2016年01月17日

聖母 秋吉理香子

聖母 秋吉理香子 双葉社

 児童誘拐猟奇事件(性器切り取り、漂白剤で全身遺体を洗う)です。不気味です。57ページまできました。
 「(東京都)藍出市幼児殺害事件捜査本部」で働くのが、50歳近い男性の坂口、そして、若くして頭が切れる谷崎ゆかりです。
 誘拐にまだ巻き込まれていないファミリーが、46歳保奈美、靖彦(車販売営業)、薫3歳です。不妊治療の末にできたこどもさんのようです。
 ちょっとびっくりしたのですが、犯人が最初のほう(45ページ付近)で紹介されます。真琴(高校生)で、剣道をしています。
 すでに起こった事件の被害者ファミリーとして、32歳矢口正敏、29歳晃代、殺されたのが、4歳うさぎ幼稚園年中、由紀夫です。

 まず、思ったのが、先日読んだ「朝が来る」辻村深月作同様、不妊治療が物語の素材にされています。現在、不妊治療が、世の中では話題なのだろうかと。治療内容はかなり詳しい。自分は、男子なので、意外でした。たいへんそうです。
 次に思ったのが、登場人物の名前の付け方です。こどもの名前は、いまどきのキラキラネームではありません。
 情景がよく目に浮かぶ文章です。読みやすい。

 わからなかった言葉として、「ED:インポテンツ(立たない)」、「レギンス:ももひきのような形態のズボン」

(つづく)

 読み終えました。読みごたえのあるいい作品でした。
 途中、仕掛けの気配は予想できるのですが、予測は、完ぺきなものではありません。十分堪能できました。なんとなくわかったつもりになっていたけれど、そこまでは、わからなかったというものです。
 話題の虐待とか、ジェンダー(性差別)、不妊治療などに、性犯罪、猟奇的、性同一障害もあるのかと思わせたり、DNA鑑定を取り入れたりして、いろいろな側面に接しつつ、「防御」を動機として、崇高な目標達成能力が描かれていました。
 途中、事件はいきなり大きく動き出し、意外な結末を迎えます。見事でした。迫力がありました。

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