2016年06月23日

どこかでベートーヴェン 中山七里

どこかでベートーヴェン 中山七里 宝島社

 高校生が読む本。音大生、クラシック音楽が好きな人向けの本です。
 ピアノの才能がある岬洋介が、ベートーヴェンの月光とか、悲愴を弾きながら、同級生殺人事件のミステリーを解き明かす推理小説です。進行役は、やはり同級生の鷹村亮です。

 舞台が岐阜県美濃加茂市にある県立加茂北高校です。地形的に、川の向こうの丘陵地あるいは、里山的地形のところに新設校として建築されています。地層のことが出てくるので、以前ドライブで訪れたことがある薄墨桜の手前、なんとか地層を思い浮かべました。根尾谷なんとかだった。
 役場発注の高校建築工事で、談合とか贈収賄とかの話でちょっと生々しい。

 「才能」に対する解釈があります。ごく少数の才能がある化け物たちの中で、その他おおぜいの凡人は、劣等感にさいなまれながら、夢を果たせず、しかたなく、音楽を続けていく。そんな嘆きが聴こえてきます。

むずかしかった単語です。「ノクターン:おもにピアノのための夜の情緒を表す曲」、「プライムタイム:午後6時から午後11時のテレビタイム」、「キャプション:説明文」、「BL的発想:男性同士の同性愛。ボーイズクラブ」、「腐女子:男性同士の恋愛話を楽しむ女子」、「ノンケ:異性愛者。ノーマル」、「ベヒシュタイン:ドイツのピアノ。名器」、「カール・カナイのジャージ:アメリカのヒップホップファッションのブランド」、「澱:おり。液体の底にたまったかすを指して、心の底にたまったもの」

良かった表現です。「井の中の蛙大海を知らず。されど、空の高さを知る」、「学生時代とは自分の戦場をさがす時間」、「沈黙は肯定の証拠」

 岬洋介は、自意識(集団における自分の存在に関する意識)がない超人、ピアノ演奏の天才として描かれています。それは、ベートーヴェンの成り代わりです。音楽ができる以外にも、喧嘩が強い。数学が強いとかあるようで、スーパーマン的でありますが、抜けている部分もある。気持ちでは、悩むこともあり、ふつうの人間です。
 ただ、彼がいるだけで、周囲の人間にとっては迷惑な面があります。彼は優れ過ぎていて、ねたむしかない。


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