2015年12月14日

ふなふな船橋 吉本ばなな

ふなふな船橋 吉本ばなな 朝日新聞出版

 明るい内容ではありません。
 168ページまで読みました。
 実父は借金をつくって失踪、15歳の立石花は、実母と千葉県船橋市の駅前で立っています。雨が降っています。実母はこれから再婚します。花は継父と彼の連れ子(花からみて義理の妹)とは暮らしません。実母の妹奈美さんと彼女のマンションで二人暮らしを続けます。その後、実母は病死しています。
 立石花28歳、恋人との別れ話から始まります。

 船橋という街を讃える。その街にいる人が好きだから、ふなっしー(妖精として)が好きだから、そういう思いが込められた作品です。
 作家さんの文章です。わずか数ページで、長い歴史を深く表現してある文章です。読んでいると、「こども」がかわいそうになってきます。こどもは非力です。かよわい。
 花は、継父・義理妹、実母と自分の4人で暮らしたくないと言ったけれど、本当は、強引に暮らそうと言ってほしかった気持ちが伝わってきます。ほとんど天涯孤独みたいな身分です。
 孤独だから、本読みが好きになります。だから書店で働くようになりました。ひきこもりの親友幸子さん32歳がいます。千葉県佐倉市川村記念美術館で知り合いました。
 落ち着いた安心感のある文章が続きます。立石花を囲む状況はさらに悪化するのですが、幻想的です。気に入った表現として、「私はしばらくそおっと暮らした」。太宰治に対する愛着が見受けられます。太宰も昔船橋にいたらしい。ふなっしーは、先日読んだ本にいたコロボックル(アイヌ語の妖精。こびと)と合い通じます。

(つづく)

 ときおり登場するのが、「ロスコの絵」です。川村記念美術館にある壁画だそうです。深い色が特色とあります。小説にある人の経歴の深さと重ねてあります。
 異父・異母きょうだいの物語です。暮らしていると表面には出てこないのですが、そういう境遇の人って多いのでしょう。ふつうの家族関係で育つ人ばかりではありません。
 小説の登場人物たちは、それに悩みながらもそれを受け入れてひっそりと生活しています。女子にとっては、いざ結婚というようなときに、壁とまではいかなくても相手方親族がすんなり受け入れてくれるか不安になるでしょう。
 そんなところを恋愛にからめて、立石花28歳女性に決断を求めていきます。

 母は、恋愛のために子を捨てることがあります。
 花は、結婚のために、船橋を離れることはしませんでした。見事でした。


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