2015年02月02日

ハケンアニメ 辻村深月

ハケンアニメ 辻村深月(つじむらみづき) マガジンハウス

 アニメ業界をベース(基礎)にして、働くということは、どういうことなのかを考える物語としてうまく完成しています。
 タイトルは「覇権アニメ」をさします。派遣ではありません。テレビ放映において、あるクール(12週間らしい)で、トップの成績を獲得した作品が覇権アニメ作品です。
 最初は、自分にとって、苦手分野と思いながら読み始めましたが、後半部は、楽しめる記述で、自分にぴったりきました。本のカバーには、少女漫画に出てくるような3人娘の姿があり、おじさんのわたしは気持ちが引く思いでしたが、帯にあるキャッチフレーズ「やる気みなぎるお仕事小説誕生」どおり、素材をアニメにしただけで、アニメ以外の仕事全般にも共通する中身でした。
 有科香屋子(ありしなかやこ)は、27歳、身長170cm近い、大学法学部卒、中堅アニメ会社スタジオえっじに勤めている。物語は彼女の語りから始まります。
 アニメテレビ番組の監督が言ったオタクの定義みたいな言葉にしっかり納得させられました。<君のその楽しみは尊いものだ>
 並澤和奈が出てくるあたりから話が面白くなります。彼女は26歳、東京都出身、現住所は新潟県内、神原画マンと呼ばれているアニメの原画を描く人です。彼女が、新潟県内の地方自治体職員とからんで、地域おこしに貢献していくわけですが、作者は行政の世界をよく知っており、行政にパイプがあるのではないかと推測するのですが、庶民自治とか自治体の体質の実態が上手に文章で表現されています。うまい。市役所職員の宗森さんは素敵でした。
 何のために働くのか。小説ですから、お金のため以外の部分を追求していきます。現実社会の中ではできないことも小説の世界の中では実現できます。夢、そうこの小説は夢をかなえる満足感を読者に与えてくれるのです。


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