2015年12月24日

ヒトでなし 京極夏彦

ヒトでなし 京極夏彦 新潮社

 以前、この作家さんのなんとかという本を読んだ。(過去を調べる)「死ねばいいのに」でした。
 この本を読み始めました。死ねばいいのにと同じパターンです。自問自答方式が短文で続いていきます。576ページもありますが、読みやすい。ぐんぐん読み進めてみます。

「堕」離婚した中年男性が主人公です。二人娘のうち、下の娘さんの死が離婚、そして離職(解雇)の引き金となったらしい。現在ホームレス状態です。雨に濡れながら歩いていたら、自殺企図しているらしき20代なかばの女性に出会いました。具体性が乏しく、「意識」を前面に出しています。まるで、死んだ人の魂が読者に語り掛けてくるようです。

「貧」主人公の名前が明らかにされます。尾田慎吾です。彼の高校同級生が荻野です。尾田が自殺から助けたらしき女性が、塚本和子です。哲学的です。日常生活、暮らし、お金のプラス・マイナス・イーブン、観念的な人生解釈が続きます。

「妄」
以下省略で続けます。
 ニュートラルな思考を目指す内容です。
 ヒトではないからヒトを救える。この世の苦しみは「修行」である。
 何ももたないことが、最近のはやりである。
 
 親の帰りを待つ子どもの姿が目に浮かんだ。親は帰ってこない。子は、キレた。

 5歳の娘が事故死したあとの展開は容易に予測できた。
 ひとりの女性の更生にはすがすがしさがあった。
 正直、長すぎる。
 
 読んで、気に入った表現の数々です。「昨今、バツ1・バツ2でへこんでいいたら、やってられない」、「俺は、今、何も演じていない。ヒトでなしだ」、「生きているふりをしているだけだ」、「ヒトでないものとして、神仏」、「人はかわらねぇよ」、「日野も俺も石ころだ」

 意味がとれなかった言葉として、「パラリガール:弁護士のもとで定型的な仕事(主に貸金の過払い金返還請求)をする者」、「ステマ、ステルス自慢:気づかれないように広報を行う。(自慢のほうは意味不明)」、「ロゴス:言葉、意味、論理 (よくわからないし、わからなくても困らない)」、「シリアルキラー:連続殺人犯」

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