2014年10月28日

どうしても許せない人がいるときに読む本 心屋仁之助

どうしても許せない人がいるときに読む本 心屋仁之助(こころやじんのすけ) 中経出版

 “はじめに”で、いきなり、「許す」という結論から入る異色な構成です。過激な本のタイトルですが、中身はソフトです。具体的な事例はなく、抽象的でもあります。読み始めは、耐える本というイメージが生じますが、自分なりに、あきらめる本と読みかえました。
 どんなときに許せない気持ちが生まれるのか。人格を否定されたとき。存在を無視されたときが考えられますが、この本では、大切なものを奪われたとき、ほしかったものを、もらえなかったときの2分類化してあります。損得に耐えられない人がいます。 勝手に自分で傷ついているという表現にあてはまる人もいます。書中では「すねている」との表現もあります。周囲に常に攻撃対象がいないと自分を浮かび上がらせた生活ができない人もいます。
 50ページにある「ま、いっか」の割り切りは大事です。これで終わりにする。引きずらない。
 中盤から後半にかけて読み継いでいくと、大丈夫だろうかと不安になります。なんでもかんでも許していたら、感情を抑圧しすぎて、自己を支える「個性」がなくなります。その点を心配していたら後半で少し逆転します。章「本音を言う」あたりから、相手を攻撃します。“黒いオーラ”という単語が印象的です。
 強い被害者意識をもつ人がいる。自分は何も悪いことはしていないと思っている。でも、そうじゃない。何事も両面性があります。そして、実は、相手も弱い。相手との一体化は、先日読んだ「自分」の壁、養老孟司著と共通するものでした。とどのつまりは、そこに行き着くようです。

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