2018年07月16日

火花 邦画 DVD

火花 邦画 DVD

 ずいぶんむずかしい映画に仕上がっていると感じました。
 良かったシーン。ああ、まず、最初に嫌だったシーンは冒頭のシーンです。熱海の海岸砂浜で、首をさらすように砂に埋まっている顔のシーンです。
① 漫才の最中に母子が現れる。ふと息を抜いたときの少女の笑顔
② 階段のてすりをお尻ですべってころぶ。
③ 冒頭にある「地獄、地獄、地獄」が、後半部の「死ね、死ね、死ね」の伏線
④ 食堂で話をしていて漫才のネタに発展する。
⑤ 女性の変顔
などです。これぐらいにしておきます。

 漫才を競わせて、点数付けみたいにして、順位を決めて、それが、何になるのだろう。コンテストは売るための謀略か。

 良かった表現の趣旨として、「笑いはわかりやすく。」、「尊敬する師匠と優しくしてくれた姉さんの別れ」、「漫才師になりたくなかった。」、「みなさんに何の感謝もしていません。」

 挫折劇を観ながら、先日読んだ「一発屋芸人列伝」を思い出しつつ、日本人に生まれて良かったのかもしれないと再確認しました。

菅田将暉 桐谷健太

2016年9月17日付読書感想文 (再読)火花 又吉直樹
 冒頭付近、文字量が多い。作者の力が入りすぎていて、読み手はしんどい。作者は策に自らが溺れている。もう少し、読み手の技量に配慮してほしい。9ページ付近から、その傾向は落ち着いて、読みやすくなるが、漫才の駆け引き会話は、どこがおもしろいのか、わかりにくい。
 登場人物に語らせて進行していく小説です。
 本のカバーの赤い絵は、「べろ(舌)」みだいです。しゃべりと関係をもたせてあるのだろうと勝手な解釈をしました。漫才師だから、しゃべりで火花を出すのです。
 「漫才師」としての生き方を極める。24歳、大阪から東京に来た(同居人真樹・水商売)、その人にしか作ることができない笑いを追求する、あほんだら(相方大林)の神谷才蔵、20歳、スパークスの徳永(高校生時代、漫才大会に出場してスカウトされる。相方山下は中学の同級生)は、神谷の弟子になることを願い、神谷の伝記を書き始める。
 漫才師は、おもしろい漫才をする。欲望に対して、まっすぐ全力で生きる。その生き方は妖怪の類(たぐい)である。

良かった表現趣旨として、「人生で初めて人に酒を注いだ」、「(家が貧しい方が)自分で考えたり、創ったりできる楽しみがある」、「(乱暴者の神谷に対して)悪意は感じられない」、「一番高価なブルーマウンテンを飲んだ」、「ひとつだけの基準ですべてをまかなおうとすると破たんする」、「なんか、変なこと言え」、「人としての距離を感じる」、「自分で自分の面白い部分にまだ気づいていないのがいい」、「俺と本気でつきあったら、地獄」、「漫才とは、ふたりで、究極のおもしろい会話をすること」、「(漫才は、相方を)殴ったら、解散」、「神谷さんは、暴力的な発言も性的発言も辞さない。だけど、徳永は正反対だった」、「猥褻:わいせつ。みだら。いやらしい」、「事務所の社員と一定の距離を保つ」、「神谷の理想は高く、己に課しているものが大きかった(読者としては、そのわりに異常としか思えない)」、「神谷という人間は特殊だった」、「ぼくは、神谷さんになりたかったが、なれなかった(それは、正確ではない表現だと思う)」、「パンツを身に纏い(まとい)」、全般的に、難しい漢字を使いすぎです。「有耶無耶:うやむや」、「道は踏みはずすためにある」、「顰蹙を買う:ひんしゅくをかう。良識に反することを言って、嫌われる」、「一度しかない人生で、一発勝負をかけるのは怖い」、「理屈っぽさと感情の爆発が同居することが、漫才グループスパークスの持ち味」、「肉芽:むかご。木の茎。里芋の味」、「芸人に引退はない」

国語の勉強です。「掠れた声:かすれたこえ」、「行為を無下にしたくない:むげにしたくない。むだにしたくない」、「それをあてに呑む:近畿地方で酒のつまみ」、「おざなり:適当にいいかげんに済ます」、「侮蔑:ぶべつ。見下し、さげすむ」、「露程:つゆほど。少しも」、「ウォレット・チェーン:ウォレット(財布)につけるチェーン(鎖)」、「ツッコミ、ボケ:漫才の役割。観客を笑わせるのがボケる役割の人で、ツッコミは、常識人、過激な人で、ぼけに合わせる役割の人」、「黒のジャックパーセル:スニーカー。スポーツシューズ」、「(金が無いのに)なんのために、ここまで、アルコールを呑む必要があるのか」、「狡い:ずるい」、「愛している女性に幸せな生活を提供できない芸人」、「四六時中芸人であるためには、相当な勇気と覚悟がいった」、「露悪的:ことさら欠点をあげつらう」、「引き攣る:ひきつる」、「箍が外れる:たががはずれる。秩序が失われる。おけのたががはずれる。」、「被虐嗜好:自分に苦痛を与えていないと落ち着かない」、「畏縮:いしゅく。恐れる」、「凌駕:りょうが。ほかを追い抜いてトップに立つ」

 「才能」ってなんだろう。あればいいけど、なくても堅実さを心がければ、そこそこ生活をしていくことはできる。中途半端な「才能」は、人生に混乱をもたらす。ときに、命を落とす要因になることもある。「才能」は、おそろしい。

 文末の結び方として、「○○なのだ」、は「○○。」で閉じたほうが読みやすい。例として、「見つからないのだ。」は、「見つからない。」
 成功話ではないので、全体的に内容が暗い。

 思い出の記です。徳永くんは、この小説を書いているときには、すでに漫才師をやめています。不動産会社の営業職をしています。場所は違っても、「笑い」で、周囲の人たちをいやしたい、幸せにしたいという気持ちに変わりはありません。
 「笑い」を浸透させるためには、自分一人の力ではできない。周囲の協力が必要不可欠であるということが、作者から読者へのメッセージ、伝えたいことです。

 ネットで書かれる悪口は、悪口を書いた人間の自殺願望を抑制する力があるが、書いた人間の自殺への方向性は変わらず、やがて、その者は死す。ゆっくりと死へ向かっていく自殺である。そういう趣旨がよかった。

 徳永は、神谷にLOVEしていた。神谷は正真正銘のあほんだらだった。むだなものを背負わず、その日暮らしで生きている。そこにあこがれた。
 芸人のまわりには、芸人を芸人として存在させてくれる人たちがいる。それは、家族だったり、親族だったり、ファンだったりする。けして、お金だけのつながりではない人たちがいる。

 「いないいないばあ」が伏線でした。


2015年3月16日付読書感想文 火花 又吉直樹 文藝春秋
 静岡県熱海の花火大会、それから10年後、再び熱海の花火で終わる148ページの小説です。1ページにびっしり文字を並べているので、実際には、220ページ分ぐらいの文章量があります。
 文章作成能力のレベルは高い。力強い勢いがあります。年齢相応に文章が若い。ひとつのことをいろんな形で文章化して重ねてあります。説得力で成功している面がありますが、反面繰り返しがくどい。一歩抜け出して、少量の文章量で感動を呼び起こす技術に達することを今後期待します。本作品が特別に秀でているということはありません。お笑い芸能人が書いたということで話題になっています。劇団ひとりほどの才能は感じません。KAGEROU俳優水島ヒロほどの創意工夫もありません。主人公の師匠神谷の人格設定はうまい。なかなか発想できるものではありません。思い切りがいい。総じて、良くもなく、悪くもなく、真面目で無難な作品です。毒はない。個性はあるようで薄い。コメントしにくい。
 携帯電話あるいはスマートホンのメールのやりとり記述、幸せそうには見えない主人公たち、物語は、東京の小さな事務所に所属する漫才コンビ名「スパークス」の徳永20才と大阪の大きな事務所に所属する漫才コンビ「あほんだら」の神谷才蔵24才の出会いから始まります。最初からずーっと、それぞれのコンビの相方(あいかた)さんとの話がほとんど出てこないのが不自然で不思議でした。徳永は神谷を師匠とあがめたてまつりながら人生を共にしていきます。
 下北沢、石神井(しゃくじい)、青梅街道、吉祥寺、高円寺、井の頭公園、三軒茶屋、二子玉川など、小説でよく登場する地名が出てきます。行ったことありませんが、魅力を感じます。
 最初から最後まで貫く一本の線があります。弟子である徳永が、師匠である神谷の「伝記」を書くことです。神谷は朝起きてから夜寝るまで、もしかしたら寝ているときも漫才師でいたい人間です。日常会話はイコールネタ合わせです。行動も狂っています。それだけ漫才に情熱を注いでいます。人を笑わせて幸せな気分にさせたいのです。彼の言動は「純粋」です。目からウロコが落ちる思いでした。
 読んでいるとわかってくるのですが、これはなにも「漫才師」に限った世界の出来事ではないのです。どの職域でも同じです。だれしもあがいて、悪戦苦闘している。それが、働くということ。
 メッセージとして受け取った項目は、互いに違いを認めて協力していく。徳永が神谷から学んだのは、「自分らしく生きていく」でした。
 気に入ったいくつかの表現の要旨です。
・ふたりで呑む(酒を飲む)といつも前後不覚になった。
・芸人は変態であることが利点
・あらゆることをうやむやにする。
・ネタ合わせに明け暮れても、収入には結びつかない。
・(ネット上あるいはアンケートで)他者を批評(批判)して、(投稿者が)生き延びることができるのだったら、その行為を許す。
・神谷のつぶやき「これが人間やで」   

2018年07月15日

一発屋芸人列伝 山田ルイ53世

一発屋芸人列伝 山田ルイ53世 新潮社

 10人の一発屋芸人を山田さんという方がインタビューします。(わたしはあまりこの方を知りません)
 この本を買った動機です。小梅太夫という人が好きでした。

調べたことなどです。「山田ルイ53世:髭男爵。漫才コンビ。ひぐち君。ルネッサーンス。やないかーい。」、「列伝:多くの人々の伝記」、「口幅ったい:くちはばったい。身のほど知らず。生意気」、「勤しむ:いそしむ。励む。漢字を始めて見ました。」、「気圧され:けおされ。相手の勢いに押される。」、「ゆってい:お笑い芸人。よくわかりません。」、「バイキング:お笑いコンビ。小峠、西村」、「堪らない:たまらない。漢字を読めませんでした。」、「纏めれば、纏う:まとめれば。漢字を読めませんでした。」、「ペケ×ポン:クイズとゲームのバラエティ番組」、「量子力学の領域:?」、「些か:いささか。」、「哭く:なく」、「所謂:いわゆる。」、「御尤も:ごもっとも。」、「尤も:もっとも。」、「漸く:ようやく。」、「捲って:めくって。」、「暫し:しばし。」、「天啓:てんけい。神のお告げ」、「件のカット:くだんのカット」、「時間のパラドックス:?」、「燻る:くすぶる。」、「踝:くるぶし。」
話ははずれますが、文章が、歯切れがいいようで、実はそうではなく、ギクシャクしています。読みにくいです。それから、どうしてこんなにすっと読めない漢字を使うのだろうかと不親切さを感じました。

良かった表現の主旨として、「(ブームが去っても)人生は続く。」、「消えてもいないし、死んでもいない。」

レーザーラモン:素顔の写真が普通で意外でした。芸人=消費物か。読んでいてうらぶれた雰囲気がありますが、筆者は否定しています。5年間の熟成期間を経たハード芸の質の高さには驚きます。

コウメ太夫:好きな芸風です。梅沢富雄さんの世話になる。内容を読んでいると、こんなふうでよく売れたなあと思います。親が不動産屋のマネージャーの助言によりアパート経営で生活安定です。初めて顔写真を見ました。やっぱり普通の顔です。

テツandトモ:なんでだろうのコンビです。「浅さと広さが万人受けする。」この考え方は小説創作も同じだろうと想像します。「ネット情報はあてにならない。」そのとおりです。分析が続きます。川田女史が貢献して、今がある。読んでいると、結局長生きした者が勝ち組と悟ります。職人芸です。わかりやすい笑いに徹しています。

ジョイマン:知らない人です。ラッパー。

ムーディ勝山と天津・木村:忘れていましたが思い出しました。この部分、得るものがなかった。

波田陽区:ギター侍が毒舌で切り捨てる。売れたことがあるというだけでいい人生だとわたしは思う。

ハローケイスケ:(まったく存じ上げません。)本には、それでも芸人は辞めないとあります。

とにかく明るい安村:テレビで見たことあります。でも、もう、ずいぶん前なのですね。浮気のことは知りません。なんか、男って、女性がらみでだめだなあ。

キンタロー:本にもありますが、一発屋とは思えません。

髭男爵:相方は福岡の進学校、いっぽうの山田さんはひきこもり歴あり。

全体を読み終えて思ったことですが、「過ぎた時間は戻らない。もと居た場所には戻れない。」ということでした。  

Posted by 熊太郎 at 07:25Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年07月14日

新版 母さんがどんなに僕を嫌いでも 歌川たいじ

新版 母さんがどんなに僕を嫌いでも 歌川たいじ 角川書店

 書店でこのマンガの本をみて「掘り出し物」かもという思いで買って帰ったら、家族から絵が気持ちが悪いと言われ、へこんだ心境で読み始めましたが、なかなかいい。わたしは気に入りました。第2章が終わったところまで読みました。

 ゲイの人が描いた家族マンガです。なにゆえ、ゲイになったのかにつながるのかどうかわかりませんが、複雑な家庭環境で育ち苦労されています。
 10月8日が母の命日とありますので、美しい顔をもつ母親はすでに亡くなっているのでしょう。

 2012年、平成24年、東京スカイツリーから始まります。

 マンガの絵の中では、お母さんの顔が描かれていません。後姿であったり、首から上が見えない構図であったりします。ただ、美人だということは強調されています。

 この本を読む前に風間トオルさんの本を読みました。子どもの頃の貧乏話がこの本の内容につながります。両者ともに壮絶な貧困を体験されています。この本に出てくる母親のカリスマ性では、西加奈子作「サラバ!」が思い浮かびます。

 母親がつくるまぜごはんが愛情の象徴として、強調されています。

 最初のほうは、うーんとなります。どこが面白いのか伝わってきません。買って失敗したかなーと思います。
 小学生で施設入所した理由がいまいちはっきりしません。

 調べた単語として、「抗う:さからう。読めませんでした。」、「心のなかのビッグバン:大爆発」、「猟奇:奇怪、異常」、「呪詛:じゅそ。呪い」、「魔王:悪魔の王」、「ションベン女郎:ちょっと意味不明」、「口さがない:無責任、無遠慮に、他人の噂をする。」

 印象に残った表現の主旨として、「自分が自分であることを喜べない。」、「いい人も悪い人も仲良しになって最後は終わる。」、「僕はブタじゃない。」、「必要なものは友達」、「キミツ(パートナーの名前)」、「バイアス:偏り。かたより。偏見か」、「わたしは道具じゃない。」、「僕は小説を書き始めた。」

 暴力という児童虐待で、母親のストレスが解消される。
 両親に視点を当てれば、やりたいことをやりたいようにやったらこうなったというパターンです。忍耐がない。超えてはいけない一線を超えた。

(つづく)

 全体を読み終わりました。
 説得力のある強い文章が続きます。
 途中、母親に対する怨みつらみが執念となって描かれています。読んでいて、その量の多さに心が押しつぶされそうです。読んでいてしんどい。

 ツレちゃんという人がだれかわからないのですが、パートナーととらえます。

 13年間、母親と音信不通になる。一般的にも疎遠になって、冠婚葬祭でしか会わなくなることもありますが、電話連絡ぐらいは継続します。異常な親子関係です。  

Posted by 熊太郎 at 05:24Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年07月13日

ビンボー魂 風間トオル

ビンボー魂 風間トオル 中央公論社

 本屋で何度か手に取って、「おもしろそうだな」と思ったのですが、読んでみると、文章がちょっとうまくないなと、本をあった棚に戻していましたが、今回、まあ、読んでみるかということで買いました。

 貧乏話です。素材はおもしろい。5歳の時に、母親が男をつくって家を出ていって、しばらくして、今度は父親が女をつくって出ていって、少ない年金収入しかない祖父母に育てられる。貧困生活を味わう。
 似たような世代で、あの頃は、みんなが貧しかった時代だったので、貧乏暮らしの面では、著者と同様の体験があります。
 まだ、冒頭付近なので、読みながら感想を継ぎ足していきます。

 思うに、昔は、こどもを育てていたのは、お父さん、お母さんではなく、おじいさん、おばあさんでした。両親は共働きで家にいませんでした。「専業主婦」というのは、比較的新しいポストだと思います。だから、「桃太郎」をはじめとした日本古来からの民話は、父母ではなく、祖父母が登場するのだと思います。父も母もいない。それでも子は育つ。

 あの不遇な時代があったからこそ、現在の安定があるということはあります。

 本人のことは知りませんが、小学校の経歴からすると、「モデル」になるとは、驚きです。

 印象に残った部分として、「思い出したくないこともある。」、「ツイていない時」

(つづく)

 貧しい中での暮らしの知恵がすばらしい。石と石をこすり合わせて暖をとる。ケガをしても泣かない忍者のポーズをとる。ゴキブリの研究はヒットです。カマキリを食べる。
 すごすぎます。もっと早くこの本を買って読めばよかった。今年読んで良かった1冊です。

 貧乏なのに女性にもてる。凄い奴です。

 学校給食で生きながらえたことは同感です。

 小学生が認知症の祖父の介護をしていた。

 あまりにも悲惨過ぎたり、極端すぎたりして、読んでいて、気分が悪くなり、身を引く記述もありますが、感嘆には値します。

 100円札、500円札はなつかしい。

調べた言葉などとして、「アンクレット:腕輪のように足首に着ける飾り」、「捥げる:もげる。漢字を初めて見ました。」、「ゆずり葉:新しい葉のために古い葉が命を譲るという意味のようです。」

 良かった表現の主旨として、「親なんかいらない。親は祖父母だ。」、「一時的な幸せならないほうがいい。」、「周囲に愛のあるおとなたちがいた。」、「愛とは、自分の時間を相手に与えること。」

 挿絵は本人が描いたのでしょう。小学生が描いたような絵ですが、それはそれでいい。

 飼い犬の名前が長くて、最初、飼い犬の名前とは思えませんでした。家族同然の関係だったらしく、読んでいて、そこまでなのかと感心しました。

 何もすることがないとき、飢餓状態のとき、空をずっと見ていた少年時代が良かった。夜空を見ていたことも良かった。  

Posted by 熊太郎 at 06:44Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年07月12日

難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください 

難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください 山崎元 大橋弘佑 文響社

 まず、ざっと最後のページまでめくりました。自分は、すでにしてはいけないことをしてしまっている。後戻りはできない。

 最初の記述が創作なのか、事実なのかわかりませんが、内容はわかりやすくおもしろい。Q&A形式で、顔のイラストも良く、シンプルで好感を持って読み始めます。

 定期預金の利息は二束三文です。貯金する意欲が湧きません。普通預金の利息はなおさらです。

 5つのチャプター(章)にわけて説明があります。

 2回目の読みを始めてみます。

(つづく)

 普通預金の利息はないに等しい。

 銀行には用事がないというような記述です。どうしてかは、読んでいるとわかります。

 ネットを活用する。不必要な経費を節約する。

 貯蓄の目的は、老後の貯えです。残ったお金は、子どもや孫に渡る。

 たしかに歳をとると支出は減少します。

 やらないほうがいいことの紹介と説明があります。

 山一証券自主廃業当時のメンバーであられたということには驚きました。

 良かった表現として、「2500円をギャンブルで失ってもいい。くだらない映画を観るよりいい。」、「勝負の世界に絶対はない。」

 住宅に関する記述は鵜呑みにしないほうがいい。何十年も同じ場所に住むことができる人は土地付きの戸建を購入すべきです。

 時間とお金を比較するとやはり「時間」のほうが優先です。

 生命保険は原則加入しない方がいい。死なないと役に立ちません。だから保険金殺人が起る。

 ひとり暮らしは経費がかかる。三世代同居、四世代同居、わずらわしくても、お金のことを考えたらそのほうがいい。

 結婚しない、子どもをもたない、車ももたない、酒・タバコ・ギャンブルはやらない。お金は貯まる。

 生涯現役、死ぬまで働く。

 全部読みました。基本的なことで、わかりやすい。冒険もしません。安定志向のいい本でした。  

Posted by 熊太郎 at 07:29Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年07月11日

専業主婦は2億円損をする 橘玲

専業主婦は2億円損をする 橘玲(たちばな・あきら 男性 昭和34年生まれ) マガジンハウス

 最初に1回1ページずつゆっくりめくりながら最終ページまで目をとおしました。次に2回目、流し読みをするように読みつつ、ポイント部分では立ち止まって、ゆっくり読みこみました。新たな発見もありました。

 学校の授業のように、1時限目から始まり6時限目で終わる構成です。前後にプロローグと課外授業がくっつけてあります。

 女性の生き方に視点を当てた本です。

 病気でもないのに仕事をせずに家に居る専業主婦は、世界的には「異常」だそうです。日本だけの存在ですとあります。また、第二次世界大戦までの日本では、夫婦は共働きの慣例があったそうです。そのあたりが新発見でした。

 日本の女性が職業に就かなくなるきっかけが、出産・育児とあります。外国では、子どもの保育と教育を妻(専業主婦)に押し付ける習慣はないそうです。子どもは社会が育てる。地域住民、大家族制度による親族一同、子ども同士の子どもの世界、外国では、家政婦、ベビーシッター。日本のように、主婦ひとりに子育ての責任を押しつけない。

 政府が今、目指しているもの。「女性が子どもを産んでも働き続ける社会」の構築です。

 日本人女性は、日本人男性と比較して、差別されている。慣らされているので気づけていない。されど、いろいろありますが、最終的に勝利しているのは「女性」のような気もします。長寿で、仲間と生活を楽しんでいる。実は、実権は女性が握っている。

 出産のためにいったん退職すると、それまでの実績、学歴とか、経歴とか、稼ぎとかがチャラにされてしまう。仕事に復帰したくても、非正規(契約社員とかパートとかアルバイトとか)の仕事にしかつけない。だから、結婚しても、妊娠しても、出産しても、仕事を辞めてはいけないと著者は強く説いています。

 政治家や会社の役職者の比率を男女平等にもっていきたい。

 本の前半よりも後半のほうがぴったりきました。仕事と子育て、加えて、親の介護の両立は、無理なのです。ひとりの人間(妻)だけでできることではありません。
 結婚しないという選択肢が出てきます。案外これは、女性だけでなくて、男性も結婚しなかったり、できなかったりしますが、男女ともに適齢期の時期に、本人たちは、結婚したい希望はあるのです。不思議なことに老いてから老いた男女同士でくっつくというようなことも紹介されています。
 女性も大変ですが、男性も大変です。介護が必要な老いた親と同居ということがあります。妻子を養うだけの十分な収入がないということもあります。とても専業主婦の妻を養えません。自然と男性は仕事を続けてくれる女性を結婚相手に選ぶようになるそうです。納得させられます。

 離婚のリスクを回避するために結婚前に同棲生活を一定期間送る。昔だったら非難されることですが、現代では容認されるようです。
 
 「長時間の残業をやった者が出世する。」このことは今後改善されていく方向に動いているような気がします。

 専業主婦ひとりに子育てを押しつけるから「児童虐待」が起るとも発想できます。母親の「うつ」も同様でしょう。

 乳幼児期の子育てを祖父母にしてもらって、本人は仕事に専念する。割り切る。家政婦や乳母を雇う。もう、男性が女性に家事と育児を丸投げする時代を終わらせる時期に来ていると解説があります。

 人それぞれ、なんらかの手段を探してやってみる。

 最後半部にあった「だんななんか、いないほうがいい」という話がおもしろかった。  

Posted by 熊太郎 at 05:15Comments(0)TrackBack(0)読書感想文