2015年02月08日

億男 川村元気

億男 川村元気 マガジンハウス

 宝くじで3億円が当たった男、一男のお金と幸せのつながりを考える物語は、ひと桁ずつ上がる章の積み重ねで表現されます。そして、宝くじを当てたから「億男」なのです。
 彼は弟の借金3000万円を肩代わりしたことが発端となって、妻と離婚し、9歳の娘と離ればなれになりました。今は、昼間は図書館司書、夜はパン工場で働く日々です。
 手にした3億円をどうするかですが、その使い道の部分の記述は少なく、大学落語研究会で一緒だった一男の親友九十九(つくも)との関係を重視する展開を広げつつ、お金と人間の関係を深く掘り下げていく内容です。
 研修とか、能力開発をベースにして、小説ができあがっています。むずかしいし、わかりにくさもありました。
 「うまく、お金を使うことは、稼ぐのと同じくらい難しい」という記述がありました。生涯学習という言葉が思い浮かびます。お金を使いこなす意思と技術を身につけるために、学校を出たあとも学びを継続するのです。チャップリンの言葉が引用されています。人生に必要なもの、勇気と想像力と少しのお金。お金は少しでいいのです。いっぱいあっても、少しでいいのです。
 書中にある表現「クレジットカード=信用のカード」は、お金よりも「信用」が大事と教えてくれます。後半でもうひとつ「夢」というキーワードが出てきます。複数がいる人間界で、夢をかなえたいとか、幸せになりたいとしたら、「信用」が欠かせません。お金はあとからついてくるものです。
 ネット情報を得て、生活指針を決めすぎる生活習慣があります。本を読みながら、ちょっぴりそう思いました。生身の人間との情報交換が減りました。起承転結の流れで、承の部分がうまい。ドラマチックです。ふたり会話の記述はうまくありませんが、それはそれでいい。
 落語話がいくつかの柱になっています。本の記述に、小学生のときに読んだマンガのシーンが出てきて、昔を思い出しました。


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