2013年08月30日

置かれた場所で咲きなさい 渡辺和子

置かれた場所で咲きなさい 渡辺和子 幻冬舎

 80代なかばの著者による人生の回顧と助言です。柱にキリスト教の教えがあるので、宗教観をもたない人にとっては違和感があります。
 現代人の日々の暮らしぶりを的確にとらえ、この世はつらいと設定し、対策を教示してくださる本です。信仰のお導きがあります。
 いい言葉が次々と出てきます。組織の管理者であることから、帝王学を学んでいるような部分もあります。「心の中に王さまが住んでいる」という言葉には実感があります。
 著者のうつ病時代の告白と亡父が2・26事件の犠牲者であったということには驚きました。
 現代は選択枝が広がりました。昔は、「辞める」という選択枝がありませんでした。学校にしても、結婚にしても、仕事にしても、いったんやりはじめたら最後まで我慢して続けることが普通のことでした。
 置かれた場所で咲くということは、現代の社会人においてはむずかしい行為となりました。環境が変わったのです。終身雇用制は崩れました。労働条件は厳しくなりました。男女の力関係、人と人との心の距離も遠くなりました。されど、この本に書かれている処世術は、的を得ています。社会環境が変わっても変われない人間の性質があります。
 各章標題の大きな文字、章末の標語のような大きな文字と短文の説明は読みませんでした。読みのリズムが止まるからです。
 100ページ以降は、内容がゆるくなっていきます。老いの話が出てきます。これまで、できたことが、できなくなる。実感があり共感しました。

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