2016年05月25日
バベル九朔 万城目学
バベル九朔(ばべるきゅうさく) 万城目学(まきめ・まなぶ) 角川書店
最近見た似たもの同士として、「バベル九朔」と「バラカ」桐野夏生きりの・なつお作、「バベルの塔:旧約聖書に出てくる巨大な塔で天まで届くことを目指していたが崩れた。あるいは、神の怒りをかって神に崩された。空想的で実現不可能な計画を指す。」と「バベル九朔:九朔家きゅうさくけが所有する5階建てテナントビルの名称」、NHK朝ドラ「朝が来た」と辻村深月つじむら・みづき作「朝が来る(名作です。)」、理髪店ものとして、奥田英朗おくだ・ひでお)作「向田理髪店」と「海の見える理髪店」荻原浩(おぎわら・ひろし)作、どちらも名作です。それから、万城目学氏と森見登美彦氏の作品。混同することがあります。そして、いずれの作風も、わたしにとっては苦手分野ですが、賞の候補作にはなるし、書評の評判もいいので読書に挑戦しています。
156ページまできましたが、築38年5階建て、バベル九朔というテナントビルの管理人をしながら小説家を目指している27歳男子(大卒後2年ハウスメーカーで働いたのち、親族が所有するビルの管理人として勝手に働き出した人物)の名前が、九朔(きゅうさく・みょうじ)ということしかわかりません。作者自身の作者による自虐的な私小説にもみえる。面白そうです。小説家志望の動機と経過が記されています。作品「トーテムポール」に何かの意味があるに違いない。そして、「3艘(そう)の舟」、さらに、「バベルの王とされる九朔満男:主人公の亡き祖父」
背の高い黒ずくめの胸の大きい若い長髪女が出てくるのですが、どうもそいつはカラスの化身らしい。これをして、いわゆる万城目ワールドと呼ぶのでしょう。彼女は「扉はどこだ」と迫ってきますが、なんの扉か意味不明です。(サングラスに隠れた彼女の目はとても怖い)
「殺鼠剤:さっそざい。すぐに読めませんでした。ネズミを殺すのです。」、「シンパシー:同情、共感、共鳴」、「メビウスの輪:表が裏になっている。常識は常識ではないことを意味する。」、「見晴台:みはらしだい。バベルの塔のことだろうか。チョコレートポッキーのような形態をしている。」、「美髯公:びぜんこう。ほおひげ。美しい髭(ひげ)」、「盥:たらい。漢字を初めて見ました。」、「ぬばたま:和歌の枕詞(まくらことば)、植物の種」
(つづく)
不思議の国のアリスのようです。アリスは、ウサギを追って、確か穴から、不思議な別世界へと誘われました(いざなわれました)
サルバドーレ・ダリが描いたシュールリアリズム(超自然現象)の絵画の中にいるような状況です。超異常現象です。精神病とか、薬物中毒者がみる幻覚ある世界です。浦島太郎の竜宮城訪問のようでもあります。この世ではない。そこを「バベル」という。10歳ぐらいの女の子(けしてきれいではない)は何だろう。小椋佳の歌「さらば青春」に出てくる、少女よ、泣くのはおやめを思い出しました。空も木も星もなんとかなのです。日付も名前もない、高低差もない世界。死後の世界、天国ではなかろうか。民謡が大音響で流れている。
(つづく)
1週間ぐらいで読み終えました。
「奇書(きしょ。きっかいな書物)」です。たとえば、読んだことはないけれど、ハムラビ法典のようなイメージ、感触です。
冒頭付近が現実で、あとは、空想世界だと思いますが自信がありません。もう一度読めばはっきりしてくるのでしょうが、今は、そのエネルギーがありません。
幻想世界にある「バベル九朔」という搭状態のビル。そのビルの入居・退去・清算業務取扱です。作品に歪み(ゆがみ)をもたせる。苦手な作品へのタイトル付け。特殊能力をもった人間の話。空費が塔の高さを高める。無駄が塔の高さを高める。見えるけれど干渉はできない。それは、霊界ではなかろうか。
雑居ビルの管理人体験がないと書けない内容です。最後の作者紹介記事にビル管理人をしていたとあります。やはり。なるほど。
読書の途中、状況はわかりましたが、主題は何だろうという疑問が生じました。作者自身の体験をもとにした小説家を目指す姿をとおしての、「言葉」の大切さを説く。
哲学的な要素もあります。われ思うゆえにわれあり、というような「俺は、ここにいる」。それは、ここに居続けたいと思うとか願うにつながって、生存確認に結びつく。
過去へのタイムトラベル、影の中にある影、影の中にある建物、太陽の使い、太陽の黒点から生まれたものたち、はっぱ64の世界、みんなの願いがかなう場所、才能とは、何十年も向かい続けること、「僕はここにいる」という自己の存在の肯定と実感できる実体、遺伝的な「鼻の形」、バベルとは陰に潜む(ひそむ)もの、
表現として気にいったのが、「胸に差し込む勢い」転じて、「胸に差し込む思い(わたしの自作)」
読後感は爽やか(さわやか)ですが、なぜ爽やかな気分になれるのか、今は、それはわかりません。
最近見た似たもの同士として、「バベル九朔」と「バラカ」桐野夏生きりの・なつお作、「バベルの塔:旧約聖書に出てくる巨大な塔で天まで届くことを目指していたが崩れた。あるいは、神の怒りをかって神に崩された。空想的で実現不可能な計画を指す。」と「バベル九朔:九朔家きゅうさくけが所有する5階建てテナントビルの名称」、NHK朝ドラ「朝が来た」と辻村深月つじむら・みづき作「朝が来る(名作です。)」、理髪店ものとして、奥田英朗おくだ・ひでお)作「向田理髪店」と「海の見える理髪店」荻原浩(おぎわら・ひろし)作、どちらも名作です。それから、万城目学氏と森見登美彦氏の作品。混同することがあります。そして、いずれの作風も、わたしにとっては苦手分野ですが、賞の候補作にはなるし、書評の評判もいいので読書に挑戦しています。
156ページまできましたが、築38年5階建て、バベル九朔というテナントビルの管理人をしながら小説家を目指している27歳男子(大卒後2年ハウスメーカーで働いたのち、親族が所有するビルの管理人として勝手に働き出した人物)の名前が、九朔(きゅうさく・みょうじ)ということしかわかりません。作者自身の作者による自虐的な私小説にもみえる。面白そうです。小説家志望の動機と経過が記されています。作品「トーテムポール」に何かの意味があるに違いない。そして、「3艘(そう)の舟」、さらに、「バベルの王とされる九朔満男:主人公の亡き祖父」
背の高い黒ずくめの胸の大きい若い長髪女が出てくるのですが、どうもそいつはカラスの化身らしい。これをして、いわゆる万城目ワールドと呼ぶのでしょう。彼女は「扉はどこだ」と迫ってきますが、なんの扉か意味不明です。(サングラスに隠れた彼女の目はとても怖い)
「殺鼠剤:さっそざい。すぐに読めませんでした。ネズミを殺すのです。」、「シンパシー:同情、共感、共鳴」、「メビウスの輪:表が裏になっている。常識は常識ではないことを意味する。」、「見晴台:みはらしだい。バベルの塔のことだろうか。チョコレートポッキーのような形態をしている。」、「美髯公:びぜんこう。ほおひげ。美しい髭(ひげ)」、「盥:たらい。漢字を初めて見ました。」、「ぬばたま:和歌の枕詞(まくらことば)、植物の種」
(つづく)
不思議の国のアリスのようです。アリスは、ウサギを追って、確か穴から、不思議な別世界へと誘われました(いざなわれました)
サルバドーレ・ダリが描いたシュールリアリズム(超自然現象)の絵画の中にいるような状況です。超異常現象です。精神病とか、薬物中毒者がみる幻覚ある世界です。浦島太郎の竜宮城訪問のようでもあります。この世ではない。そこを「バベル」という。10歳ぐらいの女の子(けしてきれいではない)は何だろう。小椋佳の歌「さらば青春」に出てくる、少女よ、泣くのはおやめを思い出しました。空も木も星もなんとかなのです。日付も名前もない、高低差もない世界。死後の世界、天国ではなかろうか。民謡が大音響で流れている。
(つづく)
1週間ぐらいで読み終えました。
「奇書(きしょ。きっかいな書物)」です。たとえば、読んだことはないけれど、ハムラビ法典のようなイメージ、感触です。
冒頭付近が現実で、あとは、空想世界だと思いますが自信がありません。もう一度読めばはっきりしてくるのでしょうが、今は、そのエネルギーがありません。
幻想世界にある「バベル九朔」という搭状態のビル。そのビルの入居・退去・清算業務取扱です。作品に歪み(ゆがみ)をもたせる。苦手な作品へのタイトル付け。特殊能力をもった人間の話。空費が塔の高さを高める。無駄が塔の高さを高める。見えるけれど干渉はできない。それは、霊界ではなかろうか。
雑居ビルの管理人体験がないと書けない内容です。最後の作者紹介記事にビル管理人をしていたとあります。やはり。なるほど。
読書の途中、状況はわかりましたが、主題は何だろうという疑問が生じました。作者自身の体験をもとにした小説家を目指す姿をとおしての、「言葉」の大切さを説く。
哲学的な要素もあります。われ思うゆえにわれあり、というような「俺は、ここにいる」。それは、ここに居続けたいと思うとか願うにつながって、生存確認に結びつく。
過去へのタイムトラベル、影の中にある影、影の中にある建物、太陽の使い、太陽の黒点から生まれたものたち、はっぱ64の世界、みんなの願いがかなう場所、才能とは、何十年も向かい続けること、「僕はここにいる」という自己の存在の肯定と実感できる実体、遺伝的な「鼻の形」、バベルとは陰に潜む(ひそむ)もの、
表現として気にいったのが、「胸に差し込む勢い」転じて、「胸に差し込む思い(わたしの自作)」
読後感は爽やか(さわやか)ですが、なぜ爽やかな気分になれるのか、今は、それはわかりません。
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