2020年11月30日

パリ、嘘つきな恋 フランス映画DVD

パリ、嘘つきな恋 フランス映画DVD 2018年公開

 フランスに観光旅行に行った気分になりたくて借りて来ました。
 最後でどう落とすのだろうと思いながら観始めました
 偶然の出来事から自分は車いすの障がい者だという嘘のところから話が始まり、彼は車いすの障がい者の女性を愛するようになります。

 いくつかの心に響いた言葉、おかしくて笑ってしまった言葉などとして、
 (車いすの女性が自身の障がいに)向き合う。受け入れる。
 同情は拒否する。
 (車いすの女性の言葉)訪れた恋が続くことがわたしにはない。
 「(車いすの女性が:彼は)歌が、本当にへたなの」
 「(男性が)ぼくはポニーだから(ポニーから落馬して歩けなくなった)」
 
 クラッシク音楽とリズミカルな歌が素敵でした。

 誠意って何だろう。誠の気持ちって何だろう。

 71分付近の水の演出が良かった。そういうことかと発想に驚かされました。

 中華料理店で、日本語の「アリガト」という言葉が登場人物から出たのは不可解でした。中国語を使うお店にいるはずのような。

 滝から落ちたような急激な展開にとまどいました。ただ、どうもっていってもこうなります。

 ルルド:フランスにあるキリスト教の巡礼地

 アルプスの少女ハイジに出てくるハイジとクララとペーターを思い出しました。

 人間味あふれるいい映画でした。今年観て良かった一本です。すばらしい。感謝します。人は気持ちの持ち方でどこまでも強くなれる。
 人の心に優しい映画でした。へこんでいるときこそ応援を。
 最後の「みんな立ち上がろう」が良かった。  

2020年11月29日

(再鑑賞)ナイトミュージアム DVD

(再鑑賞)ナイトミュージアム DVD 2007年アメリカ映画

 英語のリスニング練習をしながら観ました。こどもさん向けの楽しいムービーです。展示物が意思をもって動き出します。ニッキー少年が10歳、実父のライリーがいますが、離婚して、今は定期的に面会する関係です。母親は再婚してニッキーは新しい父親と暮らしています。

 (無職、家賃滞納追い出されの父親に対して息子が)アーユーリーブアゲイン?(また引っ越すの?)
 (ハローワークの職員がいいかげんな暮らしぶりの父親に対して)アイキャントヘルプユー(力になれない)
 (父親が博物館長に)アイニードゥアジョブバイトゥモロウ(明日までに仕事に就かねばならない)
 警備員のおじいちゃんたちの言動がおもしろいのですが、彼らは実は悪人たちです。
 ヒーイズザワン(父親はこの仕事にぴったりだ)
 博物館の夜のひとり警備は、最初は怖いのですが、やがてコメディへと変化していきます。
 アイルシーユートゥモロー(また明日ねー)
 警備役の主人公の父親は、映画の撮影場所に紛れ込んだ人のようです。
 フォローミー(ついてこい)
 こういう発想は昔からあったのでしょう。夜になると展示物たちが生き返って動く。
 実の息子を前妻の夫にとられた寂しい父親の話の面があります。
 ザッツクール!(最高!)
 ダアディ OK?(とうさん大丈夫?)
 ニッキートラストミー!(ニッキー、パパを信じるんだ!)
 歴史の学習のようです。
 空想の世界です。
 アメリカ合衆国らしい映画です。
 アメリカはスターの出現を待ちわびています。
 アメリカ人はスターになりたい。
 ユアファーザーイズザグレートマン!(ニック、君のパパは偉大な人だ!)
 自分は人さまの役に立っているという誇りをもって仕事をしようというメッセージがあります。

(再鑑賞)ナイトミュージアム2 2009年公開
 ウェンユーボーン?(いつ生まれましたか?の質問に答えはたしか、1858年でした)
 なにも展開がわからなかった前作のような緊張感はありません。
 特殊撮影のオンパレードです。
 セリフ回しはくどいときもあります。
 いつかアメリカへ行くことがあったら、映画にあるワシントンのスミソニアン博物館に行ってみたい。
 アイドンノウ ホワットハップン(何か起きているのかわたしにはわからない)
 アイハヴカムバック(わたしはこの世に蘇った(よみがえった))
 たぶんエジプト文明から3000年の時を超えてよみがえった王が世界征服を狙っています。
 にぎやかです。
 英語はむずかしくて聞き取りにくい。
 ディスイズユァレスキュー(あなたの助っ人(すけっと)です)
 キャンノットスタンド(リンカーンの言葉です。ふたつに分裂した国は崩れる。今のアメリカ合衆国の様子と重なります)
 ウィアーノットゴーーイングアタック(われわれは攻撃はしない)
 ハイデヒング(隠れている)
 マイビケストミステイク(人生最大のミス)
 ホワットアーユー?(おまえは何者だ?)
 アイアムアガード(警備員だ)
 マイプレジャーオスコース(もちろんよ)
 テレビゲームと映像の一体化みたいな映画のようでした。また、博物館の宣伝映画でした。


(2014年1月29日のときの映画鑑賞感想文)
ナイトミュージアム 1と2 映画 DVD
(作品1)
 自然史博物館の展示物が夜になると動き出す。
 離婚後息子を妻にとられた父親が博物館の警備員として大活躍をして父親としての権威をとり戻す。
 映像がきれいです。楽しそうで、期待感をもちながら観始めました。正直、最初は怖かった。だんだん慣れてきます。ティラノザウルスの骨格が、「遊んでくれ」とじゃれてくるシーンはかわいい。学習するとか、仕事を継続するとかの強い意志が底辺に脈々と川のごとく流れています。目指すは、対立するもの同志の「共存」です。そこには当然「愛」があります。
 2巻目はどうするのか、楽しみです。
(作品2)
 最初の作品で恐怖感をもった展示物に対しては仲間意識が生まれて、その点では物足りない精神状態で観賞が始まります。されど、創意工夫が巧にほどこされていて楽しみました。歴史学習の面があり、この点でこどもさん向けの良質な作品です。
 心に残った表現は、ルーズベルト大統領が言いかけたセリフで、主人公の警備員ラリーがあとをついだ「しあわせとは、好きな人と好きなことをすること」でした。  

2020年11月28日

ローカル路線バス陣取り対決の旅 山形駅から宮城県松島まで

ローカル路線バス 陣取り対決の旅 第三弾 山形駅から宮城県の松島まで テレビ番組

 太川陽介チーム:安藤美姫 加藤涼
 河合郁人チーム(A.B.C-Z かわいふみとチーム):川村エミコ(たんぽぽ) 別府ともひこ(エイトブリッジ)

 番組内容は、河合郁人チームが大逆転するような流れでつくってありましたが、太川陽介チームが勝って平穏そうなゴールを迎えました。
 太川陽介チームは、勝負には勝ちましたが、チームワークでは河合郁人チームに負けました。
 太川陽介さんは独断専行でした。(まわりの助言を聞かず自分だけの判断でいっぽうてきにプランを決めてごり押しで進める)そうなると、もうチームで動く必要がありません。個人の闘いです。安藤美姫さんと加藤涼さんは、ただただいやいやくっついていっただけでした。手間をかけて努力して考えたおふたりのアイデアは採用されませんでした。
 いっぽうの河合郁人チームは僅差で負けたとはいえ、やりがいと楽しさがある活動風景がありました。三人の交流はこれからも続いていくでしょう。情報を集める。情報に基づいて複数の作戦を立てる。作戦を選択する。実行する。ふりかえりをする。まるで、職場の研修風景です。
 されど、負けが続いている太川陽介さんの必死さもわかります。この番組とは別の路線バスVS鉄道の旅での村井美樹さんとの勝負も過酷で死闘です。蛭子能収さんではなく、一時期認知症が始まったのではないかという太川陽介さんご本人のぼけたような様子(地名や駅名を忘れる・間違える。待合所に荷物を置き忘れる)がありましたが、負けが続いて、精神力が引き締まったようです。ただ、がんこでどうにもこうにも頭が固くなっています。(そのうち「老害」と呼ばれそうです)
 今回はゲストの体調も考えて周囲からも言葉があって、早めにゴールしたのでしょう。それらのことが、いいともよくないともいえません。そういうときもあります。

 ロケ風景を見ていていろいろ気づきます。
 平成の大合併の時期に合併しなかったのか、たくさんの町や村がそのまま残っています。便利さよりも不便でもいいから今の生活を継続したいという地元の人たちの気持ちが優先されたのでしょう。
 地元の名所、名物を複数の人たちに訪ねてもあいにく知りませんという返事の人ばかりです。人は、ふだん、自分が動く周囲2.5mぐらいの範囲内のことにしか関心をもてません。毎日同じルートを通って働いて収入を得て変化の少ない生活を淡々としていくだけでせいいっぱいです。地味であることが暮らしの基本です。
 
 たしか、路線バスVS鉄道の旅対決で出ていたゲストさんが言っていました。「この番組は人生の縮図のようです。いいときもあれば、そうでないときもある。波がある」いいときは、素直に喜び、よくないときは、くよくよしてやる気をなくしてしまうのではなく、またいいときがくると期待して気分転換をする。それでもどうにもならなくても、最後はやはり、生きていられただけでもよかったと思いなおす。  

2020年11月27日

僕たちは希望という列車に乗った ドイツ映画DVD

僕たちは希望という列車に乗った ドイツ映画DVD 2018年ドイツ公開

 ドイツ人らしい映画でした。質実剛健。強くたくましく硬い。
 ラスト近くの教室内の高校生たちは、半世紀ぐらい前の日本人の若者たちの言動を観るようでした。
 東西ドイツ、東西ベルリンの制度がわからないので、肝心な部分がピンとこないのですが、東ベルリンの高校生が退学処分になったあと米国占領域だった西ベルリンの高校を卒業できたことが不可解でした。

 実話に基づくとあります。1956年(昭和31年)東ベルリンにあったらしきスターリンシュタット駅から西ベルリンアメリカ占領地区行きへ列車が出発するところから始まります。東ベルリンの人間でも墓参が理由なら西ベルリンへ行けたようです。
 
 ドイツ国東ベルリンを支配下におくソ連に対するドイツ人若者たちの抗議です。ソ連は出て行けということです。社会主義国家に対する反革命運動の一端です。

 西ベルリンのラジオの電波は境界線を越えて東ベルリンに聞こえてきます。
 ソ連の支配下にあるハンガリーが反旗を上げました。
 ラジオでこっそり報道を聞いた高校生たちが動き出します。最初はおおげさな気持ちがあったわけではありませんが大きな混乱の渦に巻き込まれていき人生の予定が変わってしまいます。運命がややこしくねじれていきます。
 授業の開始時に二分間しゃべらない(黙とうをする)という行為が、社会主義国家に対する抗議の印(しるし)として大問題になります。
 「われわれは自由に考える」ということは、イコール「諸君は、(社会主義)国家の敵だ」となります。社会主義国家の国民は政治的なものごとを自由に考えてはいけないのです。国家が決めたとおりに行動するしかないのです。言論の自由がありません。

 ファシスト:結束を要求する独裁的な権力主義者
 
 教師たちが親に話をすべきことを生徒たちに話すのが不思議でした。ふつうは、親に対して制裁と条件を提示します。
 
 仲間割れが起こります。
 政治的な強制力によって、団結は分解することもあります。
 
 原因をつくった青年のクルトと巻き込まれたテオは親友というけれど、相手に負担をかける人間関係は親友とはいいません。一時的な遊び仲間です。

 言論統制国家の恐怖があります。

 話の運び方として、親の行動をこどもが責任をとるような連帯責任が奇妙です。
 親は親、こどもはこどもの別人格ではないのだろうか。
 
 ラストシーンを観て、電車物語だと悟りました。電車が未来へのタイムマシーンです。  

2020年11月26日

出川哲朗充電バイクの旅 琵琶湖ほぼ一周

出川哲朗充電バイクの旅 琵琶湖ほぼ一周 2018年放送分の再編集

(前編)
 ゲストは、いとうあさこさんです。
 琵琶湖の北にある尾崎展望台から西回りで、ゴールが彦根城です。

 いいお天気で琵琶湖の湖面も青々としていますが、やがてどしゃぶりになります。
 桜の花が咲く時期のロケでした。
 コーヒー・カレー屋さんでは半世紀前の雰囲気が味わえます。

 出川哲朗さんの制限なしのサービス精神がいい。
 バンド宣伝撮影動画に飛び入り参加しました。

 琵琶湖の周辺には古いものがたくさん残っています。歴史ある史跡を訪ね歩くのにはいい。

(後編)
 出川哲朗さんといとうあさこさんと土方ディレクター(ひじかたディレクター)の相部屋です。
 以前、テレビ番組「旅猿」で観ましたが、出川哲朗さんはイビキがすごいので、いとうあさこさんは眠れなかったのではないかと想像しました。

 みなさんの雨降る中の電動バイクでの移動される姿は気の毒でした。

 近江八幡市は、平安時代、鎌倉時代、室町、戦国時代と、古くからの歴史があるまちで、緑の木々に囲まれて自然が豊かで、水路や神社もあり風情があるところに見えました。

 親族がそろったらしき食堂での食事風景が楽しかった。

 あわただしい電動バイク移動の旅です。目的と目標到着時刻を定めての制限がある移動はけっこうきつそう。
 タモリさんとか鶴瓶さんみたいに一か所での滞在時間を長くするといいのに。
 出川哲朗さんの体力が落ちてきたらそうされるといいですよ。

 鐘を打ちながらの願い事をするシーンでのふたりの会話がおもしろかった。
 いとうあさこさん「健康!」
 出川哲朗さん「結婚じゃないの?」
 いとうあさこさん「(結婚は)もういい!」

 獅子舞だと思って泣き出したお子さんのうちで、出川哲朗さんといとうあさこさんの訪問はご家族みなさんへのいいプレゼントでした。  

2020年11月25日

「右大臣実朝」「惜別」 太宰治

「惜別」「右大臣実朝」 太宰治 新潮文庫

 文庫のタイトルは、「惜別」です。収録は二作品です。
 まずは、最初にある「右大臣実朝」のほうから読みます。

「右大臣実朝」
 昭和18年9月の刊行です。
 源実朝(みなもとのさねとも):1192年-1219年 26歳没 鎌倉時代初期 12歳で鎌倉幕府の三代目の征夷大将軍に就く。源頼朝と北条政子の子。二代将軍であった兄の源頼家(みなもとのよりいえ)の子で僧侶の公暁(くぎょう)に鎌倉の鶴岡八幡宮で暗殺された。歌人。
 新古今和歌集:鎌倉時代の和歌集。天皇や上皇の命で編纂(へんさん。集められ整理され、まとめられた)された。
 物語は、右大臣実朝が亡くなってから20年後という設定で、女性の語りで始まります。ふたりの初対面は、語り手の女性が12歳で、実朝は年上の十代のようです。作者が女性にのりうつる記述方式です。
 二十年前の御家人(ごけにん。鎌倉幕府と主従関係を結んだ従者)メンバーとして、
 武蔵野神親弘(むさしのかみちかひろ)
 左衛門大夫時弘(さえもんのたいふときひろ)
 前駿河守季時(さきのするがのかみすえとき)
 秋田城介景盛(あきたじょうのすけかげもり)
 隠岐守行村(おきのかみゆきむら)
 大夫尉景廉(たいふのじょうかげかど)

 実朝は12歳の時に疱瘡(ほうそう:天然痘てんねんとう)の病気をした。
 清綱(きよつな):将軍の妻の御付きの侍
 老中和田左衛門尉(和田左衛門尉義盛)
 
 ちょっとむずかしいので、巻末の解説を読みました。解説者は、奥野健男氏
 昭和18年、戦地中の出版です。戦時中であるがゆえにさまざまな制約があって、言論の自由はなく、されど、そういった状況の中でも太宰治氏は何冊も本を出しています。底力があります。
 金槐和歌集(きんかいわかしゅう):源実朝の歌集

 年号が承元(じょうげん。1207年-1211年)のころ、地震が多かったようです。将軍が源実朝(承元五年で二十歳)、執権が北条義時です。(2022年の大河ドラマの主役になるようです)

 明日香井雅経(あすかいまさつね):1170年-1221年 公家(朝廷に仕える貴族)の高官。歌人
 鴨長明(かものちょうめい):1155年-1216年 随筆家 方丈記(ほうじょうき)

 気に入った文章として、
「魚の心は、水の底に住んでみなければわかりませぬ。鳥の心も樹上の巣に生涯を託してみなければ、わかりませぬ……」

(つづく)

 いま中盤あたりを読んでいますが、けっこうむずかしい。ページ全体にびっしりと文字が書いてあって文章量が多く、わからない言葉もたくさんです。少し流し読むようにして進めてみます。和歌の解説も出てくるようになりました。

 執権相州さま:執権北条義時。北条時政の子ども。執権は、鎌倉幕府で鎌倉殿(将軍)を助け政務を統轄した。源頼朝の妻北条政子の父北条時政から始まる。次が次男の北条義時。このときに源実朝が暗殺された。朝廷と対立して朝廷に勝利した承久の乱にからんでいる。

 古文書の現代語訳と解説とストーリー化を読んでいるようです。むずかしくて内容が理解できません。戦時中だれがこの話を読んだのだろうか。
 言葉の意味調べで終わってしまいそうです。

 修理亮泰時(しゅうりのすけやすとき):北条義時の長男

 新兵衛尉朝盛(しんひょうえのじょうとももり):一族のひとり
 和田平太胤長(わだへいたたねなが):御家人。和田義盛の甥

 なにか内輪もめの事件のことが書いてあるのですが言葉がむずかしくて理解できません。単語の意味調べだけが続きます。
 泉親衡の乱(いずみちかひらのらん)について書いてあるようです。1213年の内乱。当時の将軍が源実朝で、執権が北条義時でした。
 
 栄西(えいさい):1141年-1215年 臨済宗の開祖
 広元入道:大江広元。源頼朝の側近。鎌倉幕府の創設に貢献した。
 厩戸の皇子(うまやどのこうし):聖徳太子
 陳和卿(ちんわけい):中国南宋出身の工人(こうじん。工作をする労働者)。
 重源上人(ちょうげんしょうにん):僧侶
 
 読みながら鎌倉時代の状態を想像しました。領地をはじめとした富と権力を求めて親族内、あるいは幕府組織内で内乱がある。不安定です。
 朝廷があって、公家がいて、武士がいる。農林水産業に従事する庶民がいる。
 基本的にはのんびりとした生活があったと想像します。小説やドラマでは事件が毎週のように起こりますが現実の生活では変化が少ない淡々とした暮らしぶりだったでしょう。

 印象的だった文節として、
 源家は昔から親子兄弟の仲が悪かった。
 
 幾度か出てくる仙洞御所は見学したことがあるので話を身近に感じることができました。
 
 難しい言葉がたくさんです。
 調べた言葉として、
 御薨去(ごこうきょ):皇族、身分の高い人(三位(さんみ)以上)の死去
 御台所さま(みだいどころさま):貴人(大臣、将軍)の妻。前権大納言坊門(さきのごんだいなごんぼうもん)の娘十三歳で輿入れ(こしいれ)、実朝も同い年。
 問注所(もんちゅうじょ):訴訟事務の所管。担当者として、善信入道(ぜんしんにゅうどう):三善康信。
 夢寐(むび):寝ても覚めても。
 嬋娟(せんけん):あでやかで美しい容姿
 手弱女(たおやめ):なよなよと優美な女性
 吾妻男(あづまおとこ):江戸の男
 首肯(しゅこう):うなずく。
 和子(わこ):身分の高い人の男の子ども。坊ちゃん
 帰依(きえ):神仏にすがる。
 巷間(こうかん):世間、ちまた
 功徳(くどく):宗教用語。将来、幸福をもたらす善い行い。
 喧伝(けんでん):盛大に言いふらす宣伝
 守護・地頭:守護は軍事・警察担当。地頭(じとう)は年貢の取り立て担当
 諷諫(ふうかん):遠回しに忠告する。
 落飾(らくしょく):高貴な人が髪を落として仏門に入る。
 覬覦(きゆ):身分不相応なことを望む。
 諱(いみな):生前の実名
 嬖姫(へいき):主人に寵愛されている女性。この場合、北条政子の夫である源頼朝が愛した妻以外の女性
 弑逆(しいぎゃく):臣下や子どもが主君や親を殺すこと。
 款状(かじょう):嘆願書。官位や恩賞を望む内容
 奸賊(かんぞく):憎むべき悪者
 寛恕(かんじょ):広い心でお許しください。ごかんべんください。
 宥免(ゆうめん):罪を軽くするなどして罪を許すこと。
 天稟(てんぴん):生まれつきの才能
 驕慢(きょうまん):おごり高ぶって人を見下し勝手なことをする。
 推参(すいさん):自分のほうから出かけていくこと。
 あばた:痘瘡が治った後の皮膚に残る小さなくぼみ


「惜別」
 戦後、昭和20年9月の刊行です。
 中国(当時は清国しんこく)からの留学生、のちに小説家になった魯迅(ろじん。1881年-1936年、55歳没。日本留学当時は24歳)と現在の東北大学医学部(当時は仙台医専)で解剖学を教えていた藤野源九郎教授、そして、魯迅と同級生であった田中卓という今では老医師に作者がなりかわって40年ぐらい前の学生時代の思い出が語られます。
 現在からカウントするともう116年ぐらい前の出来事です。文章にはそのころの宮城県仙台市の風景が広がっています。
 魯迅については小学生の頃に漫画で読んだことがありますが詳細な記憶は残っていません。
 その当時の魯迅の名前は、「周樹人」です。老医師田中と魯迅は宮城県松島の旅館で一夜をすごして社会での世情とか国の未来とかこれまでのこととかの深い話をしています。
 印象的だった文節の一部として、
 孤独な渡り鳥。帰る故郷がない。孤独と寂寥(せきりょう。心が満ち足りなく物悲しい)に堪えかねて(たえかねて)中国の西湖(さいこ。浙江省杭州市)に似た風景として宮城県松島の風景をこっそり見に来る。
 
 当時の魯迅氏と田中氏の共通点として「貧困」と「勉学」があります。

 大量の文章がページに広がるようになって苦痛なので流し読みに入ります。

 慶長十八年支倉六右衛門常長(はせくらろくえもんつねなが)ローマ派遣使節団:1571年-1622年、51歳没。慶長遣欧使節団を率いて、ヨーロッパまで渡航した。1613年-1620年帰国

 康有為一派の改善主義:清国生まれの政治家。1858年-1927年。70歳没
 孫文の民族革命の思想:1866年-1925年。58歳没。革命家、政治家、中華民国の国父

 魯迅氏の自国民を思うまじめさがあります。
 メッセージとしては、中国国民のためになることをしたい。そのためには、医学ではなく文芸で庶民の心の教育をしたいというものでした。(そして彼は文豪と呼ばれるようになりました)
 歴史書を読むようですが、資料を収集して創作してあるので事実とはいえない想像の世界でもあります。

 いくつかの印象的だった文節の趣旨などとして、
 「日本では支那(中国)を儒教の国と思っているようですが、支那は道教の国です。」
 「温情はつらくていけません」
 「ぼくはいま政治よりも教育のほうに関心を持っているのです。」
 「今の支那にとって大事なのは身体の強健ではない。精神の改革です。…… おかげで焦点が決まった。僕はすぐ医学をやめて帰国します。…… 帰国して弟と一緒に文芸雑誌を出します」

 調べた言葉として、
 覬覦(きゆ):身分不相応なことを望む。
 韜晦(とうかい):本心、才能、地位を隠す
 醞醸(うんじょう):心の中にあるある感情が次第に固まっていくこと。
 刪節(さんせつ):(調べましたがよくわかりません)物まねみたいなことのように受け取りました。
 瞥見(べっけん):ちらっと見る。
 辮髪(べんぱつ):髪型。そりあげて、しっぽのような結った(ゆった)髪だけを残す。中国人留学生がその髪をぐるぐるまきにしてから学校の制帽をかぶっていたそうです。
 鞠躬如(きつきゅうじょ):身をかがめて、慎みかしこまるようす。
 鴃舌(げきぜつ):外国人の話す意味の分からない言葉をさげすんで言う言葉
 望蜀(ぼうしょく):ひとつの望みがかなうとその先をまた望む。
 侠客(きょうかく):強気をくじき弱気を助けるという義侠心(ぎきょうしん)をもって、人の窮地を救う集団
 義気(ぎき):正しいことを守り行おうとする積極的な気持ち
 悠遠靉靆(ゆうえんあいたい):時間的、空間的に、遥かに遠いこと。
 爾来(じらい):それからのち
 
 戦中、戦後、これらの作品をどんな人が読んだのだろう。むずかしい。  

Posted by 熊太郎 at 07:23Comments(0)TrackBack(0)読書感想文