2023年03月17日
この素晴らしき世界 東野幸治
この素晴らしき世界 東野幸治 新潮文庫
令和2年(2020年)の単行本を令和4年(2022年)に文庫化してあります。
週刊新潮連載記事のまとめです。
ざーっと登場する人物を書き出します。西川きよし師匠、坂田師匠、品川佑、ほんこんさん、メッセンジャー黒田、ダイノジ大谷、天津木村、桂三度、大西ライオン、なかやまきんに君、藤井隆、山里亮太、ココリコ遠藤、次長課長井上、ピース綾部、若井おさむ、NON STYLE石田、キングコング西野、リットン調査団藤原、陣内智則君、カラテカ入江、ノブコブ吉村、中山功太、トミーズ健、大木こだま、矢野・兵頭、ガンバレルーヤよしこ、三浦マイルド君、宮川大助・花子、リットン調査団水野、極楽とんぼ加藤、自分が知っている人もいるし知らない人もいます。合計で31人です。
自分は、旅に興味があるので、岡村隆史さんとの番組『旅猿』で東野幸治さんを見るぐらいで、そのほかの東野さんの番組は見ていません。
個人を巡るエッセイ(きままな文章)のようです。
読み始めます。
西川きよしさんの前立腺がん治療話が目を引きました。前立腺を全部摘出です。術後は尿漏れに苦しみますが、尿を人工的に調節してくれる機械を埋め込む手術をされています。「人工尿道括約筋」の手術だそうです。睾丸に(こうがん。なんとか玉)に機械が埋め込まれました。小さなボタン電池ぐらいの大きさだそうです。快適だそうです。(ほーっ。そんなことができるのか)
坂田師匠の記述のところで、中川家の剛(つよし)さんが、パニック障害になっていたと書いてあります。そういえばそういう病名をしょっちゅう見かけた時期がありました。最近は聞かなくなりました。
東野さんによる文章の内容には『毒』はありません。軽いタッチで文章が続いています。
品川祐(しながわ・ひろし)さんという方は、番組『アメトーク』で見ます。(そう思って読んでいたら、28ページに『アメトーク』のことが出てきました)
「嫌われ芸人」という立ち位置が批判されることは、理由がよくわかりません。笑いをとるための手段だから、仕事だと思うのです。だれもが、自分ではない何者かを演じています。品川祐さんのあだ名は『おしゃべりクソ野郎』だそうです。
そういえば、ウェストランドというコンビがM1で優勝しました。昭和50年代は、悪口を言う漫才が多かったような記憶です。
ほんこんさんは、番組『旅猿』で見て知りました。湘南でサーフィンをされていました。
変わったお名前です。『130R』というコンビを組んでいて、相方が、板尾創路(いたお・いつじ)さんだそうです。でももう何年もコンビで活動はしていないそうです。
ほんこんさんは、昔、マカオさんという人と「ホンコン・マカオ」というコンビを組んでいたいたそうです。相方が土日休日に働きたくないと言い出して解散したそうです。そういえば、おふたりの話とは離れますが、クイズで『ホンコン・マカオ旅行をプレゼント』みたいなフレーズがあった記憶です。
東野幸治さんの記述は、お笑いの歴史です。東野さんは、歴史の生き字引です。長く続けることが仕事で成功するコツです。
メッセンジャー・黒田さんも番組『旅猿』でよくお見かけします。この本は、旅猿仲間の紹介の側面があります。
黒田さんの言葉として『東京の番組はしょーもない! カンペに書かれたこと喋ってる(しゃべってる)だけやろ! ……』(そうなのか。カンペ:演者に伝達する手段。スケッチブック、大きな紙など。メッセージや指示を送る)
東野さんが自分のことを『心無い私』(昔はそうだったらしい。自己中心的ということか)
ダイノジ大谷さんという人は、エアギターという演技で世界一になったというニュースを聞いたことがありました。
ふたり組だということは、この本を見て初めて知りました。
コンビ名:ダイノジ。ふたりとも大分県出身1994年(平成6年)から活動開始。
大谷ノブ彦:この本では、おもに大谷さんについて書いてあります。(最後にご本人が「息子が登校拒否になっちゃいました」とコメントがあり心配しました)
大地洋輔(おおち・おうすけ):こちらが、エアギター世界一になった方(かた)
ここまで読んできて、千鳥の番組『相席食堂』を思い浮かべました。
この本に載っている人たちが、日本各地で食べ歩いているような番組です。
55ページに『ピコ太郎』さんというお名前が出てきます。
そういえば、そういう人がいたなあという過去を振り返る気分になりました。
桂三度さん(世界のナベアツ)の『イチ、ニィ、サーン! シー、ゴ、ロクー』は、おもしろかった。
大阪府守口市にある梶中学校卒の芸人さんたちのことは初めて知りました。桂三度さん、ますだおかだの増田英彦さん、中川家(兄の剛(つよし)、弟の礼二)さん。
亡くなった三遊亭円楽さんのことが出てきます。わたしは、毎週テレビ番組『笑点(しょうてん)』を楽しみにして観ています。
大西ライオンという人は知りませんが、読んでいると「不思議な人」に思えました。
蛍原徹(ほとはら・とおる)さんの誕生日祝いに買うケーキ代を集めるのに、サプライズ企画(本人は知らない)なのに、大西ライオンさんは、蛍原さんにケーキ代の集金に回っています。
大西ライオンさんのお父さんが酒乱だったことには同情します。
この本を読んでいた頃、同時進行で『ウクライナ戦争 小泉悠(こずみ・ゆう) ちくま新書』を読んでいたのですが、ずいぶん前に番組『東野&岡村の旅猿』で、ふたりがロシアのモスクワを訪れたことがあります。
東野さんは、ロシアが好きなようで、番組の中でロシア大統領の名前を連呼していました。今、どういう気持ちなのだろう。
そのときの感想メモが残っていました。以下がその一部です。
東野・岡村旅猿 ロシア・モスクワで観光の旅 DVD ワクワク編とルンルン編 2018年11月
モスクワの赤の広場、クレムリン宮殿、大統領府、聖ワシリ大聖堂の回りを何度も回るルートで、二日間ぐらいの滞在です。
東野さんがどうしてクレムリン宮殿(クレムリンは城塞という意味)が大好きなのかはわかりませんが、熱狂的でした。
モスクワの人というのは、やはり、社会主義の国に住む人という印象をもちました。
途中、ふたりと番組スタッフが、おおきな対立になるのですが、やらせを嫌う東野さんとコサックダンス教室を企画した現地ガイド・日本人スタッフの争いは、東野さんの意見のほうが正しい。いっけん、日本人とモスクワに住む人との友好シーン映像に見えるのですが、コサックダンスのメンバーは、報酬をもらって演技をしていたと推測するのです。
社会主義、秘密主義、言論統制、報道の不自由などの要素がある社会組織の国です。東野さんがスパイ行為も含めていろいろ疑うのはやむをえません。スポーツにおけるドーピング疑惑とか、日本終戦時に日本の弱みにつけこんで、満州や北方領土に侵攻してきたとか、いろいろ思い浮かびます。
列車の中で、現地のロシア人らしきおじさんに、撮影をしていたので、うるさい、静かにしろ。みたいに注意されます。緊張の時間帯でした。しかたがありません。日本の新幹線も同じ雰囲気です。
なかやまきんに君が福岡県出身だということは知りませんでした。福岡県は、芸能界で働く人材が豊富です。
今年2月に博多駅周辺を散策したのですが、なにせ華やかです。人は多いし、来ている洋服のファッションがいいし、文化的で、勢いがあります。外国人も多い。新しいものが生まれる下地があります。
藤井隆さんは番組『新婚さんいらっしゃい』で井上咲楽さんとお見かけします。
藤井隆さんは、奇人だそうです。1990年代のオカマみたいなキャラクターのときは覚えています。なんだか不思議に思えました。じっさいは、おかまではないそうです。エキセントリック(奇妙)になって、笑いをとる手法だったそうです。
亡くなった人のお名前も出てきます。神田沙也加さん(令和3年12月35歳没)
この本は、令和2年2月に出ています。本というものは不思議です。記録です。そのときは生きていた人が、今はもうこの世にはいない。
山里亮太さんについては、ご本人が書いた本を読んだことがあります。漫才の相方にかなりひどいことをされています。
『天才はあきらめた 山里亮太 朝日文庫』
芸の根っこが、仕返しで、ねたみとかうらみを晴らすことが目標でした。
山里さんは、非常に緻密(ちみつ)です。緻密さは、不祥事を起こした渡部さんとか、ラジオパーソナリティをしていた永六輔さんを思い出します。芸能界で成功するためのひとつの方法として異常なほどの徹底した緻密さがあります。24時間、365日、たとえば「お笑い」のことを考え続ける。得るものは大きい。反面、失うものもあります。
106ページ。『笑いって残酷なほうが面白いから……』
人間の本質はクズなのです。
遠藤章造さんのことが書いてあります。千秋さんの別れただんなさんということしか知りません。
なんだかハチャメチャな人です。ばかさかげんと思慮のなさがおもしろい。
次長課長の井上聡さんという人は知りません。相方の河本さんは、親が生活保護をもらっているという不祥事のようなトラブルがあったことは記憶があります。
井上さんは奇人だとこの本では書いてあります。ゲームが好きで、ゲームのために人生の大半の時間を消費しているそうです。うーむ。小学生の孫が『人生ゲーム』好きなのことを思い出しました。何度も連続で付き合わされます。
ひとつのことに集中する。病気の完成までには至らない程度のなんとか障害だろうか。
この本を読むのには、時間がかかります。
すき間時間を利用しながら少しずつ読み進めています。
ピース綾部さんは、芥川賞作家の又吉直樹さんに養われているイメージがあります。まあ、漫才のコンビというものは、金銭的にはそういうものなのでしょう。
ニューヨークにおられるそうですが、孤独なんじゃないだろうか。
『リットン調査団』水野透さんと藤原光博さんのコンビで、この本の部分では、藤原光博さんを紹介してあります。(本のあとのほうに水野透さんの紹介があります)
リットン調査団というのは、歴史で習った満州事変のときの国際連盟の調査団の名称ではなかろうか。
おふたりは、お笑い芸人としては売れていないそうでアルバイトで生計を維持されているそうです。
『ラブアタック』なつかしい。昔、そういう恋愛想定番組がありました。この本では、百田尚樹さん(ひゃくたなおきさん。放送作家、小説家)のお名前が出てきました。
本の中では57歳になった藤原さんの言葉がいい。『一回でも客前で爆笑とったら、辞められるかいな。あんな快感ないやろ』(相当な快感があるようです)
陣内智則さんが藤原紀香さんと離婚した時には、どうして、陣内智則さんが浮気なんかしたのだろうかと不思議でした。
藤原紀香さんの本は読んだことがあって『カンダクゥ(アフガニスタンの言葉で「笑顔でね」)』という、ご本人が現地で現地の人たちの暮らしぶりを写真撮影した本でした。藤原紀香さんがカメラで撮影した現地のこどもたちの笑顔がたくさん載っていました。おふたりが、離婚されたときには、がっかりしました。
東野幸治さんは、陣内智則さんのテレビ出演がテレビ局に敬遠されて、仕事が暇になったので、東野さんのゴルフの相手ができて喜んでいたそうです。(ふむ。陣内さんは働かなくても食べていけたわけか。稼いで資産が貯まっていたのね)
読んでいて、まあ、再婚もよしかなという気持ちになりました。失敗はつきものです。娘さんも誕生されて、とても喜んでおられるようすです。『もう二度と過ち(あやまちはおかさない)……』とコメントされております。(そうです。もう浮気はやめましょう)
カラテカ入江さんという方は、闇営業のときの不祥事の根幹にいた人だと思います。
矢部太郎さんのまんが『大家さんと僕』は、読みました。ほのぼのとしています。矢部さんも番組『旅猿』に出ておられました。たしか、熊本県内にある忍者屋敷で忍者のかっこうをされていました。
入江さんと矢部太郎さんは性質が全然合わないコンビに思えます。
本人のコメントとして、現在は清掃のバイトをしていますとありますが、それから月日がたって、現在は清掃会社を立ち上げて社長をされているようです。再起ですな。
平成ノブシコブシの吉村崇さんも番組『旅猿』でお見かけしました。長崎県への旅でした。
番組を観た時は『破天荒の人(はてんこうのひと)』の意味がわからなかったのですが、この本を読んでわかりました。常識では考えられない無謀なことをするのですな。
乱暴な金遣い(かねづかい)は、笑いにつながる。著者は吉村さんを『馬鹿天狗(ばかてんぐ)』と分析・評価されています。
本人のコメントがいい。『……極楽っていうのは地獄の先にあるんだなと……』
この本の最後のところでもお名前が登場されていました。加藤浩次さんの部分で、加藤さんが事務所を辞めるなら自分も辞めると発言されたそうです。おふたりとも北海道出身です。
中山功太さんという方は存じ上げません。ブレイク前夜芸人と書いてあります。
ネタは実家が金持ちだそうです。5歳のときに誘拐されたとあります。本当だろうか。
父親の会社の倒産で、今はお金持ちではないそうです。
番組『しくじり先生』に登場したことがあるそうです。
こどものころ貧乏でも、成人してからがんばって富裕層の人間になる人もいるし、逆に、こどものころ富裕層にいても、親が経営していた会社が傾いて、貧乏になるという人生もあります。人生はいろいろで、ぼーっとしているとお金は逃げていきます。
著者がお笑いの世界が好きだということが伝わってくる文脈です。
サラリーマンの世界とは違います。
逆に、サラリーマンはやれない人たちです。
著者いわく「奇人変人だらけの吉本芸人……」です。ただ、一般社会でも奇人変人はよく見かけます。見た目だけでは、すぐにはわからないこともあります。
トミーズ健さんという方のお話です。わたしは存じ上げません。
トミーズ雅(まさ)さんのほうはわかります。
亡くなってしまったダチョウ俱楽部の上島竜兵さんのお名前が出ています。
トミーズ健さんは、2人兄弟だったが、中学生のときにお父さんから、実は、一番下にもうひとり弟がいると告げられます。怖い話です。貧乏暮らしだったので、一番下の子は施設に預けてあったそうです。
貧乏話が出ます。おもしろい。ただ、これぐらいの年齢の人たちは(1959年生まれ)同じような貧乏体験をもっていると思います。
貧しかったことは思い出したくないので人には話さないということはあります。
本では、家にフロがなくて、銭湯に行くお金もなくて、13歳まで、家の前で素っ裸になって、フロ代わりに、たらいで水浴び、行水(ぎょうずい)をしていたそうです。
わたしも小学二年生ぐらいのとき、自分が中学の時に病気で死んでしまいましたが、当時35歳ぐらいだったおやじに連れられて、近所にある池につかって、池をフロ代わりにしたことがあります。とてもイヤでした。読んでいて、ふと思い出してしまいました。せめて、川にして欲しかった。池はため池のような、緑色の水面の色でした。
トミーズ健さんのクリスマスのごちそうは、ブタの頭をまるまるボイルしたものだったそうです。わたしも思い出しました。おやじが持って帰って来たのは豚足(トンソク)でした。
ホラーのような恐ろしい話が出ます。弟さんの中指が工場で作業中に切断されて、切れた指をおなかにくっつけて、育てて、もとの指に戻すという治療です。
それから、ホノルルマラソン参加のことが書いてあります。3万人も参加するのか。そうか、マラソンというよりもお祭り、フェスティバルのような企画です。
なお、トミーズ健さんはマラソンレースがスタートしたとたん自分の靴の靴ひもがほどけていることに気づき、結ぼうとしゃがんだとたん大群衆の選手たちに押し倒されて、連続転倒者続出で、めちゃくちゃになっています。
まあ、そのあと書いてある別件ですが、尻だしロケもなんともひどい。
奇人変人の芸人さんたちもそれなりに大変ですが、芸人さんたちを管理監督してコントロールしていく会社スタッフの苦労も並大抵ではありません。最後は、笑って済ませるのでしょうが、大変です。
濃厚なお話でした。
「チッチキチー」の大木こだまさんです。
東野さんによるお笑い芸人さんの戸籍を見るような記録が続きます。
大木こだまさんは、娘さんのことを大事にされています。いいお父さんだと思います。
この本が出た当時は、愛するご長女の孫である3歳女児と1歳男児を可愛がっておられます。幸せそうです。
「矢野・兵頭」の矢野さん。
兵頭さんという人は、もう終わってしまった番組ですが『快傑えみちゃんねる』のゲストでよくお見かけしました。
こちらの本では矢野勝也さんが紹介されています。ちょっと存じ上げません。ボディビルをされるそうです。
おちょける=関西弁で、ふざける。
矢野さんはおちょけすぎる芸人だそうです。
たびたび浮気をするそうで、奥さんが怒るということですが、浮気をお笑いのネタにしてしまうそうです。
ガンバレルーヤよしこさんの邦画を観たことがあります。『Bの戦場』でした。なかなかおもしろかった。タイトルの意味は「ブスの戦場」ということでした。ぶさいくだけど恋愛でがんばるのです。速水もこみちさんが出て三角関係でした。
よしこさんは、心が優しい。便秘のまひるさんにキンピラごぼうをつくって、便秘を解消させてあげています。
失礼かもしれませんが、人間は見た目ではないと思うのです。中身です。
病気をいくつかされているそうです。脳腫瘍があったことも笑いにつなげておられます。ふつうなら恐怖におののきます。良くも悪くも、笑いにかける情熱が強い。(追記:この本全体を読み終えてからのことですが、よしこさんと同じ病名をネットで見かけました。『下垂体線種(かすいたいせんしゅ)』さらば青春の光の森田哲夫さんが同病名になったそうです。そんなにポピュラー(一般的)な病気なのだろうか。意外です)
三浦マイルドさんという方は存じ上げません。ピン芸人だそうです。
頭髪に特徴あり。
新聞のラテ欄:ラジオ・テレビの番組欄
母子家庭育ちのことが書いてあります。
一時期売れたけれど落ちぶれた芸人としてのことが書いてあります。2013年のR-1グランプリ優勝者です。
食事・酒・風俗、ことに読んでいると風俗通いは病的です。
うーむ。なんともいえない。コントロール不能です。
宮川大助・花子さんのお話はドラマです。知りませんでした。
漫才が完成されるまでの試行錯誤の歴史があります。
昔の漫才のパターンは、今とは逆で、大助さんがおしゃべりで、花子さんが無口だった。
ふたりは、漫才をしていない時期があった。ふたりで、同じ警備会社で働かれています。花子さんは、漫才よりも娘さんの子育てをしたかった。
大助さんがどうしても漫才をやりたかった。漫才に取り組む大助さんはいわゆる『仕事人間』です。漫才という仕事に取り組む鬼です。夫婦のどつき漫才です。暴力的です。昔、そういう夫婦漫才がありました。正司敏江・玲児さんでした。(しょうじとしえ・れいじ。もうおふたりともお亡くなりになりました)
リットン調査団の水野透さん。マンガ喫茶の清掃の仕事をされているそうです。
笑いという麻薬にどっぷり浸かった(つかった)ような生活ぶりです。
『加藤の乱』加藤浩次さんです。
今月いっぱいで朝の番組の司会も終わると聞いています。(本の中では、加藤の乱のときの『上層部が変わらないなら、僕はこの事務所にいれない。辞めます!』から始まっています。事務所所属お笑い芸人の闇営業が問題になったときでした)
著者は『加藤の乱』は、それまでに何度もありましたと解説します。
読んでいると、まあ、やりたい放題です。苦労もされています。
狂っていると思われることもあります。(コンパで女の子を泣かして、飲食したお金を要求することとそのほか)
響いた言葉として『北海道からスター夢見てやって来て、馬鹿にされたくない感がバリバリ出てて、田舎者丸出しでイキがっていた』
読んでいると又吉直樹作品『火花』を思い出します。
加藤さんはなかなか予定調和ができない人です。 なにをするかわからない、先が見えない笑いを追いかけます。狂気の笑いです。
そんな人が、長い間朝の情報番組を続けてこられたわけですから、実績を根拠にすると、根っこは、まじめな人だと判断します。
最後は、キングコングの西野亮廣(にしの・あきひろ)さんが、著者の東野幸治さんについて書かれています。
東野さんは「いい人ポイントがない変人」ですが「実力」がある変人であるそうです。
東野さんは、複雑なのか、シンプルなのか。
複数人格者のように書いてあります。
もうひとり平成ノブシコブシの徳井健太さんがコメントされています。
徳井さんは、太川陽介さんのバス旅とか、麻雀の番組でお見かけしたことがあります。
徳井健太さんは、北海道別海町出身だそうです。人口1万5000人、牛が12万頭いるそうです。
徳井健太さんのコメントが真剣に書いてあります。
東野さんの言葉として『面白い芸人はいくら時間がかかっても絶対に売れる』
内容を読んでいて、お笑いコンビ「ハライチ」の澤部佑(さわべ・ゆう)さんのことが書かれていた本を思い出しました。『僕の人生には事件が起きない 岩井勇気 新潮社』です。
岩井さんいわく、澤部佑さんには独自の個性がないそうです。だれかのまねをしている。そのときそのときで、だれかのまねをしながら自分ではない自分のようなものを演じている。
憑依とか(ひょうい。のりうつるとか)洗脳(せんのう。指示に従って暗示をかけられて動く)のような状態だそうです。
東野幸治さんもそうらしい。自分ではないだれかを演じている人が、お笑い芸人であり芸能人でありタレントなのでしょう。
作品『コンビニ人間』を思い出しました。『コンビニ人間 村田紗耶香(むらた・さやか) 文藝春秋』無個性の人間が人まねで、自分を演じるのです。
令和2年(2020年)の単行本を令和4年(2022年)に文庫化してあります。
週刊新潮連載記事のまとめです。
ざーっと登場する人物を書き出します。西川きよし師匠、坂田師匠、品川佑、ほんこんさん、メッセンジャー黒田、ダイノジ大谷、天津木村、桂三度、大西ライオン、なかやまきんに君、藤井隆、山里亮太、ココリコ遠藤、次長課長井上、ピース綾部、若井おさむ、NON STYLE石田、キングコング西野、リットン調査団藤原、陣内智則君、カラテカ入江、ノブコブ吉村、中山功太、トミーズ健、大木こだま、矢野・兵頭、ガンバレルーヤよしこ、三浦マイルド君、宮川大助・花子、リットン調査団水野、極楽とんぼ加藤、自分が知っている人もいるし知らない人もいます。合計で31人です。
自分は、旅に興味があるので、岡村隆史さんとの番組『旅猿』で東野幸治さんを見るぐらいで、そのほかの東野さんの番組は見ていません。
個人を巡るエッセイ(きままな文章)のようです。
読み始めます。
西川きよしさんの前立腺がん治療話が目を引きました。前立腺を全部摘出です。術後は尿漏れに苦しみますが、尿を人工的に調節してくれる機械を埋め込む手術をされています。「人工尿道括約筋」の手術だそうです。睾丸に(こうがん。なんとか玉)に機械が埋め込まれました。小さなボタン電池ぐらいの大きさだそうです。快適だそうです。(ほーっ。そんなことができるのか)
坂田師匠の記述のところで、中川家の剛(つよし)さんが、パニック障害になっていたと書いてあります。そういえばそういう病名をしょっちゅう見かけた時期がありました。最近は聞かなくなりました。
東野さんによる文章の内容には『毒』はありません。軽いタッチで文章が続いています。
品川祐(しながわ・ひろし)さんという方は、番組『アメトーク』で見ます。(そう思って読んでいたら、28ページに『アメトーク』のことが出てきました)
「嫌われ芸人」という立ち位置が批判されることは、理由がよくわかりません。笑いをとるための手段だから、仕事だと思うのです。だれもが、自分ではない何者かを演じています。品川祐さんのあだ名は『おしゃべりクソ野郎』だそうです。
そういえば、ウェストランドというコンビがM1で優勝しました。昭和50年代は、悪口を言う漫才が多かったような記憶です。
ほんこんさんは、番組『旅猿』で見て知りました。湘南でサーフィンをされていました。
変わったお名前です。『130R』というコンビを組んでいて、相方が、板尾創路(いたお・いつじ)さんだそうです。でももう何年もコンビで活動はしていないそうです。
ほんこんさんは、昔、マカオさんという人と「ホンコン・マカオ」というコンビを組んでいたいたそうです。相方が土日休日に働きたくないと言い出して解散したそうです。そういえば、おふたりの話とは離れますが、クイズで『ホンコン・マカオ旅行をプレゼント』みたいなフレーズがあった記憶です。
東野幸治さんの記述は、お笑いの歴史です。東野さんは、歴史の生き字引です。長く続けることが仕事で成功するコツです。
メッセンジャー・黒田さんも番組『旅猿』でよくお見かけします。この本は、旅猿仲間の紹介の側面があります。
黒田さんの言葉として『東京の番組はしょーもない! カンペに書かれたこと喋ってる(しゃべってる)だけやろ! ……』(そうなのか。カンペ:演者に伝達する手段。スケッチブック、大きな紙など。メッセージや指示を送る)
東野さんが自分のことを『心無い私』(昔はそうだったらしい。自己中心的ということか)
ダイノジ大谷さんという人は、エアギターという演技で世界一になったというニュースを聞いたことがありました。
ふたり組だということは、この本を見て初めて知りました。
コンビ名:ダイノジ。ふたりとも大分県出身1994年(平成6年)から活動開始。
大谷ノブ彦:この本では、おもに大谷さんについて書いてあります。(最後にご本人が「息子が登校拒否になっちゃいました」とコメントがあり心配しました)
大地洋輔(おおち・おうすけ):こちらが、エアギター世界一になった方(かた)
ここまで読んできて、千鳥の番組『相席食堂』を思い浮かべました。
この本に載っている人たちが、日本各地で食べ歩いているような番組です。
55ページに『ピコ太郎』さんというお名前が出てきます。
そういえば、そういう人がいたなあという過去を振り返る気分になりました。
桂三度さん(世界のナベアツ)の『イチ、ニィ、サーン! シー、ゴ、ロクー』は、おもしろかった。
大阪府守口市にある梶中学校卒の芸人さんたちのことは初めて知りました。桂三度さん、ますだおかだの増田英彦さん、中川家(兄の剛(つよし)、弟の礼二)さん。
亡くなった三遊亭円楽さんのことが出てきます。わたしは、毎週テレビ番組『笑点(しょうてん)』を楽しみにして観ています。
大西ライオンという人は知りませんが、読んでいると「不思議な人」に思えました。
蛍原徹(ほとはら・とおる)さんの誕生日祝いに買うケーキ代を集めるのに、サプライズ企画(本人は知らない)なのに、大西ライオンさんは、蛍原さんにケーキ代の集金に回っています。
大西ライオンさんのお父さんが酒乱だったことには同情します。
この本を読んでいた頃、同時進行で『ウクライナ戦争 小泉悠(こずみ・ゆう) ちくま新書』を読んでいたのですが、ずいぶん前に番組『東野&岡村の旅猿』で、ふたりがロシアのモスクワを訪れたことがあります。
東野さんは、ロシアが好きなようで、番組の中でロシア大統領の名前を連呼していました。今、どういう気持ちなのだろう。
そのときの感想メモが残っていました。以下がその一部です。
東野・岡村旅猿 ロシア・モスクワで観光の旅 DVD ワクワク編とルンルン編 2018年11月
モスクワの赤の広場、クレムリン宮殿、大統領府、聖ワシリ大聖堂の回りを何度も回るルートで、二日間ぐらいの滞在です。
東野さんがどうしてクレムリン宮殿(クレムリンは城塞という意味)が大好きなのかはわかりませんが、熱狂的でした。
モスクワの人というのは、やはり、社会主義の国に住む人という印象をもちました。
途中、ふたりと番組スタッフが、おおきな対立になるのですが、やらせを嫌う東野さんとコサックダンス教室を企画した現地ガイド・日本人スタッフの争いは、東野さんの意見のほうが正しい。いっけん、日本人とモスクワに住む人との友好シーン映像に見えるのですが、コサックダンスのメンバーは、報酬をもらって演技をしていたと推測するのです。
社会主義、秘密主義、言論統制、報道の不自由などの要素がある社会組織の国です。東野さんがスパイ行為も含めていろいろ疑うのはやむをえません。スポーツにおけるドーピング疑惑とか、日本終戦時に日本の弱みにつけこんで、満州や北方領土に侵攻してきたとか、いろいろ思い浮かびます。
列車の中で、現地のロシア人らしきおじさんに、撮影をしていたので、うるさい、静かにしろ。みたいに注意されます。緊張の時間帯でした。しかたがありません。日本の新幹線も同じ雰囲気です。
なかやまきんに君が福岡県出身だということは知りませんでした。福岡県は、芸能界で働く人材が豊富です。
今年2月に博多駅周辺を散策したのですが、なにせ華やかです。人は多いし、来ている洋服のファッションがいいし、文化的で、勢いがあります。外国人も多い。新しいものが生まれる下地があります。
藤井隆さんは番組『新婚さんいらっしゃい』で井上咲楽さんとお見かけします。
藤井隆さんは、奇人だそうです。1990年代のオカマみたいなキャラクターのときは覚えています。なんだか不思議に思えました。じっさいは、おかまではないそうです。エキセントリック(奇妙)になって、笑いをとる手法だったそうです。
亡くなった人のお名前も出てきます。神田沙也加さん(令和3年12月35歳没)
この本は、令和2年2月に出ています。本というものは不思議です。記録です。そのときは生きていた人が、今はもうこの世にはいない。
山里亮太さんについては、ご本人が書いた本を読んだことがあります。漫才の相方にかなりひどいことをされています。
『天才はあきらめた 山里亮太 朝日文庫』
芸の根っこが、仕返しで、ねたみとかうらみを晴らすことが目標でした。
山里さんは、非常に緻密(ちみつ)です。緻密さは、不祥事を起こした渡部さんとか、ラジオパーソナリティをしていた永六輔さんを思い出します。芸能界で成功するためのひとつの方法として異常なほどの徹底した緻密さがあります。24時間、365日、たとえば「お笑い」のことを考え続ける。得るものは大きい。反面、失うものもあります。
106ページ。『笑いって残酷なほうが面白いから……』
人間の本質はクズなのです。
遠藤章造さんのことが書いてあります。千秋さんの別れただんなさんということしか知りません。
なんだかハチャメチャな人です。ばかさかげんと思慮のなさがおもしろい。
次長課長の井上聡さんという人は知りません。相方の河本さんは、親が生活保護をもらっているという不祥事のようなトラブルがあったことは記憶があります。
井上さんは奇人だとこの本では書いてあります。ゲームが好きで、ゲームのために人生の大半の時間を消費しているそうです。うーむ。小学生の孫が『人生ゲーム』好きなのことを思い出しました。何度も連続で付き合わされます。
ひとつのことに集中する。病気の完成までには至らない程度のなんとか障害だろうか。
この本を読むのには、時間がかかります。
すき間時間を利用しながら少しずつ読み進めています。
ピース綾部さんは、芥川賞作家の又吉直樹さんに養われているイメージがあります。まあ、漫才のコンビというものは、金銭的にはそういうものなのでしょう。
ニューヨークにおられるそうですが、孤独なんじゃないだろうか。
『リットン調査団』水野透さんと藤原光博さんのコンビで、この本の部分では、藤原光博さんを紹介してあります。(本のあとのほうに水野透さんの紹介があります)
リットン調査団というのは、歴史で習った満州事変のときの国際連盟の調査団の名称ではなかろうか。
おふたりは、お笑い芸人としては売れていないそうでアルバイトで生計を維持されているそうです。
『ラブアタック』なつかしい。昔、そういう恋愛想定番組がありました。この本では、百田尚樹さん(ひゃくたなおきさん。放送作家、小説家)のお名前が出てきました。
本の中では57歳になった藤原さんの言葉がいい。『一回でも客前で爆笑とったら、辞められるかいな。あんな快感ないやろ』(相当な快感があるようです)
陣内智則さんが藤原紀香さんと離婚した時には、どうして、陣内智則さんが浮気なんかしたのだろうかと不思議でした。
藤原紀香さんの本は読んだことがあって『カンダクゥ(アフガニスタンの言葉で「笑顔でね」)』という、ご本人が現地で現地の人たちの暮らしぶりを写真撮影した本でした。藤原紀香さんがカメラで撮影した現地のこどもたちの笑顔がたくさん載っていました。おふたりが、離婚されたときには、がっかりしました。
東野幸治さんは、陣内智則さんのテレビ出演がテレビ局に敬遠されて、仕事が暇になったので、東野さんのゴルフの相手ができて喜んでいたそうです。(ふむ。陣内さんは働かなくても食べていけたわけか。稼いで資産が貯まっていたのね)
読んでいて、まあ、再婚もよしかなという気持ちになりました。失敗はつきものです。娘さんも誕生されて、とても喜んでおられるようすです。『もう二度と過ち(あやまちはおかさない)……』とコメントされております。(そうです。もう浮気はやめましょう)
カラテカ入江さんという方は、闇営業のときの不祥事の根幹にいた人だと思います。
矢部太郎さんのまんが『大家さんと僕』は、読みました。ほのぼのとしています。矢部さんも番組『旅猿』に出ておられました。たしか、熊本県内にある忍者屋敷で忍者のかっこうをされていました。
入江さんと矢部太郎さんは性質が全然合わないコンビに思えます。
本人のコメントとして、現在は清掃のバイトをしていますとありますが、それから月日がたって、現在は清掃会社を立ち上げて社長をされているようです。再起ですな。
平成ノブシコブシの吉村崇さんも番組『旅猿』でお見かけしました。長崎県への旅でした。
番組を観た時は『破天荒の人(はてんこうのひと)』の意味がわからなかったのですが、この本を読んでわかりました。常識では考えられない無謀なことをするのですな。
乱暴な金遣い(かねづかい)は、笑いにつながる。著者は吉村さんを『馬鹿天狗(ばかてんぐ)』と分析・評価されています。
本人のコメントがいい。『……極楽っていうのは地獄の先にあるんだなと……』
この本の最後のところでもお名前が登場されていました。加藤浩次さんの部分で、加藤さんが事務所を辞めるなら自分も辞めると発言されたそうです。おふたりとも北海道出身です。
中山功太さんという方は存じ上げません。ブレイク前夜芸人と書いてあります。
ネタは実家が金持ちだそうです。5歳のときに誘拐されたとあります。本当だろうか。
父親の会社の倒産で、今はお金持ちではないそうです。
番組『しくじり先生』に登場したことがあるそうです。
こどものころ貧乏でも、成人してからがんばって富裕層の人間になる人もいるし、逆に、こどものころ富裕層にいても、親が経営していた会社が傾いて、貧乏になるという人生もあります。人生はいろいろで、ぼーっとしているとお金は逃げていきます。
著者がお笑いの世界が好きだということが伝わってくる文脈です。
サラリーマンの世界とは違います。
逆に、サラリーマンはやれない人たちです。
著者いわく「奇人変人だらけの吉本芸人……」です。ただ、一般社会でも奇人変人はよく見かけます。見た目だけでは、すぐにはわからないこともあります。
トミーズ健さんという方のお話です。わたしは存じ上げません。
トミーズ雅(まさ)さんのほうはわかります。
亡くなってしまったダチョウ俱楽部の上島竜兵さんのお名前が出ています。
トミーズ健さんは、2人兄弟だったが、中学生のときにお父さんから、実は、一番下にもうひとり弟がいると告げられます。怖い話です。貧乏暮らしだったので、一番下の子は施設に預けてあったそうです。
貧乏話が出ます。おもしろい。ただ、これぐらいの年齢の人たちは(1959年生まれ)同じような貧乏体験をもっていると思います。
貧しかったことは思い出したくないので人には話さないということはあります。
本では、家にフロがなくて、銭湯に行くお金もなくて、13歳まで、家の前で素っ裸になって、フロ代わりに、たらいで水浴び、行水(ぎょうずい)をしていたそうです。
わたしも小学二年生ぐらいのとき、自分が中学の時に病気で死んでしまいましたが、当時35歳ぐらいだったおやじに連れられて、近所にある池につかって、池をフロ代わりにしたことがあります。とてもイヤでした。読んでいて、ふと思い出してしまいました。せめて、川にして欲しかった。池はため池のような、緑色の水面の色でした。
トミーズ健さんのクリスマスのごちそうは、ブタの頭をまるまるボイルしたものだったそうです。わたしも思い出しました。おやじが持って帰って来たのは豚足(トンソク)でした。
ホラーのような恐ろしい話が出ます。弟さんの中指が工場で作業中に切断されて、切れた指をおなかにくっつけて、育てて、もとの指に戻すという治療です。
それから、ホノルルマラソン参加のことが書いてあります。3万人も参加するのか。そうか、マラソンというよりもお祭り、フェスティバルのような企画です。
なお、トミーズ健さんはマラソンレースがスタートしたとたん自分の靴の靴ひもがほどけていることに気づき、結ぼうとしゃがんだとたん大群衆の選手たちに押し倒されて、連続転倒者続出で、めちゃくちゃになっています。
まあ、そのあと書いてある別件ですが、尻だしロケもなんともひどい。
奇人変人の芸人さんたちもそれなりに大変ですが、芸人さんたちを管理監督してコントロールしていく会社スタッフの苦労も並大抵ではありません。最後は、笑って済ませるのでしょうが、大変です。
濃厚なお話でした。
「チッチキチー」の大木こだまさんです。
東野さんによるお笑い芸人さんの戸籍を見るような記録が続きます。
大木こだまさんは、娘さんのことを大事にされています。いいお父さんだと思います。
この本が出た当時は、愛するご長女の孫である3歳女児と1歳男児を可愛がっておられます。幸せそうです。
「矢野・兵頭」の矢野さん。
兵頭さんという人は、もう終わってしまった番組ですが『快傑えみちゃんねる』のゲストでよくお見かけしました。
こちらの本では矢野勝也さんが紹介されています。ちょっと存じ上げません。ボディビルをされるそうです。
おちょける=関西弁で、ふざける。
矢野さんはおちょけすぎる芸人だそうです。
たびたび浮気をするそうで、奥さんが怒るということですが、浮気をお笑いのネタにしてしまうそうです。
ガンバレルーヤよしこさんの邦画を観たことがあります。『Bの戦場』でした。なかなかおもしろかった。タイトルの意味は「ブスの戦場」ということでした。ぶさいくだけど恋愛でがんばるのです。速水もこみちさんが出て三角関係でした。
よしこさんは、心が優しい。便秘のまひるさんにキンピラごぼうをつくって、便秘を解消させてあげています。
失礼かもしれませんが、人間は見た目ではないと思うのです。中身です。
病気をいくつかされているそうです。脳腫瘍があったことも笑いにつなげておられます。ふつうなら恐怖におののきます。良くも悪くも、笑いにかける情熱が強い。(追記:この本全体を読み終えてからのことですが、よしこさんと同じ病名をネットで見かけました。『下垂体線種(かすいたいせんしゅ)』さらば青春の光の森田哲夫さんが同病名になったそうです。そんなにポピュラー(一般的)な病気なのだろうか。意外です)
三浦マイルドさんという方は存じ上げません。ピン芸人だそうです。
頭髪に特徴あり。
新聞のラテ欄:ラジオ・テレビの番組欄
母子家庭育ちのことが書いてあります。
一時期売れたけれど落ちぶれた芸人としてのことが書いてあります。2013年のR-1グランプリ優勝者です。
食事・酒・風俗、ことに読んでいると風俗通いは病的です。
うーむ。なんともいえない。コントロール不能です。
宮川大助・花子さんのお話はドラマです。知りませんでした。
漫才が完成されるまでの試行錯誤の歴史があります。
昔の漫才のパターンは、今とは逆で、大助さんがおしゃべりで、花子さんが無口だった。
ふたりは、漫才をしていない時期があった。ふたりで、同じ警備会社で働かれています。花子さんは、漫才よりも娘さんの子育てをしたかった。
大助さんがどうしても漫才をやりたかった。漫才に取り組む大助さんはいわゆる『仕事人間』です。漫才という仕事に取り組む鬼です。夫婦のどつき漫才です。暴力的です。昔、そういう夫婦漫才がありました。正司敏江・玲児さんでした。(しょうじとしえ・れいじ。もうおふたりともお亡くなりになりました)
リットン調査団の水野透さん。マンガ喫茶の清掃の仕事をされているそうです。
笑いという麻薬にどっぷり浸かった(つかった)ような生活ぶりです。
『加藤の乱』加藤浩次さんです。
今月いっぱいで朝の番組の司会も終わると聞いています。(本の中では、加藤の乱のときの『上層部が変わらないなら、僕はこの事務所にいれない。辞めます!』から始まっています。事務所所属お笑い芸人の闇営業が問題になったときでした)
著者は『加藤の乱』は、それまでに何度もありましたと解説します。
読んでいると、まあ、やりたい放題です。苦労もされています。
狂っていると思われることもあります。(コンパで女の子を泣かして、飲食したお金を要求することとそのほか)
響いた言葉として『北海道からスター夢見てやって来て、馬鹿にされたくない感がバリバリ出てて、田舎者丸出しでイキがっていた』
読んでいると又吉直樹作品『火花』を思い出します。
加藤さんはなかなか予定調和ができない人です。 なにをするかわからない、先が見えない笑いを追いかけます。狂気の笑いです。
そんな人が、長い間朝の情報番組を続けてこられたわけですから、実績を根拠にすると、根っこは、まじめな人だと判断します。
最後は、キングコングの西野亮廣(にしの・あきひろ)さんが、著者の東野幸治さんについて書かれています。
東野さんは「いい人ポイントがない変人」ですが「実力」がある変人であるそうです。
東野さんは、複雑なのか、シンプルなのか。
複数人格者のように書いてあります。
もうひとり平成ノブシコブシの徳井健太さんがコメントされています。
徳井さんは、太川陽介さんのバス旅とか、麻雀の番組でお見かけしたことがあります。
徳井健太さんは、北海道別海町出身だそうです。人口1万5000人、牛が12万頭いるそうです。
徳井健太さんのコメントが真剣に書いてあります。
東野さんの言葉として『面白い芸人はいくら時間がかかっても絶対に売れる』
内容を読んでいて、お笑いコンビ「ハライチ」の澤部佑(さわべ・ゆう)さんのことが書かれていた本を思い出しました。『僕の人生には事件が起きない 岩井勇気 新潮社』です。
岩井さんいわく、澤部佑さんには独自の個性がないそうです。だれかのまねをしている。そのときそのときで、だれかのまねをしながら自分ではない自分のようなものを演じている。
憑依とか(ひょうい。のりうつるとか)洗脳(せんのう。指示に従って暗示をかけられて動く)のような状態だそうです。
東野幸治さんもそうらしい。自分ではないだれかを演じている人が、お笑い芸人であり芸能人でありタレントなのでしょう。
作品『コンビニ人間』を思い出しました。『コンビニ人間 村田紗耶香(むらた・さやか) 文藝春秋』無個性の人間が人まねで、自分を演じるのです。
2023年03月15日
小学一年生 4月号 小学館
小学一年生 4月号 小学館
親族に、この春一年生になる子がいます。
この雑誌をプレゼントします。
ピカチュウのおしゃべりめざましどけいが付録です。
なぬ。おでこをなでると、ピカチュウがおしゃべりするそうです。
おもしろそーー
まずは、読んでみます。
表紙をめくって、なにかがもらえるプレゼント企画の応募はがきをみると、今のご時世、親子の住所氏名生年月日電話番号を相手に把握されて名簿になってやばいことになるのではないかと不安になってしまいます。
法的には制限がかけられているとは思いますが、あとは相手を信用するかしないかの問題です。
生活のパターン化があります。
模範的な時間の流れです。何時何分に何をやるのか。学校通学、学校生活です。
うーむ。半世紀以上昔の学校給食の位置づけは、貧しくてしっかりごはんを食べられなかった貧乏な子どもの命綱でした。今はどうなのだろう。
お笑いタレントさんである「あばれる君」は、子どもさんむけの番組でよく見かけます。教員免許を持っておられるそうです。
針のある時計で時刻を見る。自分がまだ子どもだった頃の昔は、デジタルの時計は見かけませんでした。(針を用いた数値だけの表示の時計)
ドラえもんのマンガがあります。藤子・F・不二雄さんの作品です。
先日読んだ『これでいいのだ 赤塚不二夫自叙伝 文春文庫』の内容を思い出しました。若手漫画家の人たちが、母親たちも含めて、昔いっしょに過ごしたトキワ荘というアパートのことが書いてありました。それは、昭和30年前後の話でした。1955年ころ。
映画『のび太と空の理想郷(ユートピア)』の宣伝ページがあります。
そういえば、去年映画館で観た映画はドラえもんの映画一本だけでした。孫たちと春休みに観ました。コロナ禍で映画館での映画鑑賞が遠ざかってしまいました。
ダンボールで本棚をつくります。
自分が子どものころは『ダンボール』を見た記憶がほとんどありません。
みかんやりんごを入れる木箱はよく見かけました。木箱を本箱にしていたときもありました。
パンがあります。ページにいっぱいパンの写真です。
食べる。遊ぶ。健康でいる。それから、勉強という順番でいいと思います。こどもはまずは、生きていることが大事です。親の願いです。
『チキップダンサーズ』(そういうキャラクターと番組があるのか)
食べ物の名称がキャラクターの名前になっています。最初、すみっコぐらしかと思いました。
お笑い芸人コンビであるミキの亜生と昴生(あせいとこうせい)さんも「入学おめでとう」と関係があるのか。子どもにとって親しみやすく安心できるお笑いタレントさんなのでしょう。
『ママ&パパも一年生』
ご両親向けの別冊があります。
パパもママも一年生なのか。
自分たち夫婦が、子どもが一年生になったころのことを思い出しました。
共働きの子育てで、3月に保育園の卒園式が終わったら学童保育所に預けたのですが、朝が早い時刻だったので学童保育所はまだ開いておらず、自分の子どもを学童保育所の玄関前に同様の立場にあるよその親の子どもといっしょに残し、早めに学童保育所に来ていた小学三年生の男の子に開所時刻の午前8時過ぎまでいっしょにいてもらい、彼に新一年生になるこどもたちの世話を頼み…… (ここが開くまで、ここを動いてはいけないよと子どもに言い聞かせて、自分たちは出勤した) そんなことがありました。そんな子どもたちも今はみんな三十代になりました。
コロナ禍(か)でここ三年間ぐらいノーマル(普通、一般的)な入学式ができなかったようです。
3ページには、モニターごしに見る入学式のことが書いてあります。
ページにびっしりと文字が書いてあります。
小学館の小学生向け本の特徴だと受け止めています。
とても全部の文字は読めません。雰囲気だけ楽しみます。
入学したばかりの子どもに、学校に行きたくないと言われたら、親はつらい。
鈴木亜美さんという方は、タレントさんだと思いますが、母親として雑誌に出ておられます。
子どもに対して、まあ、失敗しても責めない。失敗は成功のもとです。
自分のことは自分でやれるようになる努力をさせる。
読み書き計算ができるようになる。お金の勘定ができるようになる。
規則正しい生活を送る習慣を身につける。
やらせることはいっぱいあります。
ゆっくりやればいい。時間はいっぱいあります。
きれいな服や持ち物がいっぱいです。
中古でもいい。汚れていてもいい。
元気があればいい。
子ども向けの産業があります。
表面上のきれいさです。
何かが足りない。
『夢』が足りないような気がしました。
『管理』は感じました。
親族に、この春一年生になる子がいます。
この雑誌をプレゼントします。
ピカチュウのおしゃべりめざましどけいが付録です。
なぬ。おでこをなでると、ピカチュウがおしゃべりするそうです。
おもしろそーー
まずは、読んでみます。
表紙をめくって、なにかがもらえるプレゼント企画の応募はがきをみると、今のご時世、親子の住所氏名生年月日電話番号を相手に把握されて名簿になってやばいことになるのではないかと不安になってしまいます。
法的には制限がかけられているとは思いますが、あとは相手を信用するかしないかの問題です。
生活のパターン化があります。
模範的な時間の流れです。何時何分に何をやるのか。学校通学、学校生活です。
うーむ。半世紀以上昔の学校給食の位置づけは、貧しくてしっかりごはんを食べられなかった貧乏な子どもの命綱でした。今はどうなのだろう。
お笑いタレントさんである「あばれる君」は、子どもさんむけの番組でよく見かけます。教員免許を持っておられるそうです。
針のある時計で時刻を見る。自分がまだ子どもだった頃の昔は、デジタルの時計は見かけませんでした。(針を用いた数値だけの表示の時計)
ドラえもんのマンガがあります。藤子・F・不二雄さんの作品です。
先日読んだ『これでいいのだ 赤塚不二夫自叙伝 文春文庫』の内容を思い出しました。若手漫画家の人たちが、母親たちも含めて、昔いっしょに過ごしたトキワ荘というアパートのことが書いてありました。それは、昭和30年前後の話でした。1955年ころ。
映画『のび太と空の理想郷(ユートピア)』の宣伝ページがあります。
そういえば、去年映画館で観た映画はドラえもんの映画一本だけでした。孫たちと春休みに観ました。コロナ禍で映画館での映画鑑賞が遠ざかってしまいました。
ダンボールで本棚をつくります。
自分が子どものころは『ダンボール』を見た記憶がほとんどありません。
みかんやりんごを入れる木箱はよく見かけました。木箱を本箱にしていたときもありました。
パンがあります。ページにいっぱいパンの写真です。
食べる。遊ぶ。健康でいる。それから、勉強という順番でいいと思います。こどもはまずは、生きていることが大事です。親の願いです。
『チキップダンサーズ』(そういうキャラクターと番組があるのか)
食べ物の名称がキャラクターの名前になっています。最初、すみっコぐらしかと思いました。
お笑い芸人コンビであるミキの亜生と昴生(あせいとこうせい)さんも「入学おめでとう」と関係があるのか。子どもにとって親しみやすく安心できるお笑いタレントさんなのでしょう。
『ママ&パパも一年生』
ご両親向けの別冊があります。
パパもママも一年生なのか。
自分たち夫婦が、子どもが一年生になったころのことを思い出しました。
共働きの子育てで、3月に保育園の卒園式が終わったら学童保育所に預けたのですが、朝が早い時刻だったので学童保育所はまだ開いておらず、自分の子どもを学童保育所の玄関前に同様の立場にあるよその親の子どもといっしょに残し、早めに学童保育所に来ていた小学三年生の男の子に開所時刻の午前8時過ぎまでいっしょにいてもらい、彼に新一年生になるこどもたちの世話を頼み…… (ここが開くまで、ここを動いてはいけないよと子どもに言い聞かせて、自分たちは出勤した) そんなことがありました。そんな子どもたちも今はみんな三十代になりました。
コロナ禍(か)でここ三年間ぐらいノーマル(普通、一般的)な入学式ができなかったようです。
3ページには、モニターごしに見る入学式のことが書いてあります。
ページにびっしりと文字が書いてあります。
小学館の小学生向け本の特徴だと受け止めています。
とても全部の文字は読めません。雰囲気だけ楽しみます。
入学したばかりの子どもに、学校に行きたくないと言われたら、親はつらい。
鈴木亜美さんという方は、タレントさんだと思いますが、母親として雑誌に出ておられます。
子どもに対して、まあ、失敗しても責めない。失敗は成功のもとです。
自分のことは自分でやれるようになる努力をさせる。
読み書き計算ができるようになる。お金の勘定ができるようになる。
規則正しい生活を送る習慣を身につける。
やらせることはいっぱいあります。
ゆっくりやればいい。時間はいっぱいあります。
きれいな服や持ち物がいっぱいです。
中古でもいい。汚れていてもいい。
元気があればいい。
子ども向けの産業があります。
表面上のきれいさです。
何かが足りない。
『夢』が足りないような気がしました。
『管理』は感じました。
2023年03月11日
ウクライナ戦争 小泉悠
ウクライナ戦争 小泉悠(こいずみ・ゆう) ちくま新書
BSや地上波のテレビ報道番組でよく見かけるお方(おかた)です。
軍事評論家としてのわかりやすい解説に好感をもっています。
奥さんがロシア人、複雑なお心もちでしょう。小さなお子さんもおられます。(237ページに、妻エレーナさん、娘さんが、ありささんとあります)
この本は売れています。読んでみます。
本の帯に『第3次世界大戦はあり得るのか?』と書いてあります。
ところが、この本以外のほかからの情報として、先日テレビで『第三次世界大戦はすでに始まっている。2022年2月24日ロシアがウクライナに侵攻した日が開戦日である』と説明があり、自分は納得しました。
たいへんなことになりました。ロシア大統領の言動がうらめしい。本人に誤算があったのでしょう。短期間で占領できると自信があったのでしょう。
現時点では、いつ終わるのかわからない状態ですが、自分が思うに、最後はロシアが衰退化するのでしょう。
いつどこで、決着をつけるのか。ロシア国民と中国が鍵を握っています。
わたしは、実用書を読むときは、最初にすべてのページをゆっくりめくります。
237ページあります。
目次があって、地図があります。
本の内容は、2021年(令和3年)から始まります。コロナ禍もあって、世界は大混乱です。
そんな混乱の中で、ゼレンスキー大統領という偉大な人が生まれました。
命がけで国民を守ってくれる大統領です。
西欧諸国は、ウクライナを犠牲にして無難に話をまとめようとしたような初動(しょどう。初めの動き)が見受けられます。ゼレンスキー大統領に国外退避を勧めています。
ウクライナの土地がロシアに奪われることは、日本の北方領土が奪われる。さらに、北海道がロシアに奪われることの見込みにつながります。
他人ごと(ひとごと)ではないのです。
類似の状況にある他国も同様です。
42ページに『コメディアンVSスパイ』とあります。(なるほど)(その後、コメディアンは、偉大な政治家になり、スパイはコメディアンになったというオチがありました)
第1章から第5章まであります。
第1章:2021年春の軍事的危機 2021年1月~5月
第2章:開戦前夜 2021年9月~2022年2月21日
第3章:「特別軍事作戦」 2022年2月24日~7月
第4章:転機を迎える第二次ロシア・ウクライナ戦争 2022年8月~
第5章:この戦争をどう理解するか
ベラルーシという国について考えさせられます。ロシアと心中(しんじゅう。ともに死す)するつもりはないでしょう。
日本の戦国時代だと、寝返り(ねがえり。裏切り)が頻発(ひんぱつ)しています。
ハラショー:「いいだろう」というロシア語(許可。同意)が出てきました。(去年読んだ伊坂幸太郎作品『ペッパーズ・ゴースト』を思い出しました。“ハラショー”が出てきます。『ハラショー、アメショー、松尾芭蕉』(相手を仲間だと確認する合言葉でした))
そうか。ロシアの外相(外務大臣)は、針の筵(むしろ)に座らされている状態なのか。
腹の中にある自分の意見と自分の口から出す言葉が正反対の状態があるのかも。
昨年テレビの戦争報道番組を観ていて強烈に記憶に残ったシーンがあります。
ウクライナの人たちが(ロシアを)『絶対に許さない』(今回のことを)『絶対に忘れない』と何度も繰り返して強くつぶやいていました。大声をあげるのではなく、小さな低い声で何度も繰り返していました。憎しみ、憎悪の気持ちが強い。
このことは、これから先50年から100年以上、いやそれ以上、半永久的には続く国民感情として、ロシアとの対立になっていくでしょう。(第二次世界大戦を体験した韓国の年配の人たちがもつ日本に対する感情に似ています)
ロシアの大統領は大変なことをしでかしました。
ロシア国民の主体性のなさを感じました。
独裁者に依存する国民性が浮き彫りになりました。
判断や決定を権力者にゆだねる。
失敗があった時は、権力者のせいにする。
自分の頭で自分のことを考えない楽な生き方です。
あわせて、ロシア軍は強くなかった。
世界は、誤解と錯覚で成り立っている。
そんなことを再確認できた出来事でした。
138ページにロシア軍人によるブチャでの残虐な行為が書いてあります。
先日読んだ『これでいいのだ 赤塚不二夫 文春文庫』に、赤塚一家の母子5人が、終戦後、当時いた満州から日本へ逃げてくる最中(さいちゅう。父はシベリア抑留に連れて行かれた)のことが書いてありました。
侵攻してきたソ連軍兵士たちが現地で野蛮な行為をしていました。
時代と場所が違っていても兵士のやることは同じです。
ネオナチ国家:日本人には聞きなれない言葉でピンときません。
ウクライナの人が、ナチスドイツのような人とは思えません。
核兵器の使用:使った国は、そのときは優勢でも、最後には滅びます。
全体のページをめくり終えました。
(2回目の本読み)
第1章:2021年春の軍事的危機 2021年1月~5月
ロシア語とウクライナ語の勉強です。
マラジェーツ!:ロシア語で「えらいぞ!」
キエフ:ウクライナ語では「キーウ」
ウラジミール・ゼレンスキー:ウクライナ語では「ヴォロディミル・ゼレンシキー」
ハリコフ:ウクライナ語では「ハルキウ」
ドネツク:ウクライナ語では「ドネツィク」
ルガンスク:ウクライナ語では「ルハンシク」
オデッサ:ウクライナ語では「オデーサ」
ほかの方たちの感想を知りたいと思って、ネットでこの本の読後感想を複数読みましたが、みなさん書き方がむずかしくて、ちょっとわたしには理解ができませんでした。
2022年2月24日ロシアのウクライナ侵攻が始まる:読み手の自分の思いです。なぜこんなことになったのか。ロシア国民が、独裁者の誕生を許したからです。
彼の判断と決断で、ロシアとウクライナの人たちが、たくさん亡くなったり、傷ついたりしています。
ロシアに対する民族主義的野望:特定の民族が中心となって、政治、経済、文化、言語を統一した組織を立てて、特定の民族が利権を独占する。
今回の戦争の動機とか理由がはっきりしません。ネオナチ思想は、根拠がない。ロシア軍人は自分がなんのために戦っているのかわからない。給料をもらうためにということしか思い浮かべるものがありません。
動機は、ロシア大統領の意向だけです。
ロシアとウクライナは共有関係にあるそうです。
歴史、文化、宗教、言語が重なる。
ウクライナ人の3割から半数がロシア語を母語としている。(母語:ぼご。生まれて始めて話す言葉)
農耕地としての豊饒(ほうじょう。作物が豊か)な土地をもつウクライナです。
ロシア人とウクライナ人の民族紛争は、土地の取り合いと理解しました。
トランプ前大統領もからんでいます。
ロシアにとって、ウクライナに冷たかったトランプ大統領は都合のいい存在だった。
トランプ大統領はロシアに対して甘かった。(「アメリカ・ファースト(他国の紛争に米国は加勢しない)。見方によっては、トランプ大統領は、ロシア政府側の担当者ポストの位置にいたのではではないかと思えてきます)
ナラティブ:物語、語り、話術
バイデン大統領の息子はウクライナの天然ガス企業で重役を務めている。
なんだか、組織の上層部は、敵対しているようで、実はグル(仲間)の様相(ようそう。ようす。ありさま)があります。
アレクセイ・ナヴァリヌィ:ロシアの弁護士、政治活動家。野党活動家。ロシアの刑務所に収監されている。
国民が洗脳されている。(心を権力者にコントロールされている)
ハゲの悪魔:ロシアの大統領のこと。(ウクライナの大統領がそう呼ぶ)
ウクライナの大統領は、2015年(平成27年)テレビドラマ『国民の僕(しもべ)』にウクライナ大統領役で出演して、2019年(令和元年)に本物の大統領に就任した。まるで、ドラマか映画のようです。
シュタンマイヤー方式:シュタンマイヤーは人の名前。ドイツ人外務大臣。①住民投票を行う。②ウクライナは、法律を発効させる。③ウクライナは、法律を恒久化させる。
ドンパス:ウクライナの東南部に位置する地方。ドネツィク州とルハンシク州
メドヴェチューク:ウクライナの政治家。親ロシア組織『ウクライナの選択』の議長。ロシア大統領の協力者。ウクライナに逮捕されたのちロシアに引き渡された。
読んでいて考えたことです。
ウクライナの東南部にはロシア人が住んでいて、ロシア人の自治がある。
ロシアは、親ロシア地域だけをロシアにとりこめば満足するのだろうと思いつくのですが、ロシア大統領は、ウクライナの国土全体をロシアにとりこもうとしています。なぜだろう。(これから読み続けるとわかるような気がします)
(つづく)
第2章 開戦前夜 2021年9月~2022年2月21日
読んでいて、ウクライナもロシアと共倒れになる危険性があると思いつきました。
ウクライナは、経済力を失って、国家が貧しくなるような気がしてきました。
他国からの援助頼みだけでは……
自力で稼がねば、国は成り立っていきません。
(読み手の自分の気持ちとして:ロシアはまえまえから、ウクライナを自国に併合しようという気持ちがあったに違いない。ゆえに、遅かれ早かれこうなっていたに違いない)
[2021年7月12日に発表されたロシア大統領の論文『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』]
どうにでも読み取れる内容です。
ロシア、ウクライナ、ベラルーシは、民族・言語で共通性をもっている。(だから、ウクライナはロシアに含まれると解釈している。
この付近を読んでいて思い出した二冊があります。
『同志少女よ敵を撃て 逢坂冬馬(あいさか・とうま) 早川書房』
(78ページ)『ウクライナがソヴィエト・ロシアにどんな扱いをされてきたか、知ってる? …… ソ連にとってのウクライナってなに? 略奪(りゃくだつ)すべき農地よ(戦争をして、(ウクライナという財産を力づくで奪う)』
もう一冊あります。絵本です。
『こすずめのぼうけん ルース・エインズワース・作 石井桃子・訳 堀内誠一・画 福音館書店』
鳥の鳴き声で鳥の種類を分類します。民族を分けるようにみえます。
こすずめは、ほかの鳥たちから拒否されてばかりです。
『血統主義(子は親と同じ国籍を取得する)』を感じる外国絵本です。
民族主義。
同一民族で国家を築く。
他の民族を排除し、同じ民族での結束を重視する。
ロシア大統領いわく『ウクライナなどという民族はない』
ソ連:民族別共和国制度を導入した。ロシア大統領は、その政策は誤っていたとする。
ロシア大統領は、ウクライナの独立は、政治的手違いとする。
なにもかもウクライナと西側(諸国)が悪いとする。
ウクライナの主権は、ロシアにあるとする。
自分は悪くない。相手が悪い。
判断は相手がすべきだ。
(まるで)他人事(ひとごと)です。
自分の未熟さが原因なのに、相手のせいにする。
自立しているようで、自立していない考え方です。
デタント:フランス語。戦争の危機にある二か国が、緊張緩和すること。平和的共存を目指す。
開戦してしばらくは『ウクライナの中立化』という言葉を聞きましたが、最近は聞かれなくなりました。
第二次ミンスク合意:ベラルーシにあるミンスクで2015年にウクライナ東部ドンパス戦争の停戦を意図したウクライナとロシアの合意。
①治安項目:戦闘停止、重火器撤去、ロシア軍の撤退
②政治項目:ウクライナが、ドンパスに特別の地位を認める。現地で住民投票を行う。
①と②の順序で折り合いがつかない。ウクライナは①が優先。ロシアは②が優先。
ドイツ外務大臣が提唱したシュタインマイヤー方式は、まず②を行う。そのことをウクライナ大統領が受け入れようとしたことに対して、ウクライナ国民の世論が反発した。
CSIS:戦略・国際研究センター。アメリカ合衆国ワシントンに本部を置く研究機関
読んでいて思うのは、ベラルーシが戦争の協力者であること。
されど、ウクライナの首都で核爆弾が爆発すれば、ベラルーシにも放射能を帯びた空気が届くでしょう。(ベラルーシはそのことをわかっているはずです。ベラルーシもこの戦争の犠牲者なのかもしれません)
著者のもつ性質として『軍事屋(ロシア侵攻は確実と踏んだこと)』そしてもうひとつが『ロシア屋(ロシアに愛情をもつ者として迷いがあった)』があるそうです。
結果として、ロシア大統領が、今回、何をしたのかがわからない。
ウクライナの大統領は、ウクライナ語を話せなかった。ロシア語が母語だったということは、なかなか衝撃的なことがらです。
ロシア国とかロシア人とかは、嘘をつく民族。お互いに信頼関係を築ける相手ではないと思ってしまいます。
相手が弱っているときに、相手の領土へ攻め込んでくるという卑怯(ひきょう)なことができる民族と感じてしまいます。
ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国がある。ロシア大統領が両国を正式に国家として承認した。
第二次ミンスク合意は、破棄(はき。捨てられた)された。
97ページから98ページは、まるでドラマです。
永遠の命をもつ人間はこの世にはいません。
『神』という存在が、本当はいるのではないかという錯覚をもってしまいます。
第3章 「特別軍事作戦」 2022年2月24日~7月
ウクライナの首都キーウから30kmの地点にあるアントノウ空港をロシア軍が占拠して、多数のロシア軍人を置く。
ロシアが、キーウにある議会と官庁を占拠する。
臨時議会を招集して、傀儡政権(かいらいせいけん。ロシアの意向に従う政権)を樹立する。
斬首作戦と呼ぶそうです。(ざんしゅさくせん。行政組織のトップの首をとる)
ロシアの幹部からウクライナの幹部に降伏をうながす電話が入る。
ベラルーシの幹部からウクライナの幹部に降伏を勧めるメッセージの電話が入る。
ウクライナの国内にスパイやスパイ的組織がすでにできあがっていた。(ただし、本当に戦争になるとは内通者であるスパイ自身が思っておらず、スパイは、お金だけもらって、逃げ出して仕事を放棄したという状態だったようです)
味方の顔をした敵(スパイ)がたくさんいます。
ウクライナ国内は、スパイだらけです。
特別軍事作戦:軍事力をあまり使わず、短時間で、敵の主権を奪うつもりの作戦だった。
チェールノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所の責任者は、ロシアの協力者だった。(だからロシア軍に原発を乗っ取られたのか)
デルカチ:ウクライナの議員。ロシアの長年のスパイ。
スペツナズ:ロシアの特殊任務部隊
ロシア大統領は、ウクライナ大統領に死んでもらいたかった。(政治的にという意味がある)
現実に侵攻しているドラマを見ているようです。
ロシアには互いの『信頼関係』がないようです。
若いころ、仕事場で習った言葉を思い出しました。『組織というものは、外部からの力で壊れるのではなく、内部からの力によって壊れる』
『予想』というものは、はずれることもある。いやいや、けっこうはずれる。100%予想を信用してはいけない。
『予想』がはずれる理由のひとつが『慢心(まんしん。いい気になる。おごりたかぶる)』です。
ウクライナ軍は組織的な戦闘力を保有し、維持していく力があった。
対戦車ミサイル『ジャベリン』が効果を発揮した。
ミーム化:真似することによって、人から人に伝わり、増殖していく状態。
ウクライナ人は、ウクライナのために戦うことを決心した。ウクライナ人は、ウクライナの領土に関して、ロシアに譲歩しない。(譲らない。ゆずらない。ロシアの意見や要求には従わない)
ロシア空軍は機能しなかった。
潰走劇(かいそうげき):戦いに惨敗して敗走すること。
ロシアの生物・化学兵器の使用に関する報道が一時期ありましたが、最近は聞かなくなりました。
西側諸国は、ロシアが、自分たちと直接衝突にならないことを願っている。
停戦交渉がストップしたのは、ロシア軍人たちによるブチャでの大虐殺が原因である。
もう元には戻れない。
ロシアは国際社会から追放されるような状態にあるが、ロシアの味方をする国々がいる。
ロシア軍人のブチャにおける行為は『悪』である。
これが『戦争』である。
ニーチェの言葉を思い出しました。
ニーチェ:1844年-1900年。55歳没。ドイツ・プロイセン王国の思想家。
『ツァラトゥストラはこう言った 上・下 ニーチェ著 氷上英廣訳 岩波文庫』
ニーチェという人は、ドイツの哲学者です。記述はキリスト教の預言書のようです。ツァラトゥストラ氏は孤独です。精神世界のことが綴られていきます。
教わらなければ人間は獣(けだもの)と同じ。
教育の重要性を説く部分だろうと意味をとれた箇所がありました。人間のなかには、「おのれ」と「わたし」が同居している。「おのれ」は本能で、「わたし」が理性です。
そして両者は常に争っている。人間の心を形成しているものが「知識」と「知恵」そして「理性」です。人間は最終的に人間の手によって滅びると預言しているようです。
『戦争』は「おのれ」の世界なのでしょう。人間の強欲(ごうよく)がむきだしになります。
この本は中身が濃い。
今年読んで良かった一冊になりました。
ブラフ:ハッタリ。こけおどし。虚勢(きょせい)、脅し(おどし)
第4章 転機を迎える第二次ロシア・ウクライナ戦争 2022年8月~
ドヴォルニコフ:2015年シリアへの軍事介入での有能な貢献者。統括司令官(2022年5月半ば以降姿を見せなくなった)解任されたという話あり。ロシア大統領が軍のやりかた、ありかたに、口出しを始めたのではないか。
読んでいると、ロシア大統領自身が、ロシア軍の中で、爆弾のような存在に思えてきます。
ショイグ:国防大臣。軍人としての経験はない。ロシア大統領のイエスマン。
HIMARS:高機動ロケット砲システム。ハイマース。
武器の供与について、アメリカ大統領は、第三次世界大戦を避けたいがために、言葉を操ろうとしている。(あやつろうとしている)
M270多連装ロケットシステム:MLRS
ウクライナの戦法として、ロシアの軍部隊を攻撃するのではなく、部隊を支える部分を狙う(弾薬集積場)、燃料集積場、橋など)。兵たん(前線への補給路)と火力を妨害する。
ウクライナは、南部へ兵力を集めると見せて、東部のロシア軍を南部へ移動へと導いて、手薄になった東部へ進出した。(日本の戦国時代の戦法をみるようです)
ロシアの体力をゆっくりと消耗させていく。
戦争が始まったころ、経済制裁でロシアは大きなダメージを受けるという話がありましたが、そのようには見受けられません。とかく、予想ははずれます。お金が動くときは、別のルートで動かせたりもします。
ロシアが本格的な戦争にもちこめない(総動員)理由が書かれています。
虚構の箱の中にあるような国です。
戦争をやるなら一般国民を巻き込まずに職業軍人だけでやってくれです。
一般人に実害が出たら、政府を支持しないです。
国民不在の戦争です。
奇妙です。
大都市部のお金がある国民の動員は避けて、少数民族や貧困層に戦争への動員をかける。
核使用(原子爆弾)について書いてあります。
パターンが3つあるそうです。
読んでいて自分なりの受けとめとして、
①大規模爆発(現実にはありえないだろうとの予想)
②限定的爆発(広島、長崎のような中小規模の都市に落とすということか)
③被害のないところで爆発(威嚇いかくのため)
エスカレーション:戦争の規模が段階的に拡大する。
ロシアが核兵器を使用したら、アメリカ合衆国は、同程度の核使用でロシアに応える(こたえる)。潜水艦から、核弾頭を搭載したミサイルを目的地に発射する。
ロシアがヨーロッパにある米軍基地を核攻撃したら、ロシアの友好国ベラルーシに同様に核攻撃をするという発想もある。(なにやら、地球の終わりが近づいて来るようです。ロシアも理解している。ゆえに核戦争にはならないだろう)
思うに、ウクライナ国民のロシアに対する憎悪は強い。核攻撃をされても気持ちはひるまない。なおさら憎悪は強まる。『絶対に許さない』『絶対に忘れない』というウクライナの人たちの言葉が思い出されます。
昔、映画館で観た邦画『宇宙戦艦ヤマト』をなぜかしら思い出しました。
第5章 この戦争をどう理解するか
戦争の『性質』と『特徴』についての記述があります。善か悪か。
性質:なんのために戦争が行われているのか。戦争と社会との関係。
特徴:戦争の様態(ようたい:形、ようす、ありさま)。武器。戦術。
特徴は、『無人航空機(UAV)』が大掛かりに使用されている。ドローン。それから、宇宙が利用されている。衛星通信、衛星航法システム。されど、80年前のドイツ・ロシアの戦争と同じ部分がある。場所の取り合い、攻撃のしかた、一般市民への暴力など。
ハイブリッド戦争:『情報(政治、経済、文化、宗教、心理、思想など)』を戦争の材料にする。敵国を不安で不安定にする。軍事力を抑制する。政権を機能不全にする。
軍事オタク(愛好者)の文章が続きます。
研究者の文章です。
ヒズボラ:1982年に結成された政治武装組織。レバノンシーア派イスラム主義の政治組織。
ウクライナ大統領は、米国や英国へと自由自在に移動します。
ロシア大統領は、中国へは移動しません。ウクライナ大統領のほうが、役者が一枚上なのか。
ロシアは、国民の言論統制や、思考において心理を誘導します。反対勢力者を捕まえて自由な発言を封じ込めます。圧力はいつまで続けることができるのか。
迷走しています。
だれがこの戦争を止めるのか。
ロシア国民が止めるしかありません。
給料が払われなくなったら、兵隊の動きは止まるでしょう。
武器を使い果たしたら、もう攻撃はできないでしょう。
いつかその時が訪れる。
『徴兵制』について考えました。
他国にはある徴兵制です。日本はだいじょうぶだろうか。
あっという間に他国に支配されてしまわないか。のんきでいいのか。
思い出した本があります。
『カエルの楽園 百田尚樹 新潮社』人をカエルにたとえた擬人法です。
「カエルの楽園」であるツチガエルのナパージュ王国が日本でしょう。国民は、三戒(①カエルを信じろ ②カエルと争うな ③争うための力をもつな)で、争いを放棄しているから争いには巻き込まれないとかたくなに信じています。(カエル=さまざまな国の国民です。ツチガエルが日本人、ウシガエルが中国人、エンエンが韓国。巨大な鷲がアメリカ合衆国です。最終的に、ナパージュ王国(日本)は滅びるのです)
ウクライナは、ネオナチ国家ではない。一部にそのような組織があったが(アゾフ連隊ほか)、国民全体のことではない。
読みながら思うに、ロシア大統領は単純にウクライナの土地が欲しかった。
ロシア大統領に失策(エラー)があった。見込み違いがあった。
軽はずみなことで、事態の収拾ができない状態になっている。
『核兵器』を脅し(おどし)に使うと効果がある。
戦争当事者国になる可能性として、日本は直接的には大丈夫だろうが(間接的にはある)、台湾は危うい(あやうい)。
いろいろあります。
ロシア大統領をとめるのは、ロシア国民と思いたい。
それでも、今回の件は、半永久的に続く案件です。ひきずります。ウクライナ人は、ロシアがやった行為を『絶対に許さない』し『絶対に忘れない』のです。
本には、世界はもはや安全ではないと書いてあります。(欧州、大西洋の空間、そして、日本を含むインド太平洋の空間に危険な要素がある)
読み応え(ごたえ)のある本でした。
BSや地上波のテレビ報道番組でよく見かけるお方(おかた)です。
軍事評論家としてのわかりやすい解説に好感をもっています。
奥さんがロシア人、複雑なお心もちでしょう。小さなお子さんもおられます。(237ページに、妻エレーナさん、娘さんが、ありささんとあります)
この本は売れています。読んでみます。
本の帯に『第3次世界大戦はあり得るのか?』と書いてあります。
ところが、この本以外のほかからの情報として、先日テレビで『第三次世界大戦はすでに始まっている。2022年2月24日ロシアがウクライナに侵攻した日が開戦日である』と説明があり、自分は納得しました。
たいへんなことになりました。ロシア大統領の言動がうらめしい。本人に誤算があったのでしょう。短期間で占領できると自信があったのでしょう。
現時点では、いつ終わるのかわからない状態ですが、自分が思うに、最後はロシアが衰退化するのでしょう。
いつどこで、決着をつけるのか。ロシア国民と中国が鍵を握っています。
わたしは、実用書を読むときは、最初にすべてのページをゆっくりめくります。
237ページあります。
目次があって、地図があります。
本の内容は、2021年(令和3年)から始まります。コロナ禍もあって、世界は大混乱です。
そんな混乱の中で、ゼレンスキー大統領という偉大な人が生まれました。
命がけで国民を守ってくれる大統領です。
西欧諸国は、ウクライナを犠牲にして無難に話をまとめようとしたような初動(しょどう。初めの動き)が見受けられます。ゼレンスキー大統領に国外退避を勧めています。
ウクライナの土地がロシアに奪われることは、日本の北方領土が奪われる。さらに、北海道がロシアに奪われることの見込みにつながります。
他人ごと(ひとごと)ではないのです。
類似の状況にある他国も同様です。
42ページに『コメディアンVSスパイ』とあります。(なるほど)(その後、コメディアンは、偉大な政治家になり、スパイはコメディアンになったというオチがありました)
第1章から第5章まであります。
第1章:2021年春の軍事的危機 2021年1月~5月
第2章:開戦前夜 2021年9月~2022年2月21日
第3章:「特別軍事作戦」 2022年2月24日~7月
第4章:転機を迎える第二次ロシア・ウクライナ戦争 2022年8月~
第5章:この戦争をどう理解するか
ベラルーシという国について考えさせられます。ロシアと心中(しんじゅう。ともに死す)するつもりはないでしょう。
日本の戦国時代だと、寝返り(ねがえり。裏切り)が頻発(ひんぱつ)しています。
ハラショー:「いいだろう」というロシア語(許可。同意)が出てきました。(去年読んだ伊坂幸太郎作品『ペッパーズ・ゴースト』を思い出しました。“ハラショー”が出てきます。『ハラショー、アメショー、松尾芭蕉』(相手を仲間だと確認する合言葉でした))
そうか。ロシアの外相(外務大臣)は、針の筵(むしろ)に座らされている状態なのか。
腹の中にある自分の意見と自分の口から出す言葉が正反対の状態があるのかも。
昨年テレビの戦争報道番組を観ていて強烈に記憶に残ったシーンがあります。
ウクライナの人たちが(ロシアを)『絶対に許さない』(今回のことを)『絶対に忘れない』と何度も繰り返して強くつぶやいていました。大声をあげるのではなく、小さな低い声で何度も繰り返していました。憎しみ、憎悪の気持ちが強い。
このことは、これから先50年から100年以上、いやそれ以上、半永久的には続く国民感情として、ロシアとの対立になっていくでしょう。(第二次世界大戦を体験した韓国の年配の人たちがもつ日本に対する感情に似ています)
ロシアの大統領は大変なことをしでかしました。
ロシア国民の主体性のなさを感じました。
独裁者に依存する国民性が浮き彫りになりました。
判断や決定を権力者にゆだねる。
失敗があった時は、権力者のせいにする。
自分の頭で自分のことを考えない楽な生き方です。
あわせて、ロシア軍は強くなかった。
世界は、誤解と錯覚で成り立っている。
そんなことを再確認できた出来事でした。
138ページにロシア軍人によるブチャでの残虐な行為が書いてあります。
先日読んだ『これでいいのだ 赤塚不二夫 文春文庫』に、赤塚一家の母子5人が、終戦後、当時いた満州から日本へ逃げてくる最中(さいちゅう。父はシベリア抑留に連れて行かれた)のことが書いてありました。
侵攻してきたソ連軍兵士たちが現地で野蛮な行為をしていました。
時代と場所が違っていても兵士のやることは同じです。
ネオナチ国家:日本人には聞きなれない言葉でピンときません。
ウクライナの人が、ナチスドイツのような人とは思えません。
核兵器の使用:使った国は、そのときは優勢でも、最後には滅びます。
全体のページをめくり終えました。
(2回目の本読み)
第1章:2021年春の軍事的危機 2021年1月~5月
ロシア語とウクライナ語の勉強です。
マラジェーツ!:ロシア語で「えらいぞ!」
キエフ:ウクライナ語では「キーウ」
ウラジミール・ゼレンスキー:ウクライナ語では「ヴォロディミル・ゼレンシキー」
ハリコフ:ウクライナ語では「ハルキウ」
ドネツク:ウクライナ語では「ドネツィク」
ルガンスク:ウクライナ語では「ルハンシク」
オデッサ:ウクライナ語では「オデーサ」
ほかの方たちの感想を知りたいと思って、ネットでこの本の読後感想を複数読みましたが、みなさん書き方がむずかしくて、ちょっとわたしには理解ができませんでした。
2022年2月24日ロシアのウクライナ侵攻が始まる:読み手の自分の思いです。なぜこんなことになったのか。ロシア国民が、独裁者の誕生を許したからです。
彼の判断と決断で、ロシアとウクライナの人たちが、たくさん亡くなったり、傷ついたりしています。
ロシアに対する民族主義的野望:特定の民族が中心となって、政治、経済、文化、言語を統一した組織を立てて、特定の民族が利権を独占する。
今回の戦争の動機とか理由がはっきりしません。ネオナチ思想は、根拠がない。ロシア軍人は自分がなんのために戦っているのかわからない。給料をもらうためにということしか思い浮かべるものがありません。
動機は、ロシア大統領の意向だけです。
ロシアとウクライナは共有関係にあるそうです。
歴史、文化、宗教、言語が重なる。
ウクライナ人の3割から半数がロシア語を母語としている。(母語:ぼご。生まれて始めて話す言葉)
農耕地としての豊饒(ほうじょう。作物が豊か)な土地をもつウクライナです。
ロシア人とウクライナ人の民族紛争は、土地の取り合いと理解しました。
トランプ前大統領もからんでいます。
ロシアにとって、ウクライナに冷たかったトランプ大統領は都合のいい存在だった。
トランプ大統領はロシアに対して甘かった。(「アメリカ・ファースト(他国の紛争に米国は加勢しない)。見方によっては、トランプ大統領は、ロシア政府側の担当者ポストの位置にいたのではではないかと思えてきます)
ナラティブ:物語、語り、話術
バイデン大統領の息子はウクライナの天然ガス企業で重役を務めている。
なんだか、組織の上層部は、敵対しているようで、実はグル(仲間)の様相(ようそう。ようす。ありさま)があります。
アレクセイ・ナヴァリヌィ:ロシアの弁護士、政治活動家。野党活動家。ロシアの刑務所に収監されている。
国民が洗脳されている。(心を権力者にコントロールされている)
ハゲの悪魔:ロシアの大統領のこと。(ウクライナの大統領がそう呼ぶ)
ウクライナの大統領は、2015年(平成27年)テレビドラマ『国民の僕(しもべ)』にウクライナ大統領役で出演して、2019年(令和元年)に本物の大統領に就任した。まるで、ドラマか映画のようです。
シュタンマイヤー方式:シュタンマイヤーは人の名前。ドイツ人外務大臣。①住民投票を行う。②ウクライナは、法律を発効させる。③ウクライナは、法律を恒久化させる。
ドンパス:ウクライナの東南部に位置する地方。ドネツィク州とルハンシク州
メドヴェチューク:ウクライナの政治家。親ロシア組織『ウクライナの選択』の議長。ロシア大統領の協力者。ウクライナに逮捕されたのちロシアに引き渡された。
読んでいて考えたことです。
ウクライナの東南部にはロシア人が住んでいて、ロシア人の自治がある。
ロシアは、親ロシア地域だけをロシアにとりこめば満足するのだろうと思いつくのですが、ロシア大統領は、ウクライナの国土全体をロシアにとりこもうとしています。なぜだろう。(これから読み続けるとわかるような気がします)
(つづく)
第2章 開戦前夜 2021年9月~2022年2月21日
読んでいて、ウクライナもロシアと共倒れになる危険性があると思いつきました。
ウクライナは、経済力を失って、国家が貧しくなるような気がしてきました。
他国からの援助頼みだけでは……
自力で稼がねば、国は成り立っていきません。
(読み手の自分の気持ちとして:ロシアはまえまえから、ウクライナを自国に併合しようという気持ちがあったに違いない。ゆえに、遅かれ早かれこうなっていたに違いない)
[2021年7月12日に発表されたロシア大統領の論文『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』]
どうにでも読み取れる内容です。
ロシア、ウクライナ、ベラルーシは、民族・言語で共通性をもっている。(だから、ウクライナはロシアに含まれると解釈している。
この付近を読んでいて思い出した二冊があります。
『同志少女よ敵を撃て 逢坂冬馬(あいさか・とうま) 早川書房』
(78ページ)『ウクライナがソヴィエト・ロシアにどんな扱いをされてきたか、知ってる? …… ソ連にとってのウクライナってなに? 略奪(りゃくだつ)すべき農地よ(戦争をして、(ウクライナという財産を力づくで奪う)』
もう一冊あります。絵本です。
『こすずめのぼうけん ルース・エインズワース・作 石井桃子・訳 堀内誠一・画 福音館書店』
鳥の鳴き声で鳥の種類を分類します。民族を分けるようにみえます。
こすずめは、ほかの鳥たちから拒否されてばかりです。
『血統主義(子は親と同じ国籍を取得する)』を感じる外国絵本です。
民族主義。
同一民族で国家を築く。
他の民族を排除し、同じ民族での結束を重視する。
ロシア大統領いわく『ウクライナなどという民族はない』
ソ連:民族別共和国制度を導入した。ロシア大統領は、その政策は誤っていたとする。
ロシア大統領は、ウクライナの独立は、政治的手違いとする。
なにもかもウクライナと西側(諸国)が悪いとする。
ウクライナの主権は、ロシアにあるとする。
自分は悪くない。相手が悪い。
判断は相手がすべきだ。
(まるで)他人事(ひとごと)です。
自分の未熟さが原因なのに、相手のせいにする。
自立しているようで、自立していない考え方です。
デタント:フランス語。戦争の危機にある二か国が、緊張緩和すること。平和的共存を目指す。
開戦してしばらくは『ウクライナの中立化』という言葉を聞きましたが、最近は聞かれなくなりました。
第二次ミンスク合意:ベラルーシにあるミンスクで2015年にウクライナ東部ドンパス戦争の停戦を意図したウクライナとロシアの合意。
①治安項目:戦闘停止、重火器撤去、ロシア軍の撤退
②政治項目:ウクライナが、ドンパスに特別の地位を認める。現地で住民投票を行う。
①と②の順序で折り合いがつかない。ウクライナは①が優先。ロシアは②が優先。
ドイツ外務大臣が提唱したシュタインマイヤー方式は、まず②を行う。そのことをウクライナ大統領が受け入れようとしたことに対して、ウクライナ国民の世論が反発した。
CSIS:戦略・国際研究センター。アメリカ合衆国ワシントンに本部を置く研究機関
読んでいて思うのは、ベラルーシが戦争の協力者であること。
されど、ウクライナの首都で核爆弾が爆発すれば、ベラルーシにも放射能を帯びた空気が届くでしょう。(ベラルーシはそのことをわかっているはずです。ベラルーシもこの戦争の犠牲者なのかもしれません)
著者のもつ性質として『軍事屋(ロシア侵攻は確実と踏んだこと)』そしてもうひとつが『ロシア屋(ロシアに愛情をもつ者として迷いがあった)』があるそうです。
結果として、ロシア大統領が、今回、何をしたのかがわからない。
ウクライナの大統領は、ウクライナ語を話せなかった。ロシア語が母語だったということは、なかなか衝撃的なことがらです。
ロシア国とかロシア人とかは、嘘をつく民族。お互いに信頼関係を築ける相手ではないと思ってしまいます。
相手が弱っているときに、相手の領土へ攻め込んでくるという卑怯(ひきょう)なことができる民族と感じてしまいます。
ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国がある。ロシア大統領が両国を正式に国家として承認した。
第二次ミンスク合意は、破棄(はき。捨てられた)された。
97ページから98ページは、まるでドラマです。
永遠の命をもつ人間はこの世にはいません。
『神』という存在が、本当はいるのではないかという錯覚をもってしまいます。
第3章 「特別軍事作戦」 2022年2月24日~7月
ウクライナの首都キーウから30kmの地点にあるアントノウ空港をロシア軍が占拠して、多数のロシア軍人を置く。
ロシアが、キーウにある議会と官庁を占拠する。
臨時議会を招集して、傀儡政権(かいらいせいけん。ロシアの意向に従う政権)を樹立する。
斬首作戦と呼ぶそうです。(ざんしゅさくせん。行政組織のトップの首をとる)
ロシアの幹部からウクライナの幹部に降伏をうながす電話が入る。
ベラルーシの幹部からウクライナの幹部に降伏を勧めるメッセージの電話が入る。
ウクライナの国内にスパイやスパイ的組織がすでにできあがっていた。(ただし、本当に戦争になるとは内通者であるスパイ自身が思っておらず、スパイは、お金だけもらって、逃げ出して仕事を放棄したという状態だったようです)
味方の顔をした敵(スパイ)がたくさんいます。
ウクライナ国内は、スパイだらけです。
特別軍事作戦:軍事力をあまり使わず、短時間で、敵の主権を奪うつもりの作戦だった。
チェールノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所の責任者は、ロシアの協力者だった。(だからロシア軍に原発を乗っ取られたのか)
デルカチ:ウクライナの議員。ロシアの長年のスパイ。
スペツナズ:ロシアの特殊任務部隊
ロシア大統領は、ウクライナ大統領に死んでもらいたかった。(政治的にという意味がある)
現実に侵攻しているドラマを見ているようです。
ロシアには互いの『信頼関係』がないようです。
若いころ、仕事場で習った言葉を思い出しました。『組織というものは、外部からの力で壊れるのではなく、内部からの力によって壊れる』
『予想』というものは、はずれることもある。いやいや、けっこうはずれる。100%予想を信用してはいけない。
『予想』がはずれる理由のひとつが『慢心(まんしん。いい気になる。おごりたかぶる)』です。
ウクライナ軍は組織的な戦闘力を保有し、維持していく力があった。
対戦車ミサイル『ジャベリン』が効果を発揮した。
ミーム化:真似することによって、人から人に伝わり、増殖していく状態。
ウクライナ人は、ウクライナのために戦うことを決心した。ウクライナ人は、ウクライナの領土に関して、ロシアに譲歩しない。(譲らない。ゆずらない。ロシアの意見や要求には従わない)
ロシア空軍は機能しなかった。
潰走劇(かいそうげき):戦いに惨敗して敗走すること。
ロシアの生物・化学兵器の使用に関する報道が一時期ありましたが、最近は聞かなくなりました。
西側諸国は、ロシアが、自分たちと直接衝突にならないことを願っている。
停戦交渉がストップしたのは、ロシア軍人たちによるブチャでの大虐殺が原因である。
もう元には戻れない。
ロシアは国際社会から追放されるような状態にあるが、ロシアの味方をする国々がいる。
ロシア軍人のブチャにおける行為は『悪』である。
これが『戦争』である。
ニーチェの言葉を思い出しました。
ニーチェ:1844年-1900年。55歳没。ドイツ・プロイセン王国の思想家。
『ツァラトゥストラはこう言った 上・下 ニーチェ著 氷上英廣訳 岩波文庫』
ニーチェという人は、ドイツの哲学者です。記述はキリスト教の預言書のようです。ツァラトゥストラ氏は孤独です。精神世界のことが綴られていきます。
教わらなければ人間は獣(けだもの)と同じ。
教育の重要性を説く部分だろうと意味をとれた箇所がありました。人間のなかには、「おのれ」と「わたし」が同居している。「おのれ」は本能で、「わたし」が理性です。
そして両者は常に争っている。人間の心を形成しているものが「知識」と「知恵」そして「理性」です。人間は最終的に人間の手によって滅びると預言しているようです。
『戦争』は「おのれ」の世界なのでしょう。人間の強欲(ごうよく)がむきだしになります。
この本は中身が濃い。
今年読んで良かった一冊になりました。
ブラフ:ハッタリ。こけおどし。虚勢(きょせい)、脅し(おどし)
第4章 転機を迎える第二次ロシア・ウクライナ戦争 2022年8月~
ドヴォルニコフ:2015年シリアへの軍事介入での有能な貢献者。統括司令官(2022年5月半ば以降姿を見せなくなった)解任されたという話あり。ロシア大統領が軍のやりかた、ありかたに、口出しを始めたのではないか。
読んでいると、ロシア大統領自身が、ロシア軍の中で、爆弾のような存在に思えてきます。
ショイグ:国防大臣。軍人としての経験はない。ロシア大統領のイエスマン。
HIMARS:高機動ロケット砲システム。ハイマース。
武器の供与について、アメリカ大統領は、第三次世界大戦を避けたいがために、言葉を操ろうとしている。(あやつろうとしている)
M270多連装ロケットシステム:MLRS
ウクライナの戦法として、ロシアの軍部隊を攻撃するのではなく、部隊を支える部分を狙う(弾薬集積場)、燃料集積場、橋など)。兵たん(前線への補給路)と火力を妨害する。
ウクライナは、南部へ兵力を集めると見せて、東部のロシア軍を南部へ移動へと導いて、手薄になった東部へ進出した。(日本の戦国時代の戦法をみるようです)
ロシアの体力をゆっくりと消耗させていく。
戦争が始まったころ、経済制裁でロシアは大きなダメージを受けるという話がありましたが、そのようには見受けられません。とかく、予想ははずれます。お金が動くときは、別のルートで動かせたりもします。
ロシアが本格的な戦争にもちこめない(総動員)理由が書かれています。
虚構の箱の中にあるような国です。
戦争をやるなら一般国民を巻き込まずに職業軍人だけでやってくれです。
一般人に実害が出たら、政府を支持しないです。
国民不在の戦争です。
奇妙です。
大都市部のお金がある国民の動員は避けて、少数民族や貧困層に戦争への動員をかける。
核使用(原子爆弾)について書いてあります。
パターンが3つあるそうです。
読んでいて自分なりの受けとめとして、
①大規模爆発(現実にはありえないだろうとの予想)
②限定的爆発(広島、長崎のような中小規模の都市に落とすということか)
③被害のないところで爆発(威嚇いかくのため)
エスカレーション:戦争の規模が段階的に拡大する。
ロシアが核兵器を使用したら、アメリカ合衆国は、同程度の核使用でロシアに応える(こたえる)。潜水艦から、核弾頭を搭載したミサイルを目的地に発射する。
ロシアがヨーロッパにある米軍基地を核攻撃したら、ロシアの友好国ベラルーシに同様に核攻撃をするという発想もある。(なにやら、地球の終わりが近づいて来るようです。ロシアも理解している。ゆえに核戦争にはならないだろう)
思うに、ウクライナ国民のロシアに対する憎悪は強い。核攻撃をされても気持ちはひるまない。なおさら憎悪は強まる。『絶対に許さない』『絶対に忘れない』というウクライナの人たちの言葉が思い出されます。
昔、映画館で観た邦画『宇宙戦艦ヤマト』をなぜかしら思い出しました。
第5章 この戦争をどう理解するか
戦争の『性質』と『特徴』についての記述があります。善か悪か。
性質:なんのために戦争が行われているのか。戦争と社会との関係。
特徴:戦争の様態(ようたい:形、ようす、ありさま)。武器。戦術。
特徴は、『無人航空機(UAV)』が大掛かりに使用されている。ドローン。それから、宇宙が利用されている。衛星通信、衛星航法システム。されど、80年前のドイツ・ロシアの戦争と同じ部分がある。場所の取り合い、攻撃のしかた、一般市民への暴力など。
ハイブリッド戦争:『情報(政治、経済、文化、宗教、心理、思想など)』を戦争の材料にする。敵国を不安で不安定にする。軍事力を抑制する。政権を機能不全にする。
軍事オタク(愛好者)の文章が続きます。
研究者の文章です。
ヒズボラ:1982年に結成された政治武装組織。レバノンシーア派イスラム主義の政治組織。
ウクライナ大統領は、米国や英国へと自由自在に移動します。
ロシア大統領は、中国へは移動しません。ウクライナ大統領のほうが、役者が一枚上なのか。
ロシアは、国民の言論統制や、思考において心理を誘導します。反対勢力者を捕まえて自由な発言を封じ込めます。圧力はいつまで続けることができるのか。
迷走しています。
だれがこの戦争を止めるのか。
ロシア国民が止めるしかありません。
給料が払われなくなったら、兵隊の動きは止まるでしょう。
武器を使い果たしたら、もう攻撃はできないでしょう。
いつかその時が訪れる。
『徴兵制』について考えました。
他国にはある徴兵制です。日本はだいじょうぶだろうか。
あっという間に他国に支配されてしまわないか。のんきでいいのか。
思い出した本があります。
『カエルの楽園 百田尚樹 新潮社』人をカエルにたとえた擬人法です。
「カエルの楽園」であるツチガエルのナパージュ王国が日本でしょう。国民は、三戒(①カエルを信じろ ②カエルと争うな ③争うための力をもつな)で、争いを放棄しているから争いには巻き込まれないとかたくなに信じています。(カエル=さまざまな国の国民です。ツチガエルが日本人、ウシガエルが中国人、エンエンが韓国。巨大な鷲がアメリカ合衆国です。最終的に、ナパージュ王国(日本)は滅びるのです)
ウクライナは、ネオナチ国家ではない。一部にそのような組織があったが(アゾフ連隊ほか)、国民全体のことではない。
読みながら思うに、ロシア大統領は単純にウクライナの土地が欲しかった。
ロシア大統領に失策(エラー)があった。見込み違いがあった。
軽はずみなことで、事態の収拾ができない状態になっている。
『核兵器』を脅し(おどし)に使うと効果がある。
戦争当事者国になる可能性として、日本は直接的には大丈夫だろうが(間接的にはある)、台湾は危うい(あやうい)。
いろいろあります。
ロシア大統領をとめるのは、ロシア国民と思いたい。
それでも、今回の件は、半永久的に続く案件です。ひきずります。ウクライナ人は、ロシアがやった行為を『絶対に許さない』し『絶対に忘れない』のです。
本には、世界はもはや安全ではないと書いてあります。(欧州、大西洋の空間、そして、日本を含むインド太平洋の空間に危険な要素がある)
読み応え(ごたえ)のある本でした。
2023年03月10日
クネクネさんのいちにち きょうはマラカスのひ 樋勝朋巳
クネクネさんのいちにち きょうはマラカスのひ 樋勝朋巳(ひかつ・ともみ) 福音館書店
なんだろう。表紙にあるこの動物は。
『クネクネさん』とある。
夢を食べる空想の動物『獏(ばく)』のようだ。
現実にいる生き物としては『マレーバク』のようだ。たしか名古屋東山動物園にいました。
ぶあつい表紙をめくると「なんでこんなにたくさんの、ももひきの絵があるのか」(のちに、ダンスを踊るときにはくタイツだとわかりました)
マラカス:楽器。振って音を出す。マラカスにふれる機会はそれほどありません。カラオケぐらいでしょう。キューバ音楽でよく使われる。
お仲間集合です。三人体制です。敬老会みたいです。
クネクネさん
パーマさん:あたまの上にボールみたいな髪の毛がのっています。
フワフワさん:ライオンみたいなたてがみが、顔を囲んでいます。
クネクネさん:3ページでは、バクではなくて、犬に見えます。
こどもを喜ばせる絵本です。
リズム絵本です。
読み聞かせは、歌に変わりそうです。
絵はふざけているように見えるのですが、まじめな絵本です。
8ページまできて、これまでは、三人とも男だと思って読んでいましたが、どうもみなさん女性のようです。婦人会のようです。絵本で、このようなパターンの描き方は初めての体験です。新世界です。
おばちゃんor(オア。または)おばあちゃんの世界。
こんな三人が現実にもいそうです。
たとえば、フラダンスチーム。
むかしはやったマンボなんとかという曲を思い出します。マンボ:南米ラテン音楽。
調べました。『マンボNo.5(ナンバーファイブ)』チャチャチャです。マラカスを振っている人がいます。
絵本の中は、幼稚園の発表会のようでもあります。
フワフワさんの舞台はしっこ乗りがおもしろい。
発表会の途中ですが、昼食タイム(時間)です。
食事は大切です。
談笑タイムです。
身内の演奏、身内の観覧なので、自画自賛の雰囲気はあります。
食後の縁起で、クネクネさんは失敗してしまいました。
でも、パーマさんとフワフワさんは、食後のためかいねむりをしていて、クネクネさんの失敗に気がつきません。
起承転結のストーリーの流れのうちの『転』の部分でした。
話は急に理屈っぽくなりました。
失敗はつきもの再起をうながすふたりです。(パーマさんとフワフワさんがクネクネさんを元気づけます)
絵本を読みながら、読んでいるほうもクネクネさんを応援します。
がんばれーー クネクネさん!
いいぞーー クネクネさん!
おお、去年のサッカーワールドカップでなんども聞いた言葉が出てきました。『ブラボー! ブラボー!』この絵本に、あのときの選手の発声の起源があったのかも。
毎日のなにげない暮らしのなかに、幸せがある。
そんな人生の機微(きび)を表現した絵本でした。
機微(きび):表面には表れないちいさな心配り。
2013年(平成25年)発行の絵本でした。
なんだろう。表紙にあるこの動物は。
『クネクネさん』とある。
夢を食べる空想の動物『獏(ばく)』のようだ。
現実にいる生き物としては『マレーバク』のようだ。たしか名古屋東山動物園にいました。
ぶあつい表紙をめくると「なんでこんなにたくさんの、ももひきの絵があるのか」(のちに、ダンスを踊るときにはくタイツだとわかりました)
マラカス:楽器。振って音を出す。マラカスにふれる機会はそれほどありません。カラオケぐらいでしょう。キューバ音楽でよく使われる。
お仲間集合です。三人体制です。敬老会みたいです。
クネクネさん
パーマさん:あたまの上にボールみたいな髪の毛がのっています。
フワフワさん:ライオンみたいなたてがみが、顔を囲んでいます。
クネクネさん:3ページでは、バクではなくて、犬に見えます。
こどもを喜ばせる絵本です。
リズム絵本です。
読み聞かせは、歌に変わりそうです。
絵はふざけているように見えるのですが、まじめな絵本です。
8ページまできて、これまでは、三人とも男だと思って読んでいましたが、どうもみなさん女性のようです。婦人会のようです。絵本で、このようなパターンの描き方は初めての体験です。新世界です。
おばちゃんor(オア。または)おばあちゃんの世界。
こんな三人が現実にもいそうです。
たとえば、フラダンスチーム。
むかしはやったマンボなんとかという曲を思い出します。マンボ:南米ラテン音楽。
調べました。『マンボNo.5(ナンバーファイブ)』チャチャチャです。マラカスを振っている人がいます。
絵本の中は、幼稚園の発表会のようでもあります。
フワフワさんの舞台はしっこ乗りがおもしろい。
発表会の途中ですが、昼食タイム(時間)です。
食事は大切です。
談笑タイムです。
身内の演奏、身内の観覧なので、自画自賛の雰囲気はあります。
食後の縁起で、クネクネさんは失敗してしまいました。
でも、パーマさんとフワフワさんは、食後のためかいねむりをしていて、クネクネさんの失敗に気がつきません。
起承転結のストーリーの流れのうちの『転』の部分でした。
話は急に理屈っぽくなりました。
失敗はつきもの再起をうながすふたりです。(パーマさんとフワフワさんがクネクネさんを元気づけます)
絵本を読みながら、読んでいるほうもクネクネさんを応援します。
がんばれーー クネクネさん!
いいぞーー クネクネさん!
おお、去年のサッカーワールドカップでなんども聞いた言葉が出てきました。『ブラボー! ブラボー!』この絵本に、あのときの選手の発声の起源があったのかも。
毎日のなにげない暮らしのなかに、幸せがある。
そんな人生の機微(きび)を表現した絵本でした。
機微(きび):表面には表れないちいさな心配り。
2013年(平成25年)発行の絵本でした。
2023年03月08日
これでいいのだ 赤塚不二夫自叙伝
これでいいのだ 赤塚不二夫自叙伝 文春文庫
以前、著者の娘さんの本を読んだことがあります。『ゲゲゲの娘、レレレの娘、ラララの娘 水木悦子 赤塚りえ子 手塚るみ子 文藝春秋』それぞれ有名な父親をもつ娘さんたちの対談集でした。おもしろかった。水木しげるさん、赤塚不二夫さん、手塚治虫さんたちの娘さんたちです。有名漫画家の娘さんたちです。
父親が亡くなったあと、娘たちは、父親の作品をむさぼり読み、亡き父親が残したメッセージを読み取ろうとします。また、作品中に自分をモデルにしたキャラクターを探そうともします。父と娘の関係とか愛情にまで言及(げんきゅう)が至ります。
有名な漫画家さんの家族は派手な生活を送っているものとの誤解がありました。中小企業、家内工業のようなもので、地味で、かつ身近に倒産の危機があるものでした。また、父親3人は仕事に対してとても真剣で、天才といえども朝から晩まで、あるいは夜も寝ずに徹夜で何日もマンガの構想を練り、描(か)いていたことがわかります。
さてこちらの本を読み始めます。
著者は昭和10年生まれ(1935年)で、わたしの親の世代です。
満州で生れて、第二次世界大戦後、帰国されています。たいへんなご苦労があった戦争体験者の世代です。ご本人は平成20年(2008年)8月2日に72歳でご逝去されています。
この本は、1993年(平成5年)に単行本で発行されています。
構成は①戦中編満州1 ②満州2 このあたりまでが、10歳になるまでのころでしょう。
続いて③戦後編1大和郡山(奈良県でしょう)と新潟県でのこと ④東京でのこと
とりあえずすべてのページを全部ゆっくりとめくってみました。
文章がしっかり書き込んであります。
全部で211ページあります。
思い出話でもあります。50代後半のときに原稿をまとめられたのでしょう。66歳ぐらいのときに脳出血を起こされています。手術をされて、以降、創作活動は休止されています。(意識不明のまま6年間ぐらいが経過して、72歳でご逝去されています。その6年間の間に、妻と前妻が亡くなっていますが、本人はご存じありません)
『戦中編(満州1)』
現在の北京市(ぺきんし)北東部にある古北口(こほくこう)生まれ。本籍は新潟市だそうです。
北京は行ったことがあるので、地図を見てイメージしてみました。古北口は、ずいぶん山のほうにあるところでした。万里の長城があるところのようです。自分は八達嶺というところの長城を見学しました。(はったつれい。登るのがたいへんで、わたしはインチキをして、一方通行を逆行したら、中国人男性警備員に警棒で脳天をコーンとたたかれました。「おそるべし中国」と、恐怖におののきました)
著者の父親が、特務警察官です。日本と対立する中国のゲリラ対策対応が業務のようです。ずいぶん危険そうな職業です。髭(ひげ)を生やして(はやして)いた。怖い人というイメージだった。
読んでいて、子育てがにがてな男親だったのだろうと思いました。
父親の息子に対する夢は警察官になってくれることでした。厳しい反面酒席では下ネタの歌ばかりを歌っていた。(日本人男性の原点を見るようです)
本人の日記のような記録が残っている。『星霜の記憶』星霜:せいそう。年月、歳月、一年。昭和8年12月5日結婚。父26歳。母24歳だった。ああ、だから、作品天才バカボンに警官が登場するわけか。
著者は、産婆さん代わりの近所の奥さんにとりあげられたそうです。(出産時のこと)
わたしも自宅で産婆さんの手によって産まれました。半世紀以上前は、それがふつうの出産でした。
自分がいて、その下に、妹、弟、弟とお生まれになっています。昔の女性はたくさんこどもを産みました。
内容は、きちんとした記録文を読むようです。
(つづく)
父は新潟生まれ農家の七人きょうだいの末っ子。だから名前が『藤七(とうしち)』。吃音(きつおん)があった。
軍隊に入隊して憲兵になったが、満州に渡り警察官になった。
パールー:中国共産党軍。八路軍(はちろぐん)
戦時中のことの記述は壮絶です。
平和な現在をのんきに過ごしている今の日本人にとっては、記述内容は身が引き締まる思いがします。生きるか死ぬか、殺されるか、殺すかの世界です。法令は命を守ってくれないこともあります。
中国人に対して、残虐非道(ざんぎゃくひどう)なことをすれば命を奪われます。
財産をひとりじめしない。富(とみ)をひとりじめすると命を失います。ワケワケ(分け分け)することが平穏と安全につながります。
父親の人間観を表す言葉があります。『敵も味方も同じ人間じゃないか』父親は中国人の村人に物資を分け与え続けます。
天才バカボンのモデルはお父さんだそうです。息子からみて父親は『これでいいのだ』という生き方をめざした人だったそうです。
ペチカ:ロシアの暖房器具。暖炉(だんろ)兼オーブン。
記述内容は、まあ、昭和時代です。他人のこどもでも悪さをすれば、叩きます(たたきます)。体罰OKの時代です。
滝沢家(たきざわけ):満州大連小学生当時の親戚。著者は身の安全のために預けられた。
生きていくための心意気があります。
読みながら思うこととして、一見(いっけん)ばかなことを描いて(あるいは書いて)いると思われている人は、実は知的な人なのです。
日本では想像できない中国大陸の変化が激しい自然があります。(ふだん水のない川が豪雨によって短時間で大河に変化する)
昭和20年8月15日が終戦記念日、満州に居る著者は小学4年生です。
これから生きるか死ぬか、中国に置き去りになって中国残留孤児になるかの緊張の中で、日本への帰国を目指します。
敗戦国の国民の厳しい生活が描かれています。戦争に負けた国の国民の悲劇があります。中国人に対して、これまでの上下関係の立場が逆転します。
当然、日本人が中国人に追いたてられます。それでも、著者の家族を救おうとしてくれる中国人がいます。父親がこれまで中国の人たちを大事にしてきたからです。
父親はシベリアへ送られます。
翌年昭和21年6月、母子5人で満州から日本への帰国にチャレンジです。かあちゃんと小学5年生の長男の著者と長女、長女の背中にはまだ生後5か月のあかちゃんの次女、そして、4才の次男がいます。こどもたちは、はぐれたら中国残留孤児になってしまいます。こどもを売ってくれという中国人たちがいます。おそろしい。
帰国の経過の悲惨さとして、なかにし礼さんの作品『赤い月』があります。みなさん、ほんとうにご苦労されました。
(たまたまですが、この部分を読んだ翌週に、福岡県飯塚市にある歴史資料館で、満州から帰還する家族を描いた大型の油絵を見ました。この物語の内容に合致する情景が描かれていました(えがかれていました)油絵のタイトルは『満州から引き上げる母子』でした)
ふと読んでいると『東洋タイヤの社宅』とういう安全な場所に家族が移動できたとあります(中国人のおかげです)
これもまた、たまたま偶然なのですが、現在自分が保有している株のなかに『TOYO TIRE(トーヨータイヤ)』があります。ちょっと嬉しくなりました。同じ会社ではないのかもしれませんが、なんとなく親しみを覚えました。
戦後満州に進駐したソ連兵の残虐さが表現されています。ウクライナに侵攻したロシア兵と同じです。現地の人たちに暴力をふるいます。許せません。
話は飛びますが、先日、電子書籍に目を通していたら、ベトナム人は日本人以上に優秀な頭脳と体力をもっていると紹介された文章を読みました。現地に滞在したことがある日本人の方の記憶でした。
案外日本人は島国意識で、自分たちが一番だと誤解しているのかもしれません。
ベトナム人は、知恵と体力で、米国の軍事力に負けなかった(ベトナム戦争)と書いてありました。
今年読んで良かった一冊になりました。
漫画家の方なので、ギャグが飛びかうのかと思っていたら、まじめな一冊です。
奉天(ほうてん現在の瀋陽市(しんようし。北朝鮮の北西に位置する)から葫蘆島(ころとう。北京の東に位置する。日本人帰国者の収容所があった。ここで日本に帰国するための乗船順番を待った。ここには、港がある)
戦争で人間の心が崩れていく様子が書いてあります。ひどい。
長崎県佐世保港へ到着しました。
先日番組『東野&岡村の旅猿』で、平成ノブシコブシの吉村崇さんをゲストに迎えて、岡村隆史さんが船を操縦して佐世保港の軍艦を見学していたシーンがありました。
佐世保港は、軍国主義時代の歴史の地です。昭和時代初期は、外交手段が戦争でした。
(つづく)
65ページから戦後編①(大和郡山・新潟)です。昭和21年6月15日が長崎佐世保港への上陸でした。
母親の実家がある現在の奈良県大和郡山市内で暮らす赤塚一家です。著者は小学5年生です。のちのちの作品となる『おそ松くん』の下地がつくられる生活内容です。(チビ太のモデルとなる人物が近所にいます)
母方祖母、かあちゃんの妹2人、弟1人、そこへ赤塚家の母子5人が入りますが、いちばん下のお子さん、まだ生後6か月のあかちゃん女児は亡くなってしまいました。
家は、狭い家です。
『枇杷(びわ)』の話が出ます。おいしい果実です。わたしも農家だった父方祖父母の熊本県の家にいたころにたくさん枇杷を食べました。畑にたくさん枇杷の実がなっていました。
大きくなって、スーパーマーケットで枇杷が売られているところを見てびっくりしました。
枇杷が、買って食べるものだとは知りませんでした。その値段の高さに二度びっくりしました。
たぶん農家のこどもは、枇杷以外の作物でも、似たような体験をしたことがあると思います。
読みやすくなりました。これまでは、戦時中の暗さがありました。
内容が明るくなりました。
奥村:ボスの小学生男児。赤塚不二夫氏が子分。
ハチに刺された患部へおしっこをかけて、おしっこを薬代わりにする。(わたしも小学二年生の時に同様にやってもらったことがあります)
荒木又右衛門の家があった:江戸時代初期の武士。大和郡山藩(やまとこおりやまはん)の剣術師範だった。新陰流の剣豪。
こどもたちの危険な遊びが連続する戦後、昭和23年ころのことです。されど、自分も思い出しみると、昭和30年代から40年代にかけても、同じような危なっかしい(あぶなっかしい)遊びを野山でしていました。今思い出すと、よく事故にならなかったなと、ぞっとすることもあります。
読んでいると『こどものころの貧乏体験』は、将来への財産になることがわかります。
そして本を読むことが大事です。
著者は、エジソンや野口英世の伝記を読んで『境遇がぼくと似ている。ぼくも貧乏だから、これは絶対うまくいくにちがいない……』と思ったそうです。
そう言いつつ、ボスの命令でこどもたちが、警察署にある本棚から本を盗んでいくのがおもしろおかしかった。
本のあちこちに『郡山警察署(こおりやまけいさつしょ)』のゴム印が押してあったそうです。(このときの本との出会いが、著者の漫画家志望と実現に生かされます)
著者の小学生のころの思い出が語られ続けます。
キャラクター『チビ太』のモデルが登場します。モデルさんは、まだ3歳です。こどものグループは、3歳から小学6年生まで、一団となって遊ぶのです。
このころは、親も子も教師も兄弟姉妹も日本全国体罰の時代でした。軍事教育の影響でしょう。暴力の時代をくぐりぬけていくチビ太の存在があります。
今だったら警察沙汰(けいさつざた)ですが、当時はふつうの日常でした。こどもは、親にたたかれ、先生にたたかれ、同級生や兄弟姉妹にたたかれることが多かった。
今と比較して、人間の生存能力が高かった。なにくそという気持ちが強かった。
恋の思い出があります。
本を読むことで、著者の体験を読者である自分も体験することができます。本の魅力です。
差別があります。『満州』から来た人間に対する差別です。『よそ者』です。
著者は、差別されたくやしさを晴らすために漫画家を目指します。
人間をランク付けする人がいます。
生まれや育ちでランクをつける人がいます。
もっているお金の多さでランクをつける人がいます。
学力でランクをつける人がいます。
いろいろあります。
寝小便の話が出ます。
あの当時、寝小便をするこどもは多かった記憶です。
トイレ事情が要因のひとつでもあります。
トイレは屋外で別棟だったり、共同便所だったりしました。夜はそこまで歩いて行かないと用を足せないのです。
母親は映画がすごく好きだったそうです。
遺伝なのでしょう。ストーリーづくりが必要な漫画家の素養を母親から引き継いでいる著者です。
母親はこどものころの事故で右目が義眼だったそうです。
小学6年生の著者と母親は、父親の実家がある新潟へ奈良県内から米の買い出しに行きます。過酷な旅程です。父親はシベリアに抑留されています。
その時代、その時代の時代背景の中で、人間がせいいっぱい生きています。
テヅカジチュウ:好きな漫画家の名前をたずねられて、小学六年生の著者は、漫画家の名前を正確に読むことがまだできませんでした。「手塚治虫(てづか・おさむ)氏」です。(著者は成長して、その後、手塚治虫氏に出会います)
著者は母方祖母からいろいろなことを教わります。年寄りと孫の良好な関係があります。
松根油(しょうこんゆ):松の切株からとる油。
テグス:釣り糸
たたらをふませる:よろめいた勢いで足踏みをさせる。
昭和23年9月、こども3人は父方実家の親せきがある新潟県へ移ります。
母親は奈良県の自分の実家に戻り、父親はシベリア抑留中です。
著者は、満州で世話になった滝沢家へ世話になりに行き、妹と弟は父の実家へ移ります。
昭和24年12月2日、シベリア抑留生活を終えた著者の父親が福井県舞鶴港に帰還しました。ソ連のナホトカ港から船で、3日間かかったそうです。港に着くと、ハガキ5枚と千円が支給されたそうです。そのころの連絡手段は郵便が基本だったのでしょう。
夫婦・親子の対面は4年ぶりです。12月6日に夫婦が再会しました。
昭和24年に、小学4年生だった著者は、中学2年生に成長しています。
昭和25年1月8日、父と妹と弟は、新潟県のお寺で生活を始めます。(お寺の一室を住居としてあてがわれた)。父親の仕事先は農協です。1月20日ごろ、滝沢家から著者が合流します。おやじさんは作品『天才バカボン』のパパのモデルです。『これでいいのだ』のパパです。
おやじさんの教えです。『生活が貧しいからといって、心まで貧しくなっては絶対いけないぞ!』(貧困であることを、犯罪の言い訳にしてはいけないのです)
『一週間、塩をなめてでも頑張るんだ。』おやじさんの言葉です。
あとのページに、著者は、お金がなかったから修学旅行に行けなかったとあります。
漫画雑誌『冒険王』(わたしもこどものとき読んでいました)それから『漫画少年』という雑誌があったそうです。
こどものころは、「いとこ」とつるんで遊ぶことが多い。
漫画雑誌が人生を支えてくれる。
手塚治虫作品のSF(サイエンス・フィクション)に没頭する。
昭和26年ころから著者の漫画投稿が始まります。
新潟人と関西人の比較があります。両者は対照的です。
新潟人は保守的です。
関西人は開けっぴろげです。
新潟の若い人は、東京に行って、東京人になりたい。
嵐勘十郎:映画時代劇スター。1903年(明治36年)-1980年(昭和55年)。77歳没。作品として『鞍馬天狗シリーズ』ほか。
大河内伝次郎:映画時代劇スター。1898年(明治31年)-1962年(昭和37年)。64歳没。作品として『丹下左膳(たんげ・さぜん)シリーズ』ほか。
昭和25年8月24日から奈良県の実家にいた母親も新潟に来て、ようやく親子五人の生活が始まります。
父親の言葉がおもしろい。
『赤塚藤七は男でござる』
『行商』の記事があります。
父親と著者ふたりで、砂糖、煮干し、お菓子などを売り歩きます。
私も小学校一年生ぐらいの頃、父方祖母について、行商をしていたことがあります。祖母はリヤカーを引きながら、点在する集落を回っていました。
著者親子は、もうからないからという理由で、昭和26年に行商をやめています。
著者は中学を卒業すると、新潟市の看板屋に就職します。高校には行けません。経済的に無理なのです。だから著者の学歴は中卒です。
著者に映画館での洋画との出会いがあります。作品はジョン・フォードの『駅馬車』でした。強烈な印象を受けたそうです。
昭和29年9月、著者は、東京へ出ます。著者は19歳でした。著者は昭和10年(1935年)生まれです。
(つづく)
戦後編②(東京)
著者は、江戸川区小松川というところにある化学工場で働きます。エビス工業です。そういえば、路線バスの旅の蛭子能収(えびす・よしかず)さんも、看板屋で働いて、漫画家を目指していたことがありました。
著者の労働時間は、朝6時から夜8時までです。過酷です。
休みの日は、朝10時から最終回まで同じ映画を何度も見続けます。
鑑賞した作品として『聖衣(せいい)』『帰らざる河(かえらざるかわ)』
著者の20歳前後の暮らしぶりが、自分自身とも重なります。休日はひとりで繁華街にある映画館に行っていました。とくに夏は、職場の独身寮の部屋の中が暑かったので、映画館の冷房を利用して暑さをしのいでいました。
記述内容は、昭和26年あたりから昭和27年あたりです。
著者の漫画制作にかける努力はすさまじい。時間をかけています。
以前読んだ本『父「永六輔」を看取る(みとる) 永千絵 宝島社』を思い出します。永六輔さんは、永六輔というキャラクターを演じていたという娘さんの手記でした。
全国のラジオ愛聴者ファンが知る永六輔氏と生身の父親永孝雄氏との間にはかけ離れている距離感がありました。
ファンにとっての素敵な人は、彼がつくった人物像です。そんなことが娘さんの視点で書かれていました。
そういえば、俳優である高倉健さんも渥美清さんも、役を演じる時と素の自分(すのじぶん)の時は別人だったというお話も聞いたことがあります。
中卒の20歳ぐらいの赤塚不二夫さんが、2歳年下高校生の石森章太郎(いしのもりしょうたろう)さんに気を使います。中学卒の赤塚さんは、高校生である石森正太郎さんの書く難しい漢字入りの文章に驚嘆されています。
昭和30年8月に長谷邦夫(ながたにくにお)さんを含む3人は、手塚治虫先生に会っています。
先生から、漫画だけじゃだめだ。ほかのことも体験しなさいというアドバイスをもらっています。
ギャグ漫画:なにもないところに、なにかをつくりだす技術がいる。
石森章太郎(いしのもり・しょうたろう):本の中の記述では、漫画づくりの天才です。1938年(昭和13年)-1998年(平成10年)60歳没。
漫画家志望者の若者たちが集まっていた『トキワ荘』のお話が出ます。
昭和32年、著者の母親もトキワ荘に来ます。(著者には、マザーコンプレックス(母親依存)があったことがあとあとのページに書いてありました)
著者のかあちゃんは、トキワ荘のみんなの食事をつくり始めます。藤子不二雄さんのふたりのお母さんもいます。石森章太郎さんのお姉さんもいます。他人同士が家族のように固まって暮らしています。なんだか、すごい。なんだか、天才バカボンとドラえもんとサイボーグ009が同居しているような錯覚におちいります。
モッコ担ぎ(かつぎ):土木工事の時に棒でかつぐ網状の入れ物。
出版社との連絡方法が『電報』です。
電話が普及していなかった時代です。
昭和33年6月、家を建てるために借りた借金の返済に苦慮している父親がいます。
著者26歳、妻21歳で結婚です。漫画制作のアシスタントの女性です。相手に好かれて押し切られての結婚です。
そして作品『おそ松くん』の誕生です。
『シェー』『ダヨーン』『ホエホエ』『……デヤンス』の誕生です。
戦後の日本人の暮らしぶりがわかる内容です。
今年読んで良かった一冊です。
昭和36年、新潟から父親が上京してきました。
経理を父親に頼んだけれど、事務処理が間に合わなくなって、人を雇ったら、2億円を使い込まれて、いろいろあります。この当時の2億円は、ものすごい金額です。
父親が結核になって、父親が亡くなったときのためにとお墓を買って、それなのに、プロパンガスの事故で、59歳だったお母さんを、お父さんよりも先に亡くされています。
福岡県博多から出て来たタモリさんとの出会いがあります。昭和49年か50年だそうです。1年間同居生活をしたそうです。
著者のお父さんは、昭和46年6月から、NHK受信料の集金人を始めておられます。昭和54年春にリンパ線癌(がん)が見つかって、同年5月17日に71歳でお亡くなりになっています。
人生は、いいことばっかりではない。山あり谷ありです。
著者は後半部で、戦争反対を主張されています。
親子は協力することも訴えておられます。
巻末にある「解説にかえて 武井俊樹」の部分について
『ダメオヤジ 古谷三敏』(ああ、そういう作品がありました)
告別式でのタモリさんの弔辞(ちょうじ)が『私もあなたの数多くの作品の一つです』
赤塚不二夫さんの言葉として『おやじとかあちゃんに感謝のココロを捧げるのだ』
いい本でした。
以前、著者の娘さんの本を読んだことがあります。『ゲゲゲの娘、レレレの娘、ラララの娘 水木悦子 赤塚りえ子 手塚るみ子 文藝春秋』それぞれ有名な父親をもつ娘さんたちの対談集でした。おもしろかった。水木しげるさん、赤塚不二夫さん、手塚治虫さんたちの娘さんたちです。有名漫画家の娘さんたちです。
父親が亡くなったあと、娘たちは、父親の作品をむさぼり読み、亡き父親が残したメッセージを読み取ろうとします。また、作品中に自分をモデルにしたキャラクターを探そうともします。父と娘の関係とか愛情にまで言及(げんきゅう)が至ります。
有名な漫画家さんの家族は派手な生活を送っているものとの誤解がありました。中小企業、家内工業のようなもので、地味で、かつ身近に倒産の危機があるものでした。また、父親3人は仕事に対してとても真剣で、天才といえども朝から晩まで、あるいは夜も寝ずに徹夜で何日もマンガの構想を練り、描(か)いていたことがわかります。
さてこちらの本を読み始めます。
著者は昭和10年生まれ(1935年)で、わたしの親の世代です。
満州で生れて、第二次世界大戦後、帰国されています。たいへんなご苦労があった戦争体験者の世代です。ご本人は平成20年(2008年)8月2日に72歳でご逝去されています。
この本は、1993年(平成5年)に単行本で発行されています。
構成は①戦中編満州1 ②満州2 このあたりまでが、10歳になるまでのころでしょう。
続いて③戦後編1大和郡山(奈良県でしょう)と新潟県でのこと ④東京でのこと
とりあえずすべてのページを全部ゆっくりとめくってみました。
文章がしっかり書き込んであります。
全部で211ページあります。
思い出話でもあります。50代後半のときに原稿をまとめられたのでしょう。66歳ぐらいのときに脳出血を起こされています。手術をされて、以降、創作活動は休止されています。(意識不明のまま6年間ぐらいが経過して、72歳でご逝去されています。その6年間の間に、妻と前妻が亡くなっていますが、本人はご存じありません)
『戦中編(満州1)』
現在の北京市(ぺきんし)北東部にある古北口(こほくこう)生まれ。本籍は新潟市だそうです。
北京は行ったことがあるので、地図を見てイメージしてみました。古北口は、ずいぶん山のほうにあるところでした。万里の長城があるところのようです。自分は八達嶺というところの長城を見学しました。(はったつれい。登るのがたいへんで、わたしはインチキをして、一方通行を逆行したら、中国人男性警備員に警棒で脳天をコーンとたたかれました。「おそるべし中国」と、恐怖におののきました)
著者の父親が、特務警察官です。日本と対立する中国のゲリラ対策対応が業務のようです。ずいぶん危険そうな職業です。髭(ひげ)を生やして(はやして)いた。怖い人というイメージだった。
読んでいて、子育てがにがてな男親だったのだろうと思いました。
父親の息子に対する夢は警察官になってくれることでした。厳しい反面酒席では下ネタの歌ばかりを歌っていた。(日本人男性の原点を見るようです)
本人の日記のような記録が残っている。『星霜の記憶』星霜:せいそう。年月、歳月、一年。昭和8年12月5日結婚。父26歳。母24歳だった。ああ、だから、作品天才バカボンに警官が登場するわけか。
著者は、産婆さん代わりの近所の奥さんにとりあげられたそうです。(出産時のこと)
わたしも自宅で産婆さんの手によって産まれました。半世紀以上前は、それがふつうの出産でした。
自分がいて、その下に、妹、弟、弟とお生まれになっています。昔の女性はたくさんこどもを産みました。
内容は、きちんとした記録文を読むようです。
(つづく)
父は新潟生まれ農家の七人きょうだいの末っ子。だから名前が『藤七(とうしち)』。吃音(きつおん)があった。
軍隊に入隊して憲兵になったが、満州に渡り警察官になった。
パールー:中国共産党軍。八路軍(はちろぐん)
戦時中のことの記述は壮絶です。
平和な現在をのんきに過ごしている今の日本人にとっては、記述内容は身が引き締まる思いがします。生きるか死ぬか、殺されるか、殺すかの世界です。法令は命を守ってくれないこともあります。
中国人に対して、残虐非道(ざんぎゃくひどう)なことをすれば命を奪われます。
財産をひとりじめしない。富(とみ)をひとりじめすると命を失います。ワケワケ(分け分け)することが平穏と安全につながります。
父親の人間観を表す言葉があります。『敵も味方も同じ人間じゃないか』父親は中国人の村人に物資を分け与え続けます。
天才バカボンのモデルはお父さんだそうです。息子からみて父親は『これでいいのだ』という生き方をめざした人だったそうです。
ペチカ:ロシアの暖房器具。暖炉(だんろ)兼オーブン。
記述内容は、まあ、昭和時代です。他人のこどもでも悪さをすれば、叩きます(たたきます)。体罰OKの時代です。
滝沢家(たきざわけ):満州大連小学生当時の親戚。著者は身の安全のために預けられた。
生きていくための心意気があります。
読みながら思うこととして、一見(いっけん)ばかなことを描いて(あるいは書いて)いると思われている人は、実は知的な人なのです。
日本では想像できない中国大陸の変化が激しい自然があります。(ふだん水のない川が豪雨によって短時間で大河に変化する)
昭和20年8月15日が終戦記念日、満州に居る著者は小学4年生です。
これから生きるか死ぬか、中国に置き去りになって中国残留孤児になるかの緊張の中で、日本への帰国を目指します。
敗戦国の国民の厳しい生活が描かれています。戦争に負けた国の国民の悲劇があります。中国人に対して、これまでの上下関係の立場が逆転します。
当然、日本人が中国人に追いたてられます。それでも、著者の家族を救おうとしてくれる中国人がいます。父親がこれまで中国の人たちを大事にしてきたからです。
父親はシベリアへ送られます。
翌年昭和21年6月、母子5人で満州から日本への帰国にチャレンジです。かあちゃんと小学5年生の長男の著者と長女、長女の背中にはまだ生後5か月のあかちゃんの次女、そして、4才の次男がいます。こどもたちは、はぐれたら中国残留孤児になってしまいます。こどもを売ってくれという中国人たちがいます。おそろしい。
帰国の経過の悲惨さとして、なかにし礼さんの作品『赤い月』があります。みなさん、ほんとうにご苦労されました。
(たまたまですが、この部分を読んだ翌週に、福岡県飯塚市にある歴史資料館で、満州から帰還する家族を描いた大型の油絵を見ました。この物語の内容に合致する情景が描かれていました(えがかれていました)油絵のタイトルは『満州から引き上げる母子』でした)
ふと読んでいると『東洋タイヤの社宅』とういう安全な場所に家族が移動できたとあります(中国人のおかげです)
これもまた、たまたま偶然なのですが、現在自分が保有している株のなかに『TOYO TIRE(トーヨータイヤ)』があります。ちょっと嬉しくなりました。同じ会社ではないのかもしれませんが、なんとなく親しみを覚えました。
戦後満州に進駐したソ連兵の残虐さが表現されています。ウクライナに侵攻したロシア兵と同じです。現地の人たちに暴力をふるいます。許せません。
話は飛びますが、先日、電子書籍に目を通していたら、ベトナム人は日本人以上に優秀な頭脳と体力をもっていると紹介された文章を読みました。現地に滞在したことがある日本人の方の記憶でした。
案外日本人は島国意識で、自分たちが一番だと誤解しているのかもしれません。
ベトナム人は、知恵と体力で、米国の軍事力に負けなかった(ベトナム戦争)と書いてありました。
今年読んで良かった一冊になりました。
漫画家の方なので、ギャグが飛びかうのかと思っていたら、まじめな一冊です。
奉天(ほうてん現在の瀋陽市(しんようし。北朝鮮の北西に位置する)から葫蘆島(ころとう。北京の東に位置する。日本人帰国者の収容所があった。ここで日本に帰国するための乗船順番を待った。ここには、港がある)
戦争で人間の心が崩れていく様子が書いてあります。ひどい。
長崎県佐世保港へ到着しました。
先日番組『東野&岡村の旅猿』で、平成ノブシコブシの吉村崇さんをゲストに迎えて、岡村隆史さんが船を操縦して佐世保港の軍艦を見学していたシーンがありました。
佐世保港は、軍国主義時代の歴史の地です。昭和時代初期は、外交手段が戦争でした。
(つづく)
65ページから戦後編①(大和郡山・新潟)です。昭和21年6月15日が長崎佐世保港への上陸でした。
母親の実家がある現在の奈良県大和郡山市内で暮らす赤塚一家です。著者は小学5年生です。のちのちの作品となる『おそ松くん』の下地がつくられる生活内容です。(チビ太のモデルとなる人物が近所にいます)
母方祖母、かあちゃんの妹2人、弟1人、そこへ赤塚家の母子5人が入りますが、いちばん下のお子さん、まだ生後6か月のあかちゃん女児は亡くなってしまいました。
家は、狭い家です。
『枇杷(びわ)』の話が出ます。おいしい果実です。わたしも農家だった父方祖父母の熊本県の家にいたころにたくさん枇杷を食べました。畑にたくさん枇杷の実がなっていました。
大きくなって、スーパーマーケットで枇杷が売られているところを見てびっくりしました。
枇杷が、買って食べるものだとは知りませんでした。その値段の高さに二度びっくりしました。
たぶん農家のこどもは、枇杷以外の作物でも、似たような体験をしたことがあると思います。
読みやすくなりました。これまでは、戦時中の暗さがありました。
内容が明るくなりました。
奥村:ボスの小学生男児。赤塚不二夫氏が子分。
ハチに刺された患部へおしっこをかけて、おしっこを薬代わりにする。(わたしも小学二年生の時に同様にやってもらったことがあります)
荒木又右衛門の家があった:江戸時代初期の武士。大和郡山藩(やまとこおりやまはん)の剣術師範だった。新陰流の剣豪。
こどもたちの危険な遊びが連続する戦後、昭和23年ころのことです。されど、自分も思い出しみると、昭和30年代から40年代にかけても、同じような危なっかしい(あぶなっかしい)遊びを野山でしていました。今思い出すと、よく事故にならなかったなと、ぞっとすることもあります。
読んでいると『こどものころの貧乏体験』は、将来への財産になることがわかります。
そして本を読むことが大事です。
著者は、エジソンや野口英世の伝記を読んで『境遇がぼくと似ている。ぼくも貧乏だから、これは絶対うまくいくにちがいない……』と思ったそうです。
そう言いつつ、ボスの命令でこどもたちが、警察署にある本棚から本を盗んでいくのがおもしろおかしかった。
本のあちこちに『郡山警察署(こおりやまけいさつしょ)』のゴム印が押してあったそうです。(このときの本との出会いが、著者の漫画家志望と実現に生かされます)
著者の小学生のころの思い出が語られ続けます。
キャラクター『チビ太』のモデルが登場します。モデルさんは、まだ3歳です。こどものグループは、3歳から小学6年生まで、一団となって遊ぶのです。
このころは、親も子も教師も兄弟姉妹も日本全国体罰の時代でした。軍事教育の影響でしょう。暴力の時代をくぐりぬけていくチビ太の存在があります。
今だったら警察沙汰(けいさつざた)ですが、当時はふつうの日常でした。こどもは、親にたたかれ、先生にたたかれ、同級生や兄弟姉妹にたたかれることが多かった。
今と比較して、人間の生存能力が高かった。なにくそという気持ちが強かった。
恋の思い出があります。
本を読むことで、著者の体験を読者である自分も体験することができます。本の魅力です。
差別があります。『満州』から来た人間に対する差別です。『よそ者』です。
著者は、差別されたくやしさを晴らすために漫画家を目指します。
人間をランク付けする人がいます。
生まれや育ちでランクをつける人がいます。
もっているお金の多さでランクをつける人がいます。
学力でランクをつける人がいます。
いろいろあります。
寝小便の話が出ます。
あの当時、寝小便をするこどもは多かった記憶です。
トイレ事情が要因のひとつでもあります。
トイレは屋外で別棟だったり、共同便所だったりしました。夜はそこまで歩いて行かないと用を足せないのです。
母親は映画がすごく好きだったそうです。
遺伝なのでしょう。ストーリーづくりが必要な漫画家の素養を母親から引き継いでいる著者です。
母親はこどものころの事故で右目が義眼だったそうです。
小学6年生の著者と母親は、父親の実家がある新潟へ奈良県内から米の買い出しに行きます。過酷な旅程です。父親はシベリアに抑留されています。
その時代、その時代の時代背景の中で、人間がせいいっぱい生きています。
テヅカジチュウ:好きな漫画家の名前をたずねられて、小学六年生の著者は、漫画家の名前を正確に読むことがまだできませんでした。「手塚治虫(てづか・おさむ)氏」です。(著者は成長して、その後、手塚治虫氏に出会います)
著者は母方祖母からいろいろなことを教わります。年寄りと孫の良好な関係があります。
松根油(しょうこんゆ):松の切株からとる油。
テグス:釣り糸
たたらをふませる:よろめいた勢いで足踏みをさせる。
昭和23年9月、こども3人は父方実家の親せきがある新潟県へ移ります。
母親は奈良県の自分の実家に戻り、父親はシベリア抑留中です。
著者は、満州で世話になった滝沢家へ世話になりに行き、妹と弟は父の実家へ移ります。
昭和24年12月2日、シベリア抑留生活を終えた著者の父親が福井県舞鶴港に帰還しました。ソ連のナホトカ港から船で、3日間かかったそうです。港に着くと、ハガキ5枚と千円が支給されたそうです。そのころの連絡手段は郵便が基本だったのでしょう。
夫婦・親子の対面は4年ぶりです。12月6日に夫婦が再会しました。
昭和24年に、小学4年生だった著者は、中学2年生に成長しています。
昭和25年1月8日、父と妹と弟は、新潟県のお寺で生活を始めます。(お寺の一室を住居としてあてがわれた)。父親の仕事先は農協です。1月20日ごろ、滝沢家から著者が合流します。おやじさんは作品『天才バカボン』のパパのモデルです。『これでいいのだ』のパパです。
おやじさんの教えです。『生活が貧しいからといって、心まで貧しくなっては絶対いけないぞ!』(貧困であることを、犯罪の言い訳にしてはいけないのです)
『一週間、塩をなめてでも頑張るんだ。』おやじさんの言葉です。
あとのページに、著者は、お金がなかったから修学旅行に行けなかったとあります。
漫画雑誌『冒険王』(わたしもこどものとき読んでいました)それから『漫画少年』という雑誌があったそうです。
こどものころは、「いとこ」とつるんで遊ぶことが多い。
漫画雑誌が人生を支えてくれる。
手塚治虫作品のSF(サイエンス・フィクション)に没頭する。
昭和26年ころから著者の漫画投稿が始まります。
新潟人と関西人の比較があります。両者は対照的です。
新潟人は保守的です。
関西人は開けっぴろげです。
新潟の若い人は、東京に行って、東京人になりたい。
嵐勘十郎:映画時代劇スター。1903年(明治36年)-1980年(昭和55年)。77歳没。作品として『鞍馬天狗シリーズ』ほか。
大河内伝次郎:映画時代劇スター。1898年(明治31年)-1962年(昭和37年)。64歳没。作品として『丹下左膳(たんげ・さぜん)シリーズ』ほか。
昭和25年8月24日から奈良県の実家にいた母親も新潟に来て、ようやく親子五人の生活が始まります。
父親の言葉がおもしろい。
『赤塚藤七は男でござる』
『行商』の記事があります。
父親と著者ふたりで、砂糖、煮干し、お菓子などを売り歩きます。
私も小学校一年生ぐらいの頃、父方祖母について、行商をしていたことがあります。祖母はリヤカーを引きながら、点在する集落を回っていました。
著者親子は、もうからないからという理由で、昭和26年に行商をやめています。
著者は中学を卒業すると、新潟市の看板屋に就職します。高校には行けません。経済的に無理なのです。だから著者の学歴は中卒です。
著者に映画館での洋画との出会いがあります。作品はジョン・フォードの『駅馬車』でした。強烈な印象を受けたそうです。
昭和29年9月、著者は、東京へ出ます。著者は19歳でした。著者は昭和10年(1935年)生まれです。
(つづく)
戦後編②(東京)
著者は、江戸川区小松川というところにある化学工場で働きます。エビス工業です。そういえば、路線バスの旅の蛭子能収(えびす・よしかず)さんも、看板屋で働いて、漫画家を目指していたことがありました。
著者の労働時間は、朝6時から夜8時までです。過酷です。
休みの日は、朝10時から最終回まで同じ映画を何度も見続けます。
鑑賞した作品として『聖衣(せいい)』『帰らざる河(かえらざるかわ)』
著者の20歳前後の暮らしぶりが、自分自身とも重なります。休日はひとりで繁華街にある映画館に行っていました。とくに夏は、職場の独身寮の部屋の中が暑かったので、映画館の冷房を利用して暑さをしのいでいました。
記述内容は、昭和26年あたりから昭和27年あたりです。
著者の漫画制作にかける努力はすさまじい。時間をかけています。
以前読んだ本『父「永六輔」を看取る(みとる) 永千絵 宝島社』を思い出します。永六輔さんは、永六輔というキャラクターを演じていたという娘さんの手記でした。
全国のラジオ愛聴者ファンが知る永六輔氏と生身の父親永孝雄氏との間にはかけ離れている距離感がありました。
ファンにとっての素敵な人は、彼がつくった人物像です。そんなことが娘さんの視点で書かれていました。
そういえば、俳優である高倉健さんも渥美清さんも、役を演じる時と素の自分(すのじぶん)の時は別人だったというお話も聞いたことがあります。
中卒の20歳ぐらいの赤塚不二夫さんが、2歳年下高校生の石森章太郎(いしのもりしょうたろう)さんに気を使います。中学卒の赤塚さんは、高校生である石森正太郎さんの書く難しい漢字入りの文章に驚嘆されています。
昭和30年8月に長谷邦夫(ながたにくにお)さんを含む3人は、手塚治虫先生に会っています。
先生から、漫画だけじゃだめだ。ほかのことも体験しなさいというアドバイスをもらっています。
ギャグ漫画:なにもないところに、なにかをつくりだす技術がいる。
石森章太郎(いしのもり・しょうたろう):本の中の記述では、漫画づくりの天才です。1938年(昭和13年)-1998年(平成10年)60歳没。
漫画家志望者の若者たちが集まっていた『トキワ荘』のお話が出ます。
昭和32年、著者の母親もトキワ荘に来ます。(著者には、マザーコンプレックス(母親依存)があったことがあとあとのページに書いてありました)
著者のかあちゃんは、トキワ荘のみんなの食事をつくり始めます。藤子不二雄さんのふたりのお母さんもいます。石森章太郎さんのお姉さんもいます。他人同士が家族のように固まって暮らしています。なんだか、すごい。なんだか、天才バカボンとドラえもんとサイボーグ009が同居しているような錯覚におちいります。
モッコ担ぎ(かつぎ):土木工事の時に棒でかつぐ網状の入れ物。
出版社との連絡方法が『電報』です。
電話が普及していなかった時代です。
昭和33年6月、家を建てるために借りた借金の返済に苦慮している父親がいます。
著者26歳、妻21歳で結婚です。漫画制作のアシスタントの女性です。相手に好かれて押し切られての結婚です。
そして作品『おそ松くん』の誕生です。
『シェー』『ダヨーン』『ホエホエ』『……デヤンス』の誕生です。
戦後の日本人の暮らしぶりがわかる内容です。
今年読んで良かった一冊です。
昭和36年、新潟から父親が上京してきました。
経理を父親に頼んだけれど、事務処理が間に合わなくなって、人を雇ったら、2億円を使い込まれて、いろいろあります。この当時の2億円は、ものすごい金額です。
父親が結核になって、父親が亡くなったときのためにとお墓を買って、それなのに、プロパンガスの事故で、59歳だったお母さんを、お父さんよりも先に亡くされています。
福岡県博多から出て来たタモリさんとの出会いがあります。昭和49年か50年だそうです。1年間同居生活をしたそうです。
著者のお父さんは、昭和46年6月から、NHK受信料の集金人を始めておられます。昭和54年春にリンパ線癌(がん)が見つかって、同年5月17日に71歳でお亡くなりになっています。
人生は、いいことばっかりではない。山あり谷ありです。
著者は後半部で、戦争反対を主張されています。
親子は協力することも訴えておられます。
巻末にある「解説にかえて 武井俊樹」の部分について
『ダメオヤジ 古谷三敏』(ああ、そういう作品がありました)
告別式でのタモリさんの弔辞(ちょうじ)が『私もあなたの数多くの作品の一つです』
赤塚不二夫さんの言葉として『おやじとかあちゃんに感謝のココロを捧げるのだ』
いい本でした。
2023年03月06日
ちょっとだけまいご BL出版
ちょっとだけまいご クリス・ホートン・作 木坂涼・訳 BL出版
訳者の方、木坂涼さんは『ピッツアぼうや ウィリアム・スタイグ・作 木坂涼・訳 らんか社』でもお見かけしました。
最初のページの右上に小さな字で意味深い言葉が書いてあります。『私たちは自分の置かれている状況がなかなか見えない。正反対の状況と比べられなければ。また、自分がどんなに恵まれているか、失ってはじめてわかるのだ。』ダニエル・デフォー著「ロビンソン・クルーソー」よりとあります。
この絵本の内容と関連があるとすれば、読み終えた今感ずるのは、まいごになったこどものふくろうの境遇と経過のことです。2012年第一刷発行のこどもさん向けの絵本です。(平成24年)
自分は迷子になったことは二度あります。一度目は小学二年生のとき、転校したばかりの小学校からの帰路で、来るときに覚えていた道を一本間違えて曲がってしまいました。知らない集落で家に帰れないと泣いていたところ、女の人が出て来て話を聞いてくれて、その人の息子さん中学生が自転車の後ろに小学二年生のわたしを乗せて、自宅がある集落まで連れて行って、人に聞きながら、わたしの家をさがしてくれました。あの時は、不安で怖かった。
もう一度は、親族十人ぐらいで東京の浅草観音を観光していたら、わたしだけがみんなからはぐれてしまいました。だれもわたしを探してもくれませんでした。
やむなくわたしは、みんなで荷物を預けたコインロッカーのそばで長いことみんなが帰って来るのを待っていました。
みんなは、どこに行っとったんだと笑うだけでした。もう三十年以上前のことです。
こどもが迷子になると親はあせります。ただ、こども自身は、自分が迷子だとは思っていません。
あんがい自力で歩いて、自宅に戻っていたりもします。親はほっとします。
さあ、絵本の始まりです。
ページをめくって、おもしろい。
しかけがしてある絵本です。
半分のページの大きさのページが入れてあって、そのページをめくると、フクロウの子が、フクロウの巣から転落していきます。
絵が軽いタッチできれいです。切り絵の貼り絵(はりえ)に見えます。
ふくろうのこどものことは『ちびフクロウ』と表現します。
リスが出てきて、まいごになってしまったちびフクロウを助けます。
クマ→ウサギ→カエルとちびフクロウの親さがしが続きます。
単純な展開ですが、読み聞かせのときにちびっことのお話ははずみそうです。
『巣という家』をさがすというよりも『ママ』をさがします。
ちびっこにとっての家は、ママなのです。
ちびフクロウは『ママ』といいますが、リスとカエルは『かあちゃん』というのがおもしろかった。
感動的な再会があります。
ママの目には涙があります。
なんか、人間みたいな動物たちでした。
雰囲気が良かった。
最後のオチ(お話の締め(しめ))もおもしろい。
また、巣から転落してまいごになりそうなちびフクロウでした。
訳者の方、木坂涼さんは『ピッツアぼうや ウィリアム・スタイグ・作 木坂涼・訳 らんか社』でもお見かけしました。
最初のページの右上に小さな字で意味深い言葉が書いてあります。『私たちは自分の置かれている状況がなかなか見えない。正反対の状況と比べられなければ。また、自分がどんなに恵まれているか、失ってはじめてわかるのだ。』ダニエル・デフォー著「ロビンソン・クルーソー」よりとあります。
この絵本の内容と関連があるとすれば、読み終えた今感ずるのは、まいごになったこどものふくろうの境遇と経過のことです。2012年第一刷発行のこどもさん向けの絵本です。(平成24年)
自分は迷子になったことは二度あります。一度目は小学二年生のとき、転校したばかりの小学校からの帰路で、来るときに覚えていた道を一本間違えて曲がってしまいました。知らない集落で家に帰れないと泣いていたところ、女の人が出て来て話を聞いてくれて、その人の息子さん中学生が自転車の後ろに小学二年生のわたしを乗せて、自宅がある集落まで連れて行って、人に聞きながら、わたしの家をさがしてくれました。あの時は、不安で怖かった。
もう一度は、親族十人ぐらいで東京の浅草観音を観光していたら、わたしだけがみんなからはぐれてしまいました。だれもわたしを探してもくれませんでした。
やむなくわたしは、みんなで荷物を預けたコインロッカーのそばで長いことみんなが帰って来るのを待っていました。
みんなは、どこに行っとったんだと笑うだけでした。もう三十年以上前のことです。
こどもが迷子になると親はあせります。ただ、こども自身は、自分が迷子だとは思っていません。
あんがい自力で歩いて、自宅に戻っていたりもします。親はほっとします。
さあ、絵本の始まりです。
ページをめくって、おもしろい。
しかけがしてある絵本です。
半分のページの大きさのページが入れてあって、そのページをめくると、フクロウの子が、フクロウの巣から転落していきます。
絵が軽いタッチできれいです。切り絵の貼り絵(はりえ)に見えます。
ふくろうのこどものことは『ちびフクロウ』と表現します。
リスが出てきて、まいごになってしまったちびフクロウを助けます。
クマ→ウサギ→カエルとちびフクロウの親さがしが続きます。
単純な展開ですが、読み聞かせのときにちびっことのお話ははずみそうです。
『巣という家』をさがすというよりも『ママ』をさがします。
ちびっこにとっての家は、ママなのです。
ちびフクロウは『ママ』といいますが、リスとカエルは『かあちゃん』というのがおもしろかった。
感動的な再会があります。
ママの目には涙があります。
なんか、人間みたいな動物たちでした。
雰囲気が良かった。
最後のオチ(お話の締め(しめ))もおもしろい。
また、巣から転落してまいごになりそうなちびフクロウでした。