2023年03月05日

ポンコツ一家 にしおかすみこ

ポンコツ一家 にしおかすみこ 講談社

 先日新聞で著者のインタビューを読みました。
 しっかりものの看護師をしていた母親が『(自分の)頭をかちわって死んでやるーー』と大きな声を出していたそうです。驚きました。認知症で人格が変わってしまったようです。
 ぱっと本に目をとおして、おかあさんが認知症、お姉さんがダウン症、お父さんはお酒飲み、にしおかさんは芸人さんです。なかなかハードなものがあります。
 ダウン症:ダウン症候群。染色体が1本多い。遺伝子疾患。身体的発達の遅延。軽度の知的障害。特徴的な顔つき。
 中学のときに病気で亡くなりましたが、うちの親父もお酒飲みで苦労しました。お酒飲みの親をもつと、こどもは、ふつうなら体験しなくてもいい苦労を体験させられます。そうでない家がうらやましかった。

 にしおかファミリーです。
 お母さん:80歳。認知症で無表情。いろいろなことの管理能力なし。機械が壊れるように人間が壊れています。糖尿病があります。
 お姉さん:47歳。ダウン症。
 お父さん:81歳。酔っ払い。耳が遠い。
 著者:45歳。元SM女王さまキャラクターの芸人。独身とあります。なかなか厳しい生活環境です。

 2020年6月(令和2年)コロナ禍の日本から始まります。

 これはカオス(混沌(こんとん)無秩序。混乱)だと思った13ページです。そうしたら、17ページに著者本人が『カオス』と記していました。案外著者とは気が合うかもしれません。
 著者が知る母親は、もうこの世にはいない。人間の姿で、生きて目の前にはいるけれど、かつての母親ではない。
 14ページ、困った、困った。お母さんのセリフ「頭かち割って死んでやるーー」が出てきました。(自分だったらどうするだろうと考えました。医者だ、医者に連れて行こう。それから地域包括支援センター(ちいきほうかつしえんせんたー)に相談だ。(そうしたら、78ページに「地域包括支援センター」という文字が見えました。やっぱり考えることは同じです)
 著者は、家族との同居を選択しました。(施設入所は考えなかったのだろうか。まだわかりません。今は、16ページ付近を読んでいます)
 17ページ、ダウン症47歳の姉の行動が、読んでいて笑えます。「蛍の光」を歌います。もうどうにもならなくなったら、笑うしかありません。
 読んでいると、読み手に、うちはまだましだという気持ちになれて、救われる面があります。
 西岡家は、よく、生活を維持していけるなあと尊敬したくなりました。

(つづく)

 2020年6月(令和2年)、母を精神病院に連れて行きます。
 精神障害者が家族にいるうち(家)の同居家族の対応は大変です。
 究極のツンデレ:二面性あり。冷たくツンツンしたかと思えば、デレデレ甘えてくる。
 『糖尿病と鬱(うつ)とボケはセット』(そんなことは聞いたことがありませんが…… 認知症のお母さんの主張です)
 もうめちゃくちゃです。
 母親が、生年月日を医師にたずねられて『はい。令和2年6月……何日だったか(思い出せません)』されど、それでは 『あかちゃんばあさん』になってしまいます。笑えました。自分は、他人の立場だから笑ってすませることができます。
 まあ、芸人さんですから話の流れづくりがうまい。
 母親『(医師に)頭パカッと割って……(中身を)見せたいです。』
 医師『……後でCTも撮りますから、そしたら中も見られますよ』
 母親の口からは『頭をカチ割る』が何度も出てきます。とにかく、頭を割りたい人です。

 母親の診断が下りました。
 『初期のアルツハイマー型認知症』です。
 たいていの人は、自分が認知症になるとは思っていません。
 だけど、なる人はいます。

 ダウン症のお姉さんが、話のオチ(締め(しめ))をつくってくれます。
 「ヨヨイノヨイィィ」と踊る。
 読んでいてほっとします。騒がしい混乱がおさまります。

 思いもしないことが起こります。
 予測できません。
 母親が、電気のスイッチを入れないで、電動自転車をこいでいます。

 食材を大量に購入して、食べずに溶かしていく。(放置していると、とけてしまうのです)
 四人家族でちゃんとしているのは著者ひとりだけ。
 この先、だいじょうぶだろうか。

 お金の管理がたいへんです。

 2020年10月(令和2年)
 怖い(こわい)。恐ろしい(おそろしい)。
 母親が、自分の娘である著者は、麻薬をやっていると言い出します。

 蜂(はち)との戦いがあります。
 うちも2年前、雨戸の戸袋の下にハチが巣をつくって繁殖してしまって、ハチたちに薬剤をまきながら激しいバトルを繰り広げたことを思い出しました。
 読んでいて、その時と同じぐらいの緊張感と警戒、恐怖心、闘争の心理が湧いて(わいて)きました。

 生きている間だけ、いっしょに過ごせるのが親子です。
 会話ができるのも生きている間だけです。
 人間は歳(とし)をとると、こどもに戻っていく。
 姉が、保育園児が歌う『おべんうばこのうた』を歌う。「これっくらいの おべんとばこに……」
 
 おふろに入らない女性が増えました。
 毎日は入らないとか。シャワーだけとか。
 いいのかなあ。
 あかちゃんをどうやっておふろに入れるのだろう。心配です。
 さて、西岡家の母も姉もおふろに入っていないようすです。

 本に書かれているこの年にはやった『鬼滅の刃(きめつのやいば)』の話は、最近はあまり聞かなくなりました。『パプリカ』という歌も毎日のように流れていましたが聞かなくなりました。

 にしおかすみこさんの心は折れ、精神は切れている状態です。そうなりますわな。
 お姉さんが歌います。『すじーのとおった ふーき……』おもしろい。

 たまに正気になるお母さんからのメモ手紙があります。『……ごめんなさい! ママより』
 にしおかすみこさんは、がんばるしかありません。
 67ページまで読んで「本」っていいなと思いました。苦労している人は、応援したい。

(つづく)

 2021年1月(令和3年)、母親がどこまで正常なのかわかりません。読んでいても不安になります。母親はどういうわけか、自分が自分の次女のにしおかすみこさんを介護していると思っています。事実は逆です。
 母親からにしおかすみこさんに厳しい言葉が飛び続けます。母は、柄が悪い(がらがわるい)。『……(おまえは)死ぬまで一生独身か……』
 母親のこれまでの人生において、母親は今まで仮面をかぶっていたのだろうか。
 お母さんは家族のために尽くしたのです。SMを売りにした(サド・マゾ)芸人の次女、ダウン症の長女、耳が遠いお酒飲みの夫、母親は、いっしょうけんめいがんばって、疲れ果てて、認知症になってしまったのだと思いました。ちょっと……つらいものがあります。

 もう介護保険を活用したほうがいい状態です。
 元看護師だからいいことがあるような気がして読んでいたのですが、元看護師であるがゆえに知りすぎていて、まずいというような状況がみられます。なにかしら疑り深い(うたぐりぶかい)お母さんです。
 にしおかさんは、姉のクソにまみれ、母のゲロにまみれ、たいへんです。
 文章中に出てくる『冷凍マグロ』というのはお母さんのことで、体重が重たいのです。動かすのがたいへんです。
 
 要介護認定の判定は『要支援1』
 まあ、そんなものでしょう。
 
 たいへんですが、ただ、死んでしまうまでの時間は確実に減っていっています。
 人の一生は長いようで短い。
 お葬式で、亡くなった人をあの世へ見送るときにそう思います。
 
 94ページまできましたが、ここまで出てくるのは、お母さんの話がほとんどです。本のタイトルは『ポンコツ一家』です。父と姉はどうなったのだろう。(心配しないでください。このあとのページで出てきました)

 お父さんの意見です。「ママはぼくが嫌いなんだ」と主張します。なにかしら頼りないパパです。

 まるで、ゾンビ映画を観ているような、にしおか家(け)の夜中の家の中です。怖い(こわい)。たいへん。つらい。

(つづく)
 
 お話の構成がおもしろい。
 さすがお笑い芸人さんです。うまい。
 ダウン症のお姉さんの言葉がおもしろい。
 48歳になる姉の誕生日に
 妹著者『おめでとう。いくつになったの?』
 姉『永遠のハタチ~』
 笑いました。

 認知症のお母さん80歳も強烈です。
 『……ハゲた医者にハゲを治せるわけがない!(皮膚科にて)』

 ダウン症の長女をとても愛している母親です。

 なんというか、底辺の暮らしです。
 逆にほっとする人もいるでしょう。うちはまだましだと。
 読んでいて思ったことです。
 まず心身の健康が大事。健康が幸せの基礎。

 ダウン症の姉の存在は、負担ではあるけれど、いないと成立しない家族の一員です。

 ひとつひとつの項目が『小噺(こばなし)』のように書いてあります。落語のようであったり、ショートコントであったりです。されど、当事者は深刻です。
 お酒飲みの『パパ』のことは『パパクソ』と呼びます。
 お母さんの頭の中は壊れています。勘違いによる薬の複数過剰摂取があります。誤飲です。
 あれやこれやと読んでいると悲しくなってきます。自分の次女(にしおかすみこさん)の存在を認識できなくなった母親がいます。
 大丈夫だろうか。介護をしている人間のほうが、うつ病になりそうです。

 四人で線香花火をするシーンが出てきました。
 さだまさしさんの『帰去来(ききょらい)』というLPレコードにある『線香花火』という物悲しい歌が思い出されました。
 47歳ダウン症の姉『(妹の名前)すみちゃん、おもいでだねぇ』
 母親は線香花火10本ほどの束に火をつけます。線香花火の状態ではありません。火の玉状態です。
 母親は、自分が死んでもダウン症の長女を施設には入れないでくれというようなことを次女の著者に言います。

 十二支(じゅうにし)の干支(えと)に『サソリ座』をさがす母親です。(サソリ座は「えと」にありません)
 『土曜日の次は日曜日』で盛り上がっているダウン症の姉と認知症の母です。
 何もかもが壊れている。ここから(この位置から)始まるものがあるような気がしました。
 
 敵愾心(てきがいしん):相手に対して憤りを(いきどおり。怒り(いかり))を感じ、あくまで戦おうという気持ち。
 ケンタウロス:ギリシャ神話にでてくる下半身が馬、上半身が人間の種族。

 考えられないことが起きるのが西岡家の日常です。
 お米の重複購入をしそうだという話が出てきます。
 母親が、同じ要望を複数の家族にするためです。各自が同じくお米を買いに行きます。

 親子でご飯を食べる。
 おいしいものを食べるということは、心の交流を図るうえで大事です。

 172ページまで読んできて、人間って何なのだろうなあという気持ちになりました。
 お花に言葉をかける母親がいます。時には優しくなって、時にはおかしくなってしまう母親です。

 下着姿のままのようなかっこうで、外へ散歩に出て行こうとする80歳の母親です。夏だから、暑いからということがその理由です。もし、下着姿で、外で倒れて死んでいても事件じゃないからと言われても身内は困ります。

 母親の頭の中は、ダウン症の長女中心で回っていることがよくわかる本の内容です。
 お酒飲みの父も認知症予備軍ではなかろうか。アルコールの飲み過ぎです。

 生活費を得るために家族のことを書く。
 まずは生活費を稼がねば生活が始まりません。

 著者あとがきの手前の最後のページまできて思ったことです。(186ページ)
 ウチはウチでこんなウチ(家。いえ)であることを恥ずかしい(はずかしい)と思うことはないのです。
 そんなふうに、この本の内容を受け止めました。  

Posted by 熊太郎 at 07:24Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年03月03日

ピッツアぼうや ウィリアム・スタイグ・作 木坂涼・訳

ピッツアぼうや ウィリアム・スタイグ・作 木坂涼・訳 らんか社

 厚い表紙をめくっていくと『まな板の上の鯉(こい)』のような状態に置かれているぼうやが出てきます。
 絵本を読む前の前評判では、ぼうやを料理するらしい。
 ぼうやのお名前は『ピート』です。
 やんちゃな男の子に見えます。
 5歳ぐらいかな。
 家の外は雨ふりで、雨が降っているお庭を、ワンちゃんが歩いています。雨に濡れますなあ。
 家の外で遊べないピートは元気がありません。
 絵だと、おじいちゃんみたいなパパが出てきました。髪の毛があまりないので、年配者に見えます。
 これからパパが、ピートのからだで、ピッツアをつくるそうな。
 ピートを食卓テーブルの上にのせました。
 『ごっこあそび』ですな。
 これまた、おばあちゃんに見えるママが登場する絵です。
 おもしろい。
 発想がいい。
 なにか、作者に体験があるのかもしれません。
 油少々、小麦粉かけて(そうか)
 トマトの輪切りにチーズやら、サラミやら(サラミ:ドライソーセージ)
 優しい(やさしい)。パパは心が優しい。
 ママも優しい(ただ、絵はどう見ても祖父母に見えるのです)
 (そうかそうか)オーブンで焼くのです。アツアツのピッツアができますよーー
 ごっこ遊びをやっているさいちゅうに、雨がやんで、太陽が顔を出すのは、たぶんそうなるのだろうと読み手の自分は、ピンときていました。
 そうか、最後のオチ(お話の終わり)は、ほかにもっといい終わり方があるような。平凡でした。アメリカ合衆国的な終わり方なのでしょう。ハッピーエンドです。
 作者は、1907年生まれですから、日本だと明治40年生まれです。2003年(平成15年)に亡くなっています。亡くなったときは、96歳ぐらいですね。素敵な絵本をこの世に遺して(のこして)くれてありがとう。  

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2023年03月01日

子うさぎましろのお話 ポプラ社

子うさぎましろのお話 佐々木たづ・文 三好碩也(みよし・せきや)・絵 ポプラ社

 良書です。今年読んで良かった一冊になりました。
 こどもさん向けの絵本です。

 白いうさぎの話です。
 たまたま今年はうさぎ年です。
 絵を見ると、王さまがいて、トナカイがいて、トナカイにうさぎがまたがってのっています。
 うさぎが人間みたいな立ち位置で、擬人法が用いられているのだろうかという読む前の推測です。(王さまは、王さまではなくて、サンタクロースでした)
 北欧フィンランドあたりの話だろうかと思っていましたが、あとがきを見ると、作者の住まいがアメリカ合衆国ボストンで、クリスマスのころは雪深いところですとあるので、作者は、ボストンをイメージしてこの作品を仕上げたのでしょう。
 作者も絵を描いた方も、もうおふたりとも亡くなっています。

 白うさぎの子のお名前が『ましろ』です。
 サンタクロースからのプレゼントは、ひとりにつき1回だけですが、ましろは、うそをついて、2回もらおうとします。欲深いのですが、人間はたいていの人が欲深いと、読んでいて、擁護(ようご。かばう)したくなります。
 
 サンタクロースは、ましろがうそを言っているとわかるのですが、わざとましろにだまされます。
 (オレオレ詐欺のだまされ作戦が思い浮かびました)
 うそつきうさぎといえば日本神話の『因幡の白うさぎ(いなばのしろうさぎ)』を思い出します。サメをだまして海を渡り終えるところでサメにばれて皮をはがされるのです。

 ひとつぶの種が出てきます。
 外国民話『ジャックと豆の木』を思い出しました。ジャックが植えた豆が巨大な樹(き)になって天まで伸びて、ジャックがその豆の木を登って行くのです。

 サンタクロースは、心のやさしいおじいさんです。
 
 うそがばれるとバチが当たる。(悪いことが起きる)
 ましろは、体がまっ白ではなくなりました。
 うさぎは反省して涙を流します。うそをついたことを深く後悔します。
 
 途中にある両開き2ページに広がる雪の森の中の絵がとてもきれいです。白い部分が雪だとわかります。

 作者の発想の流れがステキです。なかなかないパターンです。
 そして、うさぎは、白い体に戻る。

 なるほど。『もみの木』登場です。
 1年の『時(とき)』が経過します。
 宗教的です。
 
 ちびっこは、おもちゃとたべもの、そして絵本が好きです。
 クリスマスツリーのもみの木には『実』がなる無限の世界があります。
 そうか、この本は、クリスマスの時期に読む本です。
 昭和40年代にあった人の心のぬくもりを感じました。昭和45年第一刷の絵本です。
 サンタクロースの立場にたって考えました。
 人づきあいと人を育てるときのコツとして、いきなりの否定はしない。いきなりの𠮟責もしない。(しっせき。注意する。怒る(おこる))
 いったん受け止めて、包んで、気づかせて、育んでいく(はぐくんでいく)。  

Posted by 熊太郎 at 06:45Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年02月27日

夜に星を放つ(よるにほしをはなつ) 窪美澄(くぼ・みすみ)

夜に星を放つ(よるにほしをはなつ) 窪美澄(くぼ・みすみ) 文藝春秋

 好みの作家さんです。味わい深い文章を書かれる作家さんです。
 本は直木賞受賞作です。
 いつかは、同賞を受賞される作家さんだと思っていました。
 この本は、短編5本です。

『真夜中のアボカド』 2021年(令和3年)の作品
 綾(あや):32歳女性。
 
 麻生(あそう):34歳男性。フリーのプログラマー。東京西部にある2LDK賃貸マンションで、ひとり暮らし。

 村瀬:男性。綾の妹(弓。ゆみ)の彼氏

 コロナ、リモート勤務、2021年当時の社会背景があります。
 人に会えず、うつ状態になりそうな女性が、主人公の綾です。

 アボカド:果実。スーパーの野菜売り場で売っていますが、うちはほとんど買いません。
 物語はこれから読み始めますが、たぶん、アボカドを育てるのでしょう。アボカドの成長と人間ドラマを重ねるのでしょう。
 なのに『私は観葉植物を枯らす名人だ……』と出てきました。なかなか心憎い展開です。(言動がすぐれている)

 綾さんが、婚活アプリにトライです。(妻子ある男にひっかかるという筋書きではなかろうかという予測が生まれました)。相手は妻帯者かもしれませんよ。綾さん、注意しなさいよ。

 アボカドの成長と綾と麻生のラブの成長を重ねるのだろうか。

 綾は、結婚したい。
 今のままでは、アボカドが友だちになってしまう。

 綾の妹の話が出ます。
 
 ラブ体験において、麻生がおどおどしていたのは、初心者だったからという理由ではなかった。

 高校に『天文部(てんもんぶ)』があるという高校は聞いたことがない。(あとで調べたらけっこうありました。失礼しました)

 どこの家にも、外に出すには不都合な事情があります。
 親族が多ければ、いろいろな人間がいます。
 結婚していっしょになるということは、お互いの家の事情を認め合わないと、なかなかいっしょにはなれませんし、いっしょになっても継続していけません。
 
 コロナの感染者はどんどん増え続けています。
 綾は、厳しい事情をかかえています。
 Face Time:アップルのアプリケーション。ビデオ通話ができる。
 ちょっと背をそむけたくなるような、心が苦しい生活の悲しみが伝わってくる文章です。
 こんな設定が実際にあるのかなあ。少ない事例です。あるのかもしれません。

 愛する相手は、だれでもいいというわけにはいきません。
 おもしろくない話かもしれませんが、一生ひとりの異性を愛することができる人はいます。たいていの人はそうだと思います。

 23ページ末、へーっ。こうくるのか。起承転結の転の部分でしょう。

 ひきずる人がいます。
 
 コロナのせいにするのか。

 育てるのはたいへんですが、喜びもあります。
 親が子を育てるときのことです。
 『……綾は綾の人生をいきなさい……』。なかなか言えない言葉です。理想かもしれません。

 この本や、この短編のタイトルの意味がわかりました。
 読み終えて、中学の時に病気で死んだ自分の親父(おやじ)のことを思い出しました。夜空に金星が輝いていました。


『銀紙色のアンタレス』 2015年8月(平成27年)の作品
 1本前の作品も含めて、星や星座のことが出てきますが、星に関する知識がない自分にはなんのことかわかりません。ピンときません。
 夏の大三角というのは、昨年の夏に千葉市科学館にあるプラネタリウムで天井を見上げながら見た覚えがありますが、ぼんやりとながめていただけです。(こと座のベガ(おりひめ星)、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル(ひこ星))。それから、ふたご座のカストルとポルックス。
 そして、今回の短編が『アンタレス』。なんのこっちゃいな?(夏、南のほうに見える赤い星らしい)。
 星や星座のことがわかる人がこの本を読むと、どんな感じがするのだろう。
 
 真(まこと):8月8日生まれ。きのう16歳になった。高校一年生。東京のマンションで母親と住んでいる。父は京都に単身赴任中。水泳部員。夏休みにいなかの海岸近くにある母方祖母の家に来て海を満喫している。祖父は真が小学一年生の時に癌で亡くなった。
 
 ばあちゃん:真の母方祖母。73歳ぐらいに思えます。

 朝日(あさひ。女性):東京在住。真と同じマンションに住む真の幼なじみ同級生だが、通っている高校は違う。家族ぐるみの付き合いで、真の祖母とも親しい。真に遅れて、真の祖母宅に遊びに来る。

 相川たえ:あかちゃんをだっこした女の人。
 相川歩(あゆむ):あかちゃん。たえのこども。

 相川のおばあちゃん:たえの母親。真の祖母と親しい。ご近所さん。

 海で立ち泳ぎをしている真(まこと)の部分の文章を読んで、自分が中学生の時、深い海で、立ち泳ぎをしていたことを思い出しました。中学生の時は2kmぐらい簡単に泳げましたが、今は、同じ場所に浮かんでいるだけでせいいっぱいでしょう。

 年齢を聞くくだりがおもしろい。(59ページ)
 『いくつですか?』
 『もうすぐ、一歳になります』(母親である「たえ」の年齢を知りたかった)

 ページ数はそれほど多くない短編ですが、1ページに、文字がびっしり書いてあります。ゆえに読むのには時間がかかります。
 それでも、読みやすい文章です。書かれている情景は、頭に浮かべやすい。

 祖父を亡くした祖母は、毎日何年もひとりで寝ている。
 それが生きていくということ。

 あかちゃんのようすがおもしろい。じょうずな文章で表現してあります。

 浮気、離婚、結婚、おとなの世界はいろいろあります。
 夫婦は夫婦げんかで言い合いをするうちは、まだだいじょうぶです。本当に険悪になると口をきかなくなります。

 読んでいてのことですが、読書経過中に登場人物である『朝日』の性別がなかなかわかりません。わたしは、しばらくの間、男子高校生だと思って読んでいました。(女子高生でした)
 くわえて、あかちゃんである『歩(あゆむ)』の性別も判然としませんでした。読んでいて男の子だろうと断定しました。

 フェルトでできた小さな象のおもちゃ:生地。ヒツジやラクダの毛を圧縮してある。化学繊維製もある。

 意味深い言葉として『……その光がなんだか僕のなかの、いちばん奥の部分を照らしているような気がした。』
 
 みんなそれぞれつらいことがある。
 
 龍宮窟(りゅうぐうくつ):海岸の岩場にある洞窟でしょう。物語の舞台かどうかは解りませんが、静岡県伊豆の下田にあるようです。

 女性の作者が男性(十六歳高校生)の心理を描くことに挑戦していますが、十六歳男子の頭の中はまだこどもです。ちょっと苦しい設定の中身があります。十八歳ぐらいになれば、内容と脳みそが合致して、あんばいいいような感じがします。

 昔の人は、相手のことなんぞ知らずに、見合いで結婚していたとあります。本当にそうなので、奇跡で結ばれた男女関係です。離婚は少なかった。女子のほうが、がまんしていたことが多かったのでしょう。
 祖母の『……じいちゃんは凶でも外れ(はずれ)でもなかったね』の言葉に救われます。良くも悪くもなく、ふつうが一番です。

 十六歳男子の妄想恋愛がありますが、現実は厳しい。
 見た目で恋をしたい年齢です。見た目と中身が違うことに気づいて了解できるまでには、まだまだ経験がいります。

 ちょっと硬い内容の作品でした。

『真珠星スピカ』 2019年(令和元年)の作品
 母:亡くなった人の幽霊。二か月前に交通事故死した。

 佐倉みちる:幽霊母の娘。女子中学生。文章からは、一年生ぐらいにみえる。よそから転校してきた。同じクラスの女子たちのいじめにあっている。
 
 父:娘とは心の交流は薄い。

 尚ちゃん(船瀬尚。ふなせ・なお):佐倉みちるの隣宅に住む佐倉みちるの男性中学担任教師。幼なじみ。佐倉みちるが小学生一年生のとき、船瀬尚は大学生だった。今は、中学で尚のクラス担任をしている。(こちらも自分は、読んでいる途中まで、尚ちゃんは、女教師だと思い込んでいました)

 保健室の美輪先生。女性教師。
 
 瀧澤さんという女子中学生:佐倉みちると同じクラスで佐倉みちるを女子グループでいじめている。

 どうして佐倉みちるは、父親に死んだ母の幽霊が見えると言わないのだろう。父子の間に距離感があります。中学生女子とサラリーマンの父親、父子家庭です。会話がありません。
 佐倉みちるのつぶやきが続きます。
 読んでいて、読み手の気持ちが沈んでくるような内容です。母親がいないので、食事の料理は佐倉みちるがつくりますが、うまくいかないことが多いようです。
 
 狐女(きつねおんな):佐倉みちるをいじめるときの言葉

 いじめが原因で、母親の幽霊が見えるのか。
 幻視は、心の病気ではなかろうか。

 いじめた人間たちには責任をとってもらう。
 他人の人生の流れを壊した責任をとってもらう。
 加害者の親も含めて、謝罪と金銭による賠償責任を果たしてもらう。
 いじめられる生徒よりもいじめる生徒を守る先生もいます。加害者の親が地元の有力者だったりもします。

 小説の書き方として、よく登場人物の氏名のあと出しを見かけますが、風情(ふぜい。情緒じょうちょ、味わい)は出るのでしょうが、読みにくいです。性別が不明瞭だったりもします。

 母親の幽霊が家にいて、作者はこのあと、この話をどう運んでいくのだろう。
 
 110ページ付近にいます。星のことはいつ出てくるのだろう。

 こっくりさん:心霊現象遊び。自分が中学生のときにクラスの女子たちがやっていた記憶です。たしか教師が禁止しました。インチキ占い(うらない)行為なのでしょう。わたしはどんなものなのかは知りませんが、この物語のなかにやっているようすは出てきます。

 スピカ:真珠星という名前もある。父の田舎は、長崎と佐賀の県境にある。
 わたしは、この部分の文章を読みながら、中学の時に福岡で新聞朝刊の配達をしていたときのことを思い出しました。
 新聞配達を終えて帰宅するとき、流れ星が明け方の夜空で、しょっちゅう流れていました。

 ユーミンの歌として『真珠のピアス』という歌あり。

 保健室登校というのは、いじめで心が痛んだこどもさんが行くのか。

 クライマックスが近づいてきました。
 なるほど、書き手は、何でもできる。なんでも、いかようにでも書ける。すさまじい。

 ルンバ:自動で動いてそうじをしてくれる掃除機というのは、定位置に戻る動きをするのか。知りませんでした。

 おもしろい。大逆転。怖い(こわい)
 いじめる人間と戦わないといじめはやまない。
 良かった一節として『……私が生まれる前の、私が知らない父さんと母さんの時間があることが不思議に思えた』
 じょうずな文章でした。心にしみました。

『湿りの海』2020年(令和2年)の作品
 沢渡(さわたり):37歳バツ1。中堅医療品メーカーの営業担当。仕事ばかりしていたら、妻がさびしさで浮気をして、別の男に妻をとられた。妻は離婚後、その男と再婚してアメリカ合衆国アリゾナ州へ渡った。幼児の娘は妻が引き取った。定期的にネットで実父と娘の面会がある。

 希里子(きりこ):沢渡の前妻。39歳。再婚相手はアメリカ人男性のようです。
 希穂(きほ):沢渡と希里子の長女

 左内(さない):沢渡が住む賃貸マンションの住人。沢渡と同じフロアにいる。老婦人。銀髪(ぎんぱつ)

 園部(そのべ):沢渡の同僚。男性

 宮田:ショートカットの女性。沢渡の合コンの相手。

 船場(せんば):バツイチ女性。沢渡の隣室に引っ越ししてきた。シングルマザーのひとり親家庭。
 沙帆(さほ):船場の娘。3歳になったばかり。母親の虐待が疑われる。

 伏線は絵画『湿りの海』画家エティエンヌ・トルーベロの作品。題材は月の表面にある場所のこと。ふと、アポロ11号月着陸船が着陸した『静かの海』を思い出してしまいました。自分が小学生の時に白黒テレビ放送で見ました。1969年(昭和44年)のことでした。

 オルフェウスの神話:本『星の神話』オルフェウスは竪琴弾き(たてごとひき)。毒蛇(どくへび)に噛まれて亡くなった妻を追って冥土(めいど)の宮殿に向かう。
 オルフェウスは、振り返ってはいけないという冥土の王の指示に従えなかったために失うものがある。(オルフェウスとこの短編の主人公沢渡が重ねてあります)

 失った妻子を取り戻したい沢渡がいます。だけど、できない。元妻子には、「夫」と「ダディ」と呼ばれる一緒に暮らす男がいる。
 かなりせつなく、悲しげなお話が始まりました。
 主人公の沢渡はひどい人です。妻子に捨てられて当然な人間です。妻は離婚して正解です。再婚も良しです。
 仕事人間は家族にとっては迷惑です。むしろ単身赴任状態で別居していた方が家族関係を維持できそうです。元妻の言葉として『あなたは自分以外のことにはまるで興味がないのよ……』(そういう男っています)

 結婚指輪を永年付けていると、指輪を指から抜いたときに左手薬指に指輪の跡が残ります。なかなか消えません。離婚した沢渡の指輪の跡はなかなか消えません。
 作者の表現がうまい。『ここにまだあるんですね』指輪の跡を見た女性からそう声をかけられる沢渡です。
 沢渡のつぶやき『……最低な僕が誰かと恋愛をする権利などない……』(そのとおりです)

 麗子像:大正時代の油彩絵画。肖像画。東京国立博物館蔵。岸田劉生(きしだ・りゅうせい)の絵画作品。

 ストライダー:こどもの乗り物。自転車風。ペダルのない自転車。蹴って(けって)進む。ランニングバイク。
 バンダナ:大型ハンカチ。頭や首に巻く。

 離婚した沢渡の前にふたりの女性が現れました。
 疑似家族。
 離婚で手放した子どものことは、いったん忘れた方がいい。子どもがおとなになって戻ってくるということはあります。
 人間は、どうして仲良くできないのだろう。
 鈍色(にびいろ):濃い灰色。
 バツ1男女のそれぞれの悲しみがあります。悲しみがにじんでいます。
 結婚式での離婚体験者のスピーチはつらい。

 児童虐待はありうる。作品『きみはいい子 中脇初枝 ポプラ社』を思い出しました。
 離婚の際には、虐待する親が引き取るのではなく、虐待していなかった親が引き取るべきです。最悪子どもが殺されてしまいます。
 グサッとくる言葉として『子どもなんか産まなきゃよかった……』

 はかない人間関係があります。
 終わり方もうまい。
 絶品の短編作品でした。

『星の随に(ほしのまにまに)』2021年(令和3年)の作品
 想(そう。男子):小学二年生の春から継母と実父と暮らしている。小学四年生。中学受験するらしい。そのことで、実父母である両親がケンカをして離婚した。父は中学受験に反対だった。それならば、離婚後実母が引き取ればいいのに。どういうわけか父親が引き取っています。まあ、ほかにもいろいろあるのでしょう。両親離婚後は、三か月に一回しか実母に会えない。でも、想としては、いつだって実母に会いたい。

 海(かい):想の異母弟。想が小学四年生になった春に生まれた。まだ、あかちゃん。

 渚(なぎさ):想から見て継母。海から見て実母。

 想の実父:駅前でカフェを経営している。バツ1。再婚者。コロナ禍で店がうまくいってないらしくアルコールに逃げるようになった。(世間では、アルコールに逃げる人が多い)

 想の実母:バツ1。独身。看護師。

 中条(ちゅうじょう):想の同級生男子。同じく両親が離婚している。母親に引き取られている。(ひとり親家庭のこどもが増えました。どちらかが「おまかせします」と言えないと離婚が近づきます)中条君の名セリフとして『……子どもとして当然の権利だよ』

 佐喜子(さきこ):腰の曲がったおばあさん。想ファミリーと同じマンションに住んでいる。白髪。かなりの年齢の高齢者。耳にイヤリングあり。大きなメガネ。指にマニキュア。とても派手なおばあさん。自室で東京大空襲のときの油絵を描き続けている。空襲当時おばあさんは10歳ぐらいだった。(東京大空襲:1945年3月10日は、死者が10万人以上になった)
 三四郎:佐喜子の亡夫。
 
 むずかしい。
 『かあさん』と呼べない女性が家にいます。
 
 今年読んで良かった一冊になりそうです。

 星の話として『夏の大三角形 白鳥座のデネブと織姫星のベガ、そして、彦星のアルタイル』
 
 想はつらそうです。両親が離婚して、引き取った実父が再婚して、実父と継母にこどもが生れて、実母に会いたくてもなかなか会えなくて。
 重松清作品の名作『卒業』を思い出しました。血縁関係のない家族構成のなかで、自立や自活ができない年齢のこどもは悩んでいますが何もできません。
 継父や継母も反抗的なこどもに手を焼いて深く心が傷つき悩みます。作品は、短編集です。『卒業 重松清 新潮文庫』。号泣できます。
 こちらの本の短編では、親の都合に振り回されるこどものつらさが表現してあります。

 こどもが生れてから十年間ぐらいの子育ては本当にたいへんです。夫婦で協力してがんばらないとそれぞれの心が折れてしまいます。苦しいピークを乗り切れば楽になります。

 こどもの孤独を『本』が救ってくれます。
 
 コロナで商売がうまくいかないので、家の中が荒れます。

 こどもみたいなおとなが増えました。

 地域社会がこどもを育てる。
 (そんな機能がだんだん縮小してきていると感じます)

 想の実母もひとりぼっちでつらいんだろうなあ。

 池のスワンボートは30分間:守らない人もいるのだろうなあ。30分間を破ったからといって罰則があるようには思えません。

 如雨露:じょうろ。すっと読めませんでした。植物に水をやるときのジョウロです。

 こどもは、18歳になれば、自分の好きなところに堂々と住める。(父親の意向は関係ありません。憲法に居住の自由があります)。想は、実母と暮らしたい。

 人間が「悪魔」に見える時があります。「戦争」の時です。
 「対立」と「諍い(いさかい)」が、人間界からなくなることはありません。ゆえに、人間は武力を持ちます。

 出会いがあって、別れがあるのが人間社会です。
 おばあちゃんである佐喜子さんの言葉には胸が熱くなります。『……どんなにつらくても途中で生きることをあきらめては駄目よ……』
 
 生き続けるための『光』がある作品でした。
 とうさん、あれがベガだよ。(織姫星)
 作品『自転しながら公転する 山本文緒 新潮社』を思い出しました。
 生きることは、けっこうしんどい。  

Posted by 熊太郎 at 07:09Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年02月25日

こすずめのぼうけん 福音館書店

こすずめのぼうけん ルース・エインズワース・作 石井桃子・訳 堀内誠一・画 福音館書店

 表紙の絵にあるこどものすずめの絵がかわいい。

 ふつうに読めば、すずめの子の成長を見守るような絵本ですが、偏屈者(へんくつもの。性格がふつうとちょっと違う。ものごとの裏側を見ようとする。表面に出ていることを信用しない)のわたしが読むと、まるっきり異なる状態を感じる絵本です。

 すずめの子の誕生から始まります。
 絵本では、木の上にすずめの巣があって、すずめの親がいますが、わたしの体験だと、すずめは家の軒下に巣をつくります。
 こどものころ、社宅である長屋の屋根の取り換え工事があって、たくさんのすずめの巣が屋根のひさし奥から地面に落とされていました。たしか、巣の中にすずめのひなが居た記憶です。それがどうなったかは記憶がありません。

 人間のこどもをすずめのこどもにたとえる擬人法(ぎじんほう)がもちいられていると思います。
 すずめの子は、やがて巣立ちをするために、空中を飛ぶ練習を始めました。
 すずめの子は、塀を越えて、川を越えて、どんどん巣から遠ざかっていきます。
 小さな体だけれど、動きはダイナミックです。(力強く生き生きと躍動(やくどう)している)
 ずーっと飛び続けることは無理なので、ときどき休憩をとります。

 おもしろいやりとりが始まりました。
 物語のベース(下地(したじ))は、温かい(あたたかい)心とか気持ちです。
 
 仲間とか分類の話が出てきます。
 出会いの第一は『からす』です。
 すずめとからすは鳴き声が違うから仲間じゃない。

 第二の出会いが『やまばと』です。
 鳴き声で分類するので、すずめとやまばとは仲間ではありません。
 自分が毎朝のように散歩で訪れる森にいるカラスたちの鳴き声を思い出しました。キジバトもいます。カラスもキジバトもいつも食べ物をさがしています。

 こすずめは、だれかをさがしています。

 出会いの第三は『ふくろう』です。
 お話のパターン(決まったやり方)は、同じようなことのくり返しで、ちょっとあきてきました。
 すずめとほかの鳥と、明確な分類があります。

 第四の出会いが『かも』です。
 こすずめは、ほかの鳥たちから拒否されてばかりです。
 『血統主義(子は親と同じ国籍を取得する)』を感じる外国絵本です。
 ふーむ。これでいいのだろうか。
 民族主義。
 同一民族で国家を築く。
 他の民族を排除し、同じ民族での結束を重視する。この本は、ちょっと変わった絵本に感じます。

 こすずめを母親の背中に乗せて飛ぶ姿がおもしろい。発想がユニークです。(ふつうじゃない。ほかに例がない。めずらしい)

 作者も翻訳者も画家も三人とも亡くなっています。
 ルース・エインズワース:1984年(昭和59年)70歳ぐらいで没。女性。
 石井桃子:2008年(平成20年)没。101歳没。作品として『ノンちゃん雲に乗る』があります。
 堀内誠一:1987年(昭和62年)54歳没
 この絵本は、1977年(昭和52年)第一刷です。  

Posted by 熊太郎 at 07:10Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年02月21日

ばばばあちゃんの なぞなぞりょうりえほん

ばばばあちゃんの なぞなぞりょうりえほん むしぱんのまき さとうわきこ・作 佐々木志乃(ささき・しの)・協力 福音館書店

 『パンはパンでも食べられないパンは?』で始まります。こたえは『フライパン』ですね。
 おばあちゃんがひとりいて、そのまわりには、6人のこどもたちがいる絵です。

 なぞなぞの出しっこです。
 こんどは、ちびっこたちがなぞなぞを出します。
 食べられる・食べられないはそれほどこだわらないなぞなぞです。
 正確な答えよりも『受容(じゅよう。広い心で受け入れる)』が優しい(やさしい)心を育てます。
 クイズ自体はちょっと古いかなーー(20年ぐらい前の絵本です)

 むしぱんをつくります。
 ベーキングパウダー:ふくらし粉(こ)、膨張剤(ぼうちょうざい)
 カレーパン
 なすいりむしぱん
 パンづくり続きます。
 パンのつくりかたがわかりやすい絵本です。
 いろんなものを入れます。あまなっとう。みかん。こんぺいとう。チョコ。さつまいも。ぶどう。いろいろあります。工夫が(くふう:ああでもないこうでもないと考えをめぐらせること)あります。
 
 ちびっこは、おいしいものが好きです。
 この絵本はお料理本です。
 たくさんのパンができあがりました。
 パンを囲んでみんなでおしゃべりします。
 大事な交流です。
 落語のような面もある絵本でした。  

Posted by 熊太郎 at 07:43Comments(0)TrackBack(0)読書感想文