2015年11月26日

鍵の掛かった男 有栖川有栖

鍵の掛かった男 有栖川有栖(ありすがわ・ありす) 幻冬舎

 この推理小説を書いた作者有栖川有栖(50代男性、しかし、この小説の中では34歳という設定)が物語の中に登場して問題を解決するという珍しい手法です。(読了近くになって、そういう手法がすでにあったことを知りました。)
 5年間大阪市内の銀星ホテルで暮らしていた梨田稔69歳が、401号室にて、縊死(いし、首吊り)状態で発見されます。縊死といっても、ベッドにカーテンをくくる紐(ひも)を結びつけて首をくくっており、体が宙に浮かない縊死であり、そんなことで死ねるのかと、100ページ付近を過ぎた今でも首をかしげています。自殺か他殺か事故死か。タイトルは、鍵がかかって不明になっている彼の過去を意味します。過去という世界の鍵を探し求める小説です。
 彼は昭和20年6月生まれなので、終戦の年月である8月前だから、第二次世界大戦がからんでいるかもしれません。彼は孤独です。遺体からは、バルビツール酸系の睡眠薬が検出されています。薬局では簡単に変えない薬だそうです。
 まだ、読み終えていないので、感想を少しずつ加えていきます。
 出版社である青洋社の文学賞新人賞授賞式から始まります。会場は東京です。名古屋市役所職員40歳男性が受賞者です。
 臨床犯罪学者火村英生34歳、英都大学社会学部准教授が探偵役を務めるようです。英都大学は京都大学を指すようです。
 真相究明の依頼者である時代作家影浦浪子先生が怪しい。自分を追いつめさせるために(犯罪者となるために)、警察に自殺とされた死を真相は他殺だからと、再捜査させようとしているように見える。それとも、被害者とホテル関係者との愛情のもつれがあるのか。死者梨田稔69歳には、ホテル以外に家があったのではないか。彼は、昼間はボランティア活動で外出していました。梨田稔は天涯孤独、されど、預金2億円ありの人物です。
 舞台は大阪市内で、大阪市内地理案内の面ももった小説です。
 彼のアルバムから消えたらしき1枚の写真が鍵を握っている。

(つづく)

 今日は、三連休の初日です。午前5時前から読み始めて、途中、用事を済ませながら、ただ今、午後3時です。「第四章 その原罪」188ページまできました。小説は、最初の36ページぐらいまでが読むのに時間がかかります。登場人物等を使用済みカレンダーの裏面白紙部分に書き込みしながら理解してから読み進めます。そこを過ぎると読み方は急加速していきます。
 若い女性に抱かれた赤ちゃんの写真(赤ちゃんが梨田稔とは限らない)、丸刈りの高校生、海水浴の写真、20代前半旅館での写真(和歌山県白浜温泉らしい)、満開の桜の前で老人となった梨田稔の写真(2014年4月15日桜ノ宮造幣局前で影浦先生に誘われてお花見にて)、そして、目には見えないそこに貼ってあったらしき1枚。隣家からのもらい火で火災に遭ったらしい。2億円は火災保険から出たお金かもしれない。
 萬夫妻という(よろずふさい)、自宅改築中のホテル長期仮住まいの夫婦がいます。梨田氏の死について、何か知っているかもしれない。
 ホテルがある中之島を船にたとえたり、島にたとえたりする記述があります。
 毎月16日に梨田氏が不明になる理由は、種明かしの前に気づけました。
 流し口の詰まりを解消する仕事をしていたかもしれない。
 東北の地震・津波がからんできました。
 「聖アンセルム923号室」コーネル・ウールリッチ作推理小説。1958年作
 何かの暗示として<ひとりの人間を殺める(あやめる)者は、全世界を殺す>
 
気に入った表現です。
・(苦学してでも)ホテルで働きたいという目標があった。
・梨田の秘密はロックされたままだ。
・暗闇の中の黒猫。黒猫はいないかもしれない。
・居合い抜き
・理由が3つあったら決断できる。決断する。

本作品は、来年、本屋大賞候補作になるかもしれません。

(つづく)

 午前2時に目が覚めて、20分ほど読んで、再度眠って、午前6時前に目覚めて、1時間半ぐらい読み続けて、あとのこり100ページぐらいまできました。
 昭和60年が、とても古いことのように記述してあります。自分が結婚する1年前、20代後半の頃ですが、古いことには思えません。つい、きのうの出来事のように思い出されます。逆にそれから30年間の記憶が欠落に近い状態です。忙しかったのでしょう。大変だったという記憶がありますが、具体的にどうだったかの記憶が乏しい。
 物語を読みながら思いついたこととして、『人生に「選択」はあるけれど、人生に「正解」はない』
 梨田稔の過去話は、つまらなかった。なぜだろう。話の内容は暗い。設定が弱い。(現実的ではない)。自分自身歳をとってみて、過去の思い出は、いまさら触らない方がいいとか、いじくらないほうがいいとかがわかるようになったからでもあります。もう済んだこととして働きかけない。
 どうやって、「自殺」を「自殺以外の死」にもっていくのか。病死はないのか。
 ミュージシャン鹿内茉莉香の部分、彼女の現状を児童文学で読んだことがあります。類似例の反対側として、小学校高学年男子の母親が、夫と息子を捨てて、かけおちみたいにして外国人演奏家男性とヨーロッパへ行ってしまします。母はピアニストでした。家では、嫁姑の争いがありました。
 物語の中ではなじみのある場所もありました。ことに愛知県内は行ったことがある場所で身近でした。
 登場人物のうちの誰かが嘘をついているのが「推理小説」

 意味がわからなかった言葉として、
「シニカル」皮肉だろうかと調べたら、やはり、皮肉、冷笑、嘲笑とありました。
「レトリック」わかりやすい話し方、書きかた。ふーん。

 探偵役を務める大学教授「火村英生(ひむら・ひでお)」を主にした、火村シリーズなるものがあるようです。

 394ページ付近、経過については、そういうことかとなったが、犯人はまだ不明。

(つづく)

 同日午後4時45分に読了しました。昨日午前5時前から読み始めたので早かった。作者は500ページちょっと書いていますので、書くのはかなりの期間だったでしょう。ただ、読み手は、何度も読み返すこともあります。

 最後の秘密の開示までにはなかなかたどりつけません。梨田稔を殺して、だれが何の得をするのだろう。殺人の動機が思い浮かびません。

 これ以上は、これから読む方のために書けません。

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