2016年04月25日

ナオミとカナコ 奥田英朗

ナオミとカナコ 奥田英朗(おくだ・ひでお) 幻冬舎

 書評が好評でした。438ページありますが、いっきに読めますとありました。昨夜少し読んで、午前3時頃に目覚めてまた少し読んで、朝起きてまた少し読んで、100ページ過ぎまできました。なかなかおもしろい。

 ナオミは小田直美28歳独身新潟県出身、葵百貨店の外商部に勤務しています。彼女の大学時代からの親友が服部加奈子です。主婦、だんなは銀行員です。
 問題点は、加奈子のだんなが妻に暴力を振るうことです。いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンスです。)。現実でも、温厚そうなマイホームパパみたいな人が暴力を振るうことが多い。表面をとりつくろうあるいは演技するという無理をしているからです。二重人格者でもあります。だから、結婚を考える時にはよく注意しなければなりません。

 読んでいると、どうして、加奈子は夫の暴力に耐え続けるのかイライラしてきます。殴られたら殴り返せばいいのです。
 途中登場する中国人女性が、上海に連れていって、上海の殺し屋に殺してもらえ!と言います。日本人ひとりが死んでも中国警察は動かないと言いきります。痛快です。また、夫にもストレスがたまる(窮地に追い込まれるような)のがDVの理由でしょうから、そこまでするのは行き過ぎなのでしょうが。

 ドラマ化されたようですが観ていません。ナオミ役が広末涼子さん、カナコ役が内田有紀さんです。適役配置でしょう。吉田羊さんは、だれの役を演じるのだろう。

 小説は、前半が、ナオミのこと、後半が、カナコのこととなっています。男性である作者が女性心理の描写に挑戦します。

 ちょっと、心に残ったフレーズなどです。「タブレット端末:近い将来、大半の業務はこれをもって外回りするようになる。」、ナオミとカナコの性格は反対で、「補い合う友情」、「居丈高(いたけだか):威張っている。威圧的」、ナオミの老いた両親にもDVがあって、「おとうさん、早く死んでくれないかなあ。」、「キッシュ:食べ物。フランスのパイ料理」、「志望のキューレター:博物館・美術館の企画担当者。専門職」、「日本の女は泣き寝入りする人が多い。」、「カナコについて:少しずつ何かにとりつかれつつある。」、「砧公園:きぬたこうえん。読み方を初めて知りました。」、「クリアランス・プラン:排除計画」、「個人情報の壁は厚い」、「中国人には、お互いさまという感覚はない。」、「杜撰:ずさん。読めませんでした。」

(つづく)

 いっきに、226ページまで読み進み、ナオミの章が終了しました。これから438ページまでが後半、カナコの章です。

 いくら友人のためとはいえ、ここまでやるのだろうか。なんだか、殺人行為が、コメディに変化してきます。
 トラブル対応時のプランがありません。ゆきあたりばったりです。大丈夫だろうか。カナコは、夫亡きあとどうやって生活してゆくのだろう。
 女子ふたりの行為は、相手が暴力行為をするからといって許されるものではない。
妊娠話あたりから松本清張作品を読むようでした。
 もろい設定ではあるけれど、せっぱつまった緊張感と迫力があります。警察の取り調べは厳しい。どうなるのだろう。殺人を思いとどまらせるのが身分保障という文節が頭に浮かびました。

 ラストは驚きました。これでいいのだろうか。感想が出てきません。

(翌日)
 なにも、ここまですることもなろうに。

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