2016年01月16日

エピローグ 円城塔

エピローグ 円城塔(えんじょう・とう) 早川書房

 うーむ。
 初日に50ページ付近まで読んだところで、夜の眠りにつきました。メモしながら読んだけれど、なにが書いてあるのか理解できませんでした。
 翌朝、午前6時に目覚めて、再び1ページから読みなおしました。なにがかいてあるか少し理解できるようになりました。
 榎室南緒(えむろ・なお)という18歳の女子がしゃべっている。この世界には、人類ともうひとつ、エージェント(思うにヒューマノイド・ロボット)が存在している。世界は、「物理宇宙」と「現実宇宙」のふたつがある。榎室南緒は祖母と話している。50年ぶりの対面と言っていることから、榎室南緒は、亡くなった祖母と話しているのだろう。
 榎室南緒は、ウラジミール・アトラクタで暮らしている。ウラジミール・アトラクタとアルゴキン・クラスタというふたつの場所でいずれも女性が殺害された。市警の刑事(いまのところオレとしかわからない。68ページ付近までしか読んでいません。)と、彼の上司椋人(くらびと)がふたつの殺人事件に関連があるのではないかと検討している。
 こんなところですが、このまま読み続けても、なんじゃこりゃとしか思えません。2000年ぐらい先、地球人の未来を予測した小説のようです。
 途中、朝戸連(あさと・れん)という人物が、アラクネ(スマート・マテリアルで構築されている)というクモの足と女性の裸体がくっついたロボット2体と組んで、だれかと戦闘するシーンがあります。人類がOTCと戦ったとあります。OTC(オーバー・チューリング・クリーチャ)
 こういう、文章を60年近い人生の中で、小説以外の文章で2回読んだことがあります。そういうことを思い出しました。ひとつは、70代ぐらいの仏教関係の仕事をしていた方(もう30年ぐらい前のことなので、存命されていないと思います。)、もうひとりは、20代、メンタル系の病気の青年でした。
 どうしよう。早読みするか、一行ずつ読みこんでみるか。書評を読むと好評です。たしかに、読みにくいことはない。読み解くための単語を並べてみます。
「インターフェイス:窓。世界と世界の境でしょう。窓の向こうに祖母がいます。祖母は物理宇宙にいる。」、「エージェント:凡庸エージェントと定型エージェントがあるらしい。直訳は、登場人物です。人工知能をもつロボットみたい。」、「イグジステンス:法人名のようです。多宇宙間企業MUC、ペタコーポレーションのひとつ。社長がベルナール・ギー氏」、「3月78日(暦の表記)」、「退転以降:人類の歴史のどこかの地点に退転時という起点があるのだろうか」、「プロトコル:パソコン用語では、手順とか約束事。共通のやり方でパソコンが動くようにするだと思いますが、この小説作品の中でも同様な意味でいいのではないか。」、「マテリアル:物質」、「メタリカ柄:ガイコツとか悪魔みたいな、なんか、気持ち悪い柄」、「イザナミ・システム:登場人物命名管理・履歴、プロット・ジェネレーター(あらすじ創造作成かな)、ストーリーラインの履歴管理ソフトウェア。榎室、椋人、朝戸、英多アガタという姓が登場人物」。こんな感じで造語や知らない言葉がいっぱい出てきます。

(つづく)

 速読に入りました。
 「蓋然性:確実性の度合い(読んでいて、もう、あまりむずかしい言葉を入れないでほしい)」
 全体を通してですが、アイデンティティ(個人をその者として特定する)が不安定です。表皮をかぶることができるらしく、何者にも変化できるし、その者が人類でない可能性もあるのです。さらに、空想の中で、事件が起こっているらしく、だから、殺人においては、本当は人が殺されていない可能性が高いのです。
 殺人の犯人だという人物が登場しますが、その人物はこう言うのです。「犯人はわたしです。ただし、過去のわたしです。さらに、わたしみたいなものです。」(なんのこっちゃいな?)
 小説を創作する作業の中で、人や生き物を生かしたり、殺したりしている様子を小説にしてあるともとれます。

 ○椋人(クラビト・ニ、市警の刑事)がいる世界がある。ウラジミール・アトランタとアルゴキン・クラスタで起こったふたつの女性殺人事件の関連を調べている。会社イグジステンスの社長ベルナール・ギー氏がからんでいる。同氏は脳梗塞で死んだ。
クラビトの妻が登場します。妻は、インベーダー(侵入者)で、かつ男性タイプで、でも妊娠していて、ふたりの「配偶子」が生まれるそうです。
2014年5月4日に女性が殺されなかったと出ます。殺されなかったのなら、事件ではないわけで、でも、事件として扱うのです。
このあと、「壁」がしゃべります。
○朝戸とアラクネは、OTCと戦っている。(読み手の自分が思うに)OTCというのは、新生物のようだ。エックス氏という人物が出てくる。
183ページ付近から普通の世界が出てきてほっとしました。それでもSF(サイエンス・フィクション仮想時空間移動宇宙もの)であることに変わりはありませんが、少し、まともに理解できる文章がでてきてうれしい。ああそういうことか。タイムトラベルもの。読み手である自分もこういう作品があったらなあと想像したことがあります。訳が分からない部分が多いのですが、おもしろさは伝わってきます。
○榎室南緒(えむろ・なお)18歳女子と彼女の祖母榎室春乃がつながる世界。250万人の死者は、すべて、時代を変えた南緒の遺体だった。

 読み終えました。
 カバーの絵をながめています。お寺のお堂のような建物があって、巨木な葉っぱが上に、下に根っこが見えます。
 おそらく、榎室南緒が縁側部分に座っていて、右側の屋根裏に立っているのは、朝戸連でしょう。つまり、そういうことなのだと。相反するふたつの世界が接合されていることをどうのこうのと述べた物語だったと、読み取ってはみたのです。

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