだけです。

 杏さんは、生まれてきた妹に障害があることで、怒ります。嘆きます。失望します。お母さんにかまってもらえません。
 かわいそうかなとも思いますが、ただ、そもそも、自分のことは自分でするのです。自分のことが自分でできないから、あかちゃんは、両親にしてもらうのです。
小学校の中学年・高学年になれば、自分のことは自分でたいていできます。そして、中学生になれば、親なんかいないほうがいいと思って自立するのです。
 
 親と子は幾度も衝突して親子関係を築いていきます。
 途中、体罰があって、そのあと甘いものを食べさせてのシーンがあったのですが感心しません。ふつう、親は怒っても、子どもを叩きません。体罰はしません。叩いた直後にいい思いをさせて言うことをきかせる手法は、虐待に通じます。

 芽衣(めい)ちゃんの通院のために、父親は運転免許を取得して車を購入します。ペーパードライバーだった母親も運転の練習をして、運転し始めます。車は幸せを運んでくれる道具です。車は世界を広げてくれます。移動の「自由」があります。時間や場所に束縛されることが少ない。車の中は、部屋です。会話や音楽を楽しめます。鉄道やバスの移動に縛られない方がいい。

 見た目が悪い障害者、障害児がいます。夏木さんのお母さんはだんだん強い性格を身につけていきます。障害児の芽衣ちゃんが、お母さんを育てていくのです。芽衣ちゃんをキモイと言った男の子と話をして、芽衣ちゃんはキモクないことを伝えます。

 小学校低学年の障害児男子が保健室でカレーを毎日食べています。名前をナオト君といいます。毎日、ひとりぼっちで、保健室でカレーを食べるのはさびしい。

 今は、少子化で、こどもがちやほやされる社会に変化しました。
50年ぐらい前は、子どもは親に放置されていました。ただし、近所にたくさん子どもがいて、年齢層の幅がある子ども集団の社会がありました。どれが、いいとか、わるいとかはありません。時代が変化したのです。
 近い昔、障害者と健常者は分離されて学校で学びました。今は、混在が基本です。職場も同じです。障害者を雇用しなければならない法律があります。

わからなかった単語などです。「トートバッグ:実用的な台形のバッグ。丈夫なカンバス地、下が別色の生地」

気に入った表現の要旨などです。「心はザラザラしたまま」、「夏木芽衣1歳、体重4651グラム」、「自分が望んだことじゃなくても受け入れなきゃならないことってある」、「『ほんとうだったら』という言葉を否定する」、「いつかできる」、「また、家出しておいでよ」


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