2014年08月31日

となりのクレーマー 関根眞一

となりのクレーマー 関根眞一 中公新書ラクレ

 となりのというよりも百貨店のクレーマー対策です。
 うすい本ですが、一話一話の内容がけっこう重いので、読むのに時間がかかりました。
 支払いをしてくれないお客さんの取立てやサービスに対する苦情の応対は仕事の基礎です。だれしも嫌がる分野ですが、ある程度の水準の能力をもつことは長年働くための有益な技術です。体験が一番の研修です。体験しながら試行錯誤をしていく。どうしても失敗は生じます。めげない、あるいは鈍感であろうとする精神状態を保つことが秘訣です。クレーム対応ができるようになると自信がつきます。また、周囲からの信頼を得ることもできます。
 クレーマーの定義が書いてあります。いちゃもんをつける人、理不尽な要求をしてくる人、無理難題を言って楽しんでいる人とあります。だれしも、クレーマーになる要素をもっているし、逆にクレーマーに対応しなければならなくなる機会が訪れます。
 読んでいて、クレーマーは心の病気ではなかろうかとか、性格のバランスがくずれているのではなかろうかとか思いをめぐらしました。治療が必要に見えて治療はないという結論になりました。先日読んだ本「自分を好きになる方法」本谷有希子著では、高齢者女性が電話を利用してクレームをする姿が浮き彫りにされていました。
 高学歴の人もそうでない人もクレーマーはいます。ペーパーテストではなかなか人物像はつかめません。その点、周囲の人たちへの聞き合わせが確実性が高い。
 相手に同意を求めてからのやりとりの録音はむずかしいけれど、必要があれば勇気をもってやらねばなりません。また、知らないうちにこちらの対応を録音されているかもしれないという警戒心はもっていたい。
 事例を読んでいると、たいへんだなあという気持ちになります。危害を加えられて警察介入になったほうがやりやすい。こんなことが続くと憎悪社会になって復讐がなされるのではないかと心配になります。対応時間がとても長い。2時間半から5時間、立ちっぱなしのときもあります。期間も長引きます。数か月から1年、金銭を要求されることもままあります。お別れの時期は人事異動時になることもあるでしょう。内容はもう10年以上前のことです。なつかしき過去です。思い出多き人生は良き人生と思いたい。
 著者のように上手に対応できる人は少ない。クレーマーが生まれる原因は何でしょう。書中では「格差社会」と分析されています。年収が単身で400万円以上あればクレームすることを思いとどまるそうです。なんでも金次第なのかも。
 2007年の本です。いろいろ努力されていますが、百貨店も衰退化、あるいは独り勝ちの時代です。努力をしてもむくわれず、時代は無言で変化をしながら流れていきます。
 本の内容は、百貨店を離れて今度は個人医院のお話になりました。教師の話が追加され、うまく対応できなければ両者ともにうつ病発症です。狭くて窮屈な世界ではクレーマーはしたい放題がしやすい。50年前から180度転換した現代社会は、50年後さらに180度転換して元に戻る可能性も秘めています。現状維持という固定化はないのです。
 グッドマンの法則が紹介されています。一人の苦情申し立て者の後ろには同一内容の苦情をもった26人がいるとあります。3人なら100人近くの人たちが苦情を言いたくても言わずにがまんされていることになります。これは、よく考えなければなりません。
 著者の自信に満ちた説諭でした。いいところは学びたい。


この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t102800
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい