2014年07月09日

ぐるりのこと。 映画 DVD

ぐるりのこと。 映画 DVD

 法廷画家の仕事をとおしながら、1990年代初めから2001年7月までの同画家夫婦とその親族のやりとりを淡々と描いた映画です。
 結婚当初、よく話し合う夫婦です。昔の夫婦はあまり会話をしませんでした。とくに男は無口でした。93年冬から始まります。
 観ていると元気をなくしていく映画です。そのときどきの時代ニュースが背景に流れますが、幼女誘拐殺人事件とか、小学生大量刺殺事件、サリン事件など、法廷では暗いやりとりが続きます。また、カナオと翔子夫婦の関係もうまくいきません。だらだらと暮らすカナオ、きちんとしたい翔子は、ミスマッチです。
 じとじとした雨が降り続くような夫婦生活が続きます。明るい未来が見えてこない生活です。翔子にとっては、夫からの愛情が感じられない毎日です。そして、夫は、それは、それでいいと思っている。
 93年冬、93年夏、94年冬、95年夏、97年秋と歳月は流れていきます。ふたりとも疲れています。ふたりは子を亡くして、翔子は退職して、うつ病になってと、うまくいかないことが続いたのですが、お寺さんで、お寺に飾る日本画の絵を描くことを勧められて、描画に熱中していくあたりから、同じく絵描きである夫カナオさんとの歯車が噛み合うようになります。
 劇中何度か使用されるキーワードが「逃げない」です。逃げないことが、「再生」につながっていきます。
 夫婦生活とは別のラインで、日本国の狂気じみた犯罪歴史経過の振り返りがあります。犯人には喜怒哀楽の感情がなかったり、怒りの感情しかなかったりします。人間不信の固まりだったりもします。そのシーンを挿入した監督の意図は、今日観たときには伝わってきませんでした。
 蛇足として、下ネタ多し。屈託なく話せる仲間が男女混合でいることが、ちょっと素敵だと思った。
 あいかわらず、喫煙シーン多し。たばこシーンが昔の映画に多いのは、影でたばこ会社がスポンサーになっていたのではないか。それは、企業の利益ということではなくて、税収の確保ではなかったのかとかんぐってしまう。
 観終わってもわからないのが、タイトルの意味です。「ぐるりのこと。」。ぐるりは人の名前ではありません。時代をぐるりと回る、たとえば12年間の干支(えと)、それぐらいしか考えがおよびません。(ネットで調べたら、身の回りで起こる様々なこととありました。)
 映画の最初は翔子の「決める」意図が強く表現されます。それが原因で夫婦は衝突します。また、翔子は職場で部下と衝突します。翔子は、自分の思い通りにならないことが続いて行き詰まります。割と多くの人が体験するパターンです。行き詰ったあと、人は、流れにのることを覚えます。いいとかわるいとかではなく、流れにのっているかいないかで物事を判断するように変化します。この世に、いいとかわるいとかいえるものは数にすると少ない。
 周囲との共同生活に気を配っていれば高い収入を得ることができます。気を配ることに疲れたら低収入でよしとして、ひとりで作業をする職業を選択できます。行き詰ることなどないのです。


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