2020年12月12日

あなたの名前を呼べたなら インド・フランス合作映画

あなたの名前を呼べたなら インド・フランス合作映画 2018年公開

 インドの風景を楽しめたことが良かった。
 インドには身分制度あることがわかりました。

 あなたの名前を呼べないのです。
 主人と召使いの関係です。若い未亡人女性の召使いは、結婚適齢期の若い主人を「旦那さま」とは呼べますが、「なになにさん」という名前では呼べないのです。ご主人と召使いの恋愛はありえないこと、あってはいけないことなのです。でも、この映画ではあってしまいました。

 インドのムンバイは東京のような大都会でビルがいっぱいでした。美しい夜景があります。
 いっぽうスラムのような共同住宅が対比として何度も出てきます。洗濯物がいっぱいぶらさがっています。まわりには、警笛がなる雑踏があります。

 若いインドのご主人さまは、小食です。あれだけでは足りません。
 召使いたちは、床に座って、素手でごはんを食べる。メイドの暮らしはけっこうきつい。

 淡々と時間が過ぎて行きます。裁縫店、ご主人宅、市場、召使いの実家など。
 歌が流れるのはインド映画の特徴です。人生の応援歌が流れます。
 カラフルカラーな布地がいっぱい。
 裁縫は、男性が教えて女性が学ぶのか。裁断とかミシンの使い方とか。ちょっと意外。

 お金持ちの暮らしも意外と不自由です。
 召使いのラトナの夢は服飾デザイナーになること。
 アメリカニューヨークに居住経験がある若いご主人さまの考えはインド的ではなく、アメリカ的です。ご主人さまの「誰でも夢をかなえる権利がある」というセリフが良かった。そして、「構わない、俺の人生だ」
 身分を超えて恋愛関係に発展していきます。恋愛に身分差はありません。ただ、ご主人さまが召使いに愛情をもった理由がしっかり伝わってきませんでした。召使いのラトナのセリフも良かった。「あなたの情婦は嫌です(性のはけ口扱いにしないでください)」

 贈り物で愛情の気持ちを表す社会です。

 未亡人差別があります。若くして結婚して未亡人となったラトナは、いったん都会に出たあと、帰るところがありません。実家がある村には未亡人を差別する慣習があります。

 男は弱い。
 ご主人さまからの謝罪とラトナに利益を与える行為があります。
 結婚はできないけれど、気持ちはつながっていたい。  

2020年12月11日

うんちしたのはだれよ! ヴェルナー・ホルツヴァルト

うんちしたのはだれよ! ヴェルナー・ホルツヴァルト・文 ヴォルフ・エールブルッフ・絵 関口裕昭・訳 偕成社

 だれのうんちなのか、犯人さがしです。
 創作したのはドイツの人たちです。
 もぐらのあたまに、うんちをおとした主がわかりません。

 日本人の感覚では、もぐらくんが、もぐらの絵に見えないのですが、リアルなもぐらなのでしょう。そして、リアルなうんこです。なんか、にんげんのうんこにも見えます。

 もぐらがひとりずつこれはだれのうんちかとあたります。
 ハト、ウマ、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ブタ…… うんこは固形もあり、液状もありです。これを見てこどもは喜ぶのかなあ?

 どうぶつたちのうんこはリアルです。
 なんか、におってきそう。
 ワンパターンなので、ちょっと退屈になってきました。

 うんこの専門家が登場しました。専門家は、くろばえたちです。犯人がわかりました。(ここには書きません)

 もぐらのしかえし成功の絵本でした。  

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2020年12月10日

みんなうんち 五味太郎

みんなうんち 五味太郎 かがくのとも絵本 福音館

 1981年の発行です。もう39年がたちました。
 おおきいうんち ちいさいうんち
 リズムがあります。
 さかな、とり、むし、うんちをしないいきものはいない。
 へびのおしり?
 うんちのいろんなパターンです。多種多様です。
 真理があります。(変わることのない物事の筋道)
 食べるから出る。出るから生きていける。
 きどらず、かくさず、ありのままに。お互いを認め合う。
 歌を聴いたような余韻が残りました。さわやかな気分です。  

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2020年12月09日

おならうた 谷川俊太郎

おならうた 谷川俊太郎・原詩 飯野和好・絵 絵本館

 絵が妖怪ぽい。紫色のおいもに顔があって怖い。
 おしりから出ている黄色い煙がおならです。
 短文で笑わせてくれます。
 「すかして へ」が好みです。
 二頭のブルドックの顔が犬に見えないぐらい迫力があります。
 うーっ。おならだけではなくて、実も出そう。
 「おふろで ぽ」もおもしろい。ぶくぶくぶくぶく。水中を上昇するガスです。
 「こっそり す」絵は、明治時代、大正時代みたい。
 忍者が出てくるから戦国時代か。
 ふたごのあかちゃんのおならが、かわいらしい。
 絵に迫力があります。
 最後のページでアイスを食べている女の子は、「ぷ」か「すっ」かな  

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2020年12月08日

もっちゃう もっちゃう もう もっちゃう 土屋富士夫

もっちゃう もっちゃう もう もっちゃう 土屋富士夫 徳間書店

 ちいさなこどもに、寝る前に絵本を読んであげるから、読んでほしい本をもってきてごらんというと、たいていは、本だなから、うんこの本と電車の本をもってきます。
 ちいさなこがどうしてそんなにうんこが好きなのかわからないのですが、これから、うんこ、しっこ、おならの本を何冊か読んでみます。まずはこの本です。

 おしっこがでそうなのですが、おトイレが近くにないので、少年ひでくんはあせるのです。

 2000年が初版の絵本ですから、もう20年がたちました。

 主人公はひでくんで、場所はデパートから始まります。
 かんたんにトイレに行けそうですが、そうはなかなか行けません。
 発想がおもしろくて楽しい。
 屋上からトイレを求めて階段をくだっていくひでくんです。絵に動きが感じられます。
 妖怪も出てくるので、こわがりの子には、こわくてむりかも。おしっこをちびりそうです。
 障害物競争です。まるで人生のよう。
 階段の途中のへんなところに男子用の立ち小便器があります。
 落語かドラマのオチのようでした。楽しかった。  

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2020年12月07日

びりっかすの神さま 岡田淳

びりっかすの神さま 岡田淳 偕成社文庫

 本のカバーに「路傍の石幼年文学賞(ろぼうのいし)受賞作品」とあるのを見て、そういえば、中学生の時に「路傍の石」を読んでいたことがあると思い浮かべました。もう内容は忘れましたが、少年の成長物語だった記憶です。
 この本は、さきに巻末のほうを見ると、1988年の作品を文庫化してあるとあります。
 小学生向けの本です。

 木下始(きのしたはじめ):転校生。4年1組に転入しました。
 市田先生:担任の先生
 森みゆき:テストの点数が、10点満点で、1点でした。

 木下始は、転校後の教室で、透明なへんなものを見ます。
 体長20センチぐらいで、背中に天使の羽をつけたサラリーマン風の男性が空中を飛んでいます。

 どこかで聞いたような話です。木下始の身の上話です。
 7月のはじめごろ、突然お父さんが病気で亡くなりました。
 母子家庭の暮らしが始まります。似たような体験が本を読み始めた自分にもあります。
 物語のなかで、母親が始に語ります。
 「お父さんはおまえにがんばれという言葉を残して死んでいったけれど、負けず嫌いのお父さんは人に勝つためにがんばって、結局体を壊して死んでしまった。それって、ほんとうにいいことだったのか。わたしはあなたにがんばってほしくない」(1955年ぐらいから20年間ぐらい続いた高度経済成長期の労働を思い出しますが、現在もなお過労死する人はなくなりません)
 印象深い文章として『「だれもいない砂漠を、いっしょうけんめいに、ひとりで走っているお父さんのすがたがうかんだ。お父さんは、走って、走って、とつぜんつんのめってたおれた」おとうさんのことをかわいそうだと思った。』

 そして、お話は、そういうことに反発して、おもしろそうな雰囲気になってきました。

(つづく)

 授業は、算数→図書→体育→理科と続いていきます。
 びりっかすの神さまという存在が木下始以外にも見え始めます。これまでいつもびりだった森みゆきにも見えます。神さまを含めた三人が心の中の言葉で会話ができるようになりました。
 木村始は、神さまにさわれるようになりました。

 びりっかすの神さまは、テストの最低点をとったこどものところに現れます。
 それは、びりっかすの神さま自身の意思ではなく、だれかにそうさせられているようです。
 びりっかすの神さまの姿は、やつれて、元気のないおじさんに見えます。とても神さまには見えません。背中に羽があって飛んでいるから神さまと思えます。(過労死防止の神さまだろうか)

 「遅い」ことは、わるいことだろうか。じっくりやるとどうしても遅くなります。だから早めに始めるということはあります。時間をかけるとたいてい、いいものができあがります。

 癒しの(いやし)の文学です。
 「お母さんは、ぼくにがんばってほしくないっていっているんだ(お父さんは人に負けないようにがんばりすぎて病気で突然亡くなったから)」
 「人に勝つためにだけがんばるのはおかしい」
 
 やりかたは間違っているけれど、心に優しい部分もあります。(カンニング)

 今年読んで良かった一冊です。

 誤解を解くためには、正直に、率直に、会話をすることが大事です。

 ひとりだけでがんばらない。みんなで協力して目標を達成する。そのときには、役割分担をするということもあるのでしょう。

 展開はおもしろい。最初は、0点がびりっかすの点数でしたが、最後は満点がびりっかすの点数になります。
 途中、びりっかすの神さまは何者?という疑問が生まれてきますが、さいごあたりになんとなくの答があります。
 だれかをいじめのターゲットにして、いじめでストレス解消をしてはいけません。不幸が訪れるからです。
 先生が困ってしまいます。先生とこどもの相性が合わないと、こどもも先生もたいへんでしょう。

 良かったフレーズとして、
 一番になるよりも、ともだちができるほうがいい。

 転校してきた子には優しくしてほしい。

 ふりかえってみれば、昔は、生徒たちのテストの成績を成績順で廊下に掲示していた中学校もありました。当時はそれがふつうの感覚でした。競争です。  

Posted by 熊太郎 at 06:59Comments(0)TrackBack(0)読書感想文