2020年06月13日

ホットロード 邦画DVD

ホットロード 邦画DVD 2014年公開

 前半の1時間は疑問の連続で首をひねりましたが、後半の1時間で、しみじみと味わいが心に広がっていきました。

 全体的にはイメージビデオのようなできあがりで、雰囲気をかもしだす映像です。騒いでいるようで、じつは、そうではなく、静かです。

 観始めた最初のうちは、配役がミスキャストではないかと感じました。俳優さんの個性と役の個性が一致しないので違和感がありました。見た目の人柄として、もっと癖があって、斜に構えたような役者さんたちのほうが適役だったような。じっさいは成人しているであろう女優さんが演じる14歳という設定もけっこう苦しい。親子の母子のようには見えませんでした。「あまちゃん」でのじぇじぇじぇのイメージが強かった。
 あとは、映像がなんだかもったいない。生活感のないリビングダイニング、幻想の世界です。意図的にそうしてあるようですが良い効果があったとは感じられませんでした。現実味がありません。
 暴走族はたぶん昭和50年代の様子なのでしょうが、その時代を知る者としては、実際は、映像にあるような感じではありませんでした。登場している人たちは、暴走族の団員としての構成メンバーには見えません。
 スローテンポで、なにもかもがきれいな映画です。
 ガラ系とかスマホの映像はありません。緑色の電話がある公衆電話ボックスです。
 
 片親で、母親と娘がうまくいっておらず、娘の恋人もシングルマザーのこどもで、さらに親の不倫話もあり、家庭環境に恵まれない思春期のこどもの苦悩と苦闘があります。

 心に響いたセリフなどとして。
「命なんて簡単になくなる」(バイク事故)
「(離婚してこどもを)おいていくほうも、すげー、悲しいんじゃないの」
 チューリップ畑の記憶が誤解だったと気づいた時のようす(父だと思っていた人がそうではなかった)
「今まで、人をいっぱい傷つけました。これからはそのぶん、人の痛みがわかる人になりたい」
「いつか春山のあかちゃんのおかあさんになりたい。それが、わたしの小さな夢です」

 こどもがいても母親の役割を果たせない女性がいます。
 「親子とは」を問う映画であり、かつ、男女が支え合うラブストーリーです。
 こどもは、気持ちに折り合いをつけて、大人の世界に入っていきます。