2014年12月03日

「社員を大切にする会社」の人事評価 高橋恭介

「社員を大切にする会社」の人事評価 高橋恭介 PHP

 人事は難しい。3割うまくいけばいいほう。そういう基準の世界です。
 本書では、ゆきすぎた成果主義が功を奏していない。こうすればいいという提案がなされています。
 著書を書き始めた頃、著者は38歳です。学齢社会、終身雇用、年功序列の最後の世代です。時代の転換期に巡り合わせました。
 著者はまずPDCAサイクルを説きます。目標設定・実行・評価・査定の手法です。1日に4回それを繰り返すという記事もあります。
 ホワイトカラーの生産性が低い。働いても働かなくても給与は同じ。内部抗争に明け暮れている。敵は外にあるのではなく、内にある。そこまで読みこめる内容です。
 適材適所の人材配置をしたいと人事担当者のだれもが思っています。それが、なぜできないかというと、接客苦手、営業苦手、心身の病人であったり、妊娠・出産・育児・介護がからんでいたりします。うまくいかなくて、ときおり不祥事に近い行為が発覚しそうになる。人を適正配置できる環境にないのです。
 分析が続きます。日本型経営は、会社=家庭でした。会社での滞在時間が異常に長い。それも経済の成長時期だったからできたことでした。今は、社員の貢献に対する見返りの高額な給与や手当を支払うことができない時代になりました。また、書中にあるとおり、不動産投資のうまみが薄くなりました。
 だとしたら、どう人事評価をしていくべきなのか。社員はどう考えて、決めていけばいいのか。
 IT化(情報技術化)で、商売は大きな変化を遂げました。店舗がなくても売り買い、契約ができるようになりました。
 さて、人事です。昔は野球にたとえられることが多かった。4番バッターばかりが9人並んでも勝利できません。いかに個性を引き出して、チームワークを組むか。排除は短絡です。育成が大事です。
 アドバイスとして、「仕事を趣味とする」と提案があります。確かな助言です。お金だけのためにということだと長続きしません。転職をすると生涯獲得賃金は低下します。凡人にとっての高額な収入はたいてい一時的です。
 サラリーマンの場合、学力に応じた仕事がいきなり与えられることはありません。下積み時代を経験します。
 経過は関係ない、結果がすべてだという理論は過去のものです。経過は、未来のためのものです。結果は一時的なものです。
 自分で、こうして欲しいと思うことをやる。自分がお客さまの立場だったらと考える思いやりが大事です。
 後半では、査定の数値的手法が紹介されています。中間的な点数の付け方をやめる。小刻みな評価結果を給与に反映させる。
 定年が近くなってきました。これからは、自分で仕事をするのではなく、教える立場でやっていきたい。

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