2016年04月10日

カエルの楽園 百田尚樹

カエルの楽園 百田尚樹 新潮社

 現代世界における戦争と平和をテーマにした人間界をカエルの世界に置き換えた比喩小説でしょう。
 以前同作者のミツバチを主人公においた小説を読んだことがあります。同作者がもつ引き出しのひとつとしての表現の手法でしょう。(その後:100ページぐらいまで読んだところです。ミツバチのお話とは趣がまったく異なります。政治の話です。論説文の内容が、擬人化でカエルに置き換えて小説にしてあります。)

35ページ付近まで読んだところで、読書感想文を書き始めます。
「カエルの楽園」であるツチガエルのナパージュ王国は、日本でしょう。国民は、三戒(①カエルを信じろ②カエルと争うな③争うための力をもつな)で争いを放棄しているから争いには巻き込まれないとかたくなに信じています。
凶悪なダルマガエルの群れが、IS(イスラム国)でしょう。ダルマガエルから祖国を捨てて逃げたアマガエルは、シリア難民でしょう。放浪の旅をするアマガエルには安住の地が見つかりません。難民から見た日本国のありようです。

主人公は、戦争難民であるアマガエルのソクラテスとロベルトです。平和の地を求めて仲間と放浪していますが、安住の地が見つかりません。

(つづく)

以下、置き換えの予想です。自信がないものもあります。
アマガエル:難民
ダルマガエル:イスラム国
ウシガエル:中国、中国人、
ナポレオン岩場:広島平和公園
ツチガエル:日本、日本人
ヌマガエル:在日韓国人
エンエン:韓国
デイブレイク(太ったツチガエル):反戦論者、憲法9条支持者<他の書評では新聞社とありました。その点は自分はよくわかりません。>。共産主義者もあると思う。
王:天皇
ハンドレッド(老ツチガエル。嫌われ者):作者自身
スチームボート(巨大なワシ):アメリカ合衆国
ツチガエルのハンニバル(兄・空軍)、ワグルラ(弟)、ゴヤスレイ(弟):自衛隊の陸軍、海軍、空軍
ローラ(メスのツチガエル)
役に立たない崖の壁とか南の崖:竹島とか沖縄
元老会議:七匹の会議(七は政党数か)。三匹は年寄り、四匹が壮年。プロメテウス(自民党)、ガルディアン(一番の年長者:憲法9条支持者の党)

 原爆投下の謝罪があります。だれに謝罪しているのかわからないとありますが、わたしは、戦死者の人たちに謝罪していると解釈しています。支配層の人間に感化されて、戦争を防止できなかった後悔と反省があります。
 
 「共存」とか、「協調」をめざしたいのです。
 文化とかスポーツで交流を図って、経済協力をして、戦争をなんとか回避したい。話し合いと約束が大事です。

 ツチガエルの出生率が低下した。若いメスたちが卵を産まなくなった。オタマジャクシがいなくなった。この国はいつか滅びる。ナパージュは年寄りの国。国全体がゆっくり静かに老いていっている。(国にも組織にも寿命がある。)

(つづく)

 読み終えました。1週間ぐらいかかりました。
 結局のところ、ナパージュ国が滅びるのは予想通りです。侵略を許せば、国は滅びます。

 話し合えばわかりあえるとガルディアンやデイブレイクは言いますが、話し合いはいっこうになされません。ウシガエルには話し合いに応じる気配もありません。実力行使あるのみです。
 ナパージュ国は、内紛でつぶれていきます。スチームボート(アメリカ)の庇護(ひご。かばって守る)を断り、自らハンニバル(自衛隊)を解体してしまいました。内輪もめで国は滅んだ。同国にあったのは、民主主義ではなく、事なかれ主義でした。もう生きるためには逃げるしかない。

 侵略はされない。戦争は起こらないというのは、原子力発電所は事故が起こらないという盲信・迷信に似ています。

 現代世相を映し出したよくできた物語でした。

 自分にとって、意味不明瞭だった言葉です。「詭弁(きべん):こじつけ。無理な論理展開」

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