2015年02月15日

土漠の花(どばくのはな) 月村了衛

土漠の花(どばくのはな) 月村了衛 幻冬舎

 土漠というのは、砂漠と土が混じったという言葉なのでしょう。舞台となるソマリア国がどこにあるのか知らず調べました。アラビア半島南東端、海に面して南北斜めにのびる地域でした。ソマリアの海賊は、ニュースで以前聞きましたが、今回の物語の舞台は内陸部砂漠地帯です。興味深いのは、ソマリアなのに、日本車が走り、表示が中国語だったします。
 現地に援助目的で派遣された自衛隊の1チーム12人が、民族紛争に巻き込まれて、命を失っていきます。活劇に重きを置いた作品であり、自衛隊ということでなにか、日本国自衛隊の未来予想図で、自衛隊を海外に派遣することに対して、可否論でもあるのかと思って読み続けましたが、政治的な記述はありません。むしろ、自衛隊という設定でなくてもよく、庶民の育ちである20代から30代世代にある隊員たちの思いと活躍が描かれていました。
 後半部クライマックスの100ページぐらいは、七人の侍とか、荒野の7人とかを思わせる活発で、知恵を生かした攻防戦が繰り広げられます。アクション、バイオレンス、暴発、狂気、制服命令服従職場、殺伐(さつばつ)とした世界の中の血の一滴、あるいは、涙の一滴、サムライ精神、生きて帰国したら富士山と桜の花を見よう、こういう分野の小説が好きな人にはたまらないでしょう。
 読みながらの感想を順番に記述してみます。
 前半は、セリフのやりとり会話が多い。ゆえに、登場人物の数も多い。○○ごっこみたいだなと思いながら読み進めました。
 殺さなければ殺される現地の状況が広がっていきます。射撃の名手と呼ばれた隊員は、実戦では、人を殺すことが怖くて、相手を撃てません。そのため、仲間が死んでいきます。
 仲間を助けるために「戻る」、「待つ」シーンには好感をもちました。人としての基本です。
 次は、いいなと思った表現です。
・土漠は、朝とも夕ともつかぬ灰色の光に閉ざされていた。
・地下資源(石油)は人の心を狂わせる。
・「まるはち鮮魚店」、「山田」の表示、「たまご幼稚園」
最近話題となったシリアとイラク国境、イスラム国の誘拐交渉戦術をイメージして読み始める人も多いことでしょう。
最後半部は、これだけの大事(おおごと)は、隠し通せないと思うのです。
わからなかった単語として「RPG」=戦車を攻撃するための手で持つロケット砲のようなものでした。このほかにも、多数の武器が登場します。戦争武器に興味がある人には楽しめる小説でしょう。


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