2014年04月09日

旅猫リポート 有川浩

旅猫リポート 有川浩 文藝春秋

 読書の経過です。
 最初、猫と一緒に旅をしたエッセイだと思っていました。(ネットで購入したので本の実物を見ていません)たとえば、瀬戸内海の島を愛猫(ペット)とともに旅行したカラー写真があって、それに短い雑感が添えられている。違っていました。この本は小説でした。
 夏目漱石の「我輩は猫である」みたいな書き出しから始まります。猫の名前は「ナナ」、飼い主は宮脇悟です。「5年間」という期間が提示され、読み手は、5年後、悟は好きな女性ができて、ナナが不要になるということを予測しますが、そうはなりません。
 悟は、ナナを手放すために、昔の友人を訪ね歩きます。ナナを引き取ってもらうためです。澤田幸介とのやりとりを見ていると、勉強することで、淋しさを忘れていた小学生時代を思い出しました。
 作品「昭和の犬」の猫版かという気持ちになりました。吉峯大吾との力が抜けた本音の会話がいい。「昭和の犬」より、こっちのほうが、実生活に近くて、読んでいて、しっくりきます。猫=子ども。共通点は「捨てられた」
 章「スギとチカコ」は、あまりよくなかった。正直言って、動物好きではないので、この小説にちょっと抵抗感あり。
 (その後、事態は、急展開する)悟の両親について、あまりにも設定がせつなすぎる。作品「世界から猫が消えたなら」を思い出しました。
 この小説は、近い将来、映画かドラマになるであろうと想像しました。
 ナナは猫じゃない。ナナは何かを暗示している。それは、悟の両親の魂です。
 記憶に残った記述です。
 猫は生後1年でおおむね20才
 ふたりとも仕事を好き過ぎるから離婚することになった。

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