2016年04月11日

モナドの領域 筒井康隆

モナドの領域 筒井康隆 新潮社

 河川敷、午前10時20分、女性の片腕(ひじ角度20度)が発見されたバラバラ事件の発生です。
 推理小説らしく、主人公はイケメンの上代真一警部(かみだい・しんいち50歳未婚)です。
 そのほか、美大の学生やら教授やら、ベーカリーの経営者などが登場してきて、今度は、片足が発見されます。
 いま、53ページ付近、公園にいます。また、書き足します。

(つづく)

 推理小説ではありません。SFのような(サイエンスフィクション科学仮想。タイムトラベルぽい。)感じもしますが、世界は何たるか、人は何たるかの哲学書です。
 「GOD」と名付けられた存在が、まずは、美大生彫刻科栗本健人の体に入りこみます。次に、GODは、美大西洋美術史教授結野楯夫にのりうつります。周囲の人間たちを味方につけながら独自の世界論を法廷で展開します。
 GODは他人の素性がまるわかりで、人の過去や未来も知っています。そうなったらいいのにと昔、自分自身が思ったことがあるのを思い出しました。
 
 現実にはありえない状況の設定です。手足の形をしたパンの話はどこへいったのだろう。

(つづく)

 読み終えました。
 重要人物として、美大生の高須美禰子(みねこ)。GODの身の回りの世話をします。
 GODは、独裁者であり、専制君主でもあります。そして、常人から見て、「変わり者」です。宗教の主のようでもあり、カリスマ性が高い。崇拝される人。集団維持のために利用される人。だからといって、世間の人間は彼に振り回されない。無視が大半の人々の選択です。彼は存在について説きますが、彼の存在を認めない大衆がいる。彼の話を聞いたとしても、だから、どうなるのだという疑問が生じるだけです。稼いで食べて育てて老いていく日常生活を継続していくだけです。平凡な日常に幸福が宿ります。

 最後はどうなるのだろうと途中で思いました。

わからなかった言葉です。「モナド:時間と空間。わたしは、一部は「運命」と解しました。神のようなものがつくったプログラム。GODの守備範囲。」、「禍がまがしい:単純に読めなかった。不吉である。」、「洒脱(しゃだつ):さっぱりしている」、「手タレ:美しい手で稼ぐ(手だけ写る)タレントさん。」、「耽美主義的(たんびしゅぎてき):道徳排除」、「ファナティック:熱狂的、狂信者」、「濫觴(らんしょう):起源」、「フェティシズム:体の特定部位を愛好」、「やっかみ:ねたみ」、「吃驚(びっくり):単純に漢字を初めて見ました。」、久しぶりに古い漢字の単語をたくさん見ました。「恐懼きょうく:おそれかしこまる」、「朗誦ろうしょう:詩句などを声高に読む」、「蹈鞴を踏む:たたらをふむ。金属作成時に風を送るふいごを踏むからきていて、勢い余って、足踏みをする。」、「殊更:単に漢字表記が珍しかった。ことさら。」、「宵闇(よいやみ)」、「揺蕩:ようとう。揺れ動く」、「エイドス:哲学用語。見た目だろうか」、「蝟集:いしゅう。ハリネズミの毛のように、一か所に多くのものが集まる。」、「瞞着:まんちゃく。ごまかす。」、「佯狂:ようきょう。狂人のふりをする。」、「瓶子孝明弁護士:へいし・たかあき。単に名字を読めなかった。」、「被愛妄想:自分がだれかに愛されているという妄想」、「人間の悟性の問題:悟性とは、理解力、感覚、理性。」、「遍在:へんざい。広く存在する。」、「揶揄:やゆ。からかう。」、「エッセ:昔乗っていたダイハツの軽自動車を思い出しました。神学用語で存在性。」、「メタファー:隠喩、暗喩。たとえでいいのだろう。」、「ホザナを叫ぶ:ヘブライ語で、救いたまえ。」、「エッセンティア:あるということが見た目でわかる。」、「可能世界:世界がそうであったかもしれないという世界。可能世界はそれぞれ孤立している。空間的に重なりあることがある。そのほころびをなおすためにGODが動いた。」

書中で紹介された作品です。谷崎潤一郎「陰翳礼賛(いんえいらいさん)随筆。電灯がなかった時代の光と影の美」、川端康成「片腕:短編。ある男が若い娘から片腕を借りてその夜、片腕と寝る。官能的世界」、鈴木泉三郎「生きている小平次:怪談。幽霊役の役者が殺されて幽霊となる話」

 気に入った文節です。「そもそも責任なんて存在しない。」、「宇宙は、時間と空間でできている。」、「GODという動物」、「中心が至る所にあって、周辺がどこにもない(宇宙の形)」、「画家と同様に依頼主の依頼通りにしか書けない絵を思い出した文節として、小説家志望の若者の言葉:書きたい小説を書けない。自分が書きたいように書くと売れない。売れるために、自分の書きたいものから遠ざかっていく。」、「この世界は、小説の中の世界かもしれない。」、「時をかける少女」

 登場人物の数は多い。

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