2015年01月17日
鹿の王 上・下 上橋菜穂子
鹿の王 上・下 上橋菜穂子(うえはしなほこ) 角川書店
書評の評判が良かったので読み始めました。まだ途中ですが、感想は書き始めます。最初は抵抗感がありました。鹿を擬人化した物語だと思いました。違っていました。主人公ヴァンは、オスの鹿だと思って読み進めていたら、人間でした。40歳ぐらい、黒に近い茶色の髪をもっています。
登場人物が多いので、新聞にはさまれていた裏面白色の広告を利用して、小説の舞台の地理や人物を書き足しながら理解に努めています。
仮想の戦国時代と思いきやそうではありません。戦いのピークは過ぎていて、東乎瑠(ツオル)という国が、ヴァンの所属していたアカファという地域を支配しています。ヴァンは、ガンサ氏族の出で、独角どっかくという勇猛な戦士団の頭(かしら)として同団に所属していましたが、同団は壊滅させられています。同団の得意な戦闘方法は、飛鹿(ピュイカ)乗りでした。今は、奴隷に身を落としています。「欠け角のヴァン」が彼の別称です。彼は、武闘面で、相当強い感じがします。
仮想の地域です。最初に想像したのは、北海道知床付近の雰囲気、次に考えたのが、紛争が多い中近東、今は、トナカイが登場することから北欧のイメージです。
疫病が関係しています。狂犬病のような感じで、黒狼熱(ミツツアル)といいます。200年前に流行した疫病が復活したようです。お話は、薬のことに発展します。予防接種とか、抗体をつくるための治療薬の製薬話につながります。
ふりがながあるので、こどもさんからお年寄りまでを対象としたファンタジー作品です。途中、ナルニア国物語が頭に浮かびました。医師ホッサルと彼の従者マッコウカンが進行役でお話が進んでいきますが、お話の展開はスローです。
余談ですが、鹿とかイノシシとか野犬とか、オオカミとかが出てきます。先日職場の近くに大きなイノシシがでてびっくりしました。動物園の職員さんが麻酔銃で射止めました。
ここまでで意味のわからなかった言葉として「阿鼻叫喚(あびきょうかん)」があります。調べました。とても残酷な場面だそうです。被害者が、わめき叫んでいるのでしょう。
(つづく)
半仔(ロチャイ。狼と山犬の交配種)に噛まれて病気で死ぬのは、東乎瑠(ツオル)人だけであることから、アカファの呪いという言葉が地域に流れ出る。ツオルに侵略されたアカファ地方の人種はロチャイに噛まれても死ぬことはない。
なかなか複雑な人間関係で、広告裏面に書く項目がどんどん増えてきました。他の読者はなにもせずに理解できるのだろうか。ただし、物語の進行内容は単純でわかりやすい。上巻400ページあたりから話が動き出し面白くなります。
みなし子になったユナ(鮎という意味)女児、登場時は2歳、いまは時が経過して4歳は今後どのような役目を果たすのだろうか。
ヴァンとユナは病気をもったロチャイに噛まれて、バンパイアのような能力を身につけたのだろうか。(私が少年期にはやった月の光を浴びると狼に変身する少年期の役者の水谷豊さん)。体と心は別のものというような記述を見つけました。
ふたつの流れがあります。医師ホッサルとその従者マコウカンの動き、もうひとつは、ヴァンの動き、ふたつの間をつなごうとするのが、跡追い狩人の頭(かしら)の娘サエ(30歳すぎぐらい。忍者みたいです。)
そろそろ核心に迫ってきました。3つの民族が紹介されました。火馬の民、沼地の民、山地の民です。それぞれ、アツアル・オマ、ユスラ・オマ、オフアル・オマと表記されています。民族紛争か。沼地の民は火馬の民の陰に隠れていて目立たない。
(上巻の読書終了。つづく)
下巻まで、読み終えました。たいていの読書は最初の38ページぐらいまでがつらい。登場人物や物語の背景を把握するまでに時間を要します。今回のこの本は、何度も読み返して味わう本だと思います。状況把握がなかなかむずかしい。3年間かけて創作された物語です。数日間では深い部分まで理解できそうにありません。外国の翻訳小説を読んでいるような気がしました。
自分や仲間の居場所を探して平穏に暮らす。それが人生の目標であり、その過程において、困難を克服してゆかねばならぬ。そんな教訓を学びました。
病気に対する抗菌話が長い。苔のような植物、光るのですが、それを元にして抗病素薬をつくる。物語の最初と最後に光る葉が登場します。人の体を「国」と定義して、ウィルスに対する「抗体」の説明があります。一度敵対した相手は忘れない。弱い菌をうって抗体をつくっておく。予防接種の理論です。
印象に残った表現として、氏族の長は、まとめ役であり、けして権力者ではない。
それから、鹿の王とは、盛りを過ぎた鹿が、仲間集団を守るために、自らが先頭に立って、命を落とすことを承知で、敵に立ちはだかる。そうして、種(しゅ)を継続していく。ほかにも、命の循環についての記述があります。卵を産んですぐ死んでいく動植物がいます。
<魂の自分>と<身体の自分>が入れ替わることを<裏返し。オツファ>という。
読み手によって解釈する変身の時期は違うと思いますが、ヴァンとユナは、ときおりのシーンで、人間から犬狼に姿を変えていました。
家族を亡くしてひとりぼっちになった男たちは、国の存亡のために戦っていたのではなく、天国で家族に会いたかったから、死ぬつもりで相手と戦っていた。死にたかった。
これから読まれる方のために少し説明を加えておきます。
<谺主こだまぬしの使い>ヨミダの森にいるスオッルという老人男性の亡妻がカラスにとりついています。
山犬は、火馬の肉を食べてキンマの犬となります。肉を食べたことによって、病気に勝って、神(谺主こだまぬし)の力をもらいました。(わたしはそう理解しました。)
ジカルの森に、狩猟用の館がありました。その館を臨時の施療院にしました。
書評の評判が良かったので読み始めました。まだ途中ですが、感想は書き始めます。最初は抵抗感がありました。鹿を擬人化した物語だと思いました。違っていました。主人公ヴァンは、オスの鹿だと思って読み進めていたら、人間でした。40歳ぐらい、黒に近い茶色の髪をもっています。
登場人物が多いので、新聞にはさまれていた裏面白色の広告を利用して、小説の舞台の地理や人物を書き足しながら理解に努めています。
仮想の戦国時代と思いきやそうではありません。戦いのピークは過ぎていて、東乎瑠(ツオル)という国が、ヴァンの所属していたアカファという地域を支配しています。ヴァンは、ガンサ氏族の出で、独角どっかくという勇猛な戦士団の頭(かしら)として同団に所属していましたが、同団は壊滅させられています。同団の得意な戦闘方法は、飛鹿(ピュイカ)乗りでした。今は、奴隷に身を落としています。「欠け角のヴァン」が彼の別称です。彼は、武闘面で、相当強い感じがします。
仮想の地域です。最初に想像したのは、北海道知床付近の雰囲気、次に考えたのが、紛争が多い中近東、今は、トナカイが登場することから北欧のイメージです。
疫病が関係しています。狂犬病のような感じで、黒狼熱(ミツツアル)といいます。200年前に流行した疫病が復活したようです。お話は、薬のことに発展します。予防接種とか、抗体をつくるための治療薬の製薬話につながります。
ふりがながあるので、こどもさんからお年寄りまでを対象としたファンタジー作品です。途中、ナルニア国物語が頭に浮かびました。医師ホッサルと彼の従者マッコウカンが進行役でお話が進んでいきますが、お話の展開はスローです。
余談ですが、鹿とかイノシシとか野犬とか、オオカミとかが出てきます。先日職場の近くに大きなイノシシがでてびっくりしました。動物園の職員さんが麻酔銃で射止めました。
ここまでで意味のわからなかった言葉として「阿鼻叫喚(あびきょうかん)」があります。調べました。とても残酷な場面だそうです。被害者が、わめき叫んでいるのでしょう。
(つづく)
半仔(ロチャイ。狼と山犬の交配種)に噛まれて病気で死ぬのは、東乎瑠(ツオル)人だけであることから、アカファの呪いという言葉が地域に流れ出る。ツオルに侵略されたアカファ地方の人種はロチャイに噛まれても死ぬことはない。
なかなか複雑な人間関係で、広告裏面に書く項目がどんどん増えてきました。他の読者はなにもせずに理解できるのだろうか。ただし、物語の進行内容は単純でわかりやすい。上巻400ページあたりから話が動き出し面白くなります。
みなし子になったユナ(鮎という意味)女児、登場時は2歳、いまは時が経過して4歳は今後どのような役目を果たすのだろうか。
ヴァンとユナは病気をもったロチャイに噛まれて、バンパイアのような能力を身につけたのだろうか。(私が少年期にはやった月の光を浴びると狼に変身する少年期の役者の水谷豊さん)。体と心は別のものというような記述を見つけました。
ふたつの流れがあります。医師ホッサルとその従者マコウカンの動き、もうひとつは、ヴァンの動き、ふたつの間をつなごうとするのが、跡追い狩人の頭(かしら)の娘サエ(30歳すぎぐらい。忍者みたいです。)
そろそろ核心に迫ってきました。3つの民族が紹介されました。火馬の民、沼地の民、山地の民です。それぞれ、アツアル・オマ、ユスラ・オマ、オフアル・オマと表記されています。民族紛争か。沼地の民は火馬の民の陰に隠れていて目立たない。
(上巻の読書終了。つづく)
下巻まで、読み終えました。たいていの読書は最初の38ページぐらいまでがつらい。登場人物や物語の背景を把握するまでに時間を要します。今回のこの本は、何度も読み返して味わう本だと思います。状況把握がなかなかむずかしい。3年間かけて創作された物語です。数日間では深い部分まで理解できそうにありません。外国の翻訳小説を読んでいるような気がしました。
自分や仲間の居場所を探して平穏に暮らす。それが人生の目標であり、その過程において、困難を克服してゆかねばならぬ。そんな教訓を学びました。
病気に対する抗菌話が長い。苔のような植物、光るのですが、それを元にして抗病素薬をつくる。物語の最初と最後に光る葉が登場します。人の体を「国」と定義して、ウィルスに対する「抗体」の説明があります。一度敵対した相手は忘れない。弱い菌をうって抗体をつくっておく。予防接種の理論です。
印象に残った表現として、氏族の長は、まとめ役であり、けして権力者ではない。
それから、鹿の王とは、盛りを過ぎた鹿が、仲間集団を守るために、自らが先頭に立って、命を落とすことを承知で、敵に立ちはだかる。そうして、種(しゅ)を継続していく。ほかにも、命の循環についての記述があります。卵を産んですぐ死んでいく動植物がいます。
<魂の自分>と<身体の自分>が入れ替わることを<裏返し。オツファ>という。
読み手によって解釈する変身の時期は違うと思いますが、ヴァンとユナは、ときおりのシーンで、人間から犬狼に姿を変えていました。
家族を亡くしてひとりぼっちになった男たちは、国の存亡のために戦っていたのではなく、天国で家族に会いたかったから、死ぬつもりで相手と戦っていた。死にたかった。
これから読まれる方のために少し説明を加えておきます。
<谺主こだまぬしの使い>ヨミダの森にいるスオッルという老人男性の亡妻がカラスにとりついています。
山犬は、火馬の肉を食べてキンマの犬となります。肉を食べたことによって、病気に勝って、神(谺主こだまぬし)の力をもらいました。(わたしはそう理解しました。)
ジカルの森に、狩猟用の館がありました。その館を臨時の施療院にしました。
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