2015年01月03日

貘の檻(ばくのおり) 道尾秀介

貘の檻(ばくのおり) 道尾秀介 新潮社

 力作です。422ページの長編ですが、12月29日(月)の午前5時30分から読み始め、途中、家の用事や居眠りをしながら、午後10時42分に読み終えました。2015年に、なにか賞を受賞するかもしれない作品でした。映画化ドラマ化されるかもしれません。ただ、内容は暗い。
 時代設定は、昭和59年です。舞台は長野県の山村。昭和50年代にはやった金田一耕助シリーズ「八つ墓村」とか「犬神家の一族」などの流れをくむホラー、怪奇を帯びた推理小説だと受け取りました。
 難点として、難しい漢字が多い。方言や地名の解説は、読むことが手間でした。
 詩のような文章から始まります。前半・後半が、3章、3章の2部構成です。
 主な登場人物は離婚後1年が経過した心臓病がある大槇辰夫(おおまき)、その息子が俊也(しゅんや、小学校3年生男児、親権者母)、曾木美禰子、医師三ツ森塔士、大槇とき子、檜場以津子(ひのきばいつこ)、彩根(あやね)、長野県警の刑事谷尾、竹梨などです。
 元妻智代に男ができて再婚するかもしれない。定期面会に来た息子俊也と主人公父親辰夫の様子あたりから始まります。離婚を大人の身勝手として、息子に着目していくと、涙なくしては読めない重松清作品に近づいていきますが、そうはなりません。
 薬へのこだわりがあります。「プロプラノロール」心臓の薬ですが、精神病への効果もあるらしい。
 32年前に起きた殺人事件の掘り起こしです。夢を食べる貘(ばく)という仮想動物ですから、悪夢がときおり章と章の間に配置されています。243ページから続く夢は、意味をとれませんでした。事実の間に夢をはさむ手法は、読み手が理解するにはむずかしい。
 忘れたい過去があります。この小説では、忘れたようなふりをしている過去をよみがえらせようとする動きで主人公が苦しみます。読み終えて一夜明けた今、内容をふりかえってみると、ハッピーエンドだったことに気づきました。
 わからない単語がありました。「奸計(かんけい)」調べました。悪だくみでした。
 もうひとつの難点として、プラットホームシーンには、無理があると感じる読み手はわたしひとりでしょうか。首をかしげました。
 龍の胃袋は想像できますが、獏(ばく)のイメージはなかなか浮かんできませんでした。


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