2024年11月04日

ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 2002年

ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 2002年(平成14年) 2時間59分 動画配信サービス

 ネットで名作リストを見て、この映画が書いてあったので観てみました。
 むずかしい。
 映像は美しい。
 シリーズになっているようで、(タイトルを聞いたことはありますが、わたしは中身を知りません)ホビットの映画も含めて、6本観たほうがいいとアドバイスが書いてありました。

 ロード・オブ・ザ・リング 2001年公開
 ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 2002年公開
 ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還
 ホビット思いがけない冒険 2012年公開
 ホビット竜に奪われた王国 2013年公開
 ホビット 決戦のゆくえ 2014年公開

 今年ですが、2024年12月にもう1本、『ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い』という映画が出てくるようです。

 うわべだけの感想になってしまいますが、ぽつぽつ文章を落としてみます。

 特殊撮影が持ち味であり、売りの作品だと感じました。

 荘厳な音楽です。そうごん:おごそか、重々しい。

 闇の勢力とされるサルマンとサウロンという民族VSローハンというところの民族の争いと理解しました。
 サルマンには、アイゼンガルドのオルサンクの塔があり、サウロンのところには、モルドールのバラド・ドゥアの塔があると理解しました。(もしかしたら、単語の表記が違うかもしれません)

 『旅の仲間』というフレーズがいいなあと感じました。

 タイトルは最初、指輪の道かと思いましたが、道ではなく、支配者であることに気づきました。指輪の持ち主。
 指輪の意味とか効果は、よくわかりませんでした。
 
 サルみたいな人間みたいな生き物が出てきます。ちょっと気持ち悪い。

 ホビットというのは、(身長・体格が)小さな人のことを言うことが途中でわかりました。

 全体的に男社会です。女子も出ますが、戦力にはなっていません。
 欧米では、魔法使いとか魔女はポピュラーなのでしょうが、日本人のわたしには実感がわきません。

 森の樹木が動き出して、目があって、そこらへんがおもしろかった。
 森の守護神だそうです。
 
 沼の中への吸い込まれは、ホラー映画みたいでした。
 
 見ている者に錯覚をつくり出す映画です。

 なんとなく、日本神話に似ています。
 古事記とか日本書紀に出てくる、ヤマタノオロチを退治する須佐之男命(スサノオノミコト)みたいです。

 灰色のガンダルフという老人は、白のガンダルフになった。

 なにやら宗教的でもあり、先日観た、『エクソシスト』(悪魔が少女の体内に入る)を思い出しました。

 『暗(あん)』から、『明(めい)』へ。

 ときおり、男女の愛の表現シーンが入るのですが、観ていて、なんのことかわかりません。
 退屈でした。

 敵だーーー
 テレビゲームみたいな戦いです。
 巨大なネズミみたいな生き物が、馬のような役割を果たしています。
 爆発シーンは少ない。
 
 指輪は、人間のところへ行きたい。世界が滅ぶ? 指輪は滅ぶことに影響するのか。よくわかりませんでした。

 指輪をはめると姿を消せるそうです。
 
 人海戦術のような戦いです。兵士の群れがすごい数です。
 
 観ていて思うのは、人は変わるということ、気持ちは変化するということ、侵略者は攻撃されるということ。

 登場人物による御託は多い。ごたく:アピール、メッセージ、意思表明、言い訳、自己鼓舞(こぶ。ふるいたたせる)、自己認定など。

 こういう戦いは、相手のトップの首をとったほうが勝ちになると思うのですが、おおぜい同士がぶつかって、なんだかよくわかりません。
 自然災害のようなダメージが効果的です。

 観ていて、さらに思ったことです。
 人間にはふたつある。
 競争したがる人たち、そして、競争をしない人たちです。
 競争はしなくても生きてはいけるということはありますが、強い相手に支配されるという悲しみがあります。

 景色は、地球創世のみたいでした。

(参考)
 アイゼンガルドのオルサンクの塔(魔法使いサルマンの本拠地)
 モルドールのバラド・ドゥアの塔

 闇の勢力として、
 サルマン:(悪い)魔法使い。
 サウロン:肉体は亡びているが(ほろびているが)、精神は残っているそうです。モルドールの支配者

 闇の勢力に対抗するものとして、
 ローハン:人間の王国。都は、エドラス。王は、セドデン王

 旅の仲間:8人。ホビット4人、魔法使い、人間、エルフ国王の子、ドワーフ族の戦士

 オーク:敵

 フロッドとサム:モルドールにある滅びの山をめざして旅をしている。道案内が、やせたサルみたいなゴラム(指輪の前所有者だそうです)

 翼をもったでかいけもの(ヤマタノオロチみたい)にナズグルがのっている。

 アラゴルンとレゴラスとギムリの3人:オークとウルク=ハイにさらわれたメリーとピピンを追いかけていた。
 
 バルログ:悪鬼
 
 ガンダルフ:老人。(良い)魔法使い。人間の味方。白の魔法使いになった。(パワーアップした)

 スメアゴル:おさるさんみたいな、人間みたいな生き物。  

2024年11月03日

宙わたる教室(そらわたるきょうしつ) 第3話と第4話

宙わたる教室(そらわたるきょうしつ) NHKドラマ10 毎週火曜日午後10時放送 第3話と第4話 全10話

『第3話 オポチュニティの轍(わだち。車輪の跡)』
 火星の話です。
 ソル:火星における一日のこと。約24時間40分
 ハブ:火星での宇宙飛行士の居住施設
 星を継ぐもの:イギリスのSF(サイエンス・フィクション)作家ジェームス・P・ホーガン(1941年(日本だと昭和16年)-2010年(平成22年)69歳没)のSF小説。
 EVA(エバ):宇宙服を着ての船外活動(施設外活動)。
 火星の人:アメリカ合衆国のSF作家アンディ・ウィアー(1972年生まれ(昭和47年)51歳)の作品。アメリカの小説家。火星の人は、2011年発表(平成23年)。洋画で映画化されています。『オデッセイ アメリカ映画 2時間21分 2015年(平成27年)公開』です。オデッセイは、『長い冒険旅行』という意味です。

<来室ノート>:保健室に置いてあったノート。4年間ぐらいだれも書き込みをしていなかった。保健室登校をしている名取佳純が書き込んでいる。(定時制高校にも保健室登校というものがあるのかと驚きました)。
 名取佳純(起立性調節障害。父母離婚。母が親権者なるも、母は、姉をひいきして、妹の佳純を差別する。佳純をやっかい者扱いする)。

 定時制高校の教室を火星とし、保健室をハブとする。名取佳純は、ハブ(保健室)でしか、呼吸ができない。
 名取佳純は、EVAで(宇宙服を着ての施設外活動)、教室に行く。決死の覚悟がいる。
 過換気:発作的に息苦しくなって、呼吸が早くなる。
 過呼吸:緊張、ストレスで、呼吸の深さが増加する。

 現実にあった火星探査の記録です。アメリカ合衆国のNASA(ナサ)がかかわっています。
 オポチュニティ:火星で活動する無人探査車の名称。英語の直訳は、『チャンスとか、機会』とか。
 オポチュニティの轍(わだち。左右に3つずつの車輪の2本の跡(あと))が、人生の軌跡と重なります。火星探査船オポチュニティを擬人化してあります。リストカット(カミソリによる自傷行為によってできた腕の傷。自殺企図(じさつきと)、されど死なない)とオポチュニティの車輪のあとを重ねてあります。

 火星探査車である『オポチュニティ』は、地球から遠く離れた火星で、ひとりぼっちでがんばったのです。火星の写真をたくさん撮って、地球に送ってくれたのです。ドラマでは、オポチュニティが撮影した火星の青い夕焼けが紹介されます。

 オポチュニティは、2003年(平成15年)7月に打ち上げられ、2004年(平成16年)に火星に到着した。運用期間3か月の予定だったが、気がつけば、15年間火星での旅を続けてくれた。
 2018年(平成30年)、オポチュニティは、大規模な砂嵐に襲われて、太陽電池がダウンして、機能が停止した。
 2019年(平成31年)2月、NASA(アメリカ航空宇宙局)は、ミッション終了を宣言した。

 オポチュニティは、調査中に、前輪を一つ失ったり、砂だまりにはまりこんだり、原因不明の電力低下に見舞われたり、数々の困難に直面したが、克服し続けた。
 『この子(オポチュニティ)は、自分の後ろに続く轍(わだち)を見て、ただ孤独を感じたわけではないのだ。きっと、もう少しだけ前へ進もうと思ったに違いない……』。
 オポチュニティの背後には、地球に応援してくれる仲間がいた(NASAのスタッフメンバー)。この子(名取佳純)にも、仲間が必要だ(定時制高校科学部の生徒が仲間です)。

 保健室の先生は、原作の小説では、髪を真っ赤に染めています。ドラマではつやつやの黒髪でした。赤いほうが良かったのに。
 保健室の先生は、過去に、生徒をひとり死なせています。

 連絡ノートを使って、生徒と理科担当藤竹先生の交流が始まります。
 
 名取佳純の再起の足を引っ張る女子がいます。
 『依存』のかたまりのような女子です。人のせいにします。人を巻き込まないでほしい。自分のことは、自分の脳みそで思考してほしい。自分がすることを他人に判断させてはいけません。ましてや、あなたがこうすればいいと言ったからそうしたのにうまくいかなかった。うまくいかなかったのはあなたのせいだと相手を責めることは卑怯者がすることです。ひきょうもの:心が卑しい(いやしい)人間。

 火星探査車であるオポチュニティの存在は、『願い』でもあります。
 オポチュニティは、人間の人生のように、長い旅をしていたのです。
 
 名取佳純から、両親が離婚してから会わなくなった父親との夜空を見上げた宇宙観測の思い出話が出ます。楽しかったそうです。名取佳純は、父親に会いたい。自分を差別する冷たい母親からは離れたい。

 火星には、今もなお、壊れたオポチュニティがいる。

 『育てる(そだてる)』とか、『育む(はぐくむ)』、『学ぶ(まなぶ)』という人生の基本があります。
 轍は(わだちは。車輪の跡は)、懸命に生きた証(あかし)なのです。


『第4話 金の卵の衝突実験』
 イッセー尾形さんの熱演が光っています。
 先生役の窪田正孝さんもうまい。
 
 シーンは、病院見舞いの先生の姿で始まり、だれの見舞いかは、あとから判明します。イッセー尾形さんの奥さんが、じん肺で長期継続入院中です。

 小説では細かく経歴が紹介されていますが、ドラマは時間の制限もあるのでそこまでは情報提供されていませんので、ここに書いておきます。

長嶺省造:定時制高校二年生。昭和23年生まれ。74歳。金属加工の会社を自営で経営していたが、70歳で会社経営を閉じた。子どもはふたりで、孫がいる。福島の常磐炭田(じょうばんたんでん)の炭鉱町で育った。炭鉱が斜陽化したためもあり、中卒で、集団就職で東京に来て町工場でがんばった。37歳で独立した。父親は10歳のときに炭鉱事故で亡くなった。

長嶺江美子:長嶺省造の妻。『じん肺(仕事中に大量の粉塵(ふんじん。ほこり、金属の粒(つぶ)などを長期間吸い込んで肺の組織が壊れた)』で現在は入院中。退院はいつになるのかわからない。学歴は中学卒業。青森から集団就職で上京して、タイル工場で10年間粉まみれで働いた。高校に行きたかった。

 集団就職の話が出ます。15歳で列車に乗せられて、遠くの都会へ労働力として運ばれていきます。就職するときに、企業は親にお金を払います。こどもは労働に縛られます。(しばられます)。
 ドラマでは、中卒で、福島から東京へ来た長嶺さん(ながみねさん。イッセー尾形さん)と青森から東京へ来た長嶺さんの奥さん(朝加真由美さん)について語られます。

 本が一冊あります。『集団就職 高度経済成長を支えた金の卵たち 澤宮優(さわみや・ゆう) 弦書房(げんしょぼう)』です。
 大手紡績会社、繊維会社、陶器会社、鉄鋼会社、自動車工場、大手スーパー、いろいろあります。寿司屋とか、床屋とかの、職人仕事もあります。
 地方出身をばかにされた。
 会社の寮暮らしです。事業所への住み込みもあります。
 邦画、『ALWAYS 三丁目の夕日』を思い出します。青森から集団就職列車に乗って東京へ出て来たという設定の堀北真希さんが熱演でした。『鈴木オート』という自動車屋で工員として働くのです。泣けました。
 こちらの集団就職の本では、定時制高校への通学話も出てきます。みんなが高校に行きたかった。でも学力があってもお金がなくて高校に行けないこどもがたくさんいた時代です。

 タバコ吸いの柳田岳人(やなぎだ・たけと 21歳。演者は、小林虎之助さん)を長嶺さんが注意します。喫煙は、お金と時間の浪費です。体も家庭も壊れます。
 長嶺さんはヘビースモーカーだった。じん肺の奥さんを気づかってやれなかったことを深く後悔しています。長嶺さんは今は非喫煙者です。

 この話は、藤竹先生が企画した、『壮大な実験』なのです。
 背景には、『無念』があります。優遇される人たちや、上層部が得をする組織運営に対する『怒り(いかり)』が、壮大な実験を実現させる原動力です。

 長嶺さんの言葉に、藤竹先生の気持ちがこめられています。
 『はいあがってやるという気概はないのか!』(気概(きがい):困難に屈しない強い気持ち)
 真剣なやりとりがあります。

 『学ぶ』ということを、真剣に考えさせられるドラマです。

 『あんた食えんな』(ずるがしこい。気を許せない。長嶺さんが、藤竹先生に言った言葉です。藤竹先生は策略家です。かけひき、戦術家)。

 実験結果を学会で発表する。『火星をつくる』。  

2024年11月02日

団地のふたり 第8回・第9回 NHKBSドラマ

団地のふたり 第8回・第9回 NHKBSドラマ 毎週日曜日午後10時から

『第8回』
 団地の建て替え問題と、団地に住む老齢者の未来、いざというときの対処に関する話題でした。
 現実味があります。
 あとは、老齢者が後世に引き継ぎたい意思が紹介されます。

 断捨離の話が出ます。
 いらないものをネットの不用品売買で売ってしまう。
 今回は、名取裕子さんの背後からの姿絵、セミヌードの絵を売ります。(売れました)
 死んだときのために、周囲に迷惑をかけないように身辺整理をするのです。
 
 団地の建て替え話はおおむね建て替えをする方向で進みます。
 クレーマーの男性もいろいろごたごたはあるのですが、建て替えに賛成の意向です。
 されど、大半の住民である高齢者たちの意向は、『建て替えしてもいいけれど、あたしが死んでからにしてもらいたい』。建て替え開始後、ほかの場所に住んで、完成後再入居することは、いろいろ大変です。

 賃貸と分譲が混在している大規模団地だそうです。
 ふと考えたのですが、一般的な分譲マンションの建て替えもさきざき大変そうです。

 いろいろな問題ごとの相談窓口が、小泉今日子さんと小林聡美になっています。
 出戻り、親と居候の立場のふたりです。ただ、五十代とはいえ、団地内では若い世代です。
 
 ひとり暮らしの高齢者が自宅で亡くなっていたという話はあんがいよくあることです。
 あまりに数が多すぎて、ニュースにもなりません。
 
 古い団地には、エレベーターがないので、救急搬送時にたいへんです。
 ストレッチャーが使えないので、シートのようなもので下から支えて人力で階段を降ります。
 
 ときおり思うのですが、ご家族がない人が、具合が悪くなった時はどうするのだろうかと思います。
 お金だけですべてが解決するわけではありません。お金がいくらあってもやりにくいことはあります。入院時の保証人とか、お金や役所の介護保険利用の事務的な手続きとか、他人に頼むにしても限界があります。
 熱中症で救急搬送されたクレーマーのおじいさんである東山さんが言います。『何で助けた。わたしはひとりで死んでもいい(団地の自分の部屋で。むしろこのまま死んでしまいたかった)』
 エアコンが壊れていたけれど、修理をしなかったら、熱中症になってしまったそうです。
 クレーマーである東山さんはまじめな人です。団地組織に対して、いろいろあれこれ注文を出したから、荒れていた団地内の環境が整理整頓され美しくなったそうです。
 団地愛があります。東山さんの現役時は、建築学科の大学教授だったそうです。団地の建設にも関わったそうです。その後離婚されて、団地でひとり暮らしを始めたそうです。『団地とともに死ぬ覚悟はできている』。ドラマのタイトルに通じるものがあります。

(別のこととして)
 先日読んだ本が、『黄色いマンション 黒い猫 小泉今日子 新潮文庫』です。かなりいい内容でした。小泉今日子さんのエッセイをまとめた本です。赤裸々(せきらら。飾らない、丸裸の)な実生活のことが書いてあります。びっくりすることが多い。
 本を読んだり、ほかの人の文章を読んだりすることで、知らなかったことを知る、『学び』の喜びや嬉しさ(うれしさ)があります。
 本を読むことで、別の人生を体験できる楽しみがあります。


『第9回』
 団地の建て替えが決まって、立ち退き話、思い出話です。

 なつかしい昭和時代の歌謡曲がいくつも出てきます。
 よみがえる青春時代です。
 なつかしい。
 みんな若かった。
 
 老齢になって、心身の調子が思わしくなくなって、建て替え後の団地に戻ることができない人もいます。
 そういう人は、こどもたちを頼ったり、こどものほうからいっしょに住まないかと誘いがあったりもします。
 人生の最期(さいご)をどこで迎えるか。
 病院のベッドの上、施設のベッドの上、できれば、自宅のどこかで、お昼寝をするように楽に逝きたいものです。(いきたい)。
 同居してくれないか、あるいは、近居できないかと、話ができる親族がいる人は、身内がだれもいない人よりも安心感があります。
 お金だけでは対応できないこともあります。入院でも、施設入所でも、役所や医療・福祉業者とのやりとりに事務手続きをしてもらえる人が必要です。預貯金や年金を動かすやりとりも同様です。病院や施設に着替えを届けてもらうこともあります。たいてい親族がやってくれます。
 ノエチ(小泉今日子さん)は、離婚したので、現在は未婚でこどももいないので、高齢のご両親が、ノエチさんの老後を心配します。とりあえず、娘が住む家は確保しておいてあげたい。

 佐久間さん(由紀さおりさん)は、団地に53年間住んだ。
 当初、『鉄筋住宅』に憧れた(あこがれた)。
 当時の美智子妃殿下が視察に来られた。
 団地に住めることが素敵なことだった。
 いいことばかりではなかったと思いますが、そういうことはあったと思います。

 お料理ドラマです。
 おにぎりお弁当がおいしそうです。
 
 クレーマーの東山さん(ベンガルさん)が、まわりの人たちと打ち解けられて良かった。

 始まりがあれば、終わりがあります。次回が最終回です。
 ほのぼのとする、あったかい物語です。小泉さんと小林さんのおふたりがおもしろいなあ。  

2024年11月01日

わたしの、本のある日々 小林聡美

わたしの、本のある日々 小林聡美(こばやし・さとみ) 毎日文庫

 著者は読書家だと思って読み始めましたが、書いてあることは反対です。
 本はあまり読まない。本屋にもあまり行かない。僭越(せんえつ)きわまりないとあります。せんえつ:出過ぎたこと。
 この本の成り立ちです。
 2016年(平成28年)から、週刊誌、『サンデー毎日』に、月に一度連載してきたものをまとめた。月に2冊読んで、それについてなにかしらを書いた。
 連載は、約6年間続いた。
 2021年(令和3年)に単行本が出た。
 2024年(令和6年)に文庫本が出た。

 5つのくくりがあって、たくさんの項目があります。
 『Ⅰ 出会いと気づきの日々』、『Ⅱ 言葉のふしぎ』、『Ⅲ 先輩たちの本』、『Ⅳ 愉しいひとり暮らし(たのしいひとりぐらし)』、『Ⅴ それからの日々』とあります。

『Ⅰ 出会いと気づきの日々』
 たくさんの短い文章が並んでいます。文のかたまりひとつずつに2冊、本の紹介があります。
 全体で、318ページあります。読んで、わたしが関心をもった部分について、書いてみます。

 猫の7歳は人間でいうと44歳だそうです。著者の飼い猫ですが、体重が7kgもあるそうです。
 そういえば、NHKBSドラマ、『団地のふたり』で著者と共演している小泉今日子さんも愛猫家でした。お互いに話が合うのでしょう。
 そのドラマがきっかけで、先日は小泉今日子さんのエッセイ本を読みました。『黄色いマンション 黒い猫 小泉今日子 新潮文庫』でした。赤裸々(せきらら。ありのまま)に実生活について書いてあったのでびっくりしました。

秋田の乳頭温泉(にゅうとうおんせん):秋田県と岩手県の県境、秋田県の田沢湖の東にある。標高600m~800mに位置する。

 シンプルな文章です。ゆえに、脳みそに残らないということはあります。
 う~む。内容がどうかなあ。エッセイとしての出来栄えが浅いような。

 横尾忠則さん(グラフィックデザイナー。1936年(昭和11年)生まれ。88歳)が、70歳になったときに、『したいことしかしない』と決めたそうです。したくないことをしていたことに違和感があられたようです。わたしも、そうありたい。

 『テレビのニュースは大抵(たいてい)うんざりするものばかりで……』(同感です。あおりすぎです。あおる:おおげさに騒ぐ。大騒ぎする。なんというか、かれらは、テレビとか投資で、未来はこうなるとか予測を強い調子で言いますが、わたしはそういったことを信じません。かれらは、予想がはずれても知らん顔をしています。そして、かれらの予想はたいていはずれます。
 本では、この部分のエッセイに、『急がない人生』とタイトルが付けられています。

 紹介されている本で、自分も読んでみようと思った本です。(以降あとから読んだ文章の分も追加していきます)
『ぼくの鳥あげる 佐野洋子・作 広瀬弦・絵 幻戯書房(げんきしょぼう)』(絵本作家の佐野洋子さんも亡くなってしまいました。2010年(平成22年)。72歳没。代表作として、『百万回生きたねこ』)。
『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか 堀内都喜子 ポプラ新書』
『ねこはい』と、『ねこはいに』、南伸坊 青林工藝社(せいりんこうげいしゃ)
『倍賞千恵子の現場 倍賞千恵子 PHP新書』
『私は私のままで生きることにした キム・スヒョン ワニブックス』
『いやよいやよも旅のうち 北大路公子 集英社文庫』
『ぼくは犬や ペク・ヒナ ブロンズ新社』と、『あめだま ペク・ヒナ ブロンズ新社』
『神さまの貨物 ジャン=クロード・クランベール 河野万里子・訳 ポプラ社』

 著者は、2019年に、フィンランドと日本の外交関係樹立百周年記念の親善大使のひとりに任命されたそうです。
 フィンランド人は自分の時間を大切にする。家族と過ごす。趣味を楽しむ…… 上下関係をつくらない、性別関係なく平等の機会がある…… とあります。
 
 いろんな本をたくさん紹介してくれる本です。
 本を、『観察』してあります。

『Ⅱ 言葉のふしぎ』
 ハイブロウ:教養や学識のある人。

 俳句はけして、年寄りのものではない。

 『ふたつの夏 谷川俊太郎・佐野洋子 小学館』という本が紹介されています。
 以前、佐野洋子さんの文章を読んだことがあります。谷川俊太郎さんが、自分を追いかけてくるので怖い。逃げなきゃ、みたいな趣旨で書いてありました。おふたりは夫婦だったのですが、離婚されています。人生いろいろあります。(婚姻期間1990年(平成2年)-1996年(平成8年))

 スピリチュアルについて宇宙をからめた本のことが書いてあります。わたしはスピリチュアルを信用しません。
 なにもないところに、なにかがあるようなことにして、なにもないのに悩む。
 時間のムダです。なにもないのに悩むことはありません。ないのに、あるとするから、混乱するのです。ないものは、ないのです。

 猫の話が多い。

メラミンスポンジ:メラミンフォームという素材でつくられているスポンジのこと。水あかを落とすのに効果がある。

『Ⅳ 愉しいひとり暮らし(たのしいひとりぐらし)』
 燻し銀(いぶしぎん):加工して灰色にした銀細工。華やかさはないが、実力や魅力がある。

 著者は、ひとり者のせいか、『ひとりで暮らす本』の紹介が多い。(三谷幸喜さんと結婚されていたことは初めて知りました。離婚されています)
 それから、猫好きで、猫の本が多い。
 あと、フィンランドに関する本が多い。
 フィンランドには、『シス』というものがあるそうです。シス:決してあきらめず、安易な道に逃げない強い心、困難に立ち向かう勇敢さ、忍耐、不可能を可能にする、氷のように冷たい決意=折れない心だそうです。
 そして、俳句の話題が多い。

『Ⅴ それからの日々』
 テレビ画面の字幕機能について書いてあります。
 著者は、自分でテレビ画面に字幕を出すように設定するのですが、そのこととは別にして、わたしは、テレビ画面の文字表示がうっとうおしいと感じている人です。
 小さな親切大きなお世話です。画面に文字やデータ(とくに野球中継のときがうっとおしい)がいっぱいすぎて、見たい映像がだいなしです。だから、テレビ画面を見るときは、文字を見ないようにしています。
 
 甘いものが好き。両親は糖尿病だそうです。
 長生きの話が出ます。

『巻末対談 酒井順子×小林聡美 わたしたちの、本のある日々』
 内容は、あちこち話が飛んで、あまり中身がありませんでした。
 全国各地で暮らしたことがないおふたりです。
 おふたりとも、東京以外には住んだことがないそうです。
 地理的なこととして、人生における世界は狭くなります。
 おふたりとも、狭く深い世界で暮らされていると感じたのです。  

Posted by 熊太郎 at 06:45Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2024年10月31日

75歳で車の運転はやめる。

75歳で車の運転はやめる。

 去年車を買い替えたときに、この車が自分の人生で最後に買う車だと思って買いました。
 75歳まで、もう10年ないので、75歳まではこの車に慎重に乗って、75歳になったら、運転免許証は手離すつもりです。あとは、敬老パス利用、タクシー利用、親族が運転する車で移動となるでしょう。なお日本人男性の平均寿命は81歳ぐらいです。

 思えば、現役で働いていた頃、鉄道交通が不便な場所に人事異動で配置されたときは、車通勤でがんばりました。
 5年間の勤務でしたが、思い出してみると、5年間、一日もハンドルを握らなかった日はありませんでした。自家用車で出勤したあとも、仕事場の車を使ってあちこち移動していました。プライベートでも車移動ばかりで、車を使って国内のあちこちへ旅行にも行きました。

 されど、歳をとり、体力・知力は衰えました。現役の時は、複数のことを同時進行でやる能力がありましたが、今は、ひとつのことをひとつずつしかできません。優先順位をつけて、ひとつずつ丁寧にやっています。当然、時間がかかります。うまくいかなくてやりなおすこともけっこうあります。しかたがありません。歳をとったのですから。だれもが通る道です。

 交通事故の加害者になると、相手にも、自分の親族にも迷惑をかけるので、最近は、車は、ご近所での買い物ぐらいでしか運転しません。
 運転感覚を失うといけないので、なるべく一日一度は短距離でも車を動かすようにはしています。
 高速道路には、たまにしかのりません。

 以前読んだ本です。
『高齢ドライバーの意識革命 安全ゆとり運転で事故防止 松浦常夫 福村出版』
 高齢者の運転免許証の返納者は、ペーパードライバーが多いそうです。あまり、高齢者運転事故の減少にはつながりそうもありません。
 運転免許証の返納者は、多いようでそうでもない。数的には少ないそうです。
 2019年東京池袋の暴走死亡事故のあと自主返納者が全国で60万人に達したというニュースを聞いたときは、たくさんの人たちが返納したのだなと納得しましたが、この本によると、65歳以上の高齢ドライバーは、1900万人もいるそうです。
 この本を読まなければそのことを知ることもありませんでした。まだこれからも、あのような悲惨な事故が続くのだろうか。自分が当事者になることは避けたい。  

Posted by 熊太郎 at 06:45Comments(0)TrackBack(0)熊太郎の語り

2024年10月30日

こどもかいぎ 北村裕花

こどもかいぎ 北村裕花(きたむら・ゆうか ) フレーベル館

 こどもさんが読む絵本です。
 会議の議長であるけんたの、『おっほん……』から始まりました。
 「おっほん」という言葉を久しぶりに聞きました。古い表現です。
 メンバーは6人です。けんた、あゆみ、まさと、みか、りく(男子)、らん(女子)です。

 議題(話し合うテーマ)です。
 『おこられたときは、どうしたらいいか?』
 けんたが、『きょうの おだいは……』と話し始めました。
 「おだい」という言葉も古い。今どき聞きません。落語のお題(おだい)のようです。
 作者は年配の人だろうかと思ったら、そうでもない方だったので不思議です。1983年(昭和58年)栃木生まれの女性です。
 
 おこられたときには……
 あやまる。(謝る)。
 
 コラー!って、おこられるそうです。
 「コラー!」もまた古い表現だと思いました。

 おこられたときは……
 泣く。
 笑ってごまかす。
 (いろいろあります。歳をとると怒られる(おこられる)こともなくなります。年寄りにおこってくる相手は、自分のこどもぐらいです。
 年金生活者は、とりあえず、死ぬまで生きるだけです。だんだん感情が薄くなっていきます。おこられてもなにも感じません。なんだったぁ?です。

 とあるこどもさんから訴えがあります。
 手洗いをしないと親におこられるそうです。
 (そうかな。今どきは、おふろに入らない女の人が増えたと聞きました。シャワーだけです)
 
 ピーマンを残すと、おとうさんに叱られるそうです。(しかられる)
 (設定が古いような。ピーマンで怒る(おこる)父親はいないような気がします)
 (ピーマンを食べなくても人間は死なない)

 なんだか、会議じゃありません。
 それぞれが、自分の親が一番怖いと(こわい)主張します。
 ストーップ!
 議長役のけんたが、発言を止めました。
 けんたが、軌道修正をしました。
 『おこられたときには、どうしたらいいのか』についての話し合いです。

 らんさんの答えです。
 『ぎゅっとする(親にだきつく。だきしめる)』
 スキンシップです。
 ぎゅとしたあとで、ごめんなさいという。

 会議が終わりに近づきました。
 絵本の絵で、会議をしている場所が、幼稚園(わかばえん)の教室であることがわかりました。
 設定は、小学生低学年だと思って読んでいました。幼稚園の年長さんですな。(6歳)
 ページをめくると、園庭のようすです。この絵が、最初にあったほうがわかりやすい。
 
 おこられたら、ママにだきついて、ごめんなさいという。ママに甘える。
 けっこうむずかしい解決法です。
 こどもを攻撃してくるママもいます。
 あしたの会議では、結果報告ですな。
 こどももたいへんです。  

Posted by 熊太郎 at 06:27Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2024年10月28日

黄色いマンション 黒い猫 小泉今日子

黄色いマンション 黒い猫 小泉今日子 新潮文庫

 今、毎週日曜日夜10時からあるNHKBSドラマ、『団地のふたり』を楽しみに観ています。
 主人公役を務める小泉今日子さんと小林聡美さんが、それぞれエッセイ本を出されていることを知りました。まず、小泉今日子さんの本を先に読んでみます。

 令和3年(2021年)12月1日に発行された文庫本です。単行本は、平成28年(2016年)4月にスイッチ・パブリッシングから刊行されています。
 197ページに、この本のもとになるエッセイの連載は、2007年(平成19年)から2016年(平成28年)だったと書いてあります。雑誌、『SWITCH』の『原宿百景』。

 『はじめに』があって、35本のエッセイがあって、『あとがきのようなもの』があります。エッセイ:随筆。散文(さんぶん。気楽な文章)。
 著者は、1966年(昭和41年)生まれ、デビューは、16歳のとき、1982年(昭和57年)です。

『はじめに』
 東京原宿について書いてあります。原宿に愛情、愛着をもたれています。
 新宿と渋谷の間にあって、明治神宮の東にある地域です。
 18歳から21歳までの4年間、原宿でひとり暮らしをされていたそうです。(73ページの記事)

『黄色いマンション 黒い猫』
 読み終えて、絶句します。ぜっく:言葉が出てこない。
 なんと感想を書いていいのかわかりません。
 アイドルという仕事はたいへんです。
 深夜放送の仕事が終わって、放送局から原宿あたりにある自宅マンションに帰る。
 帰宅する車をファンに追跡される。
 ある日、ドアを開けると、ダンボールの中に両目をつぶされた黒い子猫が入れられていた。
 子猫を抱いていたら、子猫が逃げて、階段の7階から落下していった。
 あわてて階下へ行ったが、子猫の姿はなかった。見つからなかった。
 そんなことが書いてあります。
 わたしが思うに、猫をダンボールに入れた人間は、ようすをずっと見ていたと思うのです。その者が、死んだ子猫を回収したと思うのです。ひどいことをする人間がいます。
 ここまで読んで、著者は、外国も含めて、全国各地をあちこち飛び回るのでしょうが、とても狭い世界の中で生きて来た人に思えてきます。芸能界という世界です。

『スクーターズとチープ・トリック』
チンコおじさん:小田急線本厚木駅北口にある彫像(ほんあつぎえき)。(グーグルマップの映像で確認できました。円盤投げみたいなかっこうをされています)
ノリコ:男兄弟の中で育っている。
著者:三人姉妹の末っ子。長姉がヨーコさん(8歳年上)。
ヒロコさん:著者の2歳上の姉。著者の天敵。いばる。ばかにする。からだがでかい。口が達者。小さい時から著者とケンカばかりしている。著者は、一度も勝ったことがない。
チープ・トリック:アメリカ合衆国のロックバンド。
サーキュラースカート:円型に生地(きじ)を縫い合わせる。裾(すそ)に向かって広がるスカート。ボリューム感がある。
 読んでも、おじいさんのわたしには、わからない内容でした。原宿のことが書いてありました。

『リッチくんのバレンタイン』
 けっこう深刻なことが書いてあります。近所に住んでいた幼なじみのリッチくん(ヨーロッパのハーフ)が、青年期に車の中で二酸化炭素ガスを吸って、自殺してしまうのです。
 あたしんち→タナカさんち→スガワラさんち→リッチくんち。リッチくんとは、オムツをしているころからの知り合い。同い年。幼稚園、小中学校、高校も同じだった。リッチくんはモテた。
 みんなは、強くてかっこいいリッチくんが好きだった。著者は、弱くて悲しいリッチくんを知っていて怖かった。リッチ君は、そのことを知っている著者が怖かったに違いない。
 バレンタインデーの話が出ます。モテモテのリッチくんです。
 お金があっても、見た目がハンサムでかっこよくても、悲しいことはあります。

『嵐の日も 彼とならば』
 ボイストレーナーのコウノ先生のお宅で出るごはんの話です。ふつうのごはんです。ふつうだから心にしみるのです。
 歌手発掘番組、萩本欽一さん(きんちゃん)司会の、『スター誕生!』の話が出ます。自分も似たような世代なので、中学・高校のときに、リアルタイムで観ていました。日曜日お昼前の放送だった記憶です。
 中学三年生の数学の授業中にクラスメートから、メモのような手紙が回ってきた。スター誕生に応募しようという内容だった。
 クラスメートと応募して、オーディションを受けた。
 『どこにでもいるような普通の子が、人の目に触れてどんどん垢抜け(あかぬけ)ていくのをまるで身内のような親し気な気分で見守ったりするのも楽しいものだ』と書いてあります。
 著者は、予想外に、オーディションに受かってしまった。人生が大きく動き出してしまった。
 読んでいて、アイドルは、『商品』だと思う。アイドルを中心において、たくさんの人たちが、収入を分かち合って生活をしていきます。
 著者は、日記を書いているのではなかろうか。かなり昔の話です。毎日ではなくても、ぽつりぽつりと、そのときどきの心境を書き残しているものと想像します。

『真剣に親権問題』
 驚くほど、家庭内の事情とか人生の流れについて書いてあります。
 お父さん自営の会社が倒産して、最終的には、ご両親が別居をして離婚されています。著者中学二年生から別居が始まって、その後、ご家族は、親子がバラバラになるように双方の親と暮らしたり離れたりされていますが、一度別居後は、もうご家族全員でひとつの家で暮らすことはされていません。
 ご両親の離婚時、著者は19歳で、離婚届提出時にあたって、著者の親権者を決めて離婚届の用紙に記入しなければなりません。著者の親権者は著者の希望で父親になりました。
 今は18歳が成人ですから、19歳なら親権者はいらないのでしょう。
 そういえば、高校時代のわたしのクラスにも、親の経営する会社が倒産して、どこかへいってしまった女子がいました。この部分を読んで、忘れていた記憶がよみがえりました。
 生(なま)の生活について書いてあります。人間の暮らしが書いてあります。

『ユミさんのお母ちゃん』
 実母のことを、『ユミさん』という著者です。著者と実父の距離は近いけれど、実母との距離は少し離れています。実母は、父親以外と恋をする人です。(若い頃は芸者をしていたそうです)。じっさいそういう女性っています。こどもより、男性に寄っていくのです。
 母方祖父は、恋をして出奔(しゅっぽん。逃げ出して行方不明)。母方祖母は自殺されたそうです。なんだか、すごいことが書いてあります。現実の生活では、ユミさんにとっての母親が、ユミさんの娘である著者なのです。

『夕暮れの保健室』
 著者はよく中学校をサボっていた。途中で帰宅したり、そのあと再び登校したりしていた。(びっくりです)。
 ひとりでいるのが好きだった。
 
 タイマン:一対一のケンカ。

『彼女はどうだったんだろう?』
 あのころビルから飛び降り自殺をした女性アイドルとのことが書いてあります。40年近く前のことです。
 う~む。わたしはそのアイドルのサインを持っていたことがあります。自分は二十代でした。
 ただ、もうそのサインは見つかりません。何度か引っ越しをするなかで、なくした覚えはないのですが、どこにあるのかわからなくってしまいました。
 ちょっと、ドキッとする文章でした。

『原宿キッス』
 たのきんトリオのとしちゃんのことが書いてあります。
 
 なんだかすごいこどものころの体験記です。
 中学二年生のときに一家での夜逃げを体験されています。
 あとは、勉強は好きではなかった。中学は行ったり行かなかったり、高校はアイドル活動に専念ということで、退学したとか……  けっこう荒れた思春期の生活を体験されています。
 お風呂も、電話も、テレビもない生活があります。
 テレビで、『三年B組金八先生』を見たかった。(女子中学生が妊娠、出産する内容でした)。
 著者は、中学生の時に、妊娠したかもしれないという同級生の友だちと産婦人科に行っておられます。(妊娠はしていなかった。妊娠はしていなかったのに、友だちは残念そうな顔をしていた)。

 なんというか、昭和の時代のおおらかさとか、力強さを思い出しました。
 たくましく生きている人間たちがいました。

 この文庫本は、今年読んで良かった一冊になりそうです。

『天使に会ったのだ』
 まあ、思春期の著者にはボーイフレンドがいます。
 著者は、優等生ではありません。
 ボーイフレンドとは、親しくなって、しばらくたって、なんとなく会わなくなった。

 父親が亡くなった。
 末期のガンだった。糖尿病で、肺炎になりかけていた。

 そしてもうひとりその後亡くなった人がいます。
 ボーイフレンドだった人のおかあさんが亡くなっています。

『チャリン、チャリン、チャリン』
 今ではふつうに家庭にあるものでも、60年ぐらい前は家にはありませんでした。
 電話機(固定電話。黒いダイヤル式電話)、洗濯機、冷蔵庫、テレビ、電子レンジ、テープレコーダー、水洗トイレ、クーラー、エアコン、ビデオデッキ、ビデオカメラ、そして、道は土の状態で、まだアスファルト舗装はされていませんでした。
 そんなことが書いてあります。
 電話でアイドルの歌を聴けた。著者宅の電話機の横に缶があって、アイドルの歌を聴く時は、通話料として、30円を入れていたそうです。
 そういえば、わたしも公衆電話をかけて、アグネス・チャンの歌を何度か聞いたことがあります。

 著者は、いつしか、電話機でアイドル歌手の歌を聴く立場から、聴かせる立場に変わるのです。

『海辺の町にて』
 いなかの夜道は暗くて怖い。買い物はどうしてもバスを利用するしかないぐらい不便。
 東京の街は夜でも明るい。怖くはない。(こわくはない)。
 いなかの夜は、月や星が美しい。
 18歳から21歳までの4年間、著者は、原宿に自宅があった。ひとり暮らしをしていた。

『ラブレター フロム』
 ロンドンから、東京の自分あてにハガキを出した。
 
 ほかに恩師からの手紙、ボーフレンドからの手紙。
 ご自身は、年賀状も書かないそうです。

『愛だの 恋だの』
 自分の母親のことを、『ユミさん』と呼ぶ著者です。ユミさんは、母親というよりも、『女』です。そして、ユミさんの母親のような存在が、著者なのです。ちょっと変わった親子関係があります。

 丸子のおばあちゃん:母方祖父の恋人。妻ではない。いろいろ複雑です。

『ただの思い出』
 著者の実家は、神奈川県厚木にある。
 著者は若い時から車好き。ホンダのステップバンが好き。
 だけど、運転はどうか。仮免の試験に3回落ちています。
 音楽を聴きながらドライブすることが好き。
 車内でカセットテープをガチャンと押し込んで音楽を聴いていたという行為がなつかしい。今の若い人にはわからないことでしょう。
 11月15日、亡き父上の17回忌だったそうです。

『飛行機の音 ラジカセの音』
 神奈川県厚木市米軍基地:厚木市に基地なんかないと書いてあります。調べたら、神奈川県綾瀬市と大和市にまたがって米軍の軍用飛行場があるそうです。名称が、『厚木基地』だそうです。米軍と自衛隊の共同使用だそうです。

 著者は戦後20年の昭和41年にこの世に生まれた。実家である厚木市には、まだ戦争の名残があった。厚木市内でアメリカ兵をよく見かけた。
 
 そのあと、原宿の話が出ます。
 青春時代の遊びは、原宿だった。
 代々木公園で遊んだ。

『母と娘の喫茶店』
 母親の『ユミさん』はコーヒーが好きだった。
 しかし著者は、今もコーヒーがにがてだそうです。コーヒーは飲めないそうです。でも、アルコールは得意だそうです。あとは、喫煙者でヘビースモーカーのようです。

『あの男』
 マネージャーだった5歳年上の男性について書いてあります。変わり者の男性だったようです。
 まあ、変な男です。

『懐古と感謝(かいことかんしゃ)』
 80年代(昭和55年代)の原宿のことが書いてあります。
 著者は、82年(昭和57年)に16歳で歌手デビューしています。
 18歳から21歳までの4年間、原宿でひとり暮らしをしています。
 ふつうにひとりで原宿の街を出歩かれています。
 著者がアイドルであることをまわりの人も気づいていますが、ふつうの対応をされています。
 仕事が芸能人ということはあります。そして、だれだって仕事をしています。
 自分に合う仕事が芸能人だった。自分は芸能人の仕事しかできないタイプだということはあります。まあ、たいていの人は、自分はこれしかできないからこの仕事をしているということはあります。
 原宿に住む、あるいは働く人が、著者に優しい。いやむしろ、みんなに優しいのでしょう。
 著者の言葉で、『原宿の街には善意が溢れていた(あふれていた)…… 勤労少女だった私の心が健やか(すこやか)だったのは……』

『彼女からの電話』
 すごいことが書いてあります。
 十代のころの話です。
 仲が良かった女友だちから、『好きになっちゃいけない人』を好きになって、付き合いが始まったというような相談事、告白を聞かされます。
 結婚している人なの?と問うと、違うという返事です。
 著者は、女友だちに自分のカレシを盗られて(とられて)しまいました。
 初めての失恋だったそうです。

『ミカちゃん、ピテカン、そして……』
 ミカちゃんというのはお姉さんのような女ともだちです。ピテカン(ピテントロプス・エレクトス)は、日本で初めてのクラブの名称です。クラブ:娯楽・社交のための会員制のお店。
 ミカちゃんとミカちゃんの友だちのミユキちゃんは、著者のことを、『タマゴ』と呼ぶ。
 ミカちゃんは彼氏とパリで暮らすそうです。ちょっと淋しさが(さみしさが)ただよう文章でした。

『あたしのロリポップ』
 セントラルアパートの下に、原宿プラザがあった。十代のころの著者にとってワクワクする場所だった。
 ロリポップ:ペロペロキャンディー
 
 川勝正幸さんという方について、讃える(たたえる)文章が書いてあります。
 川勝正幸:ライター、編集者。2012年(平成24年)55歳没。自宅が火災にあって亡くなった。

 文章を読んでいて思うのは、著者は、永遠の18歳です。文章の中では、46歳ですが、気持ちは若い。

(124ページまで読んできて思うことです)
 自分は未来において、どうなっていてもいいとする。
 自分らしく、今を生きる。
 生き抜く自信がある。
 自分の未来を、やっていけると信じている。
 なんとかなるという力強さが著者にあります。
 ときおり、胸にじんとくる文章があります。
 アイドルであっても、芸能人であっても、タレントであっても、同じ人間だと思うのです。

『雨の日の246』
 246:国道246号。東京千代田区から静岡県沼津市。
 アイドルをしていて、何かをあきらめてしまったような気持ちがあった。
 いつも自信がなかった。
 カレシとの思い出話です。

『あの子の話』
 ご本人が、離婚したところから始まります。(婚姻期間1995年(平成7年)29歳-2004年(平成16年)38歳。
 離婚して再び始まるひとり暮らしです。青葉台というところ。駅は、中目黒駅。
 新居が、自然が豊かな話、猫の話。ひとりの暮らしにウキウキしていた話。

『お化け怖い!(おばけこわい!)』
 50歳近いけれど、おばけがこわい。
 されど、二十代の頃は、ホラー映画にハマっていた。
 歳をとって、怖さに対抗できる免疫(めんえき。体を守る仕組み)がなくなってしまったとのことでした。

『アキと春子と私の青春』
 朝ドラです。じぇじぇじぇの『あまちゃん』ですな。アキは、のんさんですな。
 アキの母親である春子を演じたのが、小泉今日子さんです。
 ご本人の16歳からのアイドル時代は、つらかったそうです。つらかったけれど、楽しいこともあった。原宿や表参道あたりをぶらぶら歩くことが楽しみだった。

『渋滞~そして人生考』
 表参道のクリスマスイルミネーションです。
 自分でミニクーパーを運転しながら渋滞している道を進みます。車の中で、脳裏に思い出がよみがえってくるそうです。
 右に代々木公園、左にNHKです。(今年9月にわたしたち夫婦も散歩したルートです。雰囲気がわかって読んでいて楽しい)
 山手通りに出て、ご自宅マンションがある中目黒青葉台へ帰って行かれたようです。

『ジョーゼットのワンピース』
 ジョーゼット:薄く、軽く、緩やか(ゆるやか)に編まれた織物。
 母親は、日暮里(にっぽり)の染物屋の娘だった。
 こどものころの自分の写真は、長姉の写真の数の半分ぐらいしかなかった。それに気づいた母親が、ときおり写真を撮ってくれた。
 アイドルになってから、数えきれないぐらいの仕事用の写真が撮られた。街のあちこちに自分の顔写真が飾られた。自分のようで自分ではない顔の写真だった。
 これからも仕事で自分の顔やスタイルの写真がたくさん撮られていく。

『花や 庭や』
 休日の夕方は、商店街をぷらぷら歩いている。
 ひとりの時間、ひとりの生活もずいぶん長くなったとあります。
 こどもの頃からお花が好きだった話が書いてありました。

『団地のヌノタくん』
 15歳のとき、団地に19歳か20歳のヌノタくんが住んでいた。
 パンチパーマのヤンキーファッションだった。
 友人たちとヌノタくんが運転するトヨタマークⅡ(マークツー)で、熱海までドライブに行って、札幌ラーメンを食べて帰って来た思い出話が書いてあります。

『ナンパの季節』
 中学生三年のときに女友だちと横浜に買い物に行って、『彼女たちぃ……』と、ナンパされた話です。
 スウィングトップ:ゴルフ用のジャンパー。
 最近、若い女性と間違われてナンパされたそうです。でも、男は中年女性だとわかって、逃げるように去って行ったそうです。

『四月某日の手記』
 ユミ(母)78歳の誕生日祝いを新宿の某デパートで、ヒロコ(次姉。2歳年上。もうすぐ52歳)と三人で買いに行きました。
 親族の話がいろいろ出ます。甥の(おいの)5歳男児とか、長姉のヨーコさん(著者より8歳年上)が、がんで亡くなったとか。

『続、生い立ちの記』
 自分が生まれたときの難産の状態だったことなどが書かれています。

『逃避行、そして半世紀』
 神奈川県の葉山です。43歳から46歳までの3年間を葉山で海を見ながら猫と暮らしたそうです。
 沢村貞子:1908年(明治41年)-1996年(平成8年)87歳没。女優、随筆家。
 沢村さんに影響を受けて、海の見える部屋にしたそうです。
 著者は読書家のようです。
 
 この部分を読んでの感想です。
 ひとつは、こどもさんの頃はそうではないかもしれませんが、デビューされた以降、お金で苦労されたことはない人なのだなということ。
 もうひとつは、年齢を重ねておられますが、気持ちは若いということ。結婚はされましたが、出産子育ての体験をされていないことが、今もなお気持ちが若いということだと推測しました。
 あとは、健康に気をつけてくださいということ。とくにタバコはやめたほうがいい。お父上もお姉さんも癌で亡くなっておられます。癌になりやすい体質の遺伝はあろうかと思います。

『和田さんの今日子ちゃん』
 和田誠さんのお話です。
 和田誠:イラストレーター。グラフィックデザイナー、エッセイスト、映画監督。1936年(昭和11年)-2019年(令和元年)83歳没。料理愛好家の平野レミさんが奥さん。

『あとがきのようなもの』
 最初のお話に出た、7階から転落した黒猫の話です。追悔(ついかい。あとになって悔やむこと(くやむこと)。後悔)シーンがよみがえるそうです。
 コロナ禍の際中で、実家へ一年以上帰っていないとあります。
 過ぎてみれば、コロナってなんだったのだろうと思い出す今日この頃です。
 たくさんの人たちが亡くなりましたが、コロナ以外の病気で亡くなった方もいます。
 うちの親族も亡くなりました。
 お見舞いの面会もきちんとできませんでした。お互いに無念だった出来事と思います。

 今度は、NHKBSドラマ、『団地のふたり』で著者と共演されている小林聡美さんのエッセイ本を読んでみます。『わたしの、本のある日々 小林聡美(こばやし・さとみ) 毎日文庫』です。  

Posted by 熊太郎 at 07:05Comments(0)TrackBack(0)読書感想文