2015年11月23日

娘になった妻、のぶ代へ 砂川啓介

娘になった妻、のぶ代へ 砂川啓介 双葉社

 読み手は、最初の5ページを読んだぐらいで、もう涙ぐんできます。今年読んで良かった1冊です。
 ドラえもんの声優大山のぶ代さんが認知症です。だんなさんの手記(体験記)です。ドラえもんを知る世代としてはショックです。2012年秋にアルツハイマー型認知症と診断されましたから始まります。こどもさんがいないとか、生後3か月で亡くされたとかは、今回これを読んで始めて知りました。ドラえもんらしく幸せいっぱいの人生だと勘違いしていました。
 自分がドラえもんの声をしていたことを忘れてしまった。自分がだれかさえもわからない様子とあります。脳梗塞のあとの後遺症らしい。5分前に服薬したことを忘れてしまう。深刻です。まだ、読み始めです。これから、感想をつぎ足していきます。

(つづく)

 彼女はもう別の人です。忘れる。人間が壊れていく様子は壮絶です。そばにいる者はあきらめるしかありません。
 高齢化社会を迎えた日本国があります。いつまでも正常な脳の状態を保てるわけではありません。クレーマー化する老害があります。聖人君子だった人が凶暴になったり、無気力で表情が乏しくなったりします。困惑する。理解しがたい。それは、いずれ、自分にも訪れる可能性がある。
 おふたりで、将来ボケないように訓練をされていたそうです。それでも病は避けてくれませんでした。読んでいると、「喫煙」と「カロリーの過摂取」が遠因にあるのかと考えました。奥さんはヘビースモーカーだったけれど、認知症になってから喫煙しなくなり、灰皿を見て「これは何」と質問され、びっくりされたそうです。タバコはやめたほうがいい。わたしは、今年の2月に禁煙外来を受診して禁煙しました。薬を飲むと体がタバコを受け付けなくなります。それからカロリーの高い食事はよしたほうがいい。

 自分がこどもの頃にテレビで見ていた「ブー・フー・ウー」の声優が大山さんとか黒柳徹子さんだったとは知りませんでした。
 
 ご主人砂川さんのご苦労は大変なもので、それを読むと、自分が今悩んでいることはたいしことはないとまで思わせてくれます。
 大山さんは働き過ぎた。2015年で、81歳です。人はみな、毎年の健康診断受診が大切です。
 介護疲れで自殺したらしきタレント清水由貴子さんの顔が頭に浮かびました。
 黒柳徹子さんという人は大きな影響力をもっている人ということがよくわかる内容です。筆者は文筆家ではないので、文章のもつ力は浅いですが、いわんとすることはよく伝わってきます。
 私生活をさらけだす。共通の悩みをもつ人たちの力になりたいからです。励まし合いです。
 若い頃むちゃするのは、老いてからの思い出を振り返るシーンをつくるためです。
 認知症になった妻を残して先に死ねない。

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