2015年01月11日

向日葵の咲かない夏 道尾秀介

向日葵の咲かない夏(ひまわり) 道尾秀介 新潮文庫

 同作者「貘の檻(ばくのおり)」を読んだあと、この作品にたどり着きました。10年ぐらい前の作品なので、作者にとっては、初期作品なのでしょう。
 読み始めでは、児童文学かと思い違いをしそうになりました。小学校4年生のミチオ(摩耶道夫)が主人公です。作者の名字も道尾なので、重ねてあるのでしょう。登場する刑事の名前は「貘の檻」と同じで、谷尾と竹梨です。
 読んでいる途中で、これは、児童には読ませられない。読者対象は15歳以上高校生だと考えました。児童虐待とも思える兄妹間差別のネグレクト(育児放棄)、児童男児の裸を愛する変態教師、ネコ虐待などがその要因です。おどおどろしい内容が、途中、なぜかしら子どもが書いたような文章で続くのです。スリラー、ホラーであり、サスペンスであり、ファンタジー(幻想的)なのです。そして、推理小説の形式をとってあります。
 読み終えてみると、おそらく道尾ワールドという独特の世界があるのでしょう。遠い昔、自分の心や気持ちが不安定だった十代なかば過ぎの頃の感覚を呼び起こされました。人間が人以外のものに変わる。死後も命の継続は絶えない。そんな感覚をもちながら詩をつくっていました。
 出だしがうまい。物語は、夏休みに入る頃、7月20日にスタートします。いじめにあっていたS君が自宅で首をつって死んでいます。アブラゼミがわんわんとないている。そして物語は、8月初めに終わります。
 以下、いろいろ考えたことです。
 学校欠席者の給食のパンを近所の児童が届けていた過去があります。担任の岩村先生に頼まれたミチオですが、現在であれば、児童の様子を見るために担任が家庭を訪ねなさいということになるのでしょう。
 ネコはそう簡単に人間に捕まらないし、殺されない。ネコの足の骨を人間が簡単に折れるはずもない。
 殺人現場を確認せずに児童の証言だけで、警察に通報することはない。
 第一発見者であるミチオも現場に連れていくべき。
 □(しかくの表示がありました)に言葉を完ぺきに埋めることはできなかった。
 推理は安定しているようで、不安定。要は、いかようにも変更可能
 途中、教師や親、大人に対する憎悪があるのかと思った。
 不満が限界を超えたとき、人は犯罪をおかす。


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