2015年05月21日

かあさんのしっぽっぽ 2015課題図書

かあさんのしっぽっぽ 村中李衣(むらなかりえ) BL出版 2015課題図書


 しっぽは、きつねのしっぽをさします。きつねがおかあさんに化けていて、だから、おふろに入ると、おかあさんのおしりにきつねのしっぽが見えるのです。

 五右衛門風呂(ごえもんぶろ)のことが書いてあり、今時のことではないと驚きました。確かに自分自身は、小学校1年生の頃に五右衛門風呂に入ったことがありますが、現在の日本の一般家庭で、五右衛門風呂に入っている家族がいるとは思えません。

 大福もちに代わる新作はないかとゆいさんが両親に声をかけますが、伝統の大福の代わりはありません。がんこでいちずな職人の道が見えます。ひいじいちゃんの時代から延々と受け継がれてきた生活様式です。たぶん、経費(お金)がかからないからということが理由だと推測するのですが、今は、電気代・ガス代のほうが安そうです。
 維持を貫くのか、変化を遂げるのか、むずかしいところです。通常は、現状維持は後退であるという結論に行きつくのですが、すべてがそうともいえません。

 はごろも堂という和菓子屋さんを営むご夫婦の娘さんが、主人公の由衣(ゆい)さんで、小学校2年3組の児童です。別にライバルではないのですが、同じ組にケーキ屋さん「スイートメルヘン」の娘さんで甘美(あみ)ちゃんがいます。以前は、和菓子屋さんの塩大福・豆大福が町で有名な甘いお菓子だったのですが、甘美ちゃんの両親がケーキ屋さんを開店してからは、そちらにお客さんが流れたと書いてあります。「ハッピーケーキ」は、生クリームが上出来だそうです。
 そんなこんながあって、由衣さんは、両親がお店で忙しく働いていて、相手にしてもらえず、また、家事をやらねばなりません。五右衛門風呂のお掃除をしたり、和菓子づくりで使うたくさんのてぬぐいを洗濯物で干さなければなりません。なんだか、孤独です。

 学習発表会で、地元八千代町に伝わる民話「白ぎつねのおんがえし」に基づいて、ミュージカルをやることになりました。
 おそらくいい男である秋次を演じるさとしくんのお嫁さんが、ケーキ屋の娘さんの甘美で、大福屋の娘の由衣さんは、比較され下に見られているようで不愉快です。
 家でもおとうさん、おかあさんにお説教されてばかりでおもしろくありません。
 自信をもつ。人と比較して、愚痴をこぼさない。自分は、自分だから自分を大事にして生活していく。

 楽しむ。不便さを楽しむ。昔を大事にする。

 小学校2年生というのは、まだまだ子どもです。親に甘えたい。スキンシップがいると物語を読みながら思いました。
 
 「ふるさと八千代の民話」は、なかなか完成度が高いものでした。おこんというきつねは、恩返しをしたかった。それをうまく表現できなくて、恩返しをしたい相手の奥さんを飲みこんでしまった。このあたり、女性の嫉妬心が表現されています。秋次ファミリーにとけこみたいから、こんこんおどりをこどもたちに教えて一緒におどった。おどりすぎて、足をいためるというのが、無理やりな展開なのですが、うそつきだったから、ばちがあたったと読み取るのでしょう。おふろで、しっぽが見つかって、きつねであることがわかってしまうのですが、しっぽというものの存在価値は高い。うそをついたり、わるいことをすると、いつかはばれる。悪行(あくぎょう)というしっぽは隠せないということなのでしょう。日本人的なのは、だまされた夫婦はきつねを責めません。許した結果、どんな日照りの時も、夫婦の井戸だけは枯れなかったし、作物もどっさりできたのです。さらに、亭主の秋次が堀ったお湯つぼは、おこんの湯と名付けられ、温泉のもとになったことでしょう。罪を憎んで、人を憎まずという教えがあります。

 親はつねにこどもの味方でいてくださいというメッセージを受け取りました。


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