2015年01月25日

アイネクライネナハトムジーク 伊坂幸太郎


アイネクライネナハトムジーク 伊坂幸太郎 幻冬舎

 「アイネクライネナハトムジーク」は、モーツアルトの楽曲であり第4楽章までで16分間ぐらいです。意味はたしか、小さな夜の曲でした。
 小説の読み始めに、家にある同曲が入ったCDをセットして、曲を流しながら文字を追い始めます。
 目次を見ると、6本の短編集になっていますが、最初が「アイネクライネ」、最後が「ナハトムジーク」というタイトル順番です。
 なにか仕掛けがあるかもしれない。広告紙裏面の白い部分にメモをしながら構成をさぐります。

(つづく)

 その他の楽曲を含めてCD1時間ぐらい聴く間に短編2本、ページ数にして90ページほどを読み終えました。
 恋の出会いにスポットライトをあてた物語です。1編目と2編目にはつながりがあります。(読み終えてみて、全編がつながていました。)

「アイネクライネ」主人公は、27歳佐藤君、恋の相手は、同じく27歳今はまだ名前がわからない。ふたりが出会ったときには、彼女はフリーターだった。2度目の出会いも偶然です。水が流れるような文章で、筆力に感嘆しました。アイネ・クライネ・ナハトムジーク=ドイツ語で、ある・小さな・夜の曲。これに短編の雰囲気をのせてあるのでしょう。(読み終えてみて、この最初の短編が一番気に入りました。)
「ライトヘビー」ボクシングがからみます。主人公は美奈子さん27歳美容師、苗字はまだ不明。彼女の地元の同級生が、アイネクライネで登場する織田由美さん(旧姓加藤)。ここでも思いがけない恋の出会いとさわやかな結末が用意されています。

(つづく)

「ドクメンタ」ドクメンタは、ドイツ語です。5年に1回開催される現代美術の展覧会です。でも、短編の中で舞台となるのは、5年に1回ゴールド運転免許証書き換えをする運転免許試験場です。今回の主人公は、最初の短編「アイネクライネ」で登場したマーケットリサーチ会社社員の藤間さん39歳です。血液型AB型で、A型の几帳面さとB型の大雑把な行動をあわせもった個性がベースになった物語です。30ページほどの小品です。アイネクライネナハトムジーク、ある小さな夜の曲の雰囲気です。読み終えたとき、なんか、左の目尻に涙が浮かびました。いい話です。
「ルックスライク」直訳すると(なになにのよう、なになにに似ている。)。読み終えて、作者の策略にまんまとだまされました。最初の短編「アイネクライネ」では、まだ6歳だった織田美緒が高校1年生の女子になって登場します。高校生カップルと若い男女(ファミレスカップル)の記事が交互に掲載されていきます。他の短編も含めて、登場人物の苗字を出さないシークレットがあります。
「メイクアップ」化粧品販売に関する仕事の話です。高校時代のうらみつらみがあって、仕返しをするかしないかというような流れに向かっていきます。この世の中は、ウソとサギで成立しているのだけれど、ほんのちょっぴりの誠実さが、人生の継続に息を吹き込んでくれる。
「ナハトムジーク」20年間の時の流れの一部がまとめられた作品です。あたたかい人間関係が存在している。忘れていた「斉藤さん」を思い出しました。

 ほかにも仕掛けがしてあるのでしょうが、100%完ぺきなまでには解読できません。再読が必要です。4時間から5時間かけて、1日で読みました。


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