2020年10月17日

ちょっとだけ 瀧村有子・作 鈴木永子・絵

ちょっとだけ 瀧村有子(たきむらゆうこ)・作 鈴木永子(すずきながこ)・絵 福音館書店

 絵本です。良書です。

 表紙の絵を見て、上の子が下の子を、「ちょとだけ」お世話させてという趣旨の絵本だと思って読み始めましたが違っていました。
 上の子がママに、「ちょっとだけ」わたしを抱いてとお願いする物語です。

 主人公は、「なっちゃん」で、うちにあかちゃんが生まれて、なっちゃんはお姉ちゃんになりました。
 実体験がないと書けない内容です。
 なっちゃんは、赤ちゃんにママをとられてしまいました。
 だから、じぶんのことはじぶんでするようになりました。
 手をつないでもらえないから、ママのスカートのはしっこをにぎって歩きます。
 大きなパックの牛乳をこぼしながらコップに入れます。じぶんのことはじぶんでやらないと、ママは赤ちゃんの世話でよゆうがないのです。
 ボタンをかけちがいしながらパジャマを着ます。
 誠実な絵本です。今年読んで良かった一冊になりました。
 髪の毛もじぶんでゴムを使ってしばります。可愛い。でもうまくむすべていません。
 公園へひとりで遊びに行きます。ひとりでブランコをこぎます。23ページのブランコで片方の靴が脱げたシーンの絵はグッドです。
 ひとりぼっちの公園から帰ってきたなっちゃんはママにお願いします。「ちょっとだけだっこして」
 ママはなっちゃんを、ちょっとだけでなくて、いっぱいだっこしてあげます。
 人は、人に優しくされると、人に優しい人間になれます。  

Posted by 熊太郎 at 07:42Comments(0)TrackBack(0)読書感想文