2014年12月02日

「ニート」って言うな! 本田由紀 内藤朝雄 後藤和智

「ニート」って言うな! 本田由紀 内藤朝雄 後藤和智 光文社新書

 2005年、10年前の本です。その点で、話題は古いし、登場人物ですでに亡くなっている人もいます。読みながら、人は、いつの世も、なにがしかの課題を抱えながら困っている。明快な解決策を見いだせないまま、人はもんもんと日々を暮らしていく。こうでなければならないという形づくりをやめたとしても、人は生きていかねばならない。そんなことを感じたり、考えたりしました。
 3人の記述内容の目標は、日本的「ニート」の考え方を否定するものです。誤解をもたれた若者たちを応援する内容でもあります。
 NEET、Not in Education,Enployment or Training 英国では、16歳から18歳、なのに、日本では、15歳から34歳、英国は、失業者を含むのに日本は含まない。日本が定義するニートは、学生でない、未婚者、働いていない、求職活動もしていないというものです。平成16年厚生労働省の労働経済白書では、日本におけるニートらしき層は、52万人。著者は、分析を続けます。過去と比較して、ニートは大きくは増加していないという結論を導き出します。ニートと呼ばれる層は、過去から存在していた。
 10年後の現代の若者にも照らし合わせながら読んでいると現代の若者が気の毒になります。昔は、学校と企業が協力して学生に仕事についてもらう道があった。その手法は、バブル経済時の大量雇用とバブル経済の崩壊で縮小された。団塊の世代とそのジュニアの世代構成によるアンバランスについても書いてあります。
 高齢化社会による定年延長、女性の進出、その2点によって、卒業後の若者が雇用される場、雇用される数が失われたとも読み取れます。
 さらに、犯罪とつなげた、マスコミの誤ったイメージづくりについて書いてあります。ニートが凶悪犯罪の犯人となる。著者はこれも否定します。ひきこもりとは違うと意見を述べられています。テレビ番組というものは、加工されたものです。意思の誘導が可能な手段です。
 本は、ニートの全体像をとらえながら解説・解釈を続けますが、読み手は、「個」として、どうしたらいいのかと考えながら読み進めます。
 政府の各種自立支援政策は、ニートである個人のためにはなっていないと解説があります。個人はよけいに心が傷つくことになっている。
 将来の日本の姿が見えてくる本です。過去のような高水準での経済成長は見込めません。だれもが金銭的に豊かというわけにもいきません。正規雇用の割合は、小さくなりました。時給いくらの労働期間が長い。高学歴(大卒)だから、生涯獲得賃金が多くなることもない。40年前とは時代背景が180度変わっています。経済的な面では日本の先行きは明るくありません。
 解決策として、中途採用の促進、フリーターの正社員化が考えられます。女性の社会進出とうたうのは、実は低賃金(時給)・社会保険なし、雇う側にとって有利な雇用形態を確保するという意味合いを思いつきます。
 102ページから103ページにある複数の人たちの再起話はよかった。
 「パラサイト」の意味がわからなかったので調べました。直訳は寄生虫、親に寄生するこどもという意味らしい。
 10年前の本を読み10年後を考えました。30年ぐらい経過したら一定の水準で落ち着くのでしょう


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